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現代日本の文学 5 島崎藤村 集


島 崎 藤 村 集

現代日本の文学 5 島崎藤村 集


現 代 日 本 の 文 学 5 全 60 巻 島 崎 藤 村 集 昭 和 44 年 11 月 1 日 初 版 発 行 昭 和 57 年 10 月 1 日 24 版 発 行 著 者 発 行 者 発 行 所 島 崎 藤 村 古 岡 滉 齡 学 習 研 究 社 東 京 都 大 田 区 上 池 台 4 ー 40 ー 5 〒 145 振 替 東 京 8 ー 142930 電 話 東 京 ( 720 ) 1111 ( 大 代 表 ) 印 刷 大 日 本 印 刷 株 式 会 社 中 央 精 版 印 刷 株 式 会 社 製 本 中 央 精 版 印 刷 株 式 会 社 本 文 用 紙 三 菱 製 紙 株 式 会 社 表 紙 ク ロ ス 東 洋 ク ロ ス 株 式 会 社 製 函 永 井 紙 器 印 刷 株 式 会 社 * こ の 本 に 関 す る お 問 合 せ や ミ ス な ど が あ リ ま し た ら , 文 書 は , 東 京 都 大 田 区 上 池 台 4 丁 目 40 番 5 号 ( 〒 145 ) 学 研 お 客 さ ま 相 談 セ ン タ ー 現 代 日 本 の 文 学 係 へ , 電 話 は , 東 京 ( 03 ) 720 ー 1111 へ お 願 い し ま す 。 OKusuo Shimazaki 1969 Printed ⅲ Japan ISBN4 ー 05 ー 050215 一 1 C0393 本 書 内 容 の 無 断 複 写 を 緊 す

現代日本の文学 5 島崎藤村 集


現 代 日 本 の 文 学 島 崎 藤 本 寸 集 〈 監 修 委 員 〉 伊 藤 整 井 上 靖 川 端 康 成 ネ 三 島 由 紀 夫 究 〈 編 集 委 員 〉 習 足 立 巻 一 奥 野 健 男 尾 崎 秀 樹 杜 夫 ( 五 十 音 順 )

現代日本の文学 5 島崎藤村 集


下 ・ 左 久 良 書 房 刊 「 千 曲 川 の ス ケ ッ チ 」 初 版 本 ( 大 正 元 年 刊 ) 編 四 第 書 叢 蔭 綠 チ ッ い ズ の 川 曲 千 著 村 第 島 第 4 短 篇 集 「 微 風 」 初 版 本 を ( 大 正 2 年 刊 ) 著 村 崎 新 片 町 に て 楠 雄 ( 右 ) 鶏 二 と ( 大 正 2 年 ) の だ ろ う が 、 作 者 と し て も 、 す で に 身 に つ け た 手 練 手 管 を 安 易 に 使 い な ら す と い っ た 気 持 の 安 直 さ が あ っ て 、 こ う い う 作 品 で 詩 人 藤 村 を 云 々 す る の は 、 む し ろ 詩 人 に 対 し て 礼 を 失 す る こ と に な る の で は な い か と さ え 、 ば く は 、 フ 。 藤 村 の 詩 な ら ば 、 や は り 「 若 菜 集 』 で あ る 。 た ば 、 「 。 仞 亦 5 」 ま だ あ げ 初 め し 前 髪 の 林 檎 の も と に 見 え し と き は な ぐ し 前 に さ し た る 花 櫛 の 花 あ る 君 と 思 ひ け り や さ し く 白 き 手 を の べ て 林 檎 を わ れ に あ た へ し は 薄 紅 の 秋 の 実 に 人 こ ひ 初 め し は じ め な り わ が こ 、 ろ な き た め い き の そ の 髪 の 毛 に か 、 る と き た の し き 恋 の 盃 を な さ け 君 が 情 に 酌 み し か な さ か づ き 453

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っ た の で 、 元 気 の よ い 若 者 た ち だ け は 、 弘 法 大 師 作 と い う 薬 師 如 来 を 祀 る 老 松 に か こ ま れ た 菱 野 薬 師 を 眺 め か ざ わ . に 出 か け た 。 藤 村 は 、 よ く 山 の 湯 に 出 か け た 。 鹿 沢 、 れ い せ ん じ 別 所 、 田 沢 、 霊 泉 寺 、 中 棚 、 菱 野 な ど が 、 『 千 曲 川 の ス ケ ッ チ 』 に み え る 。 し か し 、 菱 野 の 湯 に は 入 ら な か っ た よ う だ 。 藤 村 の 跡 を 追 っ て 、 旅 を つ づ け て き た 私 は 、 よ う や く 藤 村 に 一 つ 貸 し が で き た よ う な 気 が し た 。 1 1 ロ 小 諸 は 、 牧 野 氏 一 万 五 千 石 の 城 下 町 で 、 特 色 の あ る 「 懐 古 園 」 の 名 を 掲 げ た 三 の 門 の あ る 城 跡 と と も に 、 今 は 誰 ひ と り 知 ら ぬ も の は な い 。 島 崎 藤 村 が 小 諸 義 塾 の 教 師 と し て 雌 伏 七 年 の 年 月 を す ご し 、 第 四 詩 集 『 落 梅 集 』 、 短 篇 集 『 緑 葉 集 』 、 長 篇 小 説 『 破 戒 』 、 随 想 『 千 曲 川 の ス ケ ッ チ 』 を こ こ で 書 き 、 そ の 名 を 天 下 に 知 ら せ た こ と か 与 っ て カ か あ る よ う に 田 5 わ れ て く る 小 諸 な る 古 城 の は と り 雲 白 く 遊 子 悲 し む 緑 な す ~ 婁 は 萌 え ず 若 草 も 藉 く に よ し な し し ろ が ね の の 岡 辺 日 に 溶 け て 淡 雪 流 る 右 ・ 懐 古 園 よ り 千 曲 川 を 望 む 左 ・ 懐 古 園 内 に あ る 「 千 曲 川 旅 情 の 歌 」 の 詩 碑 0

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00 目 次 島 崎 藤 村 文 学 紀 行 木 曽 路 ・ 信 濃 路 日 幼 き 桜 の 実 の 熟 す る 時 : 藤 村 詩 抄 千 曲 川 の ス ケ ッ チ ( 抄 ) : 注 解 島 崎 藤 村 文 学 ア ル ・ ハ ム 評 伝 的 解 説 紅 野 敏 郎 小 野 寺 凡 瀬 沼 茂 樹 石 四 一 三 四 元 四 三 三 篠 田 一 士 四 三 三 : ・ 九 0 三 四 三 : 三 条

現代日本の文学 5 島崎藤村 集


こ の 年 、 海 軍 省 官 吏 石 井 其 吉 に つ き 英 語 学 習 に は げ む 。 パ ア レ イ の 「 万 国 史 」 な ど を 読 む 。 四 月 、 父 正 樹 一 時 上 京 。 明 治 十 九 年 ( 一 八 八 六 ) 十 四 歳 三 月 、 泰 明 小 学 校 卒 業 、 芝 の 三 田 英 学 校 ( 現 錦 城 高 等 学 校 ) に 入 学 。 吉 村 氏 の 伯 父 武 居 用 拙 に つ い て 「 詩 経 」 「 左 伝 」 を 学 ぶ 。 吉 村 家 と と も に 日 本 橋 浜 町 へ 移 り 、 九 月 、 神 田 の 共 立 学 校 ( 現 開 成 高 等 明 治 五 年 ( 一 八 七 一 l) 学 校 ) へ 転 校 。 十 一 月 二 十 九 日 、 父 正 樹 死 去 。 十 五 歳 一 一 一 月 一 一 十 五 日 、 長 野 県 筑 摩 郡 馬 籠 村 ( 現 在 の 長 野 県 木 曽 郡 山 口 村 神 明 治 ニ 十 年 ( 一 八 八 七 ) 坂 区 馬 籠 ) に 生 れ た 。 父 正 樹 ( 四 十 一 一 歳 ) 、 母 縫 子 ( 三 十 五 歳 ) の 九 月 、 芝 白 金 の ミ ッ シ ョ ン ス ク ー ル 、 明 治 学 院 普 通 学 部 本 科 に 入 四 男 三 女 の 末 子 。 春 樹 と 命 名 。 長 姉 園 子 、 長 兄 秀 雄 、 次 兄 広 助 、 三 学 。 家 か ら 約 八 キ ロ の 道 を 徒 歩 で 通 学 。 同 校 は 自 由 で 清 新 な 気 風 に 兄 友 弥 。 次 姉 、 三 姉 と も 早 世 。 島 崎 家 は 木 曽 十 一 宿 の 一 つ 馬 籠 部 落 あ ふ れ 、 教 師 の 大 半 が 外 国 人 で あ っ た 。 毎 週 文 学 会 が 開 か れ 、 ま た 、 で 代 々 、 本 陣 、 庄 屋 、 問 屋 の 三 役 を つ と め る 豪 家 で あ っ た 。 明 治 維 著 名 な 宗 教 家 や 哲 学 者 の 講 演 会 が 催 さ れ た 。 当 初 、 春 樹 の 成 績 は 首 新 の 後 、 没 落 の 途 を た ど り 、 父 は 急 激 な 時 代 の 波 に 翻 弄 さ れ 、 苦 悩 席 を 占 め 、 教 師 た ち か ら 期 待 を か け ら れ た 。 ( イ カ ラ な 服 装 で 、 集 の 果 て に 狂 死 す る 。 春 樹 ( 藤 村 ) は 、 こ の 父 の 姿 を 晩 年 の 大 作 「 夜 会 に も 積 極 的 に 出 席 し た 。 明 け 前 」 の 中 に 描 い て い る 。 明 治 ニ 十 一 年 ( 一 八 八 八 ) 十 六 歳 明 治 十 一 年 ( 一 八 七 八 ) 六 歳 六 月 、 芝 高 輪 の 台 町 教 会 に て 、 牧 師 木 村 熊 一 一 か ら キ リ ス ト 教 の 洗 礼 神 坂 村 小 学 校 入 学 、 父 か ら 「 孝 経 , 「 論 語 」 の 素 読 を 受 け る 。 父 に を 受 け る 。 九 月 、 戸 川 明 三 ( 秋 骨 ) 、 明 治 学 院 に 入 学 。 同 級 で あ っ 似 て 学 問 好 き で 、 期 待 を 一 身 に 受 け て 成 長 し た 。 明 治 十 四 年 ( 一 八 八 九 歳 明 治 一 一 十 ニ 年 ( 一 八 八 九 ) 十 七 歳 四 月 、 父 兄 の は か ら い で 、 長 兄 秀 雄 、 三 兄 友 弥 と と も に 上 京 。 わ ら 一 月 、 馬 場 勝 弥 ( 孤 蝶 ) 、 入 学 。 一 一 月 、 第 一 高 等 学 校 受 験 の た め 、 じ ば き で 中 山 道 を た ど り 、 馬 車 に 乗 り つ ぎ 七 日 か か る 。 長 姉 園 子 の 明 治 学 院 を 休 み 、 共 立 学 校 別 科 に 通 い 勉 強 に 専 心 し た が 、 九 月 、 受 譜 婚 家 先 、 京 橋 鎗 屋 町 の 高 瀬 家 に あ ず け ら れ 、 泰 明 小 学 校 に 通 学 。 験 に 失 敗 。 こ の こ ろ 、 シ ェ イ ク ス ・ ヒ ア 、 ・ ハ イ ロ ン 、 ワ ー ヅ ワ ー ス な 明 治 十 五 年 ( 一 八 八 一 I) 十 歳 ど の 英 文 学 や 、 芭 蕉 、 西 行 な ど の 古 典 を 耽 読 し た 。 次 第 に 内 省 的 と 年 高 瀬 家 が 木 曽 福 島 へ 帰 郷 の た め 、 高 瀬 の 親 戚 カ 丸 元 長 宅 へ 寄 寓 。 な り 、 学 業 も 怠 る よ う に な っ た 。 明 治 十 六 年 ( 一 八 八 = I) 十 一 歳 明 治 ニ 十 四 年 ( 一 八 九 一 ) 十 九 歳 銀 座 四 丁 目 の 吉 村 忠 道 方 に 移 る 。 吉 村 氏 は 高 瀬 氏 と 同 郷 の 人 。 六 月 、 明 治 学 院 卒 業 。 吉 村 氏 が 横 浜 伊 勢 崎 町 に 経 営 し て い た 雑 貨 店 ・ 4 明 治 十 七 年 ( 一 八 八 四 ) 十 二 歳 マ カ ラ ズ 屋 を 手 伝 う 。 吉 村 氏 の 期 待 に 反 し て 、 実 業 界 へ の 意 志 は ま 日 や り や こ 0

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城 跡 に 立 て ば 、 お の す か ら 藤 村 の 詩 が 唇 辺 に の ば っ て く る 。 『 千 曲 川 旅 情 の 歌 』 ( 『 落 梅 集 』 で は 第 旬 を と っ て 題 と す る ) は 誰 知 ら ぬ も の は な い 。 漢 詩 的 発 相 5 も 、 軽 夬 な 五 七 調 も 、 抵 抗 を 感 じ な い あ か ず の も ん し か し 、 不 開 門 跡 の 近 く に あ る 詩 碑 は 、 藤 村 の 丁 寧 な 筆 に な る か 、 変 体 仮 名 を も ち い 、 漢 字 も 常 用 し 人 た ち を 文 字 と は 限 ら な い の で 、 母 子 づ れ の 若 、 悩 ま せ て い る 小 諸 城 は も と も と 浅 間 山 の 南 西 斜 面 、 千 曲 川 に 極 ま る と こ ろ に 立 っ て い る か ら 、 物 見 ム ロ の よ 、 つ に 、 千 曲 川 に 乗 り だ し た 断 岸 に あ る 展 望 台 ( 水 の 手 台 跡 ) に 立 て ば 対 岸 の 御 牧 県 台 地 を め ぐ る 千 曲 川 の 「 砂 交 り 水 巻 き か へ る 」 流 れ が 一 望 の も と に 眺 め ら れ る は す な の だ が 、 今 は 無 粹 な 中 部 電 力 ダ ム の た め 下 第 ・ 未 ー 41 に 美 し い 姿 を 消 し て い る 文 明 は ダ ム を つ く ー 取 機 を さ ん ざ め か し 、 自 然 の 景 観 を こ わ し て 、 悔 い が な い よ う で あ る 。 し か し 、 も っ と 自 殃 と 調 和 の と れ た や り 方 か あ る の で は な い か 。 木 曽 川 も そ う だ っ た 。 い つ も こ 、 つ い う 風 星 を 眺 め る ご と に 思 、 つ の で あ る 「 懐 古 園 」 と 扁 額 を 掲 げ た 三 の 門 は 、 小 諸 藩 に 伝 わ る 武 具 や 文 書 を 収 め る 徴 古 館 に 利 用 さ れ て い る 。 二 の 門 跡 に 入 る 入 口 の 城 の 古 垣 に は 、 小 諸 義 塾 の 創 設 者 で あ ー フ が あ り 、 「 わ れ ら の 父 木 村 熊 っ た 木 村 熊 二 の レ リ 二 先 生 と 、 旧 小 諸 義 塾 の 記 念 に 、 昭 和 十 年 、 門 弟 並 有 志 、 島 崎 藤 村 書 」 と し る し て あ る 。 二 の 門 を 入 る と 、 若 山 牧 水 の 歌 碑 が あ る 。 か た は ら の 秋 草 の 花 語 る ら く 亡 び し も の は な っ か し き か な 二 の 丸 跡 の 宮 坂 古 梁 氏 の 住 居 は 、 藤 村 に 「 深 草 亭 」 と 命 名 さ れ て 、 藤 村 筆 の 「 深 草 亭 記 」 を 蔵 し 、 茶 店 に な っ て い る 。 小 諸 義 塾 関 係 者 に よ る 藤 村 記 念 館 は も み し ヶ 丘 に あ る 。 馬 籠 の 藤 村 記 念 館 と 同 し 谷 口 吉 郎 氏 の 設 計 で あ り 、 藤 村 の 教 え 子 林 勇 さ ん が 館 長 と な っ て 、 っ ン 懐 古 園 内 の 木 村 熊 二 レ リ ー フ

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作 品 「 嵐 」 の 原 稿 上 ・ 藤 村 と 四 人 の 子 ど も た ち 。 左 か ら 藤 村 、 楠 雄 、 蓊 助 、 鶏 二 、 柳 子 。 作 品 「 嵐 」 に は こ の 子 ど も た ち の 成 長 が 克 明 に 描 か れ る 第 ま ま 第 を を 、 、 を 、 第 メ を を ・ を 版 出 社 瀬 上 ・ 短 篇 集 「 嵐 」 ( 昭 和 2 年 刊 ) 左 ・ 「 伸 び 支 度 」 原 稿 集 設 小 村 藤 崎 島 十 上 ま を ~ ~ 大 観 の 象 の 纏 さ 0 で 多 や 丁 、 ( 物 を 、 の 午 当 ? て 、 を ダ 0 人 婦 の さ の チ す 0 い ~ く つ の を あ ま 小 第 物 を 造 を 、 一 い い ツ 、 小 さ 寸 を を つ ま 、 を ゅ 池 美 を 一 ( 、 ・ 安 を ー っ て 第 て を 第 す に さ 土 の い を ん を ま を す 粤 ツ い 第 】 、 、 ん つ を の を か ダ を ー ⅵ

現代日本の文学 5 島崎藤村 集


、 ~ 新 一 町 よ リ 集 村 藤 村 藤 島 明 治 四 十 二 年 よ り 四 十 四 年 に 刊 行 さ れ て い る 感 想 集 「 新 片 町 よ り 」 第 二 短 篇 集 「 藤 村 集 」 、 長 篇 「 家 」 の 初 版 本 物 第 書 を 物 7 秦 慶 治 夫 妻 と 藤 村 父 子 。 明 治 43 年 、 妻 冬 子 の 没 後 も 、 秦 夫 妻 は 時 々 上 京 し 、 無 人 の 新 片 町 を 見 舞 っ た 。 そ の こ ろ の 写 真 著 を 第 島 集 』 の 抒 情 は 姿 を 消 し 、 あ の メ ロ ー デ ィ ア ス な 唱 声 に 代 っ て 、 沈 着 な 観 察 を 武 器 に し た 散 文 家 が は つ き り 予 感 さ れ る 。 つ ま り 、 詩 人 か ら 小 説 家 へ の 転 身 に 小 諸 時 代 の 藤 村 は 日 夜 骨 身 を け ず っ て い た の で あ る 。 そ の 最 初 の め ざ ま し い 成 果 が 本 巻 に も 抄 録 さ れ て い る 『 千 曲 川 の ス ケ ッ チ 』 だ が 、 実 は 藤 村 が こ の 散 文 実 験 に 手 を つ け た の は 小 諸 へ 行 っ て ま も な く の 頃 だ っ た 。 当 時 は 発 表 せ す 、 や っ と 陽 の 目 を 見 た の は 十 二 年 後 の 大 正 元 年 で 、 藤 村 は す で に 『 家 』 を 書 き 終 え た 、 押 し も 押 さ れ ぬ 大 家 で あ っ た 。 だ が 、 『 千 曲 川 の ス ケ ッ チ 』 に 話 を 移 す ま え に 、 『 若 菜 集 』 そ の 他 の 詩 人 藤 村 に つ い て 一 言 触 れ て お く 必 要 が あ る だ ろ う 。 藤 村 の 詩 の な か で 、 い ま も な お 一 般 に 知 ら れ て い る の は 、 た と え ば 、 「 ト 諸 な る 古 城 の ほ と り 」 と か 、 「 椰 子 の 実 」 と か と い っ た 作 品 だ ろ う が 、 こ の 二 作 は い す れ も 最 後 の 『 落 梅 集 』 所 収 の も の で あ る 。 と り た て て 非 難 す る い わ れ も な い が 、 詩 人 藤 村 の 感 受 性 が み ず み す し く 表 現 さ れ た 作 品 と は い え な い だ ろ 、 フ 。 そ こ に 唱 わ れ た 緒 、 感 情 は 、 少 な く と も 今 日 の 読 者 に と っ て は 陳 腐 で あ り 、 い た す ら に セ ン テ イ メ ン タ ル と い う し か な い 。 だ か ら こ そ 大 衆 的 人 気 も 生 れ る 452