「クレジット」の本来の意味からもわかるように、クレジットカード会社は利用者を「信 用」して代金を立て替えています。しかし、無制限に信用するわけにはいかないので、カ ードのグレードや個人の支払い能力などに応じて、利用限度額という上限を設けています。 毎月その範囲内なら自由に使っていいわけです。 ビットコインでの支払いは通貨の移動そのものなので、立て替え払いのように一時的に 借金するわけではありません。決済での利用に関しては「信用」貸しはないということで す ( ビットコインそのものを売買するときは、現物がなくてもビットコインを借りて、レ 、レッジ取引をすることができます ) ビットコインには「信用」の枠がないため、ウオレットに入っている金額以上のビット コインを支払うことはできません。財布に千円札が 1 枚しか人っていないのに、 2 0 0 0 円のものは買えないのと同じです。 クレジットカードと似たようなものに、デビットカードがあります。一アビットカード払 いでは、支払った瞬間、銀行預金からその代金が引かれるので、カード会社が一時的に立 て替えるわけではありません。デビットカードは銀行預金残高の枠内でしか支払いができ ないところも、ビットコインと同じです
2 0 5 サリアムと考えると、その裾野は大きく広がります。株式や債券などの有価証券はもとよ 、相続や譲渡、納税などの手続き自体も自動化できる可能性があります。 不動産登記を自分でしたことのある人ならわかると思いますが、とにかく書式がバラバ ラで、その場でしか通用しない謎ルールで運用されており、いちいち係の人に聞かないと、 どんな書類が必要で、どのように記人し、どこに提出するかさえわかりません。 素人にはわからないような煩雑なルールがあるから、それを専門に書く仕事、専門にチ ェックする仕事が必要で、余計に人手が必要になるわけです。そうした非効率な行政サー ビスを自動化して、パソコンやスマホから簡単な手続きだけで利用できるようになれば、 かなり便利になるはずです。 ィーサリアムは、すでにマイクロソフトの Azure フラットフォームにも導人されてい ます。マイクロソフトのような大企業が採用することで信用が生まれ、企業にも利用が広 がっています。ィーサリアムが注目を集めているのは、そのためでもあります。 PART4 仮想通貨とプロックチェーンはどこまで広がるの ?
そもそも、なせ人はビットコインを使うようになったのでしようか。 一般の人がビットコインを使うメリットは、現状では大きく分けて二つあります。一つ は投資対象として、もう一つは割安な海外送金の手段としての利用です。 ここでは、投資対象としてのビットコインについて見てみましよう。 為替リスクの回避先として ビットコインが普及するには、歴史的 ) ( いくつか重要な出来事がありましたが、そのう ちの一つが、 2015 年 6 月のギリシャのデフォルト ( 債務不履行 ) 危機でした。通貨と いうのは「信用」で成り立っていますから ( 102 ページ参照 ) 、国の信用が失われ、通 貨が暴落するのではないかという不安が広がると、より安定した外国の通貨が買われます。 リスクを回避するための「避難先」として、以前は「有事のドル買い」が有名でしたが、 最近は安定資産としての「円」が買われる傾向があります。それと同じように、ギリシャ のデフォルト危機のときに競って買われたのがビットコインだったのです 国が信用不安に陥ったときに、特定の国とは切り離された仮想通貨を買いに走るのは、 PART 1 ビットコインって何なの ?
ビットコインは、以前からあった支払い手段と似た面もあれば、違う面もあります。別 のサービスと比べることで、何ができて、何ができないかを明らかにしてみましよう。 仮想通貨であるビットコインは、日本円や米ドルと同じ「決済通貨」でもあるので、買 い物や食事での支払いにも利用できます。米国西海岸のサンフランシスコやシリコンバレ 東海岸のニューヨークでは、ビットコインを使えるお店がかなりあり、また日本国内 でも利用シーンがどんどん拡大しています。 クレジットカード社会といわれる米国でも、ビットコインの利用が広がっているのはな せでしようかクレジットカードとビットコインの違いを明らかにしながら、その理由を 考えてみましよう。 クレジットカード残高は借金と同じ 「 > —」や「マスターカード」などのクレジットカード会社は、みなさんの代わりに 一時的に支払いを立て替えてくれる存在です。つまり、利用者にとってカード残高は借金 と同じです。 PARTI ビットコインって何なの ?
一般的です。その場合でも、初期コストは無料で、手数料は 1 % 程度と割安です。 1 万円の支払いなら、手数料 1 % 分を引いても、 9900 円受け取れます。クレジット カードと比べて 400 円も手取りが多くなる計算です。わずか数百円の違いでも、積もり 積もればかなりの金額になります。 利用者が指定されたアドレスにビットコインを送金し、川—分程度で取引が承認され ると、決済が完了します ( なぜ時間がかかるかは 122 ページ参照 ) 。 私たちも「コインチェックベイメント」 (https:v、、、 coincheck.com//ja 、、 payment) とい , フ ハソコンと Wi ・ Fi があれば、無料ア サービスを提供しています。 iPhone や iPad 、スマホ、 プリをダウンロードするだけで簡単に導人できます。サイトの場合はコードを貼るだ けです。初期コストはゼロ、基本利用料も無料で、利用者がビットコインで支払った金額 の 1 % だけ決済手数料がかかります。 利用者はビットコインで支払い、お店は最短で翌営業日に日本円で代金を受け取ること ができます。クレジットカードのように月末まで待っ必要がないため、資金繰り的には楽 になるはすです
1 7 8 マネーロンダリングに 利用される 心配はないの ? 逃げ切るのは至難の業です。 引記録が残っているので、犯罪者が ます。ただ、ビットコインはすべての取 るとして、各国が法整備を急いでい ロンダリングに利用される恐れがあ 匿名性の高いビットコインはマネー
は異なり、世界中で利用できるモバイル決済サービスです。しかし、これらのサービスも クレジットカードを登録して使う仕組みなので、お金そのものであるビットコインとは違 うものです カード情報を抜き取られる心配はない クレジットカードはさまざまなシーンで使えるので便利ですが、あやしげなお店で利用 すると、場合によってはカード情報を抜き取られて、不正に利用されるかもしれません。 、ごとい , フ人が多一いのも、フィッシング インターネットでクレジットカードを使うのは不安オ 詐欺などでカード情報を悪用されるかもしれないと感じているからです。 ビットコインによる支払いでは、そもそも物理的なカードがなく、自分から相手が指定 するアドレスにビットコインを送金するだけなので、ウオレットなどの情報を相手に 渡すわけではありません。また、電子署名という暗号で守られているので、送金中のビッ トコインが別の人に盗まれる心配もありません ( 172 ページ参照 ) 料金を支払ったのに商品が届かないといった詐欺にあう可能性はないとは言いきれませ
「 ?-" カード」「 ponta カード」などのポイントカー 航空会社がフライトの距離に応じ て付与するマイレージサービスにも、仮想通貨であるビットコインとよく似た特徴があり ます。 支払いごとに一定の割合 ( 0 ・ 5 — 1 % 程度 ) で貯まる「ポイント」は、たとえば「 1 ポイントⅡ 1 円」でカウントされ、同じ店舗 ( 同一チェーンや提携企業を含む ) での支払 いに充てることができます ポイントを発行する企業からすると、ポイント会員をリビーターとして囲い込んだ 利用状況をチェックしてマーケティングに活用したりすることができます。「ポイン ト」のような共通ポイントは、 TSUTAYA や Yahoo! ショッビング、ソフトバンク、ファ ート、ドトールコーヒーなど、さまざまなシーンで利用できるので便利です また、オンライン通販の「 Amazon ポイント」や「楽天ポイント」も、扱っている商品 が多岐にわたるため、決済通貨としての使い勝手は、まだ利用店舗が限られているビット コインの上をいきます。しかし、あくまで支払い額に応じて貯まるポイントなので、使え る金額にはおのずと上限があります。 PART 1 ビットコインって何なの ?
1 7 9 いまでこそ、日本国内でビットコイン取引所にアカウントを開設するときは、本人確認 し J 、メし J ビ一ッ が必須となっていて ( 片ページ参照 ) 、匿名性がだいぶ薄れてきましたが、 トコインは仲間内だけで流通する遊びからスタートしているので、正体を隠したまま取引 することもできました。そのため、不正に取得したお金をクリーンなお金に変えるマネー ロンダリングに利用されるのではないかという声が根強く、各国も法整備に追われている ところです また、 2016 年 4 月に表面化した「パナマ文書」にあったように、 企業や個人が租税 回避のためにタックスへイプンを利用するのを黙って見ているわけにもいかないため、国 際送金について、国は監視の目を光らせています。しかし、ビットコインで富を国外に移 動すれば税金対策になるのではないか、と考える人はいるわけで、今後もいたちごっこが 続くと思われます。 マネーロンダリングの手口 では、ビットコインを利用したマネーロンダリングは、実際にはどのように行われるの PART3 ビットコインの安全性や法整備はどうなっているの ?
クレジットカードの決済手段はさまざま 導人コストの安さも、ビットコインの魅力を後押ししています。 スマホやタブレット端末のイヤホンジャックにカードリーダーを挿し込むだけで、クレ ジットカード決済ができる「スクエア (SQUARE) 」は、手軽さと利用料の安さからとく に米国で人気が高く、個人商店でも導人が進んでいます。 手数料は一律 3 ・ 25 % ( 日本国内 ) で、初期コストは 4980 円のカードリーダー代 のみです。従来の専用リーダーと比べると格安ではじめられることから一気に。フレイクし ましたが、初期費用ゼロ、手数料 1 % 程度のビットコインにはかないません。 スクエア自体がいわゆる「通貨」を発行しているわけではなく、あくまでクレジットカ ード決済を代行しているだけなので、その意味では、サイトのオンライン決済で幅広 く利用されている「ペイバル (paypal) 」などと同じカテゴリーに分類できそうです。 2016 年から日本でも利用可能になった「アップルペイ (App1ePay) 」やグーグル の「アンドロイドベイ (AndroidPay) 」は、国内でしか通用しない日本の電子マネーと PARTI ビットコインって何なの ?