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検索対象: ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号
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1. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

そして家に入ったお母さんは台所のいすで新聞を読すると、またレバートが、しゃべりだした。 「今から私の友だちを紹介する。ハチのピークだ。 みながらバンラケットを食べていた。おばあちゃんは、 よだれをたらしながらねている。そんなこうけいを見「ピーク ? 」と、また質問声で言った。 「こいつは、うるさいが、もし気に入ったら = = ロって てほくはヘ屋に入っていった。 そしたら十四のめがねとぼうしをつけ、むらさき色くれ。しつこかったら次へいくぞ。」 のスーツを着たねずみが、立っていた。そしたらいきレバートがそういうと、ピークがしゃべりだした。 なり、しゃべりはじめた。ぼくはそのこうけいを見て、すごい早さで、 「ぼくの名前は、ピーク。とっても元気だぜ。それ そろそろぼくは長くないと、感じたがぼくは生きてい る。しかもまだ、一〇さいだ。ぼくは意しきをはっきでもいやっていうならおやすくしとくぜ。兄ちゃんど うする ? りさせ立ち直した。そしてねずみが ぼくはそのピークをあきれた目で見ていると、レ 「わたしの名前は、レバート・ボッカだ。君の学校 ートはそれを判断したのか、 生活を見せてもらったよ。 「次。 「え ? と、言ってレバートは動き出し、ぼくもレバートの 「はっきり言って君の生活は、いいとは言えない。 背後にそって歩きだした。そしたらピークが、あわて なので、よくしてあげよう。 声で、 「どういう意味 ? 「お、おいちょっとまてよ。おれと友だちになった 「とにかくついてきたら、分かる らクールになってモテモテになっちゃうぜ。し、しか そして、ぼくは、わけも分からずそのねずみの背後もいつでもバラいろの生活を送れるぜー をつきながらついて行った。そしたら、そこらに広がといいながら声が小さくなっていった。 る広がるお花畑についた。そしてレバートがポケット次は、小さな池がありました。そしたら今度は、レ バートが、ポケットをあさぐり、エサを取り出しまし からとてもちいさな笛を取り口につけ吹き出した。 「ピイ た すると、十四の子どもバチが、こちらに飛んできた。するとあわがうき上がり青い魚が出てきて、 ッ 4

2. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

不良詩人でもあったのである。まさにロックー この時代にまだエレキギターが生まれていないことが心底悔や 高瀬樹 ( 無職 ) まれる。非常識・アンチモラル上等な、千年ほど時代を先取りした ライフスタイルであっても後世に名が残るのだから、さすがと言う 酒を飲め、それこそ永遠の生命だ、 べきか。羨ましい限りである。 しるし また青春の唯一の効果だ。 そんなレオナルド・ダ・ヴィンチや平賀源内と同じジャンルに 花と酒、君も浮かれる春の季節に、 属する彼が、終生愛してやまなかった酒。何を隠そう、私も酒は大 ひととき たのしめ一瞬を、それこそ真の人生だー 好きである。さらに言えば私の家族はみな酒が好きである。そして 酒で身を持ち崩しかけている。主に健康面で。 まか . な 人生の儚さを快楽主義的にうたったこの詩は、十一世紀セル 父は家に帰れば必ず晩酌に芋焼酎を飲み、母も週末にハイボー ジューク朝ベルシャの数学・天文学者であり詩人、オマル・ハイヤールやワインを飲むことを楽しみとしている。私が知る限り、そう酷 ムの詩集ルバイヤートの一篇である。 い飲み方をしているわけではないのだが、一一人とも病院に数年来お 彼は科学者として二項定理の発見や暦の改正など様々な功績を世話になっていて高血圧の薬が欠かせないし、口癖は「痩せなきや」 こんにち である。 残し、今日では特に詩人としてその名が知られている。 彼の作品には、幾度となく酒が登場する。イスラム法では一般きっと酒や食事のとり方をはじめとした生活習慣の改善が必要 によく知られているように、その成立当初から現代にいたるまで飲なのだろう。酒は私の両親に新たな出会いと交流の場を、さらに生 酒は厳禁とされてきた。そのため当時の神学者達から彼は飲酒や宗きる目標までも与えてくれているのだ。 教観に関して多くの批判を受けた。 弟も酒が好きだった。鹿児島で大学生をしていた弟は、今年の 彼は表向きには神学者たちの主張を容れながらも、神学者たち春にめでたく卒業となっている。しかし残念ながら卒業式には参加 の説く教えへの懐疑や批判をその詩の中に残している。彼の唯物論できなかった。 的な考え方は、正当なイスラム教の見解とは相反するものだった。 卒業式の数日前に救急車で運ばれ、緊急入院したのである。と セルジューク朝のスルタンに仕え、イスラム世界では高名な天書くと、なにやら不穏な感じがでて、この後弟は死んだ、とでも書 才学者として知らぬ者は無いこの知識人は、その実、真面目なイスきたくなってしまうが決してそうではない。私の気分で弟を殺して ラム神学者を何度プチギレさせても、全く反省の色もなく自作の詩はいけない。 すい でポロッカスにこきおろし、酒が無いと生きていけないとのたまう弟は急性膵炎で 3 週間の入院となった。この病気の原因は、ど だからは私は酒を飲むのだ

3. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

リ一お社サ / マて会の ) プっグト 中工なンイ 止ウ行イサ 休るでテプ 在ゅ西ケ工 しり 観わ関一ウ り作 いをマな た子 ら 事 ( 会プ々す し菓 幹 0 強工様ま 晒おる ・勉ウて、 さ ムム会かのはし 晴 絵近 O みと , 在とっ な 飲ググ現当行 正 。一小 O ンン。担を とを 孑阪 イイす術ト 大阪テテま技一 ち難 木 ( 大スケりでポ 。しも 主てに 僕達が夢を見る時をやめた時。それは、僕らの先を 走っている先輩たちの姿に夢を感じなくなった時だと思将来実現させたいことを言うときに夢という語をつかうけれど、 う。たとえば、大学までは一緒に学生団体を行っていた先私は昔からこういった夢というものを持っていなかったように思 輩。ともに将来やりたいことを話し合い アッく語り合った。 う。訊かれた時は、昔から絵を描くことが好きだったから、絵描き そんな人が社会人になってから 1 年ほど経ってから再度とか言っていた。職業として具体的にイメージするというよりも、 会った。その変化に愕然とした。会社の愚痴や仕事に対すこれからもずっと絵を描き続けられればいいな、という思いの方が る文句しか出てこなかった。将来やりたいことも今の会社強かった。 にあわせたものに変わってしまっていてた。そんな先輩それよりも、こうだったらいいなとか、もしこうなったら、と の姿を見た時に僕らは夢を見ることをやめたのだと思う。 かいう空想が好きで、その意味での夢なら今もよく見る。絶対に実 社会人は言う「社会は〇〇だから」「これが社会では普現できないことや、ありえない設定も、夢の中なら自由自在で、楽 通だから」という。そんな言葉に僕らの希望は潰される。しい。そこから絵のアイデアが生まれたりもする。 これから社会にでるあなた・既に社会で戦っているあなたに告げちょっと拗らせたような、気取った言い方になるけれど、私は る。自分の後輩にはそんな姿を見せないでほしい。その後輩からすそもそも夢を見たことがないし、しかも夢を見るのをやめたことが れば、あなたが社会との接点のひとつなのだから。「社会人ってこ うなのか」というステレオタイプをあなたという姿を通して作って しま , つから。 1

4. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

乙最 思えばそういった意味での大きな「夢」は昔から見ることが少な 占座 かった気がする。幼少期から憧れている職業なんてものはなかった の星、 岡月し し、自身の自己実現を果たす欲求もなければ、あの人みたいになり 福・ら 。座細 たい、だとかいったものもなかった。なので、非常にこの企画の文 す羊繊 章を生み出すのに苦しんでいる。 ま牡っ み座かで ただ、程度が落ちるかも知れないが、華の男子高校生であった 読星胆足 ころに夢見ていたことは色々あった気がする。友達たくさん作りた と陽大不 一太、動 いだとか、夜遊びしてみたいだとか、女の子とお近づきになってあ 力。座運 ル師女近 ・とかそんな他の寄稿者に申し訳ないぐらいの俗な わよくば・ 願望が夢らしい夢だった。 数年前、松坂大輔投手が「夢」という言葉は好きではない、と言っ ある作品からの引用なのだが、夢は呪いと同じである、という 定義がある。呪いを解くには夢を叶えるしかない、夢をあきらめてたのを耳にしたことがある。 この言葉は 2006 年のボストンの入団会見での一言らしい。記 しまった者は一生呪われたままなのだ、と。僕は、こざこざとした 夢が叶ったことでそれまでの漫然とした憂鬱さと決別できたようなに「夢が実現した感想は」と聞かれ、 「僕は夢という一言葉は好きではないです。かなわないのが夢。僕は 素敵な気分になることが出来たのだが、僕よりも大きな夢を抱えて、 それを失ってしまったであろう他の寄稿者は本当に呪われてしまつずっと、ここで投げられることを信じて、目標にしてやってきた。」 ているのだろうか。そんなことを思いながらつい最近に歳を重ねたと返した。野球選手。ハタから見れば夢のような職業。しかし、松 め 24 歳という自身の年齢と、最近願い始めた夢のことに思いを馳せ投手は夢という一一一一口葉を目標に置き換え、自分に近づけたのだろう。 を そういえば、私は「途方に暮れる」瞬間が大好きだ。何か実際に ている。 と こ めた時、なりたい自分に行き着くまでにスタート地点にさえ立ってい る なかったことを知る。誰しも一度は経験するだろう。がっかりする。 自分の無力さを知る。でも、その瞬間、ぼやけた世界がくつきりと魚夢 カ 明になる。生きている実感が湧いてきて、快感を感じるのだ。 ち 「途方に暮れた」瞬間から、夢は私に近づく。 夢は見るものではなく、叶えるものである。 1

5. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

や 弟は酒によって体を壊し入院し、退院後 1 カ月の飲酒・食事制始めて止むることの善たるを覚り こんちょう や 限を言い渡されたにもかかわらず、 1 カ月後は飲める、以前よりも今朝真に止めたり これ や 量を減らせばいいのだろうと解釈し、根本的な反省には至っていな此より一たび止め去って まさふそ - つほとりとど 将に扶桑の挨に止まらんとす せいがんしゆくよ - っとど 私も弟が入院している間、自らの生活態度を反省し、こうな淸顏宿容を止むること なんただせんまんし れば弟の禁酒につきあい、酒を飲むことはこれから控えようと奚ぞ止千万祀のみならんや 思ったこともあった。私の誓いは弟が退院して三日目にあっさり うんさんむしよう 雲散霧消した。 以下、ざっくり現代語訳。 とうえんめいさけをやむ 東晋の詩人陶淵明には止酒と題する詩がある。 ボク街で働くの嫌だからさ、ひきニートやってんだよね。ごち そうは家で作る野菜だけ、楽しみは子供と遊んでやるだけなんだけ じようゆうやど や 居は城邑に次るを止め ど最高に楽しいわ。 しようようおのずかかんし 逍遥して自ら閑止す ただ酒だけはやつばやめらんないんだよね。夜は飲まないと寝 ざ とど 坐するは高蔭の下のみに止め れないし、朝も飲まないと布団出れないし。いや、やめようとは思っ とど ひつもんうち 歩むは篳門の裏のみに止む てんだけど体調悪くなるんだよね。て言うかさ、酒やめたら楽しく よ たえんき 好き味は止だ園葵のみ ないでしょ ? やめたら良い事あるって言われても、ホントかどう よろこ たちし 大いなる歡びは止だ稚子のみ か分かんないし。 や 平生酒を止めず だけど、今朝思いきってスパッと酒やめることにした。これで こころ や 酒を止めなば情に喜び無し 仙人の世界行けて、超イケメンになって、千万年以上長生き確定だ や 暮れに止むれば安らかに寝ねられず わ。 あしたや たあた とうえんめし 晨に止むれば起っ能わず 陶淵明、やめる気ゼロである。この陶淵明という人は、「帰りな じ これや ききよらい と - っげん去よ - っ 日々之を止めんと欲するも ん、いざ」から始まる「帰去来の辞」や、理想郷を指す「桃源郷」 えいえいや おさ とうかげんき 営衛は止むれば理まらず の語源となった「桃花源記」などで有名な中国を代表する詩人であ や 徒だ知る止むことの楽しからざるを る。朝廷からの招きを断り隠遁し続け、田園の生活を描写した詩文 や おのれ 未だ知らず止むることの己に利あるを を数多く残した、世界最強クラスのひきこもりニートである。 さと

6. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

けた。」 そして、ぼくは、ウルフの言葉を聞いてなんだか、 自分が変わってきたような気がした。それから、ぼく はウルフに礼を一言い、レバートといっしょに家に帰っ そして、翌日学校にいく時間になって 「レバート、行ってくるね . と言って学校に、むかった。 そして、学校についたら、いじめっ子が前に立ってい た。そしたらいじめっ子が、 「おっとここはとおさなえ。なぜならお前は、ちこく だからた。 と言った。でも、ぼくは、ウルフの一一 = ロ葉をおもいだした。 「自分の心だけには負けるな。」 ぼくは、勇気と心をふりしぼって、いじめっ子に = = ロっ てやった。 「うるさい ! ちこくしたからなんだ ! 学校に行かな きや意味が、ないだろ ! というと、いじめっ子たちの顔が変わった。そしたら、 「ご、ごめん、お前にそんなことが一言えるとが思わな かったぜ と言って手をだした。そして、ぼくも手を出しあくしゅ をして友だちになった。 そして、ぼくは、うれしくなって、もうダッシュで、 家にかえってレバートにお礼を言おうとしたら、レ ートのすがたはなかった。しかし、ぼうしだけが太 陽のひざしでかがやいていた。 堺柊維現在小学亠ハ年生。 学校の授業で書いた物語です。 好きなことはゲーム。嫌いな事は、勉強 4

7. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

邦収大歌 、の との ま満が 隈辺バ モて福ガ いかン き慶ろ 働とマ 、イでこの 代好木こき ド岡みか 年か鈴い好 隈。若が 人福ふと 7 界す 。みきす 生ふゆで 一兀の 既ク励ま也ん ツにい慎な げき ロ集で江詞 9 すし好 「 GOOD DREAMS 」 僕は想イ 、象さえしていませんでした。 SEX があんなに峻厳なもの夢、と一口に言っても具体的に定義づけられるものではないし、 だったとは。人間はあれほど真剣に、純粋になれるものなのですね。その優劣をつけられるものではないと思うが、一般的には幼少期か ーー会田誠の傑作小説『青春と変態』 ( ちくま文庫 ) より引用である。らの願望であるとか、実現可能かどうかギリギリの大きな願望とか 主人公は高校三年生、ある重大な出来事を経て彼は感動的にこう記そういったようなものを「夢」と言うのだろうか。少なくとも僕が す ( 詳細は一読を ) 。ちなみに彼自身は童貞である。 SEX を希求し、寄稿しているこの企画のタイトルやこの同人誌のテーマから連想さ 美しく神聖なものとして思えるのは童貞時代だけだ。一度経験してれる「夢」は、失われてしまうと悲しくて、それを望んでいるだけ しまうと、 SEX は脳内だけにある概念ではなく、単なる身体的事象で素晴らしいと思えるような比較的大きな「夢」だ。 ( 違ってるかも ) ていたりんごを一口かじり、ふと足元を見た。足枷が嵌められていの次元へ落ちてしまう。少なくともその神聖さは失われる。引用箇 た。しかし誰に嵌められたのかが分からない。わからない、わから所は、『青春と変態』が粉うことなき青春小説であることを証明し ている。 ない、わからない : : わからない ? 引用部において主人公は実際、悲劇的な状況にいる。だがそれで 「自分で嵌めたのに ? 」 その声に振り返ると足元に少女の死体がいた。彼女によく似たそのもなお、記される彼の心境は清々しい。この独り善がりな、性への 少女は微笑みながらナイフを差し出した。 憧憬に満ちた、そのうえ彼のアイデンティティが懸けられた独白こ 「ちゃんと、始末してよ。」 そが、夢のなかにいた頃の僕らを表している。 彼女は少女からナイフを受け取ると、少女の左胸に何度も何度もナ イフを突き立てた。 雨が止んだ。 安原務

8. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

うやら弟の酒の飲み方にあったようである。というのも、日ごろのされかける、ということがあった。 飲酒の習慣に加え、アルバイトをしていた居酒屋で卒業祝いにしこ 見ず知らずの人たちに面倒をかけてしまったことは反省してい たま酒を飲ませてもらい、さらに友人たちとの卒業旅行の旅先でも るが、考えてみれば、きっと彼ら二人はあの後どこかしらで楽しく 大量に酒を飲んだ事を弟が白状したからである。 乳繰り合っていたに違いないのである。今にして思えばもう少し脅 しよせん福岡出身者がネイテイプ・ヘヴィ・ドリンカー鹿児島 かしておいても罰は当たらなかったかもしれない 県民の日常に染まり、その真似をしたところで、いたずらに寿命を誰しも相手が幸せそうなカップルであれば、パッとしない自分 あんたん 縮めるだけということなのか。まさに、本物。鹿児島県である。 自身と比較して暗澹たる気持ちになってしまうものであろう : そして私の場合だが、幸いなことに今のところ健康面において どと傍迷惑な自らを棚に上げ、都合よく自身の認知の歪みを一般化 酒の影響はあまり見られない。せいぜい体重が学生の頃に比べ 5 キし、安心しようとする心根の卑しさが私の持ち味であり芸風である。 かんじよしよくかし ロほど増えただけである。 漢書・食貨志には、酒は百薬の長、という言葉がある。良く知 順調にいけばこのままぶくぶくと肥え太り、オークとかゴプリ られているように酒を讃える一一一口葉であり、実際に酒を飲むことによ ンとかのクリーチャー傾向な容姿となること受け合いであり、将来 るストレスの解消、身体の代謝を高めて疲労を回復させる効果、善 的には村娘をさらったり、美人なエルフに切り捨てられたり、美少玉コレステロールを増やし動脈硬化を予防する効果、脳梗塞のリス 女魔法使いに瞬時に焼きつくされたりしたい人生設計だが、これは ク低下などがあるそうである。 叶わぬ夢であろう。 とはいえ、これらの効果は「適量」飲んだ場合であり、過ぎた なおおよ 健康面ではそう影響は無いものの、私の場合、酒に酔っての失 るは猶及ばざるが如し、飲みすぎれば当然体に良いわけがないし、 敗がこれまで何度かあった。 頭の悪い失敗も増える。そのあたりは昔から指摘されていたようで 例えば、大学のゼミの飲み会に参加した際、私は元々ゼミの雰 あり、兼好法師は徒然草の第百七十五段に、「百藥の長とはいへど、 よろず おこ 囲気になじめていなかったため周囲とあまり会話も弾まず、ひたす 萬の病は酒よりこそ起れ。」と書き残している。 ら酒を飲み続けてしまい、度を過ごして大酔してしまった。 それでは兼好法師は飲酒に対して批判的だったのかと言えば、 その席は何事もなく終えられたが、その後の帰り道の記憶が私どうやらそういうわけでもないらしい。この第百七十五段の最後を にはほとんどなく、ふと気がつけば深夜の住宅街の路上で仰向けに 要約すると、お酒って本当にい、 しよね ! みたいな感じでまとめら ひっくり返って夜空を見上げていた。 れていたりする。兼好法師、酒好きである。 そこへたまたま車で通りかかったカップル、私が車にひき逃げ 今のところ私は禁酒をするつもりはなく、家族にもそのつもり されたものと勘違いし慌てて車を降りてきて、あやうく警察に通報 はないようである。

9. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

それまで毛糸は素直だったのに、いやだいやだと言っているみたいに絡まってしまった。 ひつばったらなんとかなるでしよと思って、もっと強く引っ張ってみた。毛糸は、もうこ んな奴に付き合ってられるか ! とプチキレた。 私は占い師である。福岡のとある占い処に生息している。ある日、仕事も一段落つい てぼけっとしてたら、手編みのセーターの毛糸をほどく任務を任された。 私は編み物は苦手だ。あのフワフワ柔らかな世界の裏に、強敵が潜んでいるからである。 ー大切なあの人に贈りたい ! 手編みのマフラー。真冬でもほっこり ! ニットの帽子にセー ターーこんなすてきな世界の裏には、超機械的な「編み図」と言う裏ボスが存在する。数 学や定規が苦手な私はあいつを見ただけで、ああ、もうよくわからん ! と、思考ストップ してしま , つ。 話を戻そう。そうそう。毛糸ほどき係。 私のお隣の席の占い師さんは、編み物が趣味た。その方は一度編んだセーターをほどい てまた編みなおすという、編み図を裏ポスなんて言っている様な私には、何とももったい ないと思うことをしている。あ、でも、再利用するんだから、もったいなくないか・ まあいいや。 私はほどき係を二つ返事で「やります ! 」と答えた。ほどくくらいなら目を瞑ってもで きるだろう。単純作業は好き。気分転換に良い ! と思った。やる気があった私は、その時「よ ろしくね、大変だけど : ・。」と言っていたのも気にしていなかった。 さあ、テキトーに楽しもう ! と、片手で毛糸の端をカまかせにひつばった。なんにも考 えないで子どもがするみたいにひつばった。しゆるしゆるしゆるっと、セーターが溶けて いくのが心地よい。下り坂を駆け抜けていくようなしゆるしゆるしゆる・ : 満喫していると、 思いがけなく鈍い感覚が。 「あれ ? 」 嗚呼、毛糸人生 あーあ、どうしよう : こういう時は手を止めて状況把握に限る。一応、私も人間のはしくれで あるから、理性ってもんがある。とりあえずは切れた部分はどうしようもないので、過去のことは 水に流すことにした。次いこ , つ。 一本の毛糸は、繰り返される昨日で今日で明日。一週間、一ヶ月、一年。生まれてから、この世 からいなくなるであろう日までの一本道のようだ。 毛糸人生再出発 ! ・ : しゆるしゆる : ・そうだ、毛糸は一筆書きと同じなんだから、絶対何とかなる。それに、解決で きないことは目の前に廻ってこない。と誰かが言ってた。 : しゆるしゆる : ・毛糸の気持ちがわかるように、よく観察してみよう。すると、繊維が絡まる法 則性があることがわかった。 妻「なによっ ! 家庭と仕事どっちが大事なのよっ ! 」 夫「何でお前は癇癪を起こす ( 絡まる ) んた ! 俺が仕事してるからお前たちは生活できるんだろ ! 」 みたいな、よくある ? 夫婦喧嘩にも似た気持ちが湧きつつあったが、法則が見えてくると、「ああ、 お前にも言い分はあるんだよな、うん。」と冷静になってきた。 : しゆるしゆる・ : そうそう、道具を使おう。はさみ。性格は断面に現れるもの。無理やり引っ張 ると、毛糸は後ろ髪を惹かれるように、なんとも気持ち悪く裂ける。だけれど、はさみで切った繊 維の断面はしやきっとしていて潔い。はさみは決意の象徴かもと思った。 毛糸がプチキレたように、妻の逆鱗に触れないように、さっきの法則性を踏まえて、周りの細か く絡まった繊維の部分だけをちょこちょこ切っていった。 これが、繊維を切らずにスーツとやると、どんどん詰まる。つまりがどんどん後回しにされて 大きくなって、トラウマ化したり、どかんと爆発してしまったりするのだろうな。おお怖。 そうやってすったもんだしているうち、やっとできた毛糸玉。ひとつの私の作品のように思えて 何ともいえない愛おしさを感じた。お隣の占い師さんは、この私の作品でどんな作品を作るのかな。 さてさて、暇つぶしでした毛糸ほどき。思いがけなくこんな文章に変身してしまった。なんにし ようと思ったつもりもないのに、何かになってしまうなんて。こんなんだから、おもしろい 4

10. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 第二号

「エサをちょうだい。 そのおおかみがレバートの前で止まり、こう = = ロった。 と言って、レバートが、 とうした ? 「レバートじゃないか、。 「その前にちょっとまて。まずこの子の話を聞いてく「ちょっとこの子の話し相手をしてもらおうと思っ と言った。そしてぼくは、今の学校生活を話した。すレバートは言った。 るとその魚は、なみだ目で、こう言った。 「この子 ? 人間じゃねえかー 「あなたは、なんて、かわいそうな子なの。いじめつおおかみの目つきが変わった。 子なんて、やつつけたらいいのよー。」 「きさま人間がここになにしにきた ! 」 と、いうとぼくは、なんだか悲しくなって、無口になっぽくは、せすじが固まった。ぼくはレバートにちいさ た。するとレバートは、 な声で、 「ありがと、つ、バロー 「この人だれ ? 」 ハロー ? どうやらバローというのは、あの魚の名前らぼくはいった。 「この人 ? ああこいつね。おおかみのウルフだ。本名 「さあ次に行こう。」 フラット・ビーク。ちょっとこわいかいいやつだ、だ と言ってレバートは歩き出した。ぼくもコクっとうなから大じようぶ。」 すいてついていった。バローは心配そうな目でぼくにぼくは、うたがいながらウルフに今の生活じようきょ 「ごめんなさい うを話すとウルフは、 と言った。ぼくは 「そんなことおれの知ったことか . 「いやバローさんが悪いんじゃないよ ぼくはどんな一言葉を返せよ、、、、 ししし力分からなかった。 と言ってぼくは行った。 そしてウルフは一つ大きなため息をし、しゃべりだし すると、今度は、森についた。ぼくは今度はそんなた。 やつがくるんだというと、レバートは、 「いいか ? おれにはかんけいないが、とにかく負ける 「ちょっとまて。」と言ってまってると、ものすごいスな。いじめっ子に負けようが、たくさんの友に負けよ ピードで、おおかみがこちらにちかづいてくる。でもうが、とにかく自分の心だけには、負けるな。それだ 4 4