検索 - みる会図書館

検索対象: 写楽 よみがえる素顔

写楽 よみがえる素顔から 219件ヒットしました。

写楽 よみがえる素顔


主 な 参 考 文 献 野 口 米 次 郎 『 写 楽 』 ( 一 九 三 一 一 年 、 誠 文 堂 ) 吉 田 暎 一 一 『 写 楽 』 ( 一 九 五 七 年 、 美 術 出 版 社 ) 吉 田 暎 一 一 『 浮 世 絵 師 と 作 品 Ⅲ 』 ( 一 九 六 四 年 、 緑 園 書 房 ) 鈴 木 重 三 『 写 楽 』 浮 世 絵 美 人 画 ・ 役 者 絵 六 ( 一 九 六 六 年 、 講 談 社 ) 榎 本 雄 斎 『 写 楽 ー ー ・ ま ば ろ し の 天 才 』 ( 一 九 六 九 年 、 新 人 物 往 来 社 ) 谷 峯 蔵 『 写 楽 新 考 』 ( 一 九 八 一 年 、 文 藝 春 秋 ) 浮 世 絵 八 華 4 『 写 楽 』 ( 一 九 八 五 年 、 平 凡 社 ) 瀬 木 慎 一 『 写 楽 実 像 』 ( 一 九 八 五 年 、 美 術 公 論 社 ) 宗 谷 真 爾 『 写 楽 絵 考 』 ( 一 九 八 五 年 、 大 和 書 房 ) 中 右 瑛 『 写 楽 は 十 八 歳 だ っ た ! 』 ( 一 九 八 五 年 、 里 文 出 版 ) 渡 辺 保 「 東 洲 斎 写 楽 』 ( 一 九 八 七 年 、 講 談 社 ) 梅 原 猛 『 写 楽 仮 名 の 悲 劇 』 ( 一 九 八 七 年 、 新 潮 社 ) 松 木 寛 『 蔦 屋 重 三 郎 』 ( 一 九 八 八 年 、 日 本 経 済 新 聞 社 ) 田 村 善 昭 『 写 楽 と 相 撲 絵 』 ( 一 九 八 八 年 、 徳 島 県 出 版 文 化 協 会 ) 定 村 忠 士 『 写 楽 が 現 れ た 』 ( 一 九 八 九 年 、 一 一 見 書 房 ) 明 石 散 人 ・ 佐 々 木 幹 雄 『 東 洲 斎 写 楽 は も う い な い 』 ( 一 九 九 〇 年 、 講 談 社 ) 218

写楽 よみがえる素顔


第 章 東 洲 斎 写 楽 款 が あ る が 、 そ の 写 の 字 体 は 写 楽 の 落 款 に よ く 似 て い る 。 字 体 の 共 通 性 、 そ し て 配 色 の 妙 、 顔 の 各 部 の 描 法 、 遠 近 感 な ど 応 挙 こ そ 写 楽 で あ る 。 文 晁 ・ 写 山 楼 + 白 河 楽 翁 — 写 + 楽 谷 文 晁 写 楽 ・ 落 款 ( 東 洲 斎 写 楽 画 お よ び 写 楽 画 ) ( 提 唱 者 池 上 浩 山 人 ) 南 北 画 派 と い う 一 派 を 開 き 江 戸 文 人 画 に 新 風 を も た ら し た 谷 文 晁 は 、 時 の 政 治 家 松 平 定 信 が 出 た 田 安 家 に 仕 え る 漢 詩 人 谷 麓 谷 の 息 子 で あ っ た 。 文 晁 は 写 山 楼 と 号 し 一 方 、 定 信 は 白 河 楽 翁 と 称 し た 。 文 晁 は 定 信 の 著 書 「 集 古 十 種 」 に 挿 絵 を 描 く な ど 一 一 人 の 関 係 は 深 い 。 写 山 楼 の 「 写 」 と 楽 翁 の 「 楽 」 を 合 わ せ る と 写 楽 で あ る 。 素 外 ・ 「 自 画 像 」 谷 素 外 ( 提 唱 者 酒 井 藤 吉 、 酒 井 雁 高 ) 写 楽 ・ 扇 面 「 老 人 図 」 江 戸 談 林 派 の 俳 諧 師 谷 素 外 は 、 北 斎 の 肉 筆 「 鵜 飼 図 」 に 賛 を 寄 せ る な ど 浮 世 絵 師 と の 交 友 関 係 を も つ 一 方 、 立 派 な 還 暦 自 画 像 を 描 い て い る 。 そ こ に は 「 寛 政 六 甲 寅 仲 春 三 月 ) 」 と あ る 。 写 楽 に も 肉 筆 画 「 老 人 図 」 ( 扇 面 、 老 人 の 前 で 裸 の 子 が 豊 国 の 役 者 絵 を 踏 み つ け る ) が あ る 。 そ の 老 人 の な ん と 素 外 自 画 像 と 似 て い る こ と か 。 右 に あ げ た 十 五 説 は ご く 一 部 で あ る 。 ま だ ま だ あ る が き り が な い 。 以 下 、 そ の 主 な 別 人 名 と 提 一 唱 者 を 紹 介 す る に と ど め て お く 。

写楽 よみがえる素顔


す で に 『 歌 麿 』 ( 一 九 〇 七 年 ) 、 『 春 信 』 ( 一 九 一 〇 年 ) を 出 版 し 浮 世 絵 と 浮 世 絵 師 の 研 究 を 着 実 に 進 め て い た ク ル ト は 、 写 楽 を そ れ 以 前 の 浮 世 絵 師 と は 異 次 元 の 世 界 か ら 「 役 者 絵 」 の 分 野 を 開 拓 し た 不 世 出 の 、 そ し て 悲 劇 の 肖 像 画 家 と し て 情 熱 的 に 紹 介 し た 。 一 九 一 〇 年 当 時 、 ク ル ト の 手 元 に は 、 今 日 現 在 わ か っ て い る 写 楽 の 作 品 一 四 二 点 の う ち お よ そ 九 〇 点 以 上 の 作 品 の 資 料 ( 現 物 ま た は 写 真 版 ) が あ り 、 一 〇 〇 点 を は る か に 越 え る 作 品 の 存 在 を 確 認 し て い た よ う だ ( ク ル ト 『 写 楽 』 一 九 一 〇 年 初 版 序 文 ) 。 世 界 的 な 肖 像 画 家 と し て 描 き だ し た ク ル ト の 『 写 楽 』 は 、 欧 米 の ジ ャ ポ ニ ス ム に 大 き な 反 響 を 生 み だ し た 。 こ の 本 の 出 現 で ヨ ー ロ ッ パ の 浮 世 絵 市 場 で の 写 楽 の 価 格 は 急 騰 し 、 写 楽 は 浮 世 絵 展 覧 会 に 欠 か せ な い 絵 師 の 一 人 と な っ た 。 こ の 新 し い 大 き な う ね り は 、 当 然 、 日 本 へ も 打 ち 寄 せ て き た 。 瀬 木 慎 一 氏 は 、 日 本 で 最 初 に ク ル ト の 『 写 楽 』 を 読 ん だ の は 、 野 口 米 次 郎 、 永 井 荷 風 あ た り と 推 定 し て い る 。 長 年 ア メ リ カ ( 野 ロ 米 次 郎 ) や フ ラ ン ス ( 永 井 荷 風 ) で の 生 活 体 験 を も っ た 人 間 の 視 野 の 広 さ を 感 じ さ せ る 事 実 だ 。 ク ル ト の 『 写 楽 』 を 読 ん で 最 初 に 書 か れ た 論 文 は 荷 風 の 「 浮 世 絵 と 江 戸 芸 術 」 ( 大 正 三 年 、 一 九 一 四 ) と い う こ と で 、 こ れ は 大 正 九 年 に 出 版 さ れ た 『 江 戸 芸 術 論 』 に 収 め ら れ て い る 。 お よ そ こ 楽 の あ た り か ら 、 日 本 で の い わ ゆ る 「 写 楽 捜 し 」 が そ ろ そ ろ 始 ま っ て く る 。 斎 な ぜ こ の 頃 か ら か 。 東 日 本 で も 欧 米 で も 、 ク ル ト の 『 写 楽 』 が 現 れ る ま で は 、 写 楽 は 誰 か ? と い う 問 い は そ れ ほ ど 一 重 要 な 疑 問 で は な か っ た と 考 え ら れ る 。 そ も そ も そ ん な 疑 問 が 生 ま れ る こ と 自 体 が な か っ た と い 第 っ て も よ か ろ う 。 か り に 写 楽 に つ い て 知 り た い と 考 え る 変 わ り 者 が い た と し て も 、 「 浮 世 絵 類 考 」

写楽 よみがえる素顔


め に 応 え た 豊 国 の 仮 の 名 だ と い う 説 。 東 洲 は 「 豊 国 」 に 通 ず る 。 清 政 ・ 江 一 尸 紫 娘 道 成 寺 四 世 岩 井 半 四 郎 の 白 拍 子 野 分 鳥 居 清 政 写 楽 ・ 四 世 岩 井 半 四 郎 の 乳 人 重 の 井 ( 提 唱 者 中 右 瑛 ) 美 人 画 の 名 手 鳥 居 清 長 の 息 子 清 政 は 十 一 歳 に な る や な ら ず で 非 凡 な 画 才 を 示 し た が 、 鳥 居 家 の 相 続 問 題 に 絡 ん で 寛 政 五 年 、 わ ず か 十 七 歳 で 絵 筆 を 折 ら さ れ た 。 写 楽 出 現 は そ の 翌 年 だ 。 写 楽 と は 浮 世 絵 へ の 思 い 断 ち が た か っ た 清 政 の 仮 名 だ っ た 。 清 政 の 数 少 な い 雲 母 摺 役 者 絵 を 写 楽 と 比 較 す れ ば 手 の 描 線 な ど じ つ に よ く 似 て い る 。 に よ け い 如 圭 ・ 海 女 姿 の 芳 沢 い ろ は 9 流 光 斎 如 圭 写 楽 ・ 天 王 子 屋 里 虹 一 一 世 山 下 金 作 の 仲 居 ( 提 唱 者 一 一 一 隅 貞 吉 ) 天 明 か ら 文 化 年 間 に か け て 大 坂 で 役 者 絵 を 描 い た 流 光 斎 如 圭 は 、 そ れ ま で の 役 者 絵 の 定 形 を 破 り 、 実 写 を 特 色 に し て い た 。 写 楽 研 究 に 大 き な 業 績 を 残 し た 吉 田 暎 一 一 も 写 楽 の 「 天 王 子 屋 里 虹 」 は 流 光 斎 に 似 る と 指 摘 し た 。 流 光 斎 の 師 匠 松 好 斎 半 兵 衛 も 写 楽 だ と さ れ た こ と が あ る 。 写 楽 に 上 方 絵 の 影 響 を 見 る 意 見 で あ る 。 長 喜 ・ 高 島 屋 お ひ さ ( 柱 絵 ・ 部 分 ) 楽 間 栄 松 斎 長 喜 写 楽 ・ 四 世 松 本 幸 四 郎 の 肴 屋 五 郎 兵 衛 斎 ( 提 唱 者 福 富 太 郎 ) 東 同 時 代 の 美 人 画 絵 師 栄 松 斎 長 喜 の 作 品 に 、 画 中 の 美 人 が も っ 団 扇 に 写 楽 の 「 松 本 幸 四 郎 章 の 肴 屋 五 郎 兵 衛 」 の 鏡 絵 が 描 か れ た 一 点 が あ る 。 こ れ は 単 な る 遊 び で は な い は ず 。 長 喜 は 第 写 楽 が 消 え た 後 の 寛 政 八 年 に 名 前 を 子 興 と 改 め る が 、 そ の 理 由 も な に や ら あ り そ う だ 。 と

写楽 よみがえる素顔


第 三 章 時 代 と 才 能 東 洲 斎 写 楽 の 手 法 ・ 能 面 の 目 、 写 楽 の 目 ・ 阿 波 の 能 役 者 、 斎 藤 十 郎 兵 衛 寛 政 と い う 時 代 の 絵 姿 : 亠 の と が き 主 な 参 考 文 献 : : 8 0 ・ 9. -6 2 8 2

写楽 よみがえる素顔


第 一 章 東 洲 斎 写 楽 写 楽 捜 し の 始 ま り 写 楽 の 板 木 が あ っ た ・ 写 楽 の 相 撲 絵 を め ぐ っ て : 写 楽 の 役 者 絵 と ク ル ト ・ 逆 転 の 真 因 、 ク ル ト 以 後 : 第 ニ 章 蔦 屋 重 三 郎 版 元 ・ 耕 書 堂 蔦 屋 の 経 営 規 模 『 海 国 兵 談 』 の 出 版 経 費 本 居 宣 長 の 本 造 り 蔦 屋 の 年 商 を 推 計 す る ・ 蔦 重 の 業 界 戦 略 81 66 56 30 8

写楽 よみがえる素顔


と も あ れ 、 ま ず 写 楽 に 関 す る 歴 史 的 な 資 料 に あ た っ て み よ う 。 写 楽 に つ い て の 記 録 は 、 前 記 「 浮 世 絵 類 考 」 の 記 述 を 軸 に し て あ と に 続 く 人 々 、 浮 世 絵 版 画 の 歴 史 に 関 心 を も っ 絵 師 や 文 人 が 、 か す か な 写 楽 の 消 息 ・ 伝 聞 を 「 浮 世 絵 類 考 」 の 写 楽 の 項 に 加 筆 す る こ と を 中 心 に し て 少 し ず つ 増 や さ れ た 。 そ も そ も 「 浮 世 絵 類 考 」 と い う 書 物 は 寛 政 初 年 の 大 田 南 畝 の 原 撰 本 を も と に し て 、 写 本 に つ ぐ 写 本 、 そ れ に 写 本 を す る 個 々 人 の 書 き こ み ・ 増 補 が 積 み 重 ね ら れ た も の で 、 そ の 写 本 の 系 統 を 辿 可 能 な 夢 と い う こ と に な る 。 も っ と も 一 人 の 浮 世 絵 師 の 全 作 品 を 一 堂 に 集 め る な ど 、 作 品 総 数 が 一 四 〇 余 点 と 限 ら れ た 写 楽 だ か ら こ そ 考 え ら れ る の で あ っ て 、 歌 麿 で あ れ 北 斎 、 広 重 で あ れ 、 長 年 に わ た っ て 活 動 し つ づ け た 他 の 絵 師 で は そ も そ も 不 可 能 な こ と と い っ て よ い 夢 で あ る に せ よ 、 写 楽 に つ い て だ け こ う し た こ と が 話 題 に な る の は 、 や は り 写 楽 の 特 異 な 出 現 と 消 滅 ぶ り に 原 因 が あ る 。 写 楽 は な ぜ こ れ ほ ど 作 品 が 少 な く 、 短 い 期 間 し か 活 動 し な か っ た の か 。 写 楽 は い つ 、 ど こ の 生 ま れ か 、 亡 く な っ た の は : : : そ も そ も 写 楽 と は 何 者 か ? 「 浮 世 絵 類 考 」 の 成 長 過 程

写楽 よみがえる素顔


こ の 写 楽 の 疑 問 を 解 く に は 、 写 楽 の 内 側 か ら と 外 か ら と 、 両 面 か ら 迫 る 必 要 が あ る と 思 う 。 そ の よ う に 出 現 し た 写 楽 自 身 の 内 面 的 な 必 然 性 が あ る は ず だ 。 同 時 に 一 方 で は 、 そ の よ う に 写 楽 を 導 い た 外 か ら の 要 請 も あ っ た に ち が い な い 。 内 か ら 、 写 楽 自 身 の 必 然 性 と い う 面 で い う な ら ば 、 写 楽 に は 、 ク ル ト が 考 え た よ う な 、 近 代 画 家 と し て の 成 長 の 過 程 を と る 必 然 性 が な か っ た と 考 え る べ き で は な い だ ろ う か 。 ク ル ト が 考 え た 画 家 と し て の 成 長 の 過 程 と は 、 西 欧 ル ネ ッ サ ン ス 絵 画 か ら 近 代 絵 画 へ の 成 長 発 展 の プ ロ セ ス を 下 敷 き に し て 、 そ の 中 で の 一 人 の 画 家 の 芸 術 的 完 成 を 構 想 し た も の だ っ た と 私 に は 思 わ れ る 。 そ こ に あ る の は 近 代 芸 術 家 の 誕 生 と 形 成 の イ メ ー ジ で あ る 。 だ が 、 写 楽 と い う 浮 世 絵 師 に は 、 こ う し た 近 代 画 家 と し て の 修 業 と 自 己 形 成 の 道 と は 別 の 、 造 形 的 表 現 力 獲 得 の 道 が あ っ た の で は な い だ ろ う か 。 考 え て み る と 、 こ れ ま で の 写 楽 論 議 は 、 み な 、 ク ル ト の 写 楽 観 を 否 定 し な が ら 、 「 芸 術 家 写 楽 」 の イ メ 1 ジ を 描 く 点 で は 、 ク ル ト と 同 じ よ う に 考 え て い た の で は な い だ ろ う か 。 「 写 楽 に も 、 修 業 時 代 が あ っ た に ち が い な い 。 そ の 修 業 時 代 、 写 楽 の 初 期 作 品 が ど こ か に な い か 。 そ れ が あ れ ば 、 も っ と 明 確 に 写 楽 の 像 を 描 く こ と が で き る の に : 成 長 過 程 を 説 明 で き な い 写 楽 は 、 い よ い よ ミ ス テ リ ア ス な 存 在 に な っ て い く 。 し か し 、 写 楽 の 成 長 過 程 は 、 近 代 的 な 画 家 の 誕 生 と は 別 の 場 所 に あ っ た 、 だ か ら 、 写 楽 だ と 考 え る べ き で は な い か と い う の が 、 い ま こ こ ま で 来 て 、 お ば ろ げ な が ら 私 が 到 達 し た 結 論 だ 。 こ れ 以 上 の 断 言 は い ま の 私 に は 早 す ぎ る 。 そ の 前 に 、 写 楽 の 制 作 を 大 き く リ ー ド し た 、 外 側 か ら の 要

写楽 よみがえる素顔


第 一 章 東 洲 斎 写 楽 Ⅲ 役 者 の 紋 を 確 認 し た う え で 、 ク ル ト は 当 時 彼 が 知 る こ と が で き た 写 楽 の 全 作 品 に つ い て 、 次 の よ う な 項 目 に つ い て 検 討 し て い く 。 、 判 型 。 大 判 、 間 判 、 細 判 の 区 別 。 、 構 図 。 人 物 の サ イ ズ 、 全 身 像 か 、 半 身 像 ( 大 首 絵 ) か 。 、 背 景 の 描 き 方 、 舞 台 の さ ま ざ ま な 装 置 、 大 道 具 の 有 無 。 基 礎 ( 床 面 ) の 描 き 方 、 基 礎 の 線 ( 役 者 が 立 っ て い る 床 面 と 背 景 と の 境 界 の 線 ) の 有 。 、 落 款 の 種 類 、 写 楽 画 と 東 洲 斎 写 楽 画 の 区 別 。 、 人 物 の 背 景 の 彩 色 の 仕 方 、 黄 つ ぶ し 、 雲 母 摺 ( 白 雲 母 、 黒 雲 母 ) な ど 。 、 細 判 の 場 合 、 構 図 、 人 物 の 組 み 合 わ せ か ら 判 断 し て の 続 き 絵 の 選 定 。 b•o 、 こ う し た こ と を 総 合 し た う え で の 、 外 題 ( 芝 居 の 内 容 ) 、 ド ラ マ の 推 定 。 か ら ま で は い か に も ド イ ツ 合 理 主 義 的 だ し 、 当 然 の 作 業 で あ る 。 が 、 最 後 の に つ い て は 、 ク ル ト は 決 定 的 に 情 報 が 不 足 し て い た 。 彼 が 頼 り に し た の は 、 日 本 人 の 国 民 的 ド ラ マ 「 仮 名 手 本 忠 臣 蔵 」 と 「 菅 原 伝 授 手 習 鑑 」 、 「 妹 背 山 婦 女 庭 訓 」 な ど ご く 限 ら れ た 演 目 だ っ た よ う で あ る 。 ク ル ト に よ る 写 楽 の 絵 の 分 類 ( 作 品 目 録 ) 。 ク ル ト は Ⅱ の 検 討 項 目 に よ っ て 区 分 し た 絵 を 、 彼 が 考 え た 写 楽 の 作 品 制 作 順 に 並 べ 、 そ の 制 作 年 代 を 推 定 し た 。 次 の と お り で あ る 。 「 写 楽 画 」 落 款 。

写楽 よみがえる素顔


蔦 屋 版 の 浮 世 絵 を 見 る 。 世 界 の 美 術 館 が 収 蔵 し て い る 代 表 的 な 浮 世 絵 名 品 中 の 蔦 屋 版 三 五 〇 — 四 〇 〇 点 が 、 『 浮 世 絵 聚 花 』 、 『 秘 蔵 浮 世 絵 大 観 』 な ど の 美 術 全 集 に 収 載 さ れ て い る 。 作 品 と し て は 、 も ち ろ ん 各 地 の 美 術 館 に 重 複 し て 存 在 す る も の も あ る 。 し か し 、 お お よ そ の 数 の 見 当 は つ い て き た 。 な か で も っ と も 多 い の は 、 や は り 写 楽 と 歌 麿 で あ る 。 こ の 自 分 で も よ く わ け の わ か ら な い よ う な 作 業 の な か か ら 、 私 に は い つ の ま に か 、 写 楽 と 歌 麿 の 描 い た 浮 世 絵 世 界 の 茫 漠 と し た そ れ ぞ れ の 姿 が 形 造 ら れ て い っ た よ う だ 。 私 は こ れ と 平 行 し て 、 一 方 で は 前 章 ま で に 概 説 し た 蔦 重 の 台 所 の 検 証 を 進 め 、 も う 一 方 で は さ ま ざ ま な 写 楽 別 人 説 の 私 な り の 再 整 理 を 試 み て い た 。 最 近 の 諸 説 の な か で は 、 や は り 内 田 千 鶴 子 『 写 楽 ・ 考 』 に ま と め ら れ た 写 楽 ・ 斎 藤 十 郎 兵 衛 説 の 実 証 的 な 解 明 が 、 い く つ か の 無 理 な 議 論 と 思 わ れ る 部 分 を 感 じ な が ら も 記 憶 に 残 っ て い た 。 こ れ ら の 作 業 が 重 な っ て 進 ん で い た 一 九 九 四 年 七 月 の あ る 日 、 私 の な か に ふ と 、 一 つ の 「 仮 定 」 が 浮 か ん だ 。 「 あ の 写 楽 の 描 く 顔 は 、 能 面 か ら ヒ ン ト を 得 た の で は な い か 」 。 特 徴 は な い か 。 写 楽 の 描 く 顔 と 能 面 176