リスクを抑え、他人資本で資産形成。 サラリーマンのローリスクマンション経営 第 3 章 空室・滞納リスク対策の王道は サブリースの空室保証 完成済みのワンルームマンションで空室リスクの回避・軽減を図る手段として王道とも いえるのは、サプリースと呼ばれる契約形態です。サプリ 1 ス事業を手掛ける不動産会社 がまず、住戸を所有する投資家から一定の期間にわたって借り上げ、それを入居者に貸し 出す形態です。投資家と不動産会社、不動産会社と人居者、 2 段階にわたって建物賃貸借 契約を交わすわけです。投資家と不動産会社の賃貸借関係をマスターリース、不動産会社 と人居者の賃貸借関係をサプリースと呼びます。ここから派生して、不動産会社と投資家 が直接に賃貸借契約を結ばない場合でも、それと同等の空室保証契約が交わされる場合に は、やはりサプリ 1 スと呼んでいます。空室保証と同じ意味と考えていただければ良いの ではないかと思います。 投資家にとってみれば、不動産会社が一定期間にわたって借りてくれるわけですから、 その間、人居者が決まるか否かを心配する必要がありません。しかも、先ほどふれた滞納 103
「都心」「ワンルーム」が狙い目 ! 自己資金ゼロから始めるマンション経営の極意 第 5 章 という点です。本書では住戸万円を想定しています。数千万円規模と考えてい しでしよう。これに対して、都心立地なら先ほど挙げたようにアパートでも—億億 5 万円程度です。ワンルームマンションになると 5 億円程度は想定する必要が出てき ます。もちろん、同じワンル 1 ムマンション 1 戸でも、中古なら 2 万 3 万円規 模の安いものも見られます。いずれにしてもワンル 1 ムマンション—戸というのは、投資 規模として手ごろであるという良さを持っています。 住戸単位で投資する第 2 の良さは、ワンルームマンション経営では不可欠とさえいえる リスク・マネジメントが可能であるという点です。 住戸単位の投資では、不動産管理会社のサプリ 1 ス ( 空室保証 ) を前提にしています。 それによって、空室・滞納リスクの回避・軽減を図るわけです。ところが 1 棟丸ごと投資 ここでも、ワンルームマン の場合には、それを前提にできません。なぜでしようか ション—戸への投資とアパート 1 棟丸ごとへの投資を比べます。 ワンルームマンションの住戸単位で投資する場合には、投資家である区分所有者で構成 する管理組合がマンション全体の維持管理にあたります。そして実際の管理業務を、不動 産管理会社に委託します。その不動産管理会社はマンション全体の維持管理を事実上担当 209
不動産会社に賃貸すると同時に、その管理業務を委託することになります。その委託手数 料を指します。これもまた、不動産会社によって差が見られるのです。やはり業界各社を 見渡すと、少ない会社で家賃の川 % 程度、多い会社で家賃の % を超える場合もあるよう です。投資家にとってはコストですから、ここで委託する管理業務の内容に差がなければ、 安いに越したことはありません。 そもそも、こうした管理業務を委託する必要があるのは、冒頭から申し上げている通り、 ここで想定しているのがワンルームマンション投資ではなく、ワンルームマンション経営 だからです。マンション経営の一つである管理業務は多岐にわたります。手間が掛かり、 まとめることでコストダウンを図りやすい業務だけに、手数料を支払ってその道のプロで ある不動産管理会社に任せてしまうのがベストです。 その一つは、人居者の確保です。それには、部屋を探している人が情報を求めてアプロー チする賃貸仲介会社を決めなくてはなりません。当然、この時には家賃を設定することに なります。家賃を安めに設定すれば、人居者は確保しやすいかもしれませんが、家賃収人 は一定程度に抑えられてしまいます。家賃収人をできるだけ上げようと家賃を高めに設定 すれば、人居者を確保できない恐れが生じます。入居者を確保できる範囲内で適切な水準 108
「都心」「ワンルーム」が狙い目 ! 自己資金ゼロから始めるマンション経営の極意 第 5 章 いたことのないような不動産業者から中古ワンル 1 ムマンションを購入しました。それが、 大きな失敗でした。購人後、その業者は音信不通になってしまったのです。結局、不動産 の管理は大手の不動産業者に委託しています。上場企業でも倒産するような時代だからこ そ、名前も聞いたことのないような小さな不動産業者は、もっと危険なんだということを 実感しました」 中古ワンル 1 ムマンションのハードルの低さは、投資家だけでなく不動産会社にとって も同じです。資本規模の小さな会社でも、ワンル 1 ムマンション 1 戸を自ら購人して、サ ラリーマン投資家に販売する事業に、簡単に乗り出せます。 しかしワンル 1 ムマンション 1 戸を購人する投資家としては、住戸をただ購人しただけ では投資になりません。そこに運用の仕組み、つまりワンルームマンションならではの経 営システムが備わっていて初めて、そのワンルームマンションが投資商品として意味を持 つのです。こうした経営システムの提供まで考えると、新築だろうと中古だろうとワンルー ムマンションを取り扱う事業に乗り出すのは、決して簡単ではありません。そこを見失わ ないようにしなければなりません。 埼玉県にお住まいの・ z 様 ( 歳 ) は公務員です。ネットサーフィン中にたまたま目 2 1 7
先にご紹介した代のお客様も指摘されていたように、ワンルームマンション経営では、 不動産の運用に必要な実務、つまり不動産管理はその道のプロに任せる仕組みです。だか らこそ、仕事を持っているサラリーマンでも続けられるわけです。その運用を任せるプロ かここでい , つ。、 ートナー会社に当たります。新築ワンル 1 ムマンションの場合には、開発 から、建築、販売、管理まで、一貫して担うグル 1 プ会社が、このパートナー会社に当た ることもあります。中長期の運用を考えるのであれば、当然、その会社とも長い年月にわ 、こナに、そこが信頼できる会社であるか否かは、 たって付き合っていくことになっていくた。 投資家にとって非常に重要なポイントになります。 中長期の運用に向けた バートナー選びのセオリーとは 計 3 人のお客様を紹介させていただきました。夢の実現に向けて、また将来の豊かな生 活に向けて、それぞれに明確な意思を持って取り組まれていることをご理解いただけたか 2 3 8
取ろうとすることが考えられます。人居者はワラをもっかむ気持ちで連絡するのでしよう が、管理業務は不動産会社に任せてあるサラリ 1 マン投資家にとっては、はなはだ迷惑な 電話に違いありません。サプリースの形態を取ることによって、こうした迷惑電話が掛かっ てくるかもしれないというストレスにさいなまれることがないわけです。 会社によって異なる サブリースの契約期間や手数料 ただし、サプリースでありさえすれば、何でも安心と勘違いしないようにしてください。 ひと口にサプリースと言っても、それをうたう不動産会社によって具体的な内容はさまざ まだからです。その点は、十分に気を付けていただきたいと思います。 では、何が違うのか。 一つは、マスターリースの契約期間です。これは、空室・滞納リスクの回避を図ること ができる期間に相当します。従って、長いに越したことはありません。ところが業界各社 1 06
著者紹介 相田健一良 ( あいだ・けんいちろう ) 株式会社シノケンハ ーモニー取締役部長、株式会社シノケングループ戦略本部 部長。 2015 年 8 月より株式会社シノケンアメニティ取締役兼任。 年株式会社日商ハーモニー人社後、—年半で引件の販売実績を挙げ、シノケン グループ全社でトップセールスに。そのうち約半数は紹介・リピート案件と、 顧客からの信頼が厚い。 2014 年上期、年上期と、会社を首都圏の投資用 マンション販売戸数ナンバ ーワンの実績に導く。現在も顧客の声に耳を傾け、 不動産を用いたより良いライフプランの提案を行っている。住宅・不動産の専 門紙「住宅新報」、「週刊住宅」など掲載実績多数。 装丁・本文デザイン萩原弦一郎十藤塚尚子 ( デジカル )
オーナーである投資家負担と定めている会社が見られる一方で、サプリース事業を手掛け る不動産会社の負担と定めている会社も見られます。オーナ 1 と不動産会社の間で一線を 引いて、互いの負担区分を明確に定めている会社も少なくありません。 なお、原状回復の費用負担をめぐっては、従来賃貸人と賃借人との間でトラブルが絶え ませんでした。そうした背景の下、東京都は「東京ルール」とも呼ばれる賃貸住宅紛争防 止条例の制定と賃貸住宅トラブル防止ガイドラインの作成を通じて、費用負担をあらかじ まではこの「東京ル 1 ル」 め明確に定めることによってトラブル抑止に乗り出しました。い で示された考え方に基づき、賃貸人側の負担を重くする傾向があります。ここまで見てき たように、ひと口にサプリ 1 スと言っても、具体的な取り組み方には差が見られるのが実 情です。その契約形態だけに安心するのではなく、具体的な内容まで踏み込んで確認して おくことが求められます。
地震リスクへの対応のなかでご説明した通りです。 そして第二に必要になるのが、適切な維持管理です。鉄筋コンクリ 1 トの劣化であれば、 少しでも早い段階で察知した上で適切な処置を施したり、維持管理に向けてあらかじめ定 めた計画に従って修繕工事を施したりすることが欠かせません。これら維持管理に必要な 費用は、通常の分譲マンションのように建物完成時から積み立てておくことになります。 こうしておけば、修繕工事が必要になっても、そのお金で工事費用を賄えます。区分所有 者である投資家は、必要性が発覚した時点で初めて突然の出費を迫られるという事態を迎 えずに済みます。中古の分譲マンションを購人するとき、「管理を買え」とよくいわれます。 区分所有建物の資産価値を維持するということにとって、維持管理はそれだけ重要なこと なのです。それは、投資用ワンルームマンションでもまったく共通です。 管理の経年劣化を防ぐ適切な維持管理とは、一元化です。専有部である住戸の管理業務 を受託する不動産管理会社は—社であることが望ましいのです。さらにマンション全体の 管理を受託する不動産管理会社もそこと同じであることが理想です。そうできれば、マン ション全体の共用部も専有部も同じ不動産管理会社で管理するわけですから、全体として の統率を取りやすくなります。確かに、区分所有者とそれによって構成される管理組合の
リスク、つまり人居者が家賃を支払ってくれないというリスクも回避することができます。 空室リスクと滞納リスクという、マンション経営で最も注意しなければいけない 2 つのリ スクを同時に回避できるものなのです。 月額家賃 8 万円のワンルームマンションを例に考えましよう。これを仮に、サプリース の形態は取らずに、一般の賃貸住戸として貸しに出したとします。人居者が 1 年間ずっと 住み続けてくれれば、年間の家賃収人は万円です。しかしこの場合、空室リスクを見込 む必要が生じます。仮に年間のうち 2 カ月は空室になってしまうとすると、年間の家賃収 人は家賃 2 カ月分減りますから、万円に抑えられます。ただしそこはあくまで想定です から、明確な事業収支は立てにくいという問題も生じます。 ところが、不動産会社のサプリースであれば、どのような計算になるでしようか。市場 家賃、つまり不動産会社が人居者から得られる家賃が 8 万円ですから、不動産会社は当然、 それより安い家賃で住戸を投資家から借り受けることになります。これを仮に 7 万円とし ましよう。この 7 万円は市場家賃よりは安いものの、投資家は毎月、確実にこの家賃収人 を得られます。年間の家賃収人は従って、 7 万円 / 月にカ月で制万円と計算できます。 貸しに出す住戸に実際に居住する人居者が決まらなくても、投資家はこれだけの金額を手 1 04