人は「向上したい」と思うから劣等感を抱く プラス 劣等感の補償 としての行動 的 目 マイナス そして社会全体としてみれば、自分の足りなさを補 い合うために他の人たちと協力しあっているのです。 このように劣等感は誰もが普通に抱く感情です。 しかし、その感情にこだわり、いろいろな理屈をつ け、自分の中で「実体化」してしまうと「劣等コン プレックスーになります。例えば「私はもともと頭 か悪いので勉強ができないんですーと一言うことによ って、勉強という当面の課題を避けるために、劣等 コンプレックスを利用することができます。 人は向上したいと思うので劣等感が生じます。そ 部して努力することによってそれを補償しようとしま 感性い 等劣劣プ こンす。その行動の仕方は人によってさまざまです。しか 劣器蠏コ し、どんな人でもプラスの方向を目指しているのです。 人それそれでやり方がある ( = ライフスタイル [ P. 66 ] ) 045
各要素は協業して「個人」という全体を支えている 個人全体 理感無」・ 人を「要素」に分解して考えない このように、個人全体を部分に分けることには、 すな 用は それなりの意味があります。例えば「心ではそう思 作と 体る っていなかったのに身体がそう動いてしまった」「感 全な がと情の爆発を理性で抑えきれなかったー「知らないう 分因 部原 ちにそう行動してしまったのは無意識のせいかな ~ ー・あ」というように、個人全体を部分に分けて考える と、納得しやすく、うまい言い訳にもなるからです。 この考え方を「要素論」と呼びます。これに対し て、アドラー心理学では要素論を採用しません。そ の代わりに「全体論」を採用します。全体論とは、 意識と無意識も、理性と感情も、心と身体も、お互 心 ( 身体 いに対立しないで、分業し協力し合っているという ているのは「全体としてのあなた個人」なのです。 067
作 解説と監修 : 向後千春 編集協力 : 裏柳すす ごると、ななちゃん 作画協力 : 柊ケイ、加来幸平、てっちゃん、 画 : ナナトエリ
言動は目的を洞察することで正しく理解できる」とする人間理解の立場。 ( 対 : 原因論 ) や行 優越への努力 P46 競争心や嫉妬心から「あの人に勝ちたい」と思って努力すること。優越への努力は、他者との 敵対を招き、失敗は敗北を意味する。 ( 対 : 完全への努力 ) 勇気 P91 ・ 136 自己欺瞞をやめて、課題に正面から向き合い、挑む気持ちのこと。他者への関心を持ち、 協力することを学ぶことで、人は勇気の出し方を学ぶことができる。 有機体論 P70 人間は部分が統合された全体として存在し、一つの意味を持っておリ、部分を切り出して分解 してもその人を理解することはできない、とする考え方。無意識、感情、心だけを切り出 して分析しても、その持ち主を理解することはできない、とする立場。 ユング P24 カール・グスタフ・ユング ( 1875 ~ 1961 ) は、スイスで活動した精神科医で、分析心理学の創 始者。 1907 年にフロイトと出会うが、のちに決別した。無意識には個人的な無意識と人類 が普遍的に共有する集合的無意識があるとした。 要素論 P67 「全体としての人間の行動が、無意識や感情などの要素によって決定されている」とする考え ライフタスク P132 ・ 134 ・ 136 すぐ形成し始め、 10 歳くらいで、ある程度固まるとされている。 人生の目標設定とその達成の仕方に見られる、人それぞれのユニークなあり様。生まれて ライフスタイル P66 ・ 110 ・ 112 ら行 方。 ( 対 : 全体論 ) 4 他者と比較して客観的に能力が劣っている性質のこと。 劣等性 P44 口にするようになる。 る感情。劣等コンプレックスを抱くと、人はその部分での努力を諦め、「できない理由」を 屈をつけたリして、劣等感を感じる自らの性質を事実として受け入れてしまったときに訪れ 劣等感と正面から向き合い努力によって克服しようとするのではなく、言い訳をしたリ、理 劣等コンプレックス P45 「自分が他者より劣っている」と主観的に感じる ( 思い込む ) ことで生じる感情。 劣等感 P44 ・ 46 療を行う心理学の応用分野。 心理、行動面の問題解決や適応などのために援助、助言、相談などを行い、障害の予防や治 臨床心理学 P22 ・ 25 きない。 おリ、 1 つのみを究めたり、それによって他のタスクの未達を補償する、といったことはで めに人が克服するべき課題。仕事・交友・愛の 3 つのタスクがある。 3 者は互いに関連して アドラー心理学が考える人間が生きる理由。幸せな人生を獲得し、人類の幸福に貢献するた
L e 5 5 0 n 5 解説 2 一 3 つのタスクはすべて人類全体への関心に向かう 3 つのライフタスクとして、仕事、交友、そして愛のタスクをあげました。愛のタスクは人類 の継続に関わり、交友のタスクは他者との良い関係に関わり、仕事のタスクは他者との協力に関 わることです。そして、この 3 つはすべて人類全体への関心に向かっています。アドラーは、こ れこそが「人生の意味ーであると主張しました。 この 3 つのライフタスクに対して、その人がどう反応するかによって、その人が自分の人生に ついてどう考えているのかが明らかになります ( 図 ) 。ただし、常に一言えることは、 3 つのライ フタスクは、お互いに関連しあっていることです。 例えば、仕事のタスクのみに集中しても、完璧にそれを達成することはできません。同じ仕事 に関わっている人たちが互いに協力する必要がありますから、交友のタスクにおいて他者に関心 を持ち、良い関係を作ることを練習しなければなりません。仕事と交友の基盤として、自分のパ 1 トナーと互いを尊重した対等な立場で協力し合うというタスクを成し遂げることも必要です。 134
アドラーの知恵 c 0 ーⅡ m れ 5 勇気と怖れ どんな困難に直面しても「勇気」を持って行動することがで , このように他者への関心を持って、協力することを学べば、 生の意味の心理学・下』 p. 138 ) と書いています。 他者より劣っているとか、負けたとも感じないだろう」 ( 「人。 幸福な結婚によって社会に貢献することができるのであれば、 子どもがすべての人にとって親しい友になり、有益な仕事し 法で成し遂げることだ」としました。これについて「もしも アドラーは、「人生の意味は、ライフタスツを協力的な方を きます。なぜなら、自分がこの世界の一員として所属してい : い なって現れるのです。 直面してもそれを回避しようとするでしよう。それが怖れと にとっての世界は自分と対立するものとなり、困難な課題に 仲間として認められないからです。その結果として、その人。、 生まれます。自分への関心だけで行動している人は周りから . 反対に、自分への関心にとらわれてしまうと、「怖れ」が ることを実感しているからです。 136
所有の心理学 P68 無意識や感情などの部分は、人 ( 全体 ) を支配 ( 所有 ) して突き動かすことがある、とする心理 学の考え方 ( 対 : 使用の心理学 ) 信念 P88 ・ 92 「世界は ~ である」など、世界や周りの人に対する仮想的な理解の仕方のこと。 人は信念に 劣等感を感じている欠陥部分を努力によって肉体的に克服したリ、劣等感を感じずにすむ 補償 P44 かを解明しようとする心理学の領域。幸せとはどのように創り出せるのか、を関心事とする。 人間や組織、社会の姿はどのような状態、要素によって本来あるべき優れた方向に向かうの ポジティブ心理学 P25 エネルギー ( リビドー ) によって人の行動の多くを説明しようとした。 晩年にはナチスに追われ、ロンドンに亡命した。無意識に着目し、性的衝動の基になる心的 ジークムント・フロイト ( 1856 ~ 1939 ) は、精神分析を創始した人物。ウィーンで長く活動したが、 フロイト P24 は行 解明しようとする。行動主義と対比的な立場で、脳科学と関連して発展。 心理学的アプローチの一つ。人の記号・情報処理 ( 認知 ) の過程を理解することで人間の性質を 認知心理学 P25 あると見なして、人間を全体的に理解しようとする心理学の立場。 人は無意識や外的環境に支配されて行動するのではなく、自由意志をもった主体的な存在で 人間性心理学 P25 な行 その人にとって心理的に大きな打撃となった経験のこと。 トラウマ ( 心的外傷 ) P90 た行 方。 ( 対 : 要素論 ) 人としては一貫している」とし、人間を一つの分割不可能な全体 ( 統一体 ) としてとらえる見 「人間の意識、無意識、思考、行動などは、対立せす協力し合って人間全体を作っておリ、個 全体論 P22 ・ 67 ・ 70 人の行動と意識の現象との関連性を研究する学問。 心理学 P22 ・ 24 きる、という感覚。 共同体感覚を構成する感覚。所属する共同体の中で、周リの人に安心して任せることがで 信頼 P156 とも言える。「ほら、やつばリ世の中は〇〇だ」などと人が思いがちなのはそのため。 基づいて世界や人の行動を意味づけるため、常にその信念を強化する理由を探している、 3 「人間は目的がまずあって、それを達成するために思考したり行動したりしている。人間の 目的論 P22 ・ 48 ま行 に努力すること。アドラー心理学においては、人間の行動の動機として重視される。 ( ごまかせる ) ような価値観を持っこと。劣等感を解消または覆い隠すために肉体的、精神的
当 0 みんなと俥良くなろうとし、 0 頼りがいがある 敵を作らない ( みんなをまとめて引っぱっていける ) ー : 当 ( あからさまな敵対行動を取ることがない ) x 頑固で融通が利かない X 嫌われないように ( 仕切り屋に見えるため、 、当周囲に合わせて行動しがち 周りは反発を感じやすい ) ( 考えがないように見え、 = コ : 「信用できない」と評価されることも ) 4 つのタイプの特徴 B タイプ 好かれるために努力する C タイプ 主導権を握るために努力する A タイプ D タイプ 面倒を避けるために勢力する自分で決めたことに努力する 0 「やろう」と決めれば何でもできる ( 自分が決めたものなら、 とことん努力する ) X 一人で問題を背負い込みがち ( 自分で何でも解決しようとし、 周囲が劣等感を感じやすい ) 4 タイプにはそれぞれ長所・短所がある < タイプの強みは、気楽さ。和んだ雰囲気を作り 出すことが上手な一方、弱みとして、マイベースな のであまり成長しないことがあげられます。 タイプの強みは、親密さ。誰とでも仲良くなろ うとします。弱みは、嫌われないように行動するこ とが多いため、自分の考えや主張がないことです。 0 タイプの強みは、リー ダーシップを取れること。 周りをまとめて主導権を握ります。逆に、弱みは、 る る多 ) も と 頑固で柔軟性がないことです。ただし、それも場を 和るる成でる 囲 ~ 一ス ~ 仕切るには、必要な特徴ではありますが でと。なラ っ然揚イ タイプの強みは、決めたことなら努力を惜しま ほ天 気 ( 「マ ( イ 0 x す何でもできること。逆に弱みは、何でも自分で解 マ謇当」決しようとして一人で背負い過ぎてしまうことです。
il 矚 麻衣ちゃん あの子には : 頑張り屋 もっと 勉強以外の ところを 認めて話題にして あげてくれない かな 7 ああでも 点数がすべてという ライフスタイルは Ä」 - っにろ - つか なぜ ? 不安を原動力に 努力するのは 健全じゃないって ことですか ? でも劣等感って 誰でも持っている ものなんですよね ? それで成績が 伸びているなら : 樹木って 枝葉が全方向に バランスよく 伸びている方が きれいだろ ? ね気を 付けてみてよ じゃあ 前回やった テストを 返しまーす 056
幸せには 必要だと アドラーは 言ってる 「 3 つの絆」が 「仕事」 「交友」 「愛」だ 言い換えれば 人生に与えられた 3 つの課題 とも一一 = ロえる 0 幸せになる ための : ・ね 何ですか ? 自然の中で 自分が生きて いくために どんな活動を ーをしし、カな ) すれま、 見つけることは 人間は 地球環境の 限界の中で 仕事 人類として 個として 生き残るために 心身を発達 させないと 友 愛 人間にとって 根源的な テーマなんだ それが 「仕事」ってい - ことですか ? 人間は 「協力」を 発明したからね ④料理 の価きに⑩ペ「ト そこで自然を克服して 生きるために 「自分は何ができるのか」を お互いに見つけ合うことが 人生の充実のためには 大切になるんだ ②カ仕キ ああすべてを 一人でやる ことはないよ 126