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検索対象: 完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢から 649件ヒットしました。

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢


36 「 日 本 の 古 典 」 全 巻 の 内 容 荻 原 浅 男 ( 千 葉 大 学 ) 国 古 事 記 小 島 憲 之 ( 大 阪 市 立 大 学 ) 佐 竹 昭 広 ( 京 都 大 学 ) ロ ロ 萬 葉 集 木 下 正 ( 関 西 大 学 ) 中 田 視 大 ( 筑 波 大 学 ) 回 日 本 霊 異 記 小 沢 正 大 ( 中 京 大 学 ) 回 古 今 和 歌 集 竹 取 物 語 片 旧 洋 一 ( 大 阪 女 子 大 学 ) 福 井 れ 助 ( 静 岡 大 学 ) 囮 伊 勢 物 語 松 村 誠 一 ( 成 蹊 大 学 ) 土 佐 日 記 木 村 正 中 ( 学 習 院 大 学 ) 回 蜻 蛉 日 記 松 蜷 聰 ( 学 習 院 大 学 ) 囮 囮 枕 草 子 秋 山 虔 ( 東 京 大 学 ) 回 ー 源 氏 物 語 田 阿 部 秋 生 ( 実 践 女 子 大 学 ) 和 泉 式 部 日 記 藤 岡 忠 美 ( 神 戸 大 学 ) 中 野 幸 一 ( 早 稲 田 大 学 ) 紫 式 部 日 記 大 養 廢 ( お 茶 の 水 女 子 大 学 ) 更 級 日 記 鈴 木 一 雄 ( 明 治 大 学 ) 夜 の 寝 覚 堤 中 納 言 物 語 稲 買 敬 一 一 ( 広 島 大 学 ) 久 保 木 哲 夫 ( 都 留 文 科 大 学 ) 無 名 草 子 橋 健 一 一 ( 東 京 女 子 体 育 大 学 ) 大 鏡 馬 和 夫 ( 中 央 大 学 ) 3 今 昔 物 語 集 国 東 文 麿 ( 早 稲 田 大 学 ) 今 野 達 ( 横 浜 国 立 大 学 ) 本 朝 世 俗 部 新 間 進 一 ( 青 山 学 院 大 学 ) 梁 塵 秘 抄 新 古 今 和 歌 集 ロ 峯 村 文 人 ( 国 際 基 督 教 大 学 ) っ 4 っ 4 伊 牟 田 経 久 ( 鹿 児 島 大 学 ) 永 井 和 子 ( 学 習 院 大 学 ) 今 井 源 衛 ( 九 州 大 学 ) 鈴 木 日 出 男 ( 成 城 大 学 ) 石 敬 子 ( 跡 見 学 園 短 期 大 学 ) 松 田 成 穂 ( 金 城 学 院 大 学 ) 方 丈 記 神 田 秀 夫 ( 武 蔵 大 学 ) ・ 水 積 安 明 ( 神 戸 大 学 ) 徒 然 草 久 保 田 淳 ( 東 京 大 学 ) 回 国 と は ず が た り 小 林 智 昭 ( 専 降 大 学 ) ⑩ 回 宇 治 拾 遺 物 語 小 林 保 治 ( 早 稲 田 大 学 ) 市 占 貢 次 ( 東 京 大 学 ) ロ 平 家 物 語 い 囮 謡 曲 集 三 道 小 山 弘 志 ( 国 文 学 研 究 資 料 館 ) 佐 み 健 一 郎 ( 武 蔵 野 美 術 大 学 ) 佐 藤 喜 久 雄 曻 わ 人 学 ) 表 章 ( 法 政 大 学 ) 囮 謡 曲 集 風 姿 花 伝 北 川 忠 彦 ( 京 女 子 大 学 ) 安 田 章 ( 京 都 大 学 ) 囮 狂 言 集 大 島 建 彦 ( 東 洋 大 学 ) 国 御 伽 草 子 集 暉 岐 康 隆 ( 早 稲 田 大 学 ) 好 色 一 代 男 好 色 五 人 女 東 明 雅 ( 信 州 大 学 ) 好 色 一 代 女 谷 脇 理 史 ( 筑 波 大 学 ) 國 日 本 永 代 蔵 万 の 文 反 古 神 保 五 彌 ( 早 稲 田 大 学 ) 世 間 胸 算 用 井 本 農 一 ( 実 践 女 子 大 学 ) 図 芭 蕉 句 集 壤 信 夫 ( 神 戸 大 学 ) 井 本 農 一 ( 実 践 女 子 大 学 ) 芭 蕉 文 集 。 去 来 抄 村 松 友 次 ( 東 洋 大 学 ) 森 修 ( 大 阪 市 立 大 学 ) 近 松 門 左 衛 門 集 雨 月 物 語 高 田 衛 ( 都 立 大 学 ) 中 村 博 保 ( 静 岡 大 学 ) 春 雨 物 語 山 理 一 ( 成 城 大 学 ) 囮 蕪 村 集 。 一 茶 集 岐 康 降 ( 早 稲 田 大 学 ) 山 本 健 吉 ( 文 芸 評 論 家 ) 山 〔 一 古 典 詞 華 集 い ( ヨ 日 い い い 中 村 俊 定 ( 早 稲 田 大 学 ) 場 切 実 ( 早 稲 田 大 学 ) 栗 山 理 一 ( 成 城 大 学 ) 島 越 文 蔵 ( 早 稲 田 大 学 ) 九 山 一 彦 ( 字 都 宮 大 学 ) 松 尾 靖 秋 ( 工 学 院 大 学 ) 増 古 和 子 ( 上 野 学 大 学 )

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢


253 巻 第 八 1578 ~ 1581 1581 け さ ゅ か り わ さ む 今 朝 鳴 き て 行 き し 雁 が 音 寒 み か も こ の 野 の 浅 茅 色 付 き に 麻 呂 が 壬 申 の 乱 の 際 の 功 臣 で あ っ た と の 理 由 で 功 田 を 賜 っ て い る 。 天 平 九 年 ( 当 七 ) 外 従 五 位 下 。 翌 年 主 税 頭 と な り 、 そ の け る 後 筑 後 守 、 鋳 銭 長 官 な ど を 歴 任 。 天 平 宝 字 二 年 従 五 位 下 を 授 け ら れ た 。 三 七 三 八 年 。 四 太 陽 暦 の 十 月 七 日 に 当 る 。 諸 兄 の 子 。 天 平 八 年 ( 当 六 ) 諸 兄 ら が も の お も あ き は ぎ 皇 族 籍 を 離 脱 し 臣 籍 に 降 下 し た 時 に 、 一 0 朝 戸 開 け て 物 思 ふ 時 に 白 露 の 置 け る 秋 萩 見 え つ つ も と な 一 0 の 応 詔 歌 を 詠 ん で い る 。 同 十 一 一 年 従 五 位 下 、 次 い で 従 五 位 上 に 昇 叙 。 大 学 頭 、 摂 津 大 夫 、 民 部 大 輔 、 侍 従 、 右 大 弁 な ど を 歴 任 。 天 平 宝 字 元 年 ( 七 五 七 ) 左 大 臣 ま で を し か き た っ ゅ し も お 弸 さ 雄 鹿 の 来 立 ち 鳴 く 野 の 秋 萩 は 露 霜 負 ひ て 散 り に し も 昇 っ た 父 諸 兄 が 失 脚 し や が て 薨 じ た 後 、 諸 王 臣 と 謀 っ て 藤 原 仲 麻 呂 を 除 こ う と し た が 、 失 敗 し 誅 さ れ た 。 こ の 天 平 十 年 当 の を 時 十 七 、 八 歳 。 橘 氏 は 初 め 宿 姓 で 、 朝 臣 に な る の は 十 一 一 年 後 の 天 平 勝 宝 二 年 ( 七 五 0 ) で あ る が 、 こ こ は 遡 ら せ て 記 し た も の 。 手 折 ら ず て ー こ の 手 折 ル は 、 同 じ く 風 流 を 解 す る 人 々 と 共 に 紅 葉 を 折 っ て か ざ し 、 宴 を 催 す こ と を さ す の で あ ろ た ち ば な の あ そ み な ら ま ろ し ふ え ん う 。 〇 散 り な ば 惜 し と ー 散 ラ ・ ハ 惜 シ ケ ム 橘 朝 臣 奈 良 麻 呂 、 集 宴 を 結 ぶ 歌 十 一 首 ト に 同 じ 。 た を あ お も も み ち ◆ 大 勢 の 来 会 者 に 対 す る 、 主 人 と し て の 手 折 ら ず て 散 り な ば 惜 し と 我 が 思 ひ し 秋 の 黄 葉 を か ざ し 挨 拶 の 歌 で あ ろ う 。 1579 1578 あ さ と あ へ の あ そ み む し ま ろ 右 の 一 一 首 、 阿 倍 朝 臣 虫 麻 呂 あ や の い み き う ま か ひ 右 の 二 首 、 文 忌 寸 馬 養 て ん び や う い ん 天 平 十 年 戊 寅 の 秋 八 月 二 十 日 あ さ ち い ろ づ 1581

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢


3 凡 例 凡 例 一 、 本 書 は 、 現 代 の 多 く の 読 者 に 『 万 葉 集 』 に 親 し ん で も ら え る よ う に 配 慮 し て 、 読 み 下 し 本 文 を 左 ペ ー ジ に 、 現 代 語 訳 を 右 ペ ー ジ に 示 し て 対 照 し や す く し 、 下 段 に 簡 潔 な 注 解 を ほ ど こ し た も の で あ る 。 一 、 本 文 左 ペ ー ジ の 本 文 は 、 西 本 願 寺 本 万 葉 集 を 底 本 と し て あ ら た に 校 訂 を 加 え た も の を 、 漢 字 仮 名 混 じ り 文 に 読 み 下 し た も の で あ る 。 な お 、 原 文 は す べ て 漢 字 に よ っ て 書 か れ て い る が 、 本 書 に お い て は 割 愛 し た 。 用 字 に つ い て は 、 常 用 漢 字 表 に あ る 漢 字 は 、 原 則 と し て そ れ を 用 い た 。 き よ う ご う 3 読 み 下 し 本 文 を 作 る に あ た り 、 古 写 本 の 校 合 は 、 校 本 万 葉 集 に よ る と 共 に 、 実 見 す る こ と を 得 た 本 ら ん し ( 元 暦 校 本 ・ 藍 紙 本 ・ 紀 州 本 ・ 神 宮 文 庫 本 ・ 西 本 願 寺 本 ・ 陽 明 本 ・ 大 矢 本 ・ 京 都 大 学 本 な ど ) に つ い て る い じ ゅ う こ し ゅ う こ よ う り や く る い じ ゅ う し よ う は 実 物 に よ っ て 再 検 証 し 、 ま た 金 沢 本 ・ 類 聚 古 集 ・ 古 葉 略 類 聚 鈔 な ど の 、 複 製 本 を 以 て 代 替 可 能 と 思 は く そ う わ れ る 本 は そ れ に よ っ た 。 諸 家 に 伝 わ る 断 簡 類 に つ い て も 、 博 捜 に 努 め 、 誤 り な き を 期 し た 。 4 「 或 本 の 歌 に 日 く 」 「 一 に 云 ふ 」 な ど の 異 伝 に 関 す る 注 記 、 あ る い は 訓 注 の 類 は 、 〈 〉 で く く っ て 示 し た ( 現 代 語 訳 も こ れ に 準 じ る ) 。 5 訓 読 は 、 先 学 の 諸 説 を 検 討 し た 上 で 、 最 も 妥 当 と 認 め ら れ る 説 に よ っ た が 、 そ の い ず れ に も 従 い が た い 場 合 は 、 校 注 者 の 見 解 に も と づ い て 読 ん だ 。

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢


萬 葉 集 4 6 い わ ゆ る 難 訓 歌 に 対 し て は 、 強 い て 異 を 立 て ず 、 原 文 の ま ま で 掲 げ て 、 後 考 を 待 っ こ と に し た 。 7 読 み 下 し 本 文 お よ び 現 代 語 訳 の 上 に つ け た 歌 番 号 は 『 国 歌 大 観 』 に よ る 。 8 読 み 下 し 本 文 ・ 現 代 語 訳 と も 、 一 句 ご と に 一 字 分 の 空 白 を 置 い た 。 9 題 詞 ・ 左 注 の 読 み 下 し 文 は 、 上 代 散 文 に ふ さ わ し い 文 体 を 復 原 す る こ と に 努 め た 。 せ ん が く 目 録 は 、 す べ て の 現 存 古 写 本 の 各 巻 巻 頭 に あ る が ( 巻 十 六 以 下 の 非 仙 覚 系 諸 本 を 除 く ) 、 本 書 に お い て は 割 愛 し た 。 た だ し 、 校 注 の 参 考 に な る も の は 、 該 当 箇 所 の 脚 注 に こ れ を 引 用 し 、 理 解 の 助 け と し た 。 一 、 現 代 語 訳 と 脚 注 現 代 語 訳 は な る べ く 原 文 か ら 離 れ な い よ う に 直 訳 に 近 い 形 を と っ た 。 歌 意 は 随 時 脚 注 を 参 照 し つ つ 把 握 さ れ た い 。 仮 名 づ か い も 本 文 の ま ま と し た 。 2 枕 詞 は ( ) で く く り 、 3 脚 注 は 本 文 の 理 解 に 必 要 な 事 項 を 簡 潔 に 記 し た 。 4 出 典 な ど に 関 し て 参 考 に 引 い た 漢 文 は 、 原 則 と し て 片 仮 名 混 じ り の 読 み 下 し 文 に 改 め た 。 紙 幅 の 関 係 上 、 同 一 句 や 類 似 句 の 説 明 で 前 出 ( ま れ に 後 出 ) し た も の 、 ま た は 参 考 に な る も の は ↓ で 示 し た 。 平 数 字 は 歌 番 号 を 示 す 。 6 作 品 の 理 解 を 助 け る た め 、 参 考 と な る 関 連 事 項 ・ 評 言 な ど に は ◆ 印 を 付 し 、 語 の 注 と 区 別 し た 。 脚 注 の 振 り 仮 名 は 現 代 仮 名 づ か い に し た が 、 本 文 中 に あ る 語 に つ い て は そ の ま ま に 示 し た 。 一 、 そ の 他

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢


お お と も の た む ら の だ い じ よ う さ か の う え の だ い じ よ う 大 伴 田 村 大 嬢 が 妹 の 坂 上 大 嬢 に 与 え た 歌 一 首 な ら し お か 幻 旧 京 の 奈 良 思 の 岡 の ほ と と ぎ す を 伝 言 役 に 行 か せ た の は ど う 告 げ ま し た 集 か た ち ば な 葉 大 伴 家 持 が 橘 の 花 を 折 り 取 っ て 、 坂 上 大 嬢 に 贈 っ た 歌 一 首 と 短 歌 萬 繝 い か と い か と あ る わ が 家 の 庭 に た く さ ん 枝 を 広 げ て 生 い 茂 っ て い る 橘 は 玉 に 通 す 五 月 が 近 い の で こ ぼ れ ん ば か り に 花 が 咲 い て い ま す 朝 も 昼 も ↓ 一 四 四 九 題 詞 。 出 て 見 る た び に 命 が け で わ た し が 愛 し て い る あ な た に ( ま そ 鏡 ) 清 い 月 の = ↓ 一 四 哭 題 詞 。 故 郷 ー 『 万 葉 集 』 の フ ル サ ト は 古 京 の 光 で ほ ん の 一 目 で も 見 せ る 時 ま で 散 っ て く れ る な と 言 っ て こ れ ほ ど に 意 。 平 城 遷 都 後 に 明 日 香 ・ 藤 原 の 地 あ か っ き 気 を つ け て い る の に し や く に さ わ る く そ ほ と と ぎ す め が 暁 の も の 悲 し い を さ し て フ ル サ ト と い い 、 ま た 久 邇 京 に 都 が あ っ た 間 、 平 城 を フ ル サ ト と 言 っ た 。 時 に 追 っ て も 追 っ て も や は り 来 鳴 い て 甲 斐 も な く こ れ 以 上 花 を 地 面 に 散 こ こ は そ の い ず れ か 不 明 。 〇 奈 良 思 の 岡 ー 所 在 未 詳 。 「 毛 無 の 岡 」 ( 一 四 六 六 ) と 同 地 と ら し た ら し か た が な い の で 引 き 寄 せ て 折 り ま し た 見 て く だ さ い あ な た す る 説 も あ る が 、 疑 わ し い 。 あ る い は 奈 良 山 の 地 名 語 源 説 と し て 、 「 崇 神 紀 」 十 年 の 条 に 官 軍 が 大 勢 集 っ て 草 木 を 踏 み な ら し た の で ナ ラ 山 と い う 、 と あ る の と 関 係 が あ る か 。 〇 い か に 告 げ き ゃ ー イ カ ニ カ ッ ゲ シ と あ る べ き と こ ろ 。 三 「 攀 」 は 、 取 る 、 つ か む 、 引 き 寄 せ る 、 の 意 。 7 い か と い か と ー 末 詳 。 如 何 の 意 に 解 し て 、 ど う か ど う か と 、 と す る 説 や 、 厳 シ と 関 連 さ せ て 、 庭 が 広 大 で あ る 、 と か い イ カ 1506

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢


こ た 詔 に お 応 え し て こ の 歌 を 作 っ た 、 と い う 。 き よ う い ぞ た ち か た 一 持 統 ・ 文 武 い ず れ の 詔 か 不 明 。 ↓ 田 あ の 方 の 使 い が 来 る か と 出 で 立 ち 待 っ と い う 出 立 の こ の 松 原 を 今 日 通 り 我 が 背 子 が 使 ひ 来 む か と ー 門 外 に 出 集 過 ぎ る こ と か て た た ず む の 意 か ら 、 地 名 出 立 に か ふ じ し ろ 葉 藤 白 の み 坂 を 越 え る と て ( 白 た 〈 の ) わ た し の 衣 手 は 濡 れ て し ま っ た け た 序 。 〇 出 立 の こ の 松 原 ー 出 立 は 田 辺 ぞ だ ち や ま と も み じ 萬 背 の 山 に は 紅 葉 が ず っ と 散 り 敷 い て い る 大 和 の 神 岡 の 山 の 紅 葉 は 今 日 あ 市 元 町 出 立 。 元 来 、 山 地 が 平 野 や 海 岸 に 突 き 出 て い る 地 形 に い う 。 松 原 の マ ツ に た り 散 っ て い る こ と だ ろ う か 待 ツ の 意 を か け る 。 か り 藤 白 の み 坂 ー 海 南 市 藤 白 の 南 に あ る 大 和 に は 聞 え て 行 か な い も の か 大 我 野 の 竹 の 葉 を 刈 り 敷 い て わ び し く 仮 坂 。 斉 明 四 年 ( 六 天 ) 十 一 月 十 一 日 有 寝 し て い る と 間 皇 子 が こ の 地 で 絞 首 さ れ た 。 〇 白 た へ の ー 袖 ・ 衣 手 な ど の 枕 詞 。 白 タ へ ↓ 一 0 七 九 。 紀 伊 の 国 の 昔 の あ の 猟 師 が 鏑 矢 で あ ま た の 鹿 を 捕 え た そ の 坂 の 上 な の だ 〇 濡 れ に け る か も ー 露 に 濡 れ た の で あ ろ う 。 一 説 に 有 間 皇 子 を 追 悼 す る 涙 に 袖 を 濡 ら し た も の か と す る 。 6 背 の 山 ↓ 一 一 一 0 八 。 〇 神 岡 の 山 の 黄 葉 ー 神 岡 は 飛 鳥 の カ ム ナ ビ ( 二 孟 ) を い う 。 持 統 太 上 天 皇 は 十 五 年 前 天 武 天 皇 が 崩 じ た 後 の 歌 ( 一 堯 ) に も 、 こ の 黄 葉 を 詠 ん で い る 。 〇 今 日 か 散 る ら む ー こ の 行 幸 の 藤 原 宮 還 幸 の 十 月 十 九 日 は 太 陽 暦 の 十 一 月 二 十 三 日 に 当 る 。 背 の 山 か ら 藤 原 宮 ま で 約 四 〇 じ の 道 の り で 、 こ の 歌 は 十 月 十 八 日 ご ろ の 作 で あ ろ う 。 大 和 に は 聞 こ え 行 か ぬ か ー ヌ 力 は 希 求 。 こ こ に モ が な い の は 音 数 の 制 約 1677 か ぶ ら や お お が の し か か み お か 一 三 八 題 詞 。 1674 1675 1677

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢


239 巻 第 八 1552 ~ 1555 1555 1553 1554 1552 ゅ は ら の お き み こ ほ ろ ぎ 湯 原 王 の 蟋 蟀 の 歌 一 首 ゅ ふ づ く よ タ 月 夜 心 も し の に 白 露 の 置 く こ の 庭 に こ ほ ろ ぎ 鳴 く も お ほ き み お と も の や か も ち こ た 大 伴 家 持 の 和 ふ る 歌 一 首 け ふ 大 君 の 三 笠 の 山 の も み ち 葉 は 今 日 の し ぐ れ に 散 り か 過 ぎ な む ゑ も ん の だ い じ よ う お と も の す く ね い な ぎ み 衛 門 大 尉 大 伴 宿 禰 稲 公 の 歌 一 首 し ぐ れ の 雨 間 な く し 降 れ ば 三 笠 山 木 末 あ ま ね く 色 付 き に け り 総 守 な ど を 歴 任 。 天 平 宝 字 二 年 ( 七 五 0 従 き い 四 位 下 大 和 守 で あ っ た 時 、 藤 に 奇 瑞 が 生 じ た こ と を 奏 し て い る 。 家 持 に は 叔 父 に 当 る 。 三 笠 山 ↓ 二 0 一 一 。 〇 木 末 あ ま ね く ー ア マ ネ シ は 、 一 定 の 枠 内 に 隈 な く 行 き わ た っ て い る こ と を 示 す 。 大 君 の ↓ 二 9 一 。 三 笠 の 枕 詞 。 〇 も み ち 葉 は ー こ の 句 は 原 文 に 「 秋 黄 葉 」 と あ り 、 「 秋 」 は 意 に よ っ て 添 え た 字 と 解 す る が 、 秋 柏 ・ 秋 萩 な ど に 準 じ て ア キ モ ミ チ と 読 む こ と も 可 能 。 〇 散 り か 過 ぎ な む ー 散 リ 過 グ は 花 や 紅 葉 が 散 っ て し ま う こ と を い う 。 四 志 貴 皇 子 の 孫 。 春 日 王 の 子 で 、 市 原 王 の 父 。 天 平 元 年 ( 七 一 一 九 ) 従 五 位 下 、 同 十 七 年 従 五 位 上 。 5 幾 日 も あ ら ね ば ー こ の ネ ・ ハ は 、 ま だ 、 し な い の に 、 の 意 。 こ の 歌 は 『 拾 遺 集 』 に 「 い く か も あ ら ね ど 」 と い う 形 で 引 か れ て い る 。 〇 こ の 寝 ぬ る ー 『 古 今 集 』 あ れ に 「 水 茎 の 岡 の 屋 形 に 味 と 我 と 寝 て の 朝 け の 霜 の 降 り は も 」 ( 一 0 七 一 l) と い う 歌 が あ 四 あ き の お き み る 。 こ の 歌 に 「 こ の 寝 ぬ る 」 と あ る の も 同 安 貴 王 の 歌 一 首 じ よ う な 情 景 と 解 す る 説 が あ る 。 〇 手 本 寒 シ モ ー 手 本 は 手 首 。 ↓ 一 一 一 天 ( 寒 く 吹 く あ さ け た も と い く か ね 秋 立 ち て 幾 日 も あ ら ね ば こ の 寝 ぬ る 朝 明 の 風 は 手 本 寒 な 0 。 み か さ や ま こ ぬ れ い ろ づ

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萬 葉 集 24 1101 11 岳 を 詠 む こ と し 片 岡 山 の こ の 向 こ う の 丘 に 椎 の 実 を 蒔 い た ら 今 年 の 夏 の 日 陰 に な る だ ろ 1102 河 を 詠 む ま き む く 巻 向 の 穴 師 の 川 を 流 れ て 行 く 水 の よ う に 絶 え る こ と な く ま た 来 て 見 よ う ( ぬ ば た ま の ) 夜 が や っ て 来 る と 巻 向 川 の 瀬 音 が 高 い 山 お ろ し の 風 が 激 し い か ら だ ろ う か 右 の 二 首 は 、 柿 本 朝 臣 人 麻 呂 の 歌 集 に 出 て い る 。 み か さ ( 大 君 の ) 三 笠 の 山 が 帯 に し て い る 細 い 谷 川 の 瀬 音 の す が す が し さ よ お か よ し い 片 岡 ー 奈 良 県 北 葛 城 郡 王 寺 町 か ら 南 の 香 芝 町 に か け て 、 国 鉄 和 歌 山 線 沿 い に 王 寺 駅 か ら 志 都 美 駅 の 辺 ま で の 西 側 丘 陵 。 〇 向 っ 峰 ー 向 こ う に 見 え る 丘 陵 。 こ こ は 片 岡 山 の 東 、 国 鉄 和 歌 山 線 を 挟 ん か ん ま き で 真 向 こ う に 見 え る 同 郡 上 牧 町 の 馬 見 丘 む か い や ま を さ け 。 な お 同 町 の 小 字 名 に 、 向 山 ・ 向 城 ・ 小 向 な ど が 現 存 す る 。 〇 陰 に な ら む か ー 原 文 に 「 陰 尓 将 比 疑 」 と あ る が 、 「 比 」 は 「 化 」 の 誤 り と す る 『 万 葉 集 古 義 』 の い と 説 に よ る 。 夏 の 炎 暑 を 春 の う ち か ら 厭 う 趣 だ が 、 椎 の 木 が 陰 と 頼 め る ほ ど に な る に は 何 十 年 と か か ろ う 。 痛 足 の 川 ゅ 行 く 水 の ー こ の ユ は 経 由 を 示 す 。 以 上 、 「 絶 ゆ る こ と な く 」 の 序 だ が 、 第 五 句 「 か へ り 見 む 」 の 対 象 と も な っ て い る 。 ↓ 一 0 全 ( 痛 足 川 ) 。 〇 ま た か へ り 見 む ー こ の カ へ リ 見 ル は 後 日 再 び 見 に 訪 れ る 意 。 巻 向 の 川 音 ー 痛 足 川 の 瀬 の 音 。 〇 あ ら し か も 疾 き ー ア ラ シ は 山 頂 か ら 吹 1101 お う じ

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み て し ろ の ひ と な 右 の 一 首 、 三 手 代 人 名 も み じ 2 露 が 置 い た 紅 葉 を 手 折 っ て 来 て あ な た は か ん ざ し に し た あ と は 散 っ て も 集 よ い は た の こ へ ま ろ 葉 右 の 一 首 、 秦 許 遍 麻 呂 し ぐ れ 萬 十 月 の 時 雨 に 打 た れ た 紅 葉 が 吹 け ば 散 る よ う に さ す ら い 行 く こ と だ ろ う 一 伝 未 詳 。 原 文 は 大 部 分 の 古 写 本 に 風 に ま か せ て 「 之 手 代 人 名 」 と あ る が 、 神 宮 文 庫 本 ・ 細 お お と も の す く ね い け ぬ し 井 本 に 「 三 手 代 : こ と あ る 。 『 万 葉 代 匠 記 』 右 の 一 首 、 大 伴 宿 禰 池 主 は 『 続 日 本 紀 』 天 平 一 一 十 年 の 条 に 、 従 五 位 紅 葉 の 散 る の を 惜 し ん で 親 し い 仲 間 が 遊 ぶ 今 夜 は 明 け ず に あ っ て く れ な 下 大 倭 御 手 代 連 麻 呂 女 と い う 者 が 宿 禰 姓 を 賜 っ た と あ る こ と を 参 考 に 「 三 手 代 」 の い も の か 誤 り と し た 。 大 倭 御 手 代 連 が 三 手 代 氏 と 同 じ か 否 か は な お 不 明 で あ り 、 む し ろ 、 正 倉 院 文 書 に 見 え る 御 手 代 直 男 綱 ・ 御 手 代 乎 伎 波 都 や 、 『 霊 異 記 』 上 三 十 一 話 の 御 手 代 東 人 と 関 係 づ け て 考 え る べ き か と 思 わ れ る が 、 「 之 手 代 」 が 「 三 手 代 」 の 誤 り で あ る こ と は 確 か で あ ろ う 。 9 露 霜 ↓ 一 一 一 六 。 〇 眛 ー こ の 宴 に 参 加 し た 誰 か を さ す の で あ ろ う 。 〇 後 は 散 る と も ー 前 の 歌 の 「 散 ら ば 散 る と も 」 と 同 じ 気 持 。 八 兊 の 「 死 な ば 死 ぬ と も 」 に 「 一 に 云 ふ 、 後 は 死 ぬ と も 」 の 別 伝 が あ る 。 い み き ニ 伝 未 詳 。 秦 氏 は 忌 寸 姓 を 持 つ 者 と 無 姓 の 者 と が あ る 。 こ の 許 遍 麻 呂 は 後 者 。 1591

完訳 日本の古典 第四巻 萬葉集 ㈢


い も 「 妹 」 の 辺 り を 今 こ そ 通 っ て 行 く 目 に だ け で も わ た し に 見 え て お く れ も の は 言 わ な く て も 集 ル 足 代 を 過 ぎ て 糸 鹿 の 山 の 桜 花 よ 散 ら ず に あ っ て く れ 帰 っ て 来 る 時 ま で な ぐ さ 3 な ぐ さ や ま 葉 幻 名 草 山 は 名 ば か り だ っ た わ が 恋 の 千 分 の 一 も 慰 め て は く れ な い で お す て こ け 萬 4 あ て 幻 足 代 へ 行 く 小 為 手 の 山 の 真 木 の 葉 も 久 し く 見 な い う ち 苔 む し て き た 5 た ま っ し ま 幻 玉 津 島 を よ く 見 て い ら っ し ゃ い ( あ を に よ し ) 奈 良 の お 家 の 方 が 待 ち 構 え た ず て 尋 ね た ら ど う し ま す か 1211 い と が か ま 妹 が あ た り 今 そ 我 が 行 く ー 実 際 は 妹 山 の そ ば を 通 っ て い る の だ が 、 あ た か も 恋 人 の 家 の 近 く を 行 く よ う に 詠 ん だ も の 。 〇 目 の み だ に 我 に 見 え こ そ ー 家 か ら 出 て 来 て 逢 う の で は な く て も 、 せ め て 姿 形 だ け な り と 目 に 見 え て ほ し い 。 コ ソ は 、 何 か を く れ る 意 の 動 詞 コ ス の 補 助 動 詞 的 用 法 の 命 令 形 。 ↓ 一 0 九 七 ( 我 が 背 子 を こ ち ) 。 足 代 過 ぎ て ー 足 代 は 和 歌 山 県 有 田 市 お よ び 有 田 郡 内 の 地 名 で あ ろ う が 、 所 在 末 詳 。 有 田 郡 は 奈 良 朝 以 前 「 安 諦 」 と 称 し た が 、 平 城 天 皇 の 大 同 元 年 ( 合 六 ) に い み な あ て 天 皇 の 諱 が 「 安 殿 」 で あ る の に 触 れ る と の 理 由 で 改 め さ せ ら れ た ( 日 本 後 紀 ) 。 こ こ は 、 作 者 が 足 代 を 通 っ て 糸 鹿 に 来 た こ と み ち ゅ き を 示 す 、 道 行 文 的 表 現 。 〇 糸 鹿 の 山 ー 有 田 市 糸 我 町 の 南 の 山 。 南 の 湯 浅 町 と の 境 に 糸 我 峠 が あ り 、 古 く は 熊 野 街 道 王 子 社 の 一 つ と し て 糸 我 王 子 と い う の が あ っ た 。 〇 散 ら ず も あ ら な む ー 原 文 「 不 散 在 南 」 に モ に 当 る 表 記 は な い が 、 「 人 れ ず も あ ら な む 」 「 明 け ず も あ ら な む 」 な ど 、 希 求 の ナ ム は モ と 応 ず る こ と が 多 い た め 、 モ を 1212