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検索対象: ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号
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1. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

男 1 ( ため息をつく ) 男 1 ちょっと、外の空気吸ってくる。 男 1 、外へ出る 男 1 や、俺も知らないけどさ。ス 女 そういえば、あった気もする。ああいうところのハンって、 高いのかな。 男 1 多 . 少はね。でも、そんなに変わらないよ 女 そうよね。私もこんど行ってみようかな。 男 1 うん。一緒に一丁こう 女歳は。 男 1 女歳上だったのね 男 1 そうなんだ。 女本は好き ? 男 1 さあ。君は 女 私は、どっちでもないかな 男 1 読むの。 女 読む。たまーに。 尢黙 に無かったつけ。 尢黙 女 私、あなたのこと何にも知らないの : : : 話しかけても、全 然答えてくれないし : : : あの花火大会ね、あなたに会う前の歳まで は、 2 人で行ってたの。当時付き合ってた恋人と。その人がね、あ のマンションに住んでいて、教えてくれたの。あの場所から花火が よく見える、って : : : あの日も、私、待っていたのよ。その、昔の 恋人を。会えるはすないって分かってて。でも、もしかしたら、つ てこともあるし。それでね、そういう時私、考えちゃうの。色んな ハターンを。相 2 定して。もし、あの人が現れたら、何て言おう。現 れなかった、ら、どんな独り・宀一口を呟こ、つ、とかね。でもそ、つい、つ時っ て、大抵想定してた。ハターンに当てはまらないのね。あの日も。あ なたが現れて : : : あ 男 1 、帰ってくる。椅子に座らず、立ったまま。 女早かったね 田刀 1 うん、煙草だけ吸ってきて : : : あの 女 どうしたの。座ったら。 田刀 1 ゃ。すぐそこに電気屋があるだろ。そこまで行ってきた んだ。それで、テレビを見たんだけど、もうニュースになってたよ 女 そう : : : 早かったね うん 男 1 女 まあ、遅かれ早かれ、だったでしよ。 男 1 そうなんだけとね

2. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

目が覚めたのは昼過ぎだった。頭がずきずきと痛む。彼女はべッ ドの端のほうへ転がり、シーツに絡まりながら丸まって繭のように なり眠っている。グラスに残っていたウイスキーのソーダ割を迎え 酒に飲むと、貴重な休みの半日を潰してしまったことに対する罪悪 感と、たまにはこういう日があってもいいだろうという妙な充実感 彼女はもう下着をつけていなかった。小柄な体に不釣合いなほどがわいてきた。一本だけ残っていた煙草に火をつけ、深呼吸をして 大きな乳房が眼の前で揺れている。こんなふうに誘われたら、誰でから窓を開けに立ち上がろうとすると、彼女が咳き込む音がしたの 後ろから羽交い絞めにされてべッドに押し倒されると、今度は彼 * * * 女が馬乗りになって襲いかかってきた。飲みすぎてふらふらしてい たのに、一気に酔いが醒めてゆく。 「好き。好きゃねん。愛してるねん」 「何一一一〕ってるの、あんたは社長夫人になるんでしようが」 もやっちゃうのかなあと思いながら、服を脱がせようとする彼女の 「朝まで飲むでえ」 手を掴み、必死に抵抗した。 何度目かの乾杯を交わし、今度は学生時代の話をした。彼女がど うしても取れなかった月曜一限目の授業のこと。講義をさぼって男「なんであかんの。女同士やからあかんの」 の子と出かけたこと。食堂でよく食べたうどん定食のこと。ふたり彼女の吐息が首筋にかかり、熱い舌が耳の中に差し込まれて思わず ともあまり品行方正ではなかった。だから、卒業したら誰にも言わ上ずった声が出る。 ないで忘れてしまおうと思っていたのかもしれない。それらの日々 が全て夢であったかのように。そして、今夜の出来事も煙のように「おねがい、一緒に寝るだけでいいから。おねがい」 消えてゆき、遠い未来に漠然とした思い出として懐かしく語られる のがいいのだろう そう一言うと彼女は覆いかぶさったまま大きな鼾を立てた。狸寝入 りだったかもしれないが、石のように動かなくなってしまったので 冫面所を借りて部屋に戻ると明かりが消えていた。 仕方なくそのまま眠ることにした。、 とのみち三時間後には朝陽が昇 「ちょっと、見えないわよ。ふざけてないで電気つけてくれなきや」るのだ。眠ろうと眠るまいと夜は明ける。 「ふざけてへんわ」

3. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

女外に出るとか 男 1 外に出ても、何も変わらない 女 それを言うなら、ここに居続けても、変わり続ける。 男 1 ・とういう意朱 女 あなたか言う変わらない っていうのは、何か事・件のこと を宀一口ってるんでしよ。 尢黙 男 1 み、、フー々ネも 女 私か ~ = ロってるのは、もっと大医、な赤久化のこと 女全然 男 1 事件は、大きな変化じゃないの 男 1 ん。 女 もっと。大きすぎるものは、例えば、地球の位置が変わり 女 時間、経たないね 続けてるのとか、大地が動くのとか言 = 。 忍叺しないでしよ。 男 1 そうだね 田刀 1 うん 女 これから、すっとこんな感じ。 女 私、そういう変化を、たまに認識してみるの。本当に体感 男 1 そうだろ、つね できるわけじゃないんだけど、意識を向けてみると、違うの。じっ 女 とうするの 自分 と、部屋に一人で 1 時間とか、長い時間いても、退屈しない 男 1 夜まで ? ・ の身体が変わり続けることとかを、認識するの 女 というか夜まで時間が経って寝ても、起きたらまた同じ男 1 でも、本当に地球が公転してるのか、とか、分からないよ でしよ。 女 認識するの。本当にそ、フじゃなくても関係ない 男 1 そ、つとは限、らない。状况がまた亦久わるかもしれな、 男 1 まあ、歳は取るわけだし、身体はこの瞬間にも変わり続け 女 今も、状况は変わり続けてるでしよ。 てるんだとはうけど。その、さっき ~ = 0 ってた、外に出ても変わら 男 1 そ、フだけと。 って、あ、僕が言ったことだけど、それを君は否定するよう 女 私たちは変わらなくていいの な言い方をしたよね 田刀 1 赤久えよ、つかない 選択肢が無いんだから。 女 否定 ? ・してないよ 女 選択肢ならあるわよ。 男 1 : なんて言ったつけ、実が、外に出ても変わらない 男 1 て言って 男 1 女 ( 笑って ) 男 1 ( 笑う ) ( 水を飲む ) 女 ( 水を飲む ) 男 2 ( 水を飲む ) : ごめん。 っ

4. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

こ、こなり・たカった あんた達みオしこ 田中ジョヴァンニ 地獄の様な毎日の中で、過去を振り返ることが無くなった。 美しいモノか美しいままで亠る為に、も、つ何も思い出さないようにしている 輝かしい思い出か、この汚らわしい日々に浸食される様な気がするんだ。 音楽を聴いたり本を読んだり映画を観たりしても泣けなくなってしまったん だから。何も感じない。何にも感動出来なくなったんだよ 祖父と従兄弟と伯父が死んだ時、何故自分じゃないのかと言った自分が、やっ と真っ当な人間に成れたと思った。 大人なので、とかそういう 事・にしておくカュ = 。 隹も口にはしないでも散々経 験してきた身として分かるんだよ。日々の中に居る大半の人々は、自分に消え だけど、この毎日が全てを変容させそうだ。生きる意味が重責に成ろうとして欲しいんだと。 ている 責任は負うべきなのだろう。それは分かっている。だが重荷に感じてはいけ 共に、なんてのはもう良いんだ。もう正論じみた説教は聞きたくない。偽善 だとか独善だとかに思われて、追い詰められているようにしか感じない だってそうだろ、楽しかったじゃないかその普遍の楽しさを仮初にでも得 られたんだから、所謂普通の人間に成れたと思ったろ ? ・ 出会いの偶然が運命なのかは分からないが、救われたのは確かだ。 だから、い出さない、考えない、感じない様にしているんだ。 最初からそうだった。生きるべきでは無かった。死ねと言われたあの日々に 命・を絶っておくべきだったんだ 生医ながらえてしまったか、らこそ、関係性の中に亠仔在してしまったからこそ、 古しんでいる。分かっているよ、伝えるべ医ではないと 世界を変える為には自分の変わるべきだとかそんな事は分かっていて、それ の出来ないからこんな事になっているんだよ 支えが重責に成ろうとしている。お互いにでは無い。お互いにでは無いから こそ 軽薄になりたかった。異常者ならばそういう 期待しないでくれ。本質は変わらなかった。この地獄で気付いたんだ 生きていても良い事は無いと。 普通になれたと思っていたでも違ったんだ 最早、誰とも会話すら出なくなりつつある。 これが散文か日記か詩かなんてことはどうでも良い 欠如が良かった。

5. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

「おめでたい奴だな」 家畜、或いは生贄だ」 オザキは細い草を咥えたロの端を歪めて冷笑を浮かべた。 「生贄って、何の生贄だよ」 彼がオザキと呼ばれているのは 3 年前のある夜中に学校の窓ガ「オキャクサマさ」 ラスを割ったからだとある先生が言っていた。 また耳慣れない一一 = ロ葉が登場して俺は混乱した。 その意味は俺には良く分からなかったが、少なくともこのエピ「オキャクサマって何だ ? 」 ソードが示すとおりの反抗心の塊がオザキというキャラクターだつ「俺達の造物主。専制君主。スポンサー。絶対神。そして敵」 た。先生達もオザキにだけは当たりがきっかった。 「さつばり分からない」 「俺達がここから出るには卒・するしかない」 「それなら別にいい。まあ、もうすぐシュウカーが始まる。そうす オザキは咥えていた草を道端に吐き出した。 れば嫌でも分かるさ」 「卒・するにはシュウカ■に受からなきゃならん。シュウカ■で一オザキはまたどこからか草を咥え直すと、来た道を戻って行った。 度採用されたら、あとは一生ずっと奴らの言いなりだ」 柵の向こうの海は、その日は霞んで見えなかった。 卒■、シュウカー、耳慣れない一一一口葉に俺は戸惑ったが、リ 男の一一一口葉 がより気になった。 当時の俺には学校に気になる女の子がいた 「奴らって誰のことだ ? 」 彼女はいささか皮肉を込めて特子、と呼ばれていたが、別にいじ 「ここの連中と、ここを使ってうまい汁を吸っている連中の事だよ」められていたわけではない。むしろ誰からも一目置かれていた。運 オザキが先生達を明白な軽蔑を込めて「ここの連中」と呼んだ事動神経抜群で頭も良く、先生にも気に入られていた。自分の優秀さ に純真な当時の俺は衝撃を受けた。 を鼻にかけることも謙遜することも無く、ただただひたむきだった。 「何でそんな言い方をする」 「私は特別な存在になる」それが彼女の口癖だった。もう十分特別 オザキはどこから取り出したのか新しい草を口に咥えた。 な存在だ。周りがそういうと彼女はまだまだ違うと言った。その暑 「お前、あの連中が俺達の家族だなんて信じてるのか ? 」 苦しさへの皮肉と優等生へのやっかみが形をとったのが特子、とい 「ずっとそう一一一一口われてたじゃないか」 う呼び名だった。 「そりゃあそう言っておけばお前のような奴が何でも言うことをき容姿にも優れている彼女とお近づきになりたい沢山の男の一人が いてくれるからな」 俺で、そんな俺にある日彼女から声をかけてきた時は正直ラッキー オザキは咥えたばかりの草を吐いた。 と思った。用件が何であれ。 「分からなきやはっきり言ってやる。奴らにとって俺達はせいぜい「最近、オザキ君と喋っているでしよ」

6. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

欲しいの。外の世界には彼らみたいな人達が沢山いる。でも、本当朝靄が晴れる頃、小道はアスファルトの道路にぶつかった。打ち は彼らのほうが間違っているの」 合わせ通り俺達は右へ歩いた。谷沿いの道を何度か折れつつ、基本 「・ : 僕にはよく分かりません」 的にはまっすぐ町を目指す。出来るだけ木陰に入るように歩きつつ、 「私ももう分からないわ。あなた達が外に出ることが良いことなの車の音がすると路肩の藪に身を隠した。 かどうか・ : 本当は私、あなた達にはずっとそばにいて欲し、。、 ししつ下り勾配がほぼ平坦になる頃、太陽は頭上から照りつけ、アスファ までも一緒に暮らして欲しい。でも、それは叶わない望み : ・」 ルトからは湯気が上がった。時々川へ降りて水を補給しながら俺達 「先生、聞いてください」 は進んだ。川べりの花、鳥の声、木々の間に見え隠れする小動物の影、 「どうしたの ? そんな目をして」 道路標識、遠くの人影、見るもの全てが俺達にとって未知の存在だっ 「教えて欲しいことがあるんです。僕のお母さんは誰ですか ? どこた。思わず見惚れそうになる俺をせかすのはオザキの役目だった。 に行ったのですか ? 」 町へ出てどうするのか、実を一一一口えば俺もオザキも確かな考えがあ 「もうすぐ雨が降るわ。今のうちに戻りなさい。大事な体なんだから」るわけではなかった。ただこのまま学校で卒ーを待つよりは良い。 先生の言葉を待っていたように、俺のトレードマークでもある天オザキはそう言った。俺はといえばただ海を見たい、それだけのた 気雨が空から落ちて来た。 めに彼の計画に乗った。 道すがらオザキは俺に語った。町には俺達と同じ境遇の奴が必 夏が秋に変わる頃、夜明け前に俺とオザキは学校を抜け出した。ずいる。学校を出た皆が奴らの思い通りになる訳じゃない。俺は 2 夏の間こっそり打ち合わせて準備を重ねてきた。柵の破れ目、警年前に卒■した先輩から町のことを聞いた。きっと先輩も今頃町で 備の緩い時間帯、発覚を遅らせる偽装、抜かりない計画を立てるの自由になっている。俺達も仲間に入れてもらえよ、 。道端の草を に一月もかかった。 咥えては吐き吐いては咥えしながらオザキは話し続けた。 最大の難関は地形を把握して覚えておくことだった。地図を書け俺はそんな事はどうでも良く、ただひたすら町を抜けて海に出る とお前達なら言うだろうが知っての通り俺達にはそれが出ことを考えていた。町までのルートは暗記していても、そこから先 来なかった。代わりに学校から何時間も地形を眺めて記憶した。道は遠すぎて道が分からなかった。遠目にもはっきり見える大きな建 路の分岐、身を隠せる茂み、水場に繋がる路、全てを頭に叩き込んだ。物の間にはちゃんと切れ目があるのか。迂回して歩くとどれ位かか 朝露に濡れた草を踏んで俺達は校舎裏の小道を下った。正門からるのか。海は全て水で出来ていると聞いたことがあるが、水に触れ 伸びる道は広くて見晴らしが利く分見つかりやすい。こっちなら学られる場所まで降りられる地形になっているか。俺の悩みは尽きな 校からは死角になり誰かとすれ違う危険も少ない かった。俺達はまるつきり同床異夢の道連れだった。

7. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

女打破したいの ? それを言うなら、ここに居続けても、変わり続ける 女 そ、つじゃなくて 男 1 そ、フそ、つ。たからその、たしかに僕か宀一口ったことを君は直男 1 、、けど、逆に言うと : : : 違うな、つまり、君か女何 ? 全然見えてこないんだけど。何を言いたいのか 接は否定していなし 言いたいことを要約、すると、ここに居続けて何も変わらないんだ男 1 あなたかしたいようにしたらいい ってこと じゃない 女 から、外に出ても何も変わらない : そう・だね 女 だからね、外に出たら、あなたは何かが変わる、ってさっ男 1 き言ったでしよ。 女何それ 男 1 男 1 ー座って女 女 ても、その呈虍久の亦久匕なら、ここでこ、つい、つ、い、フこ いるだけでも起医、続けてるの。 ( 水を飲む ) ほら、水を飲むでしよ。 これは胃に落ちて、吸収されて、余分は濾しだされる 男 1 女 女 分かる ? ・私が言ってること 男 1 男 1 分かるんだけど、論点か違うというカ・ 女 女何か ~ = 0 いたいわけ。そんなに外に出たいの 男 1 そういうわけじゃなくて、君は、僕が外に出ても、何も変男 1 わ、らない 女 って言いたいんだろう ( ため息をつく ) そ、つよ 男 1 やつばり、外に出てくるよ 女 あ、そう 男 1 : それで ? ・ 女 男 1 煙草も吸いたいし。 女 男 1 女 行ってくれば。 女 男 1 男 1 、外へ 女 男 1 女何か言いたいのか全然分からない。私、何か変なこと言っ は ? ・ それで、と、つした、らいし 、と思ってるの。君は。 あなたがどうするかなんて知らないわよ そんな話はしてないよ じゃあどんな話。論理的に話してよ。 その、この状況を打破するためにね 私何か赤久なこと宀一口ってるかな。 : 亠 = ロってないよ あなたに言ったんじゃない ( ため息をつく )

8. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

文句言わないの 女 しばらく、無言で、生肉と格闘する 男 1 あーだめだ。ちょっと焼いてくるよ。塩コショウも欲しい は、ま、。卩約してよ 女 男 1 へ刀かってるよ。君は 女 私はこのままでい、。 男 1 、部屋の奥へ、自分の皿を持ってい 女、肉を食べている と、部屋の奥から、男 1 の「おえええ」と、吐く声のする 女、気に留めす、そのまま完食する 男 1 、于ぶ、らで戻ってくる 女食べなかったの。 男 1 や、向こうで食べてきた。 あ、そう 女 男 1 : あと、どれくらいもっかな。 : さあ 女 男 1 今、見てきたんだけどさ。その、死体を うん 女 男 1 あいっ元々痩せてたけど、もう、ほとんど骸骨だな。 笑、んないよ 女 そ、つだな。 男 1 皿も洗ったよ。 うん 女 男 1 あれかいよいよ骨だけになったら、とうするんだ。 女 骨は洗ってあげよう。本当は火葬したいけど : 男 1 死んだやつのことはいい。 生きてる俺達のことだよ 女 この部屋にいるんでしよ。 男 1 いるだけ ? いて、何も食わず、死ぬのか ? 女 人間、水だけで川日は生きられるよ 男 1 その後は ? 餓死 ? 女 私はそれでいし この部屋でしばらく生きてきて、死ぬの も悪くないって思えてきた。 , 目殺なんてできないけど・ 男 1 僕は嫌だ死ぬためにわざわざこんなところに来たんじゃ ない。せつかく、君を連れて来たのに。また食べ物を探してこない と。外に出て 男 1 それでいし ? 男 1 君も、食べ物があったら生きるだろう。 女 あれば食べるけど : : でも、私は手伝わないよ。それでい いの ? 男 1 うん。それでいし 歩 ( は、君と生医、ていきたい : それ、プロポーズ ? 女 男 1 : まあ。うん 亠め・り・カと、つ 女 う、うん 男 1 ここか、ら出て打こ、つなんて老・えない

9. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

まで使って絡め捕られ興奮していた俺達は、そこが学校であることの前途を暗示するようで忌まわしかった。 に暫く気付かなかった。 脱走のことは黙っておけ。はっきり言われたわけではないが、先 今度は叱られるでは済まなかった。俺達は何日も別々の場所に隔生達はみなそうロ裏を合わせているようだった。外の人達からそう 離された。一部の先生以外誰とも会うことを許されず外に出ること いう質問が出る事も無かった。 も出来なかった。 ある日校長先生が俺に近づいてきて言った。何も心配しなくて良 一一週間経ってようやく学校生活に復帰した俺に、仲間達は皆よそい。検査でも何も出なかった。君は大丈夫だ。きっと良い■材になる。 よそしかった。誰もが奥歯に物が挟まったような態度で俺に接した。 シュウカ■の期間はあっという間に終わり短い冬が過ぎ、俺達の 例外は特子で、顔を合わすなり「見損なったわ」と吐き捨ててそれ卒■も間近となった。ここから出た後どこに行くことになるのかは きり目も合わせなかった。 まだ分からなかった。それは卒・の直前に外の人から先生達に伝え 後から聞いた事だが、当時特子は特別選抜試験に合格の見込みがられ、卒■式のその日に俺達一人一人に言い渡されることになって 薄いと言われて、酷くナーバスになりながら必死に前を向こうと足いる。式の日が近づくにつれ、俺達は目に見えない焦燥に駆られた。 掻いている時期だった。だから余計に俺達の行為が許し難く思えた殊に特子は昂ぶり過ぎて憔悴して見える程だった。夏頃の B 判定 のだろう。俺個人としてはあの脱走を後悔はしていないが、あの時を覆そうと、彼女はこの数ヶ月狂おしいほどの努力を重ねてきた。 の特子の辛そうな顔は苦い思いと共に俺の脳裏に刻まれている。 一日も欠かさず走りこみ、特別に用意した食事を摂り、悲痛なまで 落ち込む暇も無くシュウカ・が始まった。何人もの人が外から学の自己管理を己に課し続けた。特別選抜試験の結果も、卒■式で言 校へやってきた。俺達は連日観察され、隅々まで調べられた。四六い渡されることになっている。運命はおそらく既に決しながら、そ 時中質問が飛び交った。いつどこで生まれたのか。何が長所で何がの判定が下される日まで俺達はただ焦らされる日々を送った。 短所か。何か印象的なエピソードはあるか。それが今の自分にどう 結びついているか。あなたは何を持ってオキャクサマを喜ばせるこ卒■の日、俺達は一人残らず整列して校長先生の言葉を待ってい とが出来るか た。全員が一人ずつ、卒・後の行き先を告げられる。脱走の日以来、 俺はと一一一〔えば脱走と謹慎の余韻から頭を切り替えることが出来俺が戻った後も隔離され続けていたオザキの姿も見えた。 ず、何ら方針も覚悟も無いままでなし崩し的にシュウカ■に突入し俺は自分の行き先の事を何故か考えることが出来ず、昨日の夜突 た。こうなったからには腹を括ってオキャクサマに奉仕しようと思然寝床に現れた先生の事を考えていた。先生は俺を校舎裏へ連れ わないわけではなかったがどこか身が入らない自分がいた。脱走先出すと、目の前で門を開けて見せた。俺が微動だにせず突っ立って で見た行列の無気力な目が毎晩のように夢の中に現れ、まるで自分いると、突然先生は俺の肩にしがみつき泣き出した。ごめんね。ご

10. ゆとり世代の総合表現マガジン さかしま 2017年度号

シーン 1 舞台中央にテープルと、それを囲むように椅子が 3 脚あり、上手ー 下手側を向いて女、下手に、上手側を向いて、男 1 が座っており、 中央の椅子に、男 2 の座っている 男 2 は時折、ロをパクパクと動かすが、会話には参加しない テープルの上には水の人ったグラスが 3 っ置いてある 女 それで、これからどうするの 男 1 そりゃあ、この 3 人で暮らしていくよ ム 女 尢黙 男 1 や、そんなに从い間じゃなし 、。状況が好転すれば、僕た男 2 が水を飲む らはここを出て行く でも : 女 女 男 1 丈夫。今のところ、全部順調だから。君が心配するのも男 1 女 戯曲「部屋にて、男と女 登場人物 男 1 男 2 分かる 山本貴久女 男 1 ( 水を飲む ) 女 ( 水を飲む ) ありがとう。大丈夫なのね 男 1 うん。大丈夫だから。 女 : ねえ、これから、その、今から、夜まで、何をしたらいい 男 1 ん、そうだね・ 男女男女男女男女沈 1 1 1 1 ・いっからこんな感じなの いっからって言われても、すっとこうだよ 生まれつきなのね うん。 ね すっとこのままなの それは、今から、夜まで、ってこと。 えっと、 . 、つん、そ、つ・い、つ音 2 味だけど・ そうだね・ 何か曻 ~ しましよ、つ。 うん・