力への意志 - みる会図書館


検索対象: まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!
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1. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

1 力への意志 せめき合い、間的にある形・現象をとる ( 世界は「カへの意志」のせめぎ合いの連続 ) 教 宙 学 科 然 自 思想 ムロ 政 伝統 争 族 民 国家 道 婚 い口 「意志」に 主体や帰属性はない そもそも「意志」とい一つ言葉のイメージ に惑わされて、私たちは本質を理解しづら くなっている。 日常生活において、意志という言葉は「私 の意志で離婚を決めました」「強い意志を持 って、上司に僕の意見を言ってやる」とい うように使うのが普通だからだ。そのため、 「生を動かすのはカへの意志」と聞くと、 考える力を持った「誰か」や「何か」が 私たちを乗っ取り、操っているかのように 錯宀見してしま一つ。 しかし、カへの意志は、何らかの主体が 持つ意志ではないし、帰属性もない。目的 ) て、それぞれの力を常に大きくしよう るもの ある。 132

2. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

な = ーチ、・主張 ーチェの「生」は、あらゆる 事物の発展、生起、衰退など 広い範囲を意味する 生を動かすものこそ、カへ の意志である 力への意志は、ひた すらに増大すること を目指す。そこに主 体性や目的はない 世界は、自らを 増大させようと するカへの意志 が拮抗して成り 立っている のロⅲ t れ 意志の不自由か自由か ? 「意志」というも のはない。 これは、「物質ーと同じく、悟性が 単純化するために構想したものにすぎない 『権力への意志』 ( 671 ) 力は単独で存在せず 互いに拮抗し合っている 力への意志によって成り立っ世界では、 それぞれが自らを最大化しようとして力を 拮抗させている。複雑に絡み合いながらバ ランスをとる世界。この思想をもって、ニ ーチェは世界にある、あらゆる事象を解き 明かそ一つとした 力への意志は生成し終えることはない ゴールはなく、無限大に大きくなろうとす る。窓から見える風景、日々もたらされる ニュース、自分の肉体、なにもかもが生き ている。それこそが生の本質であり、そこ にはカへの意志があるというのがニーチェ の考えである。そしてカへの意志を体現で きる人間を「超人」と呼んだのだ。 古今東西、誰もが生きる意味や目的を考 えてきた。だがニーチェは生に意味を求め ない。なぜなら、生を動かす力への意志は、 目的やゴールを持つものではないからだ。 ニーチェが見た生の真実 733

3. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

三れ r 4 cl 自然界の法則 私たちの生活から 見えてくるカへの意志 ものごとの起こりや発展など、あらゆるところに力への意志。、 ~ があるとニーチェはいう。では、どのようなところでカへのツ「三ー 意志が働くのか。具体例から考えよう。 あらゆる力の組み合わせにおける権力への意 志は、より強い者に対してはわが身を守り、よ り弱い者に向かっては突進するとき、いっそ 0 e 、つ正しい 『権力への意志』 ( 655 ) 力への意志はどこで働いているのか ? 月と地球が衝突しないのは 力への意志が存在するから ニーチェは、自然界の至るところでカ への意志が働いていると述べている。 人間なら、食物を摂取して栄養を補給し、 呼吸によって酸素を取り込み、排泄によっ て毒素を出す。それぞれがカへの意志だと ′ヾランス balance 神の存在 the world 0f nature はいせつ existence Of GOd

4. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

を = ーな主張 力への意志は自然 界のいたる所で作 用している 神は権力への意志の発展における一点であ 0 り、この一点から、それ以前の発展、そこま での発展と同じく、それ以後の発展も説明さ のれるであろう。 『権力への意志』 ( 639 ) 私たちが見聞き し、経験し、不思 議に思うことは 力への意志をも って説明できる よおく 小し そのなかには 「神の存在」も 含まれる る伝統、結束し助け合う血族、ひいては民 族や国家といった共同体もまた、カへの意 志によって成立していると考えた。そして、 私たちが人生のなかで見聞きすること、経 験すること、不思議に思うことのすべてを、 「カへの意志」でとらえることができると 主張した。 さらにニーチェは、神の存在をも力へ の意志をもって説明づけようとした。彼に よれば、神とはさまざまな力が極限まで大 きくなった状態だという。しかし力への意 志は生成し終えることはない。極大にまで 膨れ上がったように見えても、それは一瞬 のことであり、限界はない。したがって固 定した神は存在しえないという結論に至っ ている。 力への意志で貫かれた世界にいることに 思いをはせるとき、私たちは世界が密接に 絡み合っていることを深く実感できる。そ して自分がそこに参加する一員であること も理解できるのだ。 力への意志はどこで働いているのか ? 737

5. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

「気持ち」も力への意志で生まれている 1 つの「カ」が勝る 力への意志 合い 「〇〇したい」 = 欲望 △ 0 対立・抑制 ・善悪の基準 「人は ~ するべき」・倫理的な価値観 ・道徳的な教え 人間本来の「自然なあり方」 に反する尺度 いのだ。 人間の内部にあるカへの意志も、自己自 身がより増大していくことを求めているわ けだ。例えば、十分に睡眠をとって「ああ、 よく寝た。今日は朝からとっても気分がい いな」と思う。だがそれは、カへの意志が 自己の拡大を追求するために睡眠をとらせ たのだ。十分な睡眠がとれた結果として、「快」 という解釈が生まれたにすぎない 1 章で自我について触れたが、ニーチェ によれば、「私が感じた」と考える ( 主観 の存在を信じる ) ことも、カへの意志によ る解釈である。「そう解釈したい」という 欲求に由来するだけのことなのだ。 人が考える人生の目標、目的、意味も、 力への意志の表れといえる。人間は、自分 の考えで人生を選択しながら生きていると 思いがちだが、 単に力への意志の「より強 くなりたい」「より成長したい」という要求 によって目標、目的、意味を設定している 。こけ・、とい一つことになるのだ。 感情もまたカへの意志である 9

6. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

物理現象とカへの意志 力への意志 軌道が決まる バランス いう。植物なら、芽吹き、光に向かって伸 び、やがて花を咲かせ、子孫となる実を残 し朽ちていく。この過程も力への意志だ。 な さらに、カへの意志は、それぞれが自分 きっこう し の力を増大させようと拮抗している状態で ある ( 前ページ参照 ) 。例えば、月と地球 の間には引力が働いている。引力のみでは、 ま 月と地球は接近し、衝突してしまう。しか し月には遠心力がある。引力と遠心力が互 的 いの力を出し、拮抗することで、バラン 目 やスは保たれ、月の軌道が定まるのだ。そ こに、司令塔となるような存在はもちろん、 図 意志や目的などはなく、たた上第と て言教も地の引 っ一つトるのてを 意 衝突せずうまい具合にバランスをとってい をとリに自と欲らま 的」キ」者】つ、 る」という事象があるのみだ。 目たば志導いる - J がれ意」指とえー ぶつかり〈日っことで のをョ力す人た 会スチ「在、り 自 バランスが保たれる 教ン一の内せ守い ラニちにさをて たら定場し 象 日常の風景で考えてみよう。突然、プレ みの者彼安立こ な界方導 ' 。をい起見 ち世い指の位高き萋 イクするお笑い芸人がいる。きっかけはわ からない。気づけば毎日テレビで見かけ、 力への意志はどこで働いているのか ? 地球 力への意志 5

7. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

込三れ r 酬 II い こころの中でも 力への意志が せめき合っている 0 人間の感情もまた、カへの意志によって動いている。そこに 善悪は存在せす、湧き上がる情欲や性欲に身をゆだねるべッ きだとニーチェは説く。 ロ快と不快を喚起するものの何であるかに関す る決定は、権力の度合いに依存している。 『権力への意志』 ( 669 ) 感情もまたカへの意志である 快と不快 leasure and displeasure 感情 e Ⅱ 10ti0 れ 欲望・性欲 超人 私たちの快・不快も 力への意志が司っている 人は心地よい、うれしいと感じたり、不 愉快だ、悲しいと感じる。こうした快と 不快、感情の動きも、カへの意志が司っ ているとニーチェはいう。意識レベルで起 こっていることでも、根源的な現象ではな (sexual) desire Ubermensch

8. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

「カへの意志」はあらゆるものに宿る 力への意志 より貪欲に 00 より深く より徹底的に より満ちて より遅剽に より豊かに より高く より激しく より自由に より強く 」より多く より広く より「死」から遠ざかろうと する内在的な生の働き の始まりや終わり、歴史の発展、文化の移 り変わり、思想の発展などを含むものであ り、その範囲は非常に広い その「生」を動かしているのが「カへの 意志」である。ニーチェの著作では「権力 への意志」と訳されている場合もあるが、 野心家の上昇志向をイメージさせる「権力」 という一言葉は似つかわしくない が誤解を受ける要因にもなっている。 力への意志とは、カの拡張と増大に向か う意志を指す。無限に増大することをめざ す絶え間ない動きなのだ。もっと強く、も : と、さらなる っと多く、もっと豊かに 高みを目指し続け、立ち止まることはない。 「生」を「人間」とあてはめて考えてみよう。 私たちの内部にある、理性や感情が私たち を突き動かすのではない。人間を支配する のはカへの意志。そこには何かに向かって 突き進むべクトルのような強い能動性があ るのみ。動きに善悪の基準はなく、ただ高 みに登ろうとするだけなのだ。 ニーチェが見た生の真実

9. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

hie 三 r より強く、より高みへ 生を突き動かす 」カへの意志 0 ニーチェ哲学で重要なキーワード「カへの意志」。実は生命の 根源的な力を信じる純粋な明るさに満ちている。ますは全ッ 体像を眺めてみよう。 ニーチェが見た生の真実 およそ生あるものは、何はおいてます、自ら の力を発現しようと欲するものだ、ーー生その ものが権力への意志なのだーー 『善悪の彼岸』 ( ) * 原文ママ 無限に契することをめざす 絶え間ない動き ニーチェは「カへの意志とは、生その ものである」と説く。その意味するところ を見ていこう ニーチェの指す「生」とは、単純に人 生や生物のみを意味するのではなく、物事 力への意志 the will tO the power 超人 life Ubermensch

10. まんがと図解でわかるニーチェ : 「超人」「ニヒリズム」…ニーチェの思想が2分で理解できる!

なみを主張 快を求める人間の欲望も また、カへの意志の働きが もたらす結果にすぎない 力への意志がもたらす欲望 を抑え込んではいけない 欲望に身を任せ、 あるがままを受け 入れる人こそ超あ 人である 超人は前例にとら われず、変化を受 け入れる創造的な 人間といえる すべての「目的」、「目標」、「意味」は、すべて 皿の生起に内属しているただ一つの意志、すな わち権力への意志の表現様式であり変形であ のるにすぎない 『権力への意志』 ( 675 ) た善悪や価値、目的などを一切無視し、自 身のカへの意志こそ「よいもの」として体 現できる人間といえる。 ゅうぜん ありのままを受け人れ、悠然としていら れる超人は、自分のカへの意志に身を任せ、 つねに変化し、自分を超えていこうとする。 非常に創造的な人格といえよう。 超人は、何か決断が迫られる場面に直面 したとき、過去の事例や、先人のアドバイ スにとらわれず、自分の意志で決断できる。 恐れてもいないから人目を気にせず、前例 に流されず、堂々としている。 自らの決断をもとに、人生の課題にカゝ ドそんな姿勢を貫くうち、人生は確実に 変わる。そしてどんどんおもしろくなる。 予測できない未来を恐れるあまり、固定 概念にばかりとらわれている人生は、どん なに実りが少なく、つまらないものだろう。 自分の生をまっとうするために、ニーチェ は超人としての生を説いている。 ~ 感情もまたカへの意志である