ツアラトウストラ - みる会図書館


検索対象: まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!
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1. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

『ツアラトウストラ』の概略② , 再び山上へ 山に戻る途上、ツアラトウストラは海を渡 り、町を通り過ぎる。その過程で宇宙の原 理が「永遠回帰」であることを示唆する幻に ついて語る。彼は旅の途中で、偽善的な 徳が人々を小さくしていることを嘆き、 大いなる正午が近いことを告げる。「まだら 牛」にやってきた後、三つの悪 ( 肉欲、支配 欲、我欲 ) が強者にとっては徳であることな どを語る。山の洞窟に戻り、永遠回帰の思 想に達したツアラトウストラは、その深さ ゆえに吐き気を覚え、 7 日間寝込む。回復 した彼は、まず動物たちにその教えを語る 立ロ 同情を捨てて ツアラトウストラは、永遠回帰の思想を山 を下りて人々に告知しようとするが、彼の 洞窟に高等な人間たちが訪れる。ニ人の王、 老いた魔法使い、失職した教皇、もっとも 醜い人間、みずから進んで乞食となった者、 そして影である。ツアラトウストラは、彼 らに高貴な人間としてあるべき姿を説き、 永遠回帰の中ですべての悲しみも喜びも肯 定し、間を肯定することの永遠性を語る。 ツアラトウストラは彼らの苦悩に同情する 誘惑にかられるが、それこそ自分が超人に なるための最後の試練であると知り、強く はねつける。そして、もう一度、生の肯定 を説くため、山を下りる決意を固める 立ロ めに人々は強く、誇り高く、超人的に生き るべきことを説いたのだった。 哲学書でありながら 心躍る一言葉に満ちている 『ツア一フトウストラ』は全四部か、らなり , 、 第一部、第一一部は 1883 年に別々に出版 され、第三部は翌制年、第四部は跖年に出 版されている。ニーチェの意気込みと裏腹 にその評判は芳しくなく、残念ながら第四 部は私家版として数十部作り、何冊かを友 人に配るだけに終わっている。 当時から「永遠回帰」「超人」などのイメ ージがあまりよく理解されなかったせいだ。 確かに、有名だからという理由だけで『ッ アラトウストラ』を読み始めると、象徴的 な表現が多く、何を言いたいのか、よくわ からない部分が多い 福音書でのイエスと弟子たちの会話を彷 彿とさせるシーンもあれば、動物たちと会 話するギリシア神話のようなシーンもある 118

2. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

0 ニーチェの著作の中でもっとも有名な代表作、それが『ツア ラトウストラ』だ。彼はその中で、物語に託して自らの思想 を語る。その内容をここで紹介しておこう。 「超人」という 新しい生き方の ススメ かくてツアラトウストラは民衆に向かって次 のように語った。 わたしはきみたちに超人を教える。人間は、超 の克されるべきところの、何ものかである。 『ツアラトウストラ』「第一部ツアラトウストラの序説」 『ツアラトウストラ』でニ 1 チェが語ったこと 新しい生き方を説く 道しるべとして 『ツアラトウストラ』の原題はドイツ 語で、ü\lso sprach Zarathustra.0 邦題 で『ツアラトウストラはかくり・き』とカ 『ツアラトウストラはこ一つ一言った』などを 聞いたことがある人もいるだろう。 ツアラトウストラ』 = AISO sprach Zarathustra ニヒリズム nihilism 第五の福音書 the fifth GospeI

3. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

『ツアラトウストラ』の概略① 教えを説く ツアラトウストラ ツアラトウストラは 30 歳の時から 10 年間、 山の洞窟で孤独にこもった後、ある朝、人々 に自らの知恵を分け与え、教えるために山 を下りる。神が死んだこと、そして超人に ついて説くためである。「まだら牛」という 町で道徳や哲学の批判など、さまざまな教 えを語り、再び孤独な生活に戻ろうとする 一当 再び弟子たち の元へ 山中の洞窟にこもるツアラトウストラの元 に鏡を携えた子がやって来る。その鏡に悪 魔の顔と嘲笑が映ったことで、彼は自分の 教えが歪められて伝わっていることを知 る。彼は、再び弟子たちの元へ戻ることを 決意。神の死、超人の理想をさらに力強く 説く。また、生あるものには自らを超える ことをつねに欲する「カへの意志」があるこ とを語る。ツアラトウストラは内なる声に 従って、永遠回帰の教えを準備するために 再び山に戻る ツアラトウストラとは、古代ベルシャで 始まったゾロアスター教の開祖、ゾロアス ターの、ドイツ々。『ツアラトウストラ』 では、その名を持っ主人公が神の死、超人、 永遠回帰、カへの意志などを人々や動物に く。ツアラトウストラの一一豆某は、 説いてい もちろんニーチェ自身の言葉である。 神が死に、ヨーロッパにはニヒリズム が広がっている。「絶対的な正しさ」があ ると信じてそこへ向かって人生を歩んでい た多くの人々が、生きる道を失ってしまっ た。そこで新しい生き方の道しるべとして、 ニーチェは『ツアラトウストラ』を上梓 した。知人に宛てた書簡の中でニーチェが これを新約聖書に収録された 4 つの福音書 に続く「第五の福音書」と呼んでいる ことからも、自身の著作に大きな使命を託 していたことがわかる。 ここまで見てきたように、また第 4 章で ニーチェは自らの哲学 も紹介するように、 を物語にのせ、ニヒリズムを乗り越えるた 『ツアラトウストラ』でニーチェが語ったこと じようし

4. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

「神の死」が明らかにな ① った今、人々は新しい 生き方を求めている ② 昼が考えたより深い 世界は深い 0 世界の苦痛は深い しかし一切の快楽は永遠を欲するーー 、架い永遠を欲する ! ーー深い、冫 の 『ツアラトウストラ』「第四部酔歌、 いまやキリスト教 の「福音書」は用を なさない 『ツアラトウストラ』 ーそ、ニヒリズムを 乗り越える生き方 を説く新しい福音 書である ! 夢まぼろしのような描写もあれば、力強い 詩的表現もある。フィクションとして哲学 を語られることに置れていない私たちは、 その書き方にまず戸惑ってしまうのだ。 ニーチェもそれを反省して、自らの主張 を論文調にまとめ、『善悪の彼岸』 ( 部年 ) 、 その補遺として『道徳の系譜』 ( 年 ) を書 いた。こちらのほうが彼の思想が順序立て てまとめられているため、ニーチェの著作 はこの二つから人るのがわかりやすい、と はよく言われる。 だが、ニーチェ哲学のエッセンスを知っ たうえで『ツアラトウストラ』を開いてみ ると、これほど心る哲学書はないこと一 づかさる字通り小説を一しように の思流れ込ん、くる ツアラトウストラの生き生きとした教え は、いまも私たちの心を揺さぶる。近年は 読みやすい新訳も登場している。ニーチェ をもっと知りたいと思ったら、手にとって みよ一つ 『ツアラトウストラ』でニーチェが語ったこと 119

5. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

遠近法的思考 ーチェが人間の根本にあるとしたものの 見方、とらえ方。すべて自分に近いこと ( 関 係が深いこと ) は重大に見えるし、自分に遠 いこと ( 関係が薄いこと ) は、たいしたこと がないように思える 9 それをニーチェは、 絵画にたとえて「遠近法」と呼んだ。 『曙光』 ( 333 ) 考えると思われるか ? 動物はわれわれを道徳的な存在と しかし一体諸君は、 は考えない。 われわれは動物を道徳的な存在と 全訳が出版されて 100 周年となる。 った答えを人々に説教していく。 . 今年 2011 年は、日本初の 公ツアラトウストラは、神の死や超人など、 . 思索の末に至 アジアに起源を持つゾロアスター教のこと。作品で、主人 - ロアスター」のドイツ語読み。ゾロアスターとは、古代中央 思想を物語形式で語った著作。ツアラトウストラとは、 f ゾ ーチェが人間の新しい生き方を記した書として、自身の 『ツアラトウストラ』 生を充実させることでもある。 意志に身を委ねることが、もっとも したがって、人間にとって、カへの つねに「死」から遠ざかろうとする。 で説明できるとした。力への意志は、 言語などあらゆる事象がカへの意志 いると考え、歴史、社会制度、思想、 せめぎ合いで瞬間瞬間が成り立って ーチェは、世界とは、カへの意志の 己を拡大させようとする能動性。 「もっと大きく」「もっと豊かに」と自 、あらゆる存在に宿り、「もっと強く」 力への意志 ぐん ちく 畜群 群れる弱者。強者は、孤独に戦い勝ち取 る強さを持つ弱者にはそれがない。 だから「人は、みんなのために奉仕するべ き。わがままはよくない」と考えて、まと まろうとする。こういう人たちをニーチ ェは畜群と呼んだ。 超人 すべてが無価値であるニヒリ ズムの世界で強く生きられる、 最高の人間のあり方。人間は 自らを超克して、超人を目指 さなければならない、とニーチ ェは説いた。超人は、自分で 自分だけの価値観を打ち立て、 孤独に、強く気高く生きる ことができる。 者たちについて」 「第一部身体を軽蔑する 『ツアラトウストラ』 道具である。 性もまた、きみの身体の ころの、きみの小さな理 きみが「精神」と呼ぶと もない。・・・和の兄弟よ、 て、それ以外の何者で 私はまったく身体であっ

6. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

ーチェに関するおもな出来事 ーチェ生誕 西年齢 0 プロイセンのレッケンにて、 1844 2 妹のエリーザベト生誕 1846 4 弟のヨーゼフ生誕 1848 5 父が死去 1849 6 弟ヨーゼフ死去 1850 小学校入学 10 ギムナジウムに入学 14 プフォルタ学院に入学 18 論文『運命と歴史』、「意志の自由と運命』を執筆 19 「エルマナリッヒ論』、自伝「わが生涯』を執筆 ポン大学に入学 20 21 ライブツイヒ大学に転入 23 ナウムプルク砲兵連隊に入営 24 怪我により除隊、ライブツイヒ大学に復学 バーゼル大学の員外教授に就任 25 26 大学の正教授に昇任 『ディオニュソス的世界観』を執筆 普仏戦争に看護兵として志願従軍。伝染病によって除隊 28 「音楽の精神からのギリシア悲劇の誕生 ( 再版以降は『悲劇の誕生』と改題 ) 』出版 「反時代的考察第一部、信仰告白者にして著述家ダヴィット = シュトラウス』出版 29 30 仮時代的考察第ニ部、生に対する歴史の利割、「反時代的考察 第三部、教育者としてのショーベンハウ工ル』出版 眼と胃の病気が悪化する 「反時代的考察第四部、バイロイトにおけるリヒャルト = ワーグナー』出版 32 静養のため休職 33 大学に復帰 1877 34 「人間的、あまりに人間的ー自由精神のための書』出版 1878 35 「人間的、あまりに人間的上巻さまざまな意見と箴言』出版 1879 病気が悪化し、大学教授を退職 36 『人間的、あまりに人間的下巻漂泊者とその影』出版 1880 37 「曙光道徳的な偏見に関する思想』を出版 1881 パウル・レーと同時期にルー・ザロメに求婚し、拒絶される。ザロメのことで、家族と不和になる 1882 38 『悦ばしき知識』出版 この頃から 1888 年にかけて、『権力への意志』と称される『 80 年代の遺稿』が書かれる 「ツアラトウストラ」第一部を出版 39 「ツアラトウストラ』第ニ部、第三部を出版 40 「ツアラトウストラ』第四部 ( 私家版 ) を完成 41 42 「善悪の彼岸、将来の哲学への序曲』を出版 「悦ばしき知識第五巻われら恐れを知らぬもの』を脱稿 『悲劇の誕生』の副題を「ギリシア精神と厭世主義」と変え、「自己批判の試み」を添えた新刊を刊行 『人間的、あまりに人間的』の第一巻と第ニ巻を、新しい序文を加えて出版 43 『曙光』に新しい序文を添えた新版を出版 「プリンツ・フォーゲルフライの歌」および、第五巻『我ら恐れを知らぬ者』を付け加えた「悦ばしき知識』の新版を出版 『ツアラトウストラ』の第一部 ~ 第三部をまとめた新版を出版 1882 年に作曲したザロメの詩『苦悩に寄す』を、「生への賛歌』と題して出版 『道徳への系譜学、論争の書』を出版 『偶像の黄昏、あるいは、いかにして人は鉄槌でもって哲学するか』を完成 『反キリスト者、キリスト教の批判の試み』を完成 ( 1894 年刊行 ) 私信などに、精神錯乱の兆候が現れはじめる トリノで昏倒、狂気の手紙を友人たちに送るようになる 精神病院に入院 50 妹のエリーザベトが「ニーチェ資料館」設立 53 母の死去 ーチェ死去 56 1854 1858 1862 1863 1864 1865 1867 1868 1869 1870 1872 1873 1874 1875 1876 1883 1884 1885 1886 1887 44 1888 1889 45 1894 1897 1900 参考文献 : 『ニーチェ』 ( 清水書院 ) 工藤綏夫著ほか 18

7. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

無価値な世界を 乗り越えて生きる 「超人」としてニヒリスムを乗り越え、力強く、誇り高く生きる。これこそニーチェ哲学 の中心テーマだ。誤解を受けやすい考え方だが、決して肉体的、頭脳的に優れだスー バーマズのことではない。超人的な生き方を目指すことは、私たちにもできることだ おうか し、それは生を謳歌することにつながっていく。 意欲は解放する。というのは 3 意欲は創造であるからだ。 わたしはそう教えるのだ。かくて、創造のためにのみきみたちは学ぶべきだい - 『ツアラトウストラ』「第三部新旧の諸板について」

8. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

「すべてのものに価値はない」。このニヒリズムを徹底させたル 先に見えてくるもの。ニーチェはそれを「永遠回帰」の世界ッ として詩的に表現した。 未来は過去であり会、 過去は 未来である 「一切の直線的なものは偽る、」と小びとは軽 蔑するかのようにつぶやいた。「一切の真理は 曲線的であり、時間自体が一つの円環である」 『ツアラトウストラ』「第三部幻影と謎について」 ニヒリズムの先に見えてくるもの ニヒリズムを 時間軸で考える 徹底した一一ヒリズムは、時間軸を加え て考えると、その虚無感が見えてくる。 例えば、ここにある物があったとする。 それは、時間の経過とともに、変形したり、 変色したりするだろう。普通に考えれば、 ニヒリズム nihilism 永遠回帰 eternal return 過去と未来 past and future

9. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

「ルー・ザロメ事件」 ども呼ばれる この恋愛騒動は ニーチェの周囲にいた 多くの人々に 誤解ど不信の種をまく , 」どどもな - つが ) ニーチェは さらなる 孤独と病苦に 苦悩しながらも 歳の時に 執筆したんだよ 『ツアラトウストラ』を そしてク神を一殺した ) 現代人のニヒルな生存を 大きく肯定し直そうどする 「永遠回帰」の思想に 到達したのだ それても彼は 病気や孤独ど この時期に 戦いながら『善悪の彼岸』 たくさん誓て 『道徳の系譜』 るん ~ ねー 『友キリスト者』など 多数の作品を 著してい / 、カ 世間には受け入れ 、られなかった で世まは 々た礬にんた アイラ”アカ 臭のように わいてくる " 、 ! 世間の無理解や 中傷は、ニーチェを 絶望に突き落どした ニーチェが最高傑作ど 自負する作品だったが 世間からは無視され 完全な不評に終わる 0

10. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

全世界を肯定する 強さを身につければ 人生は変わる 0 超人の強さ、気高さはわかった。たが、超人的な生を手に入ル回 れるには、どんな心持ちを抱くべきなのたろう。それを知っ たとき、人は生まれ変わる。 一切は行き、一切は帰って来る。存在の車輪は永 0 遠に回転する。一切は死滅し、一切は再び花咲く。 存在の年は永遠に経過する。・ : すべての刹那に 0 の存在は始まる。・ : 中心はいたるところにある。 『ツアラトウストラ』「第三部回復しつつある者ー ニヒリズムを克服する勇気 ニヒリズム nihilism 永遠回帰の世界では 「望むこと」が成り立たない 大いなる正午とは、すべての事物が等し く光に照らされており、すべてが許されて いる ( Ⅱ価値に差のない ) 世界であった。 永遠回帰とは、そのようなすべての価 値が等しく空しい世界が時間軸のなかでも eternal return Ubermensch 勇気 courage