主義の人ほど自分の努力が足りないのではないか、自分がダメなのではないかと自分を責 め、うつ病や燃え尽き症候群になってしまうのです。 結局のところ、努力は成功のための必要条件ではあっても十分条件ではない、 とに尽きます。成功には多分に運の力や偶然が重なるもので、頑張ったからといって、す べての人が成功するわけではないのです。 この努力崇拝主義は、精神面だけでなく金銭面にもダメージを与える可能性があります。想 能力を高めなければならない、自分を変えなければならないなどと、なかば強迫観念のよ 金 うに急き立てられてあやしげなセミナーに行ったり、高い教材を買い込んだり : お す 実際、ネットでも自己開発系の教材や情報商材が結構な金額で売られたりしています。 実際に何らかの成果が上がって、本人が納得しているならいいのですが、そんな可能性は を ち あまり高くないでしよう。 身の回りには、きわどい儲け話やおかしな投資話もたくさんあります。年収 400 万円 章 も稼いでいれば平均的なのに、もっと稼がないとダメたとか、将来が危ないと不安にさせ 第 られる。この低金利時代には投資をしなければ目減りしてしまうなどとあおられる。そん
ンコをやったことがある人はよくわかると思いますが、やめどきが難しい。株でも >< で も、決済のタイミングを誤って損失を出してしまうことが多いのです。 勝っているときは、「もっと利益が出るのではないか」「今決済したらあとで後悔するの ではないか」という感情を抑えることができず、売る決断ができない。負けているときは、 「今決済したら損が確定する」「売ったとたんに上がったらどうしよう」などと考えてなか 本手てはなく自分の欲に なか踏み切れない。自分をコントロールすることが一番難しく、目、 す や 負けてしまうのです。 を 布いのは、損失を一気にとり返そうとさらに投資すること。焦りの気持ちがあるために 金 お 冷静な判断力を失っており、そのためますます負けて赤字が膨らみます。 機関投資家というプロと、自分という制御しがたい存在ーー。投資とは、このような難れ 敵を相手にしなければならないことを知っておきましよう。 プ それでも投資で運用するという場合、守るべきことがふたつあります。ひとつは投資を 章 するお金は手取り給料から家賃や光熱費、食費などの生活費を引いた「可処分所得」の半 第 分の金額に抑えること。可処分所得が川万円なら月に 5 万円しか投資に使わない。可処分
ートルの人間関係、そのリアリティを大事にしましよう。 その中で、できるだけお金のかからないことに楽しみと喜びを見出す。課金ゲームに没 頭することなど一番の無駄です。だったらガーデニングでも模型づくりでも、何かを育て たりつくったりする趣味を楽しむ。また、今の時代がいいのは情報や娯楽が安く手に人る こと。ネットを使えば映画やドラマを低額で視聴できます。 意 カードを使わず現金主義に徹する生活を一カ月してみるとお金に対する感覚が磨かれ、 自分のおおよその消費傾向がわかります。たとえば手取り給料が % 万円だとしたら、半分の お の !2 万円を下ろして、そのお金だけで何日暮らせるか試してみる。これが自分の想定より 抜 早くなくなってしまうようなら、消費パターンを見直すべきです。 生 を 代 差 自分の半径 5 メートルから始める 格 大 章 、非合理 混乱した世の中につきものなのが、不安を吹き飛ばすような大言壮語だったり 第 こ踊らされないようにしましよう。 なかけ声、プロバガンダです。くれぐれもそんな言説ー
その場合の条件は、あらかじめ毎月使う金額を決めておくこと。ギャンプルであれば可 処分所得の 4 分の 1 までとか、キャパクラなら毎月 3 万円とか。自分で設定した限度額を 超えてしまうことが続くようなら、依存症気味だと考えていいでしよう。その場合は、迷 わずカウンセリングなどを受けて専門家に相談することをおすすめします。 自分は病気だと認識し、専門家の客観的な意見を聞いたほうが、はるかに改善する可能 性が高くなります。ズルズルと依存症に引きずられて借金をし、とり返しがっかなくなっ てからでは遅いのです。 一番いいのは、お金のかからないリラックス、リフレッシュの方法を見つけること。イ ギリス人やドイツ人はその点がとても上手で、彼らがよくやるのはガーデニングです。 ガーデニングは鉢植えをいくつか買うだけで始められ、それほどお金がかかりません。 水をやったり、本で草花の勉強をしたりするとだんだん楽しくなってきます。世話をする のに結構時間がかかるので、花が咲いたときにはそれなりの喜びがあります。 こうしたものでリラックス、リフレッシュできるよう、自分自身を意図的にマネジメン トしていくことも大切です。そうした趣味で仲間ができれば、精神衛生的にも有益なネッ 123 第 4 章人生を台なしにしないお金の実学
、ンに万円、 10 0 万円が人っているとなれば、まず酔いません。 同じことが財布にも言えます。あると使ってしまうからという理由で、財布に 1 万円く らいしか人れていない人がいます。でも結局は少しずっ引き出すので、全体でどれくらい 使ったかわからなくなり、結局無駄遣いをしてしまうのです。また、財布に無頓着な人や よく財布を落としたりする人も、あまり財布にお金を人れていないようです。 可能であれば、ある程度まとまった金額を財布に人れておきましよう。万円、巧万円 実 の などの、自分の中で結構な金額だと思えるくらいです。「落としたら大変」「盗まれたらど 金 うする」と心配になるかもしれませんが、それは大丈夫。前述したように、常にお金の存 在を意識するので、むしろ紛失したり盜まれる危険は減るはずです。 独身者の場合、自分のお金の使い方を知るためにも、一度毎月の手取りの半分をまず引 台 き出し、財布に人れて使っていくことをおすすめします。手取り万円なら巧万円、万を 人 円なら川万円です。 章 4 まとまったお金を持っことで緊張感が出ますし、それが何日間でなくなるかもわかりま 第 す。急に気が大きくなって散財してしまうようであれば、自分には危険な浪費癖があるこ
円だとしたら、月に 1 回ぜいたくをして二人で 3 万円の食事をしても、それは浪費には人 りません 。パートナーとの関係をよくするという意味では投資にもなり得ます。 一方のさんは毎月の家賃が万円のマンションに住んでいて、可処分所得はロ万円。 すると、同じ 3 万円の食事はもはや浪費の域に人ります。 重要なのは、常に自分の可処分所得がどれくらいかを把握して、その中で上手にやりく りする習慣をつけること。一概にどんな生活がいいとか、どんなお金の使い方がいいと 言えません。可処分所得を考慮した相対的なものなのです。 その点で、特に私が感じているのが最近の住居費の高さです。給料から税金や社会保障 費を引いた手取りのうち、どれくらいの金額を住居費にあてているでしようか。 私は最大で 4 割だと考えています。 5 割になるとかなり危険で、病気や失業など、何か あったとき生活全般が崩れる可能性があります。 6 割になるとまず続きません。手取りが 囲万円なら住居費は 8 万円が上限。それ以上のところは選択しないようにするのです。 今は、東京の山手線内でも古い物件であれば安いものが見つかります。あるいは友人 3 人で 5 万円ずつ出して万円の物件をシェアする形態も増えているそうです。 1 3 2
とを認識して細心の注意を払わなければなりません。 できるだけそのお金を減らさないように頑張って生活してみる。たとえば手取りの半分 で囲日間生活できるなら、月に何万円かの貯蓄が可能だということです。気をつけている つもりでも 2 日くらいで使い切ってしまうようなら、一度自分のお金の使い方を振り返る 必要があります。 私の財布とカードの使い方 よく、お金持ちになるには長財布を使うと いいと言われます。私自身はポケットに携帯 しやすいよう、あえてふたっ折りの財布を使っていますが、長財布ならお金をきれいに人 れておけます。 部屋や机の上が雑然としている人は仕事ができない場合が多いようです。頭の中が整理 されておらず、混沌としている人が多いからかもしれません。 財布も同じで、お札がクシャクシャになって人っていたり、カードがあふれるように人 1 3 8
商品をお金に換えることの難しさ さて、ここまではスモールビジネスの話です。本業のかたわら副業で一人コッコッ小銭 を稼ぐ、その範囲なら今は十分可能性のある時代です。大きく稼ぐことはできなくても、 自分の好きな分野のビジネスであれば、やりがいもあるでしよう。 ところが、ここから ~ 爭を大きくしょ一つとしたり、」 な展開を図ろうとするところで道 が分かれます。ビジネスを収益性という点で見ると、一人でやっているうちは限界があり ます。さらに大きくしたり利益を出したかったら、従業員を雇い、労働力を増やすことで 生産量を上げるしかありません。 そこで、一人ビジネスとは本質的な違いが発生します。すなわち資本主義の論理が生ま れるのです。 マルクスは資本の運動を「・・」という簡単な式で表現しています。とはドイツ 語の Ge1d ( ゲルトⅡお金 ) で、とは wa 「 e ( ヴァーレⅡ商品 ) 。 ( お金 ) を使って ( 商品 ) 89 第 3 章プロに騙されずにお金を増やすには
自分一人の稼ぎには限界がありますが、会社という仕組みの中で大勢の労働力を集約すれ ば、稼ぎは指数関数的に増えていきます。 ただし、お金を稼ぐことだけを目的に他人から搾取して大金を得たところで、尊敬や称 賛を得られるとは限りません。少なくとも、私自身はそうやってお金を稼ぎたいとは思わ ないし、きっと稼げないでしよう。 お金とどうつき合うかは、結局自分とどう向き合うかということそのものです。資本主 義の原理にしたがってひたすらお金を追求するのか、自分と生活をコントロールして今あ るお金を有意義に使うことに注力するのか。 前者は一見派手でやりがいのある生き方に見えるかもしれませんが、私からすれば、自 分の欲望やお金の奴隷になっているにすぎません。ささやかで小市民的に見えても、自己 はるかに価値の と自分の生活を制御する生き方、無駄を省いた分相応な生き方のほうが、 あるものに感じます。 自分を律するという点で、誰の奴隷にもなっていない、真に主体的な自己がそこにある からです。 147 第 4 章人生を台なしにしないお金の実学
そこでは需要と供給の関係で価格が決まり、お金とものが広く流通するようになりました。 つまり、私たちが当たり前だと思っている市場経済だけが経済ではなく、他の形もあり 得ると認識することから私たちは始めなければなりません。 現代の市場経済、資本主義経済に生きているとなかなか見えてきませんが、利益を追い 求めず、競争もないという価値観があることを頭の片隅に置いておくのはとても重要です。 というのも、「高負担・低福祉」「二極化。というキーワードに沿って進んでいくこれか らの社会では、たくましく生きるヒントが市場経済的な価値観とは別のところにあるよう に思えるからです。 たとえば、都会を離れて田舎に居を移す人が増えています。一見不自由に見える田舎の 生活でも、米や野菜、魚など自分たちでとって余ったものを分け合う。すると都会で生活 するほどお金を稼がなくても十分豊かな生活ができる。そのことに気づいた人が増えてき ているのです。 都心で働くにしても、新しいマンションではなくたとえば郊外の築古物件を狙えば、今 は一軒家でも数百万円という格安物件が結構あります。そういう物件に家族と住み、都心