ーチェが指摘した哲学者の◆迷信 現実を超越した「真理」の存在が必要 道徳哲学神の存在を用いず道徳 ( 善と悪 ) の価値を証明する試み 第第ツい どちらも ー同じくらいに 神を根拠にすることと同じ 道徳の価値 現実 真理という神。が必要 虚構の世界 「神は死んだ」 じつは個々の解釈があるだけ 単なる 主観的な世界 「神は死んだ」が意味するもの 例えば世紀ドイツの哲学者カントは、 人間の理性には到達できない限界があり、 物事の背後にある本当の姿 ( 「物自体」 ) は 知覚することができない、と考えた。 " , などの道徳的価値もそうした世界に属して おり、普遍的正当性を持っている、と論証 しょ一つとしたのだ だがニーチェによれば、カントは結局、 現実世界を超越した「真の世界」が存在し ているという仮定 ( 幻想 ) から逃れていな いという。道徳哲学は、神を用いずに善悪 を証明しようとしていながら、やつばり真 理という名の神を必要としていると指摘し たのだ。 ニーチェは、折母工名がしてきたことは、「善 への愛」に突き動かされ、「真理」をつく り上げる努力にすぎないといい 、道徳哲学 を「願望の哲学」と呼ぶ。 」心は 間カ ( 日したものてある 慂の絶対的な正しさは論証できない。 はあくまて誰力の解鄧にすきない 7
ンヨーベンハウアー〈しょーベんはうあ↓・ 実存主一莪〈じっぞんしゅぎ〉↓ existentialism 、、 Existentialismus 山上の垂訓〈さんじようのすいくん〉・ ー、、 A. Schopenhaue 「 ( 一 788 5 一 869 the Se 「ョ0n 0 コ the Mount 、、 die Be 「 gp 「 edigt 人間の存在そのもの ( 実存 ) を中心に位置づけて世ドイツの哲学者。厭世主義 ( ペシミズム ) を説いた 『新約聖書』の『マタイによる福音書』 5 章でイエス・ 界のあり方を説明しようとする哲学の立場。実存主代表的論者。世界とは人間の自我の表れであり、人 キリストが行ったとされる説教。「こころの貧しい 間に本来的にある欲望は常に満たされないので人生 義は、人間を理性 ( 精神 ) と肉体で分離できる存在 人たちは、さいわいである」などのフレーズで知ら は苦しく不幸に満ちている、と説いた。ニーチェは とみなすのではなく、感じ、行動する全体としてと れる。 らえ、人間がみずから選択し行動することに重要性ショーベンハウアーを自身の哲学を準備した人物と を見いだす。ニーチェの哲学は実存主義の源流にも位置づけた。 自我〈じが〉↓貶、 139 位置づけられている。主唱者にハイデガー、サルト self 、、 lch. Selbst メルロⅡポンティなど。 真理〈しんり〉・貶 人間において、知覚、思考、意志などの主体とされ truth 、、、 Wah 「 heit プラトン哲学を根底に、物質や事象、生物、概念な るもの。外界と区別して意識される。自分自身。の終末疆〈しゅうまつろん〉・ こと。ニーチェは自我の存在は虚構であるとみなし ど物事すべてに存在するとされる本質の姿。 eschatology 、、 Eschatologie 世界の歴史には終末がある、とする宗教思想。ユダ ヤ教・キリスト教が代表的。キリスト教の終末論で生の哲学〈せいのてつがく〉↓ 2 自己愛〈じこあい〉↓ P108 、 142 philosophy Of life 、、 Lebensphilosophie は、すべての人間は一度復活し、神の裁き ( 最後の れんごく self-love 、、 Selbstliebe 四世紀後半から囲世紀初めにかけて、生きている生、 審判 ) を受けたのち、天国、煉獄、地獄へ振り分け 自分で自分を愛すること。自分で自分の価値を認め られる。 体験としての生の価値をそのまま受け止めようとし ること。超人は自分の価値の根拠を他人や世間の価 てヨーロッパで展開された哲学の流れ。代表的な哲 学者に、ショーベンハウアー、ニーチェ、ジンメル、 値観に求めず、自己愛だけで 100 % 自分を満たす主観〈しゆかん〉・ ことができる。ニーチェは、自己愛で満たされた者 ヘルクソンなどかいる subject 、、 Subjekt だけが本当に他人を愛することかできる、と考えた。 認識、思考、行為する人間の主体。主観は人間存在 の中心であり本質であるとされる。 西羊析ロ学〈せいようてつがく〉↓ 自己中、じ主〈じこちゅうしんしゅぎ〉・ P142 weste 「 n philosophy 、、 westliche PhiIosophie 類〕自我対〕客観 egocentrism 、、 Egoismus 西洋を中心に展開された哲学全体のこと。古代ギリ シアから中世ヨーロッパのキリスト教世界を経て、 自分をもっとも価値があると位置づけ、自分の感情、十戒〈じ。かい〉↓ 欲望、利益を最優先する考え方のこと。利己主義。 the Ten Commandments 、、 die Zehn Gebote 近世以降世界に広まり、多彩な発展を遂げてきた。 ニーチェにとっては、超人の生き方こそ自己中心主『旧約聖書』でエジプトから脱出した同胞 ( イスラ 10 0 義であり、人間らしい生き方である。 エル人 ) を代表して、モーセが神から授かったとさ 釜「・悪〈ぜん・あく〉↓ 6 good ・ evil 、、 gut ・ bÖse れる規律。偶像崇拝の禁止、安息日の遵守、偽証、 よいことと悪いこと。ニーチェはヨーロッパ社〈Äに 殺人、盜み、不倫の禁止などの決まりごとがある。 おける善悪の価値観の起源はユダヤ教・キリスト教 徒のルサンチマンに由来すると主張した。 15
「超人」はより人間らしい道徳を打ち立てる 桑朝 ; = 人間をより強く、高貴にする道徳 人間 人 超 挫折 ルサンチマン 敗北 一切のルサンチマンから 自由な状態 ( ⅱまっすぐ 感じ、考える状態 ) 0 。 新しい倫理道徳、理想、価値観を打ち立てる 満たされ ない欲望 遇 不 倫理、宗教道徳、社会道徳、善悪、伝統、因習、 既成概念、常識、「みんなのため」・ 弱い敗者 ( 畜群 ) が 自身の存在を正当化しよう としているだけ 超人とは、より 「人間らしい」人間のこと 間とは、与えられた価値観を疑うことも否 定することもなく、無批判に生きている人 のこと。ニーチェの一一一口葉でいえば、それは 「畜群」だ。家畜のように群れて生きる人々 にニーチェは強い嫌亜歳を示した。 大いなる正午の光に照らされた世界では、 畜群のような生き方はできない。人は自ら 行く先を見つけなければならない 赴人は、自分の内なる声にって、ム きること ) 、きる。 行動すべき」という畜群たちの声は、ただ のルサンチマンだ。惑わされず、自分にと っての「よいこと」を基準に、孤独に耐え、 徹底したニヒリズムの世界を歩いて行ける。 世間の価値観というしがらみをすべて振り 切った、自由な心で生きることができる。 「 3 つの惡」は 「 3 つの徳」になる 超人の目には、前節の肉欲、支配欲、我 欲はむしろ幸福をもたらすよいことに映る。 10 石
ーチェが指摘した「背後世界」 背後世界 ( キリスト教、哲学 ) 真理の世界 ( 、 0 「 5 なければならない」という制約 現象の世界 「人間は、より真理を目指 さなければならない」 0 絶対に到達 できない 必ず「現実」を否定する ことにつながってしまう 0 ことに問題がある点だ。 まず、キリスト教では、神がいる天国 が理想的な世界であり、そこに住むことを 許された人間こそが、理想的な人生を歩ん できた人である。しかし、理想的な世界や 人生など現実には存在しない。人間にはそ れらは、想像することしかできない。 したがって、「理想的な世界」「理想的な 生き方」を「この世」で実現することは不 可能である。それらは「あの世」 ( 彼岸 ) に おいてだけ、あり得るものなのだ。 どんなにキリスト教的に正しい人生を歩 んだ人でも、「あの世」の理想に比べれば、 はあり得ても の一すべてを肯定することは、きない , になるのど 真理 ( イデア ) と比べると すべてのものは不十分 ! イデアについても同じようなことがい える。イデア論に沿うと、現実では知覚で ひがん 7
もちろん なせなら世界の 出来事はすべて 密接に結びついて いるからね 苦しく、つらく イヤなもの : しゃあ 苦しいことも イヤなことも 肯定するの ? これらはすべて 世界を形作る 構成要素なんた 美しい、楽しい 快適なもの : ・ 0 世界の中から 「イヤなこと」 だけを取り出して 否定することは できない そうして ルサンチマンを排し 世界のすべてを肯定して 生きられる人 : ・ それは 世界そのものを 否定するという ことだからね それをニーチェは 「超人」と呼んだんだ 超あ 人っ 田 自分で価値観を 創造して生きること ができる人物像の 総称なんだよ そう 「超人」とは別に ーマンや 英雄のこと じゃない あーよんー 0 9
「本当の〇〇」を考えるから苦しくなる 「自分を探 したい」 真理の世界 本当の自分 ( イデア ? ) " 「本当の自 分を見つけ たい」 「自分の本当 の力はこんな ものじゃない はずだ」 ・まず「今の自分」を否定することから始まっている ・どれだけ成長しても本当の自分よりは劣っている 「こんなものは ただの虚構に すきない」 ()y ニーチェ ) ・いつまでも自分の人生を肯定できない ・満たされた生を送ることができない 世界のとらえ方を変えることが必要 ! きない真理の存在を設定した状態で、もの の美しさや正しさを評価することになる。 理想に比べれば、何事も完璧ではありえな まして「美のイデア」「善のイデア」な どは、内容を満足に記述することすら、不 可能となる。 「 1 ごロ月 か小に 1 」と、も あ - る」、としか ことができなくなってしまう ニーチェは、同時代人がいつのまにか設 定しているこのような別次元の世界 ( あの 世 ) を「背後世界」と呼んだ。背後世界 が前提する価値観を理想とし、人間はそこ を目指して生きるべきである、という考え 方に間題があることを指摘したのだ。 「本当の自分」も 遠近法的思考の一つ 背後世界の存在が間題なのは、それが必 ず「現実を否定する」という結論を導くこ とにある。絶対に到達できない世界に理想 イ 8
なみ - ”主張 自分の意のままにならない ことを「運命」と片づけて、 逃げ道にしてはならない 運命とは、日常に起こる すべてのこと。そのすべ てを受け入れよう , 世界は、苦楽、悲喜 こもごもが混ざり合 い構成されている あるべき人間、これは「あるべき樹木」とい うことと同じく、私たちの耳にはいとわし く〕く。 『権力への意志』 ( 332 ) よおく 小鬟し 自分もその世 界を構成す る一員である ことを自覚し 快適さなどと絡み合って、世界を構成する 要素となっていることを忘れてはならない 自分の好きなものだけに囲まれる世界は、 表面的には美しいかもしれないが、舞台セ ットのようなもので、もろく、味気ない 何か一つが欠けても、それは「世界」「現 実」とは異なる存在となる。あなたは世 界の一員だ。今ここにある現実は、あなた がつくりだしたものでもあるのだ。 ニーチェは、「あるべき人間」などとい うのは、「あるべき樹木」というのと同じく、 滑稽で理にかなわないものだと述べている。 「現実はこうあるべきではない」と嘆き悲 しむのは、現状を、自分自身をも否定する ことになる。「 ~ のるべき」とい一つ枠か、らは み出したものは、どんどん捨て去られ、後 悔と失敗だらけの人生になってしまう。 私たちは、いま、この瞬間の世界に自分 が深く参加していることを実感し、ここで 生きていくのだと腹をくくろう。生とは強 く生きることなのだ。 ニーチェから私たちへー 2 5 7
、る ) チらけ 暇そうに してますが あっ : ・ヤ′ 代理講師たっ : ・ 進んてるんてすか " ・ や 2 や「てますよー この世界に 一一客観的な「事実」 などない ただ各人の 「解駅」があるだけ ニーチェは そう言い切った んだよ 正解でも 間違いてもない たから この世界には もともと絶対的な 「善悪」など 存在していないんた 人生の希望も ゴールも 、ナにすぎなー 見せカ【 楽勝だったはすの哲学のクラスで落第の危機ー 一一 ~ ' 焦って情報収集をする主人公まどかは : インターネットで出会った男性を通して ニ 1 チェの哲学を知る。 その思想の深みに触れたとき、 彼女に見えた世界の景色とは もちろん 正義も 存在しない 世界は無価値なのだ これを簡単に 「神は死んだ」と 表現したんだ そんなあ : そんなの なんか夢も希望も ないよーっ : そもそも人間の真理とは究極のところ何なのた ? それは人間の論駁不可能な 錯覚である。 - ーーー『悦ばしき知識』 ろんばく
0 人生のすべてを肯定する る宣 いいんだもん 道行くアリさん たちの飢えを 満たしてあげた んだもん : ・ その肯定は 少し違うと 田つわ : 0 超人への道は 遠いのてあった とき、人は虚無を望む、とニーチェはいう。 望むことに意味のない世界で生きるなら、 と望むの せめてこの生が終わってほしい、 である。 だが、その望みすら意味はない。 なぜなら、永遠回帰の世界では、未来は 過去につながっている。未来を経て過去を 経て、再びいまに戻ってくることが永遠に くり返されるのだ。「人生を終わらせる」 ことの意味すら否定される世界が、徹底し たニヒリズムによって展開されるのである。 終わりすら望めない、永遠に無価値な生 。そんな、望みを持てない世界に耐え、 生きていられるために、人間は人間を超え るしかない。それが超人の強さなのだ。 徹底したニヒリズムを 正面から受け止める 超人は、ニヒリズムを正面から受け止め、 それに耐え、自分の足で立ち、歩いて行く ことができる。そのために必要なもの、そ
永遠回帰の人生を肯定する 等しく無価値な状態が永遠に、 無意味にくり返される ま。。すべては値 すべては肯定される Yes! 人生すべてを 受け入れたことになる ( すべては等価値だから ) ある瞬間に決断し、 「ありのままの世界」 を認め、肯定する 永遠回帰を克服した人生 ・ありのままの自分を認め、自分のあり方ありのままの人間を肯定する : を肯定する 情欲、性欲、情動、陶酔・・・ ・自分だけの生き方を確立する ( 責任ある 生き方、後悔しない人生 ) ( 強者、弱者が本来的に存在することを認める ) ニヒリズムを克服する勇気 永遠に続き、くり返されるという世界観で ある。努力したら人は「成長した」と思う。 だが、ニヒリズムの世界では、何も変わ ったとはいえない。そんな空しい生が永遠 にくり返される世界である。 そもそも「望むこと」自体に意味がない 「勉強していい大学に人りたい」「貯金して しい腕時計を買いたい」「自分を磨いていし 男と結婚したい」。現代人はさまざまな未 来を手に人れようとして自分を磨く けれども、未来において手に人れようと している " それんにも価値はないのだ。む ろん、手に人れようとして努力することに も価値はない。「欲しい」と思うのは、そ れに価値を認めるからだ。そんな望みに価 値はない。 すべてが無価値の世界では 終わりり望めない そうはいっても、人は望みを持たなけれ ば生きることはできない。だから、そんな