編集後記 2012 年夏に『 L'art pour l'art 』を発行して以来、編集部を名乗りながら特に何の発行物も編集 していなかった我々『メインストリーム』は、本文をお読みになればお分かりいただけるように、 「アートプロジェクト」「まちおこしアート」「地域アート」と呼ばれるものに対する敵愾心、そし てとりわけ、地域アートの帝王 ( と我々が勝手に命名した ) 中村政人氏に対する興味と反発で生 き存えてきたと言っても過言ではない ( 桜子 ) / ある ( 東野 ) 。中村氏のお名前は以前から知って いたが、本腰を入れて調べたしたのは某筋から「 TAT 」にお誘いいただいた 2013 年のことである。 「 TAT 」への我々の介入の経緯は本文を参照されたい。初めて「 TAT 」の本丸である「 3331 」を視 察した我々の目前の白く巨大な「 3331 」は、「地域アート」を巡る中村氏のネットワーク、幾多 の別働団体、その規模と相まって、白鯨のように、否、巨大なシラスのように見えた。基本的な 構造は福岡で我々が出会った「まちおこしアート」の祭典と変わらないかもしれない。ただ、比 較にならない規模で展開されるのだ。 白鯨の一巨大なシラスの一怖さは、その意図がわからないところにある。我々は中村氏の意図が、 「 3331 」の存在意義がわからなかった。福岡の片隅の我々のアジトで何十時間も議論したがわか らなかった。「まちおこし」「芸大を出て路頭に迷う若者の仕事の創出」「芸大を出て路頭に迷う若 者に芸術は素晴らしいという夢の続きを見せるためのヴァーチャル空間の創出」一それらの奥に 何かがある、と我々は考えた。むしろ、あってほしかった。我々は、世の中がそんなに善い人の 善いが凡庸な理解の範疇にちんまりと収まるつまらない計画で動いているとは思いたくなかった し、そんなつまらないものに吸い上げられる若者がたくさんいるとは信じたくなかったし、そん なつまらなさに従事くらいするなら全力でコンビニでバイトするほうがまだ街が元気になるし人 が笑顔になるし自分の存在理由が確立されて目的にかなっているし、合目的性から外れたいので あれは、網戸の目など数えて報告し合ったらよろしい。 ようやくこの冬に我々が達した結論からいえば「それらの奥」は存在した。理解のきっかけは、 「 3331 」とその他幾多のネットワーク自体が「作品」である、という中村氏の言葉と、美術家・ 中ザワヒデキ氏が展開される批評である。これらの言葉は、中村氏の個展「明るい絶望」 ( 2015 年 10 月 10 日 ~ 1 1 月 23 日於 3331 ) とそれに伴うトークイベント「増え続ける地域の芸術祭 は何をもたらすか」 (2015 年 1 1 月 2 日於 3331 ) に続いて村上隆氏の個展 (2015 年 1 () 月 3 1 日 ~ 2016 年 3 月 6 日於六本木美術館 ) をハシゴしたときにわかに実感を帯びた。ついさっきのトー クで、中村氏が批判した諸々が、六本木の会場に詰まっていた - 「 3331 」そしてその他は、村上 氏への反発から生じた中村氏の個人的な「作品」である。個展の時期が村上氏と被るのもおそら く何らかの経緯があるのだろう。村上氏と中村氏の対立については、中ザワ氏が「美學校」の講座「中 ザワヒデキ文献研究」、及び『現代美術史日本篇』で指摘しておられるが、中村氏は明言していな い。しかし、極私的なことは常に語られるとは限らない。 我々ファシストは「復讐権」の復活に賛成している。我々は他人の私情に踏み込まない。我々 は中村氏の意図を掴んだ。中村氏は、我々が危惧したような「ただの善い、何も考えてない人」 ではなかった。我々は満足した。「、地域アート " という言葉が否定的に使われることにイライラ する」という、 11 月 2 日のシンポジウムでの中村氏の発言にも満足した。我々は次の課題に乗り 出す。 ( 桜子 )
【埼玉検定】 2013 桜子 「埼玉検定」 < http: 〃 mymajestytoyama.wix.com/saitama > は埼玉県出身であ る桜子が埼玉県の PR のために作ったサイトで、検定を受ける者が埼玉県民である場 合埼玉県民と判定される。他の全ての都道府県民であることを否定すると埼玉県民の 判定が得られる ( 1 ) 。 ( 1 ) ちなみに、東京女子大「篠崎ゼミ」と「ジャパンナレッジ」の開発による「出身地鑑定 ! ! 方言チャート」 < https://ssl.japanknowledge.jp/hougen/ 2016 / 02 / 15 閲覧 > では、全て の設問を否定すると埼玉の判定が得られる。 【美術展会場における湿温度管理機器の鑑賞による釣り】 2013 桜子 美術展、ことに現代美術の展覧会会場において、何が展示品であり何が会場の備品 であるか判断することは、しばし困難を伴う。桜子は、会場の備品である湿温度管理 機器をあたかも作品であるかのように眺めるパフォーマンスにより、他の観客をもそ の湿温度管理機器に呼び寄せる試みを、最初は単独で、次に東野とともに行なった。が、 なかなか客は釣れなかった。 小規模なギャラリー会場においては、作者がつきっきりで自作品の解説をしてくれ ることが少なくない。しかし、作者が物理的に不在である大規模な展覧会会場におい ては、作品が会場の備品から区別されて「作品」であることを外的に保証するものは、 作品の横に貼られたキャプションの札しかない。従って、キャプション札があれば、 その最寄りに見受けられる物体は会場において作品と見なされ得る、という主張が可 能である。キャプション札の体裁は展覧会によって異なるため、展覧会を一度下見し キャプション札の規格をメモした上で湿温度管理機器の製作者や素材を明記した類似 の札 ( 添付資料参照 ) を自作し、二回目の入場で機器の横に貼ったり、これから行く 知人に託した。キャプション札の貼付けは電柱へのビラ貼りと同じく器物損壊罪に当 たるため日和って長居ができず、思うような釣果は得られなかったが、勇敢な協力者 の助けにより、六本木美術館で開催された会田誠「天才でごめんなさい」展 ( 2012 年 11 月 7 日 ~ 2013 年 3 月 31 日 ) において数枚の湿温度管理機器キャプション札 を貼ることに成功した。試行錯誤の結果、キャプション札をステッカーにしないと素 早く貼れない、という反省が得られた。 ( 添付資料①温湿度管理機器キャプション札 ) 2015 年、再度訪れた六本木美術館の「シンプルなかたち」展 ( 2015 年 4 月 25 日 80
「メインストリーム 03 」 発行所 : 印刷会社栄光 ・ mainstream. since2011@gmail.com 発行者 : メインストリーム編集部 発行日 : 2016 年 3 月 6 日 96 連絡先・
【 TRANS ARTS TOKYO 2013 vs メインストリーム編集部】 2013 年 9 月 18 日 ( 文・東野 ) メインストリーム編集部は、某筋から東京千代田区神田の街で行われるアートイ べント「 TRANS ARTS TOKYO 2013 ( 以下 TAT) 」への参加のお誘いを受ける。この TAT2013 の開催期間は 1() 月 19 日から 11 月 IO 日であり、この話が舞い込んできた時点 で開催の 1 ヶ月前だったが、数日だけ参加することも可能であるとのこと。 まずこのイベントのことをよく知らなかったので当然調べた。調べたがよく理解出 来なかった。否、未だに理解出来ていないと言っていいかも知れない。それは我々 のイベントに対する情熱の欠如や怠惰によるものではない。以下の資料を御覧いた だきたい。 TAT2013 の概要 (ABOUT) である。 < http: 〃 2013.kanda-tat.com/about 2016 / 02 / 21 閲覧 > 一点突破、全面展開。 2012 年秋に東京電機大学旧校舎に約 300 人のアーティストが集結し話題となった TRANS ARTS TOKY00 2 回目となる今年は、 3331 ArtsChiyoda をはしめとする神田工リアの文化施設や空きビルな ど複数の拠点で展示やイベントを展開します。 アートという一点から東京・神田の地に入リ、様々な試行錯誤を繰リ返し進み続ける TRANS A RTS TO KYOO その今年のテーマは、まちと関わる最初の一点を突破すること、そしてそこから広がる全面 展開の希望を見いだしていくことです。 あらゆるジャンルの表現が同時多発的に立ち上がり、街全体がクリエイティブな躍動感に包 まれる 20 日間。 新陳代謝する「東京」のダイナミズムとアーティストのエネルギーがぶつかりあうその瞬間、 すべてを見通せる、奇蹟の一点に出会えるのかもしれない。 ただその一点のために、 TRANS ARTS TOKYO は進み続けます。 この 2013 年度版の概要を読んだ限りでは、漠然とした印象しか掴めない。なぜ「アー ト」が「まちと関わる最初の一点を突破」しなければならないのか。とりあえずこ の TAT2013 が 2 回目の TAT であることは理解したので、次に前年の第 1 回目である TAT2012 の概要 (About TRANS ARTS TOKYO < http://2012.kanda-tat.com/about/ 2016 / 02 / 21 閲覧 > ) を見てみよう。 32
工 A [ - 参考資 : TOTAL Afi 7 [ TOTAL ART TOKYO official web-site } く http://kandatatcommain.wix.com/tat2013 > TOTALART TOKYO 2013 X ′ X サイ ENQUETE 十 (6打離T プロジト名 rT A し A RT TO KY 」 全すコミュニティアート、 ートジェクトーこの不第解な環象を解第するため、今秋神田の街を第 台に・り広げ・れるコミュニティアートジェト rTRAN A 興 15 す OKYO ーに、鋼査■′ラ - ルプール・ラ・ ルーがされました . RTTOKYT その・査を元した報告書を出置するためのプロ : す、 調査プロエクト行 ・ TRANS kY02012 物 0 ミイアートセンターをつ《るためのプロロ - グ . ジャンル・地域・世代・当 ~ ら新たなアートの第動がはじまります . TRANS A 費す一す OKYO トえよツーツ、 . ト まな人集も記第得を共有するアートプロジェクトを・します . あらゆるも 2 年秋に東電第 た目宿す「コミュニティアートよです . (TAT2012 の概要、 校 300 人のアイ しとな、飛 1 A 、一義費 1 ー T YO. 13 す・神田工ツア・ス化や空をビルなど複拠 をとなる今年は、 3 “ ペントを第します . トといら一点から第ま物田の地に人万し複々な試行■を・りし進み第けるす震 A 、一典員 15 、 OKYO. そ・今年マ、まちと興わる最点を実破すること、そしてそこから広がる金一要■の希望を見いだし く第とで あもゆるャルの表題同朝多発的立ちり、金体がクリエイチイプな第・感に色まれる加日■。 トのエネルギーがぶつかりあうその鋼■、すべてを見通せ・を題 だその一点のためにい震 ANS A 震〒引 0 は道み第けます . ( TAT2013 の概要、 より 201 1 : 30 -1 測 かたに後日、・震査プロジェク OT ARTTO 0 」。や詳第をまとめた報告書を無料送付させていただきます . 書店販売第 コミュニティアート鋼査団い・代 po 鋼査員東野大 山本桜 「 T 舩 NSAR 巧 TO 0201 為 tTRANSARTSTOKY02013a 44
【「 A Ⅱ about 九州アーツ」主催の公開プレゼンテーション会に「ダダ イスト・インターナショナル」「アート企画集団ソレイユ」名義で応 募 ( 自爆 ) 】 2013 ( 文・桜子 ) 「 AII about 九州アーツ : [ ここ ] でアートするということ」は、 2013 年 1 1 月 6 日、 福岡アジア美術館内「あじびホール」にて開催された、シンポジウム形式のイベント である。同月 29 日の西日本新聞によれば、「九州の劇場や NPO 法人、芸術団体マネー ジャーが連携を模索し、福岡市文化芸術振興財団が呼びかけた」。同記事はまた、九 州各地から公募に応じた 28 の団体による 5 分ずつのプレゼンテーション・パフォー マンスの後、九州在住の脚本家・岡田利規氏、アートディレクター・首藤ひとみ氏、 作曲家・中村滋延氏、 NPO 法人「ドネルモ」代表の芸術工学博十・山内泰氏による 3 時間のトークの模様を伝える。 開催の数か月前より、同イベントでのプレゼン・パフォーマンスに参加する団体が、 ネットなどで公募された ( 1 ) ( 添付資料参照 ) 。同告知文によれば、「 A Ⅱ about 九州アー ツ」プロジェクトは、九州地域のアートマネージャーを対象に実施する ~ アートマネ ジメントセミナー 2013 ーこれからの連携事業の可能性 " の実践プログラムとして始 動している」。「オールアバウトれ州アーツ」「オール・アバウト・九州アーツ」といっ た表記も同イベントを指す。「 AII about 九州アーツ」の主催は「 AII about 九州アーツ」 プロジェクト / 「公益財団法人福岡市文化芸術振興財団」 / 福岡市、助成は「財団法 人地域創造」である。また、同告知によれば、「福岡市文化芸術振興財団が、九州地 域のアートマネージャーを対象に実施する ~ アートマネジメント・セミナー 2013 ~ これからの連携事業の可能性にの実践プログラムとして始動」。プロジェクトメンバー は ( 以下敬称略 ) 、工藤治彦 ([ 公財 ] 宮崎県立芸術劇場 ) 中野友紀 ([ 公財 ] 直方文化 青少年協会 ) 中村幸 (NPO 法人ドネルモ ) 二宮留美 (NPO 法人福岡国際バレエ劇場 ) 八坂千景 (NPO 法人 denk-pause) リシェッキ多幸、とのことである。 ( 1 ) 添付資料 - 公募要項参照 ( p. 28 ) 「 A Ⅱ ab 。 ut 九州アーツ」は 2016 年 1 月 17 日現在、ウェ プページが閉鎖されており、イベントのアーカイプも残っていない。ここに記したイベン ト概要は参加者のプログや新聞報道による。資料は 2013 年当時より、我々が独自に保 管していたものである。 「九州各地の多彩で元気なアートプロジェクト、知られざるユニークなアート企画 を、ジャンルフリーで一挙に紹介する、九州発の新しい情報発信型イベント」 ( 公募 文より ) と銘打たれた当イベントの、「九州のアートシーンがより一層盛り上がり、 24
TAT 参考資料 10/20 月世界婦人 @saqrako 3331 のアンデパンダン展で白いカンパスの横にメモ帳が置かれこの作品の解釈を書いてください という展示がありすべて拝読したのたが、〆切の勝利 ! というコメントにいちばん納得がいった 2013 年 10 月 20 日 - 22 : 29 IO / 21 月世界婦人 @saqrako TAT スローガン「一点突破、全面展開」を検索すると「孫子に学ふ中小企業の経営」みたいのすらっ とでてくるのと解放派スローガン説と中核派スローガン説両方出てきて混乱するが今千坂さんと お話して「ゲリラ戦法に対してセクト論理を強調したもの」という解釈が導かれある意味これが 一番わかりやすい 2013 年 10 月 2 1 日 - 1 : 2 1 10 / 22 月世界婦人 @saqrako シーズンを強制終了するという表現いいここ数日、強制終了という言葉を革命業界界隈でちら ほら耳にする http://archive.mag2.com/0000285096/index.html ・ 2013 年 1 () 月 22 日一 7 : 43 月世界婦人 @saqrako @EFー earth サイトこんなかんじでどうかなってのを PC ( MS でないほう ) に送りました 2013 年 10 月 22 日一 1 5 : 15 てやつつけ仕事感満載だけど 月世界婦人 @saqrako 例によっ ートとか言ってんじゃねーよってのは適当に入れたテキストなのでこ @EF earth コミュニティア れに代わる文章をでっちあげないといけない暫く PC から離脱します続きは夜 2013 年 10 月 22 日 - 1 5 : 32 月世界婦人 @saqrako TAT 受付横会場ビル誰もいなくて展示見ながら上がったら事故物件みたくなってて上階で音して て覗き込んだら本投げてくる人みたいのいてすっ飛んで逃げた、 3331 とはとか地域アートの欺瞞 とかどうでもいい位ビビったし生意気言ってごめんと思ったが悔しいから煙玉かなんか持ってっ 月世界婦人 @saqrako 2013 年 1 () 月 22 日 - 20:06 て投げ返したい シャポン玉したりニワトリ飼ったりハムスター放したりするくらいでは怒られない雰囲気なので 46 1 7 : 33 - 2013 年 10 月 30 日 みるのはどうだろう EF_Earth @EF earth 10/30 2013 年 10 月 22 日 - 20: 35 やつばり凄い どうやったら取り込まれないか、を考えていたが発想を換えて、取り込まれることを前提にして
工△工 - 参 . 考資」 : プロジェクト名「 T 0 T A [ A R T T 0 K Y 0 」 全国で乱立するコミュニティアート、アートプロジェクト・・ この 不可解な現象を解明するために調査団「ラール・プール・ラール」 が派遣されました。 調査プロジェクト「 TOTALARTTOKYO 」は、その調査を元にした 報告書を出版するためのプロローグです。 今回の調査対象「 T R A N S A R T S T 0 KY 0 」について •AboutTRANSARTSTOKYO 2012 年 10 月、東京・神田から新たなアートの胎動がはじまリます。 TRANSARTSTOKYO は、神田の街に「神田コミュニティアートセンター」をつくるためのプロローグ。ジャ ンル・地域・世代・意識を超えてさまざまな人が集い、記憶と期待を共有するアート プロジェクトを展開します。あらゆるものを超えて立ち上がってくるもの。それこそ が私たちの目指す「コミュニティアート」です。 (TAT2012 の概要 , http://2012.kanda-tat.com/about/ より ) •TRANS ARTS TOKYO 2013 一点突破、全面展開。 2012 年秋に東京電機大学旧校舎に約 300 人のアーティストが集結し話題となった TRANS ARTS TOKY00 2 回目となる今年は、 3331 ArtsChiyoda をはじめとする神田工リアの文化施設や空 きビルなど複数の拠点で展示やイベントを展開します。 ートという一点から東京・神田の地に入リ、様々な試行錯誤を繰リ返し進み続ける TRANS ARTS TOKY00 その今年のテーマは、まちと関わる最初の一点を突破すること、そしてそこから広 がる全面展開の希望を見いだしていくことです。 あらゆるジャンルの表現が同時多発的に立ち上がり、街全体がクリエイティブな躍 動感に包まれる 20 日間。 新陳代謝する「東京」のダイナミズムとアーティストのエネルギーがぶつかリあう その瞬間、すべてを見通せる、奇蹟の一点に出会えるのかもしれない。 ただその一点のために、 TRANSARTSTOKYO は進み続けます。 (TAT2013 の概要 , http://kanda-tat.com/about よリ )
おいて、トルコに建てられる原発の建設を請け負う予定がある ( 2015 / 06 / 20 現在 ) 。 トルコの地震頻度は日本の 10 分の 1 とはいえ、東南アジアや米国西海岸と並ぶ地震 多発地域である。 2012 年、 2013 年と協賛に加わった住友商事は、カナダのストラ スモア社と合同で海外でのウラン鉱開発「ロカ・ホンダブロジェクト」に投資しており、 原発推進の姿勢を明確にしている。 ところで、中村氏は「わわプロジェクト」において震災復興支援に関わる一方、 TAT の協賛にこれらの企業を得ている。「わわプロジェクト」の舞台である東北の状 況に、これらの企業は責任があるといえる。このあたりの整合性を、中村氏はどう考 えておられるのか。我々は純粋に不思議に思った。 推進派とつるむな、などとつまらんことを言いたいのではない。何と手を結んでで も成し遂げたいことがあるのだろう。我々はファシストだからその姿勢を評価する。 ただ、その際には手を結ぶための理屈が必要である。さもないと、手を結ぶその相手 に利用される。「アート」がピュアでナイープで善意ならば、それだけ徹底して利用 されるだろう。そんなことは、中村氏はわかり切っているはずだ。だから中村氏にも きっと理屈があるに違いない。きっと言わないだけだ。でも、中村氏がそのあたり本 当はどう考えておられるか不思議に思ったのだ。 「震災自体は天災だが、その後の状況はある程度人災である」と「わわ新聞」 ( 「わ わプロジェクト」の発行する新聞 ) は述べている。従って、原発推進企業の責任とい う視座が完全に捨象されているとは思えない。おそらく、加害者や責任者の加害者性 や責任をチクチクとつつくより、今生きている被災者の気持ちや生活に寄り添うこと を選ぼう、というのが「わわプロジェクト」のスタンスなのだろう。それは簡単に否 定されざるべき一つの立場である。しかし、それが責任者の責任を雲散霧消させ、新 たな「天変地異史観」一一原爆投下の主体はアメリカであるということを忘れさせ、 あたかもそれが抗い難い不運であって誰の責任でもないがとりあえす気を落とさずに 頑張ろうという方向に人々の認識を操作するような史観ーーーに回収されるのならば、 そしてそのアリバイに「アーティスト」が利用されるのならば、アーティスト諸氏は それでいったいよいのか。原発推進の是否は我々はここで全く問わないし、先に東野 が述べたように、「正しさ」の追及や告発をすることは我々の興味ではない。しかし、 門外漢の丸州の僻地在住の我々でも疑問に思うようなこの話に ( 中村氏自身は意図的 に言明を避けているのかもしれないが ) 目下どのアーティストもメディアも言及して いないのも、意図的でないとしたら、全員絶望的にダメだ。これは震災復興の話だけ ではない。先に述べた地上げ疑惑も ( もしそれが本当なら ) 同様の問題だし、「アー ト」と「アート外」の境目が稀薄なこんにちにおいて「アート」の側がよりいっそう 自覚的でなければならない問題だし、「まちおこしのため」「みんなの笑顔のため」「社 会のため」「人生のため」のアート全般が、普遍的に抱えている問題だろう。 そうこうするうちに我々は、 2015 年秋の TAT の企画の一つである中村氏の個展「明 52
2012 年 10 月、東京・神田から新たなアートの胎動がはしまります。 TRANSARTSTOKYO ( ト ランス・アーツ・トーキョー ) は、神田の街に「神田コミュニティアートセンター」をつくる ためのプロローグ。ジャンル・地域・世代・意識を超えてさまざまな人が集い、記憶と期待を 共有するアートプロジェクトを展開します。あらゆるものを超えて立ち上がってくるもの。 それこそが私たちの目指す「コミュニティアート」です。 なるほど。この TAT なるアートプロジェクトは「神田の街に『神田コミュニティアー トセンター』をつくるためのプロローグ」にすぎないらしい。概要・コンセプトが曖 昧模糊としすぎていることもありこの一文だけで判断するのは早計すぎるのかもしれ ない。だが、それでもこの短い文章からは「コミュニティアートセンター」なる目的 のために街や若手を利用しようとする「アーティスト」の傲慢さが滲み出ているよう 「神田コミュニティアートセンター構想とは」 だろうか。 それにしても、 TAT の目的である「神田コミュニティアートセンター」とは何なの なり得ると我々は考えた。 に感じた。それはまだ直観的なものだったが、その鼻持ちならなさだけで批判対象に 33 ます。 そこに関わる地域の人々の意識や課題をクリアにし、場所が持つ魅力をひきだし、磨いていき 東京・神田を表現のフィールドとすることで、アーティストの活動基盤を形成するとともに 2. 神田の魅力をひきだし、これからの都市の発展の可能性を探っていきます 現場でこそ育まれる新たな表現者の育成を図リます。 ジャンルや世代に拘らない新しい表現の実験場としてフィールド横断型の表現活動を推進し、 1. 新しい表現のフィールドを創造する表現者を育成します 拠点として、継続的な活動を行っていきます。 その時々の状況に臨機応変に対応しながら、人と人とが学び高めあうコミュニティアートの 地域へと浸透し、地域の価値を上げていけるよう、この地に住み、関わる様々な人々と一緒に この地に 2017 年に新たに完成予定の神田コミュニティアートセンター ( 仮 ) がよリ効果的に クリエイティビティの連鎖を時間をかけて生成していく息の長いプロジェクトになります。 本構想は、様々な創造、育成に関わる機関との連携により、参加する方々すべての中にある 新たな創造と育成の場をつくリはしめます。 この神田錦町に、この場所の意思を受け継ぎ、様々な意思と志を持った人々が改めて集い学ぶ 2012 年 10 月、東京電機大学として創立以来長い時間、育成と創造の活動の場として培われた 概要 く http:〃2012.kanda-tat.com/kcp/2016/02/21 閲覧 >