保険料を支払って団体信用生命保険に加人しておけば、ロ 1 ンを組んでワンル 1 ムマン ションを購人した人が、万が一死亡したり所定の高度障害に陥ったりした場合、ローンは その保険によって完済されるという仕組みです。相続人はワンルームマンションを相続す るものの、その時点の借人残高は相続しないで済みます。所有権の移転登記等の諸費用以 外には新たな費用負担なしに、不動産を取得できることになるわけです。通常、生命保険 の場合、遺族には保険金という現金が残されます。この場合には、現金の代わりに不動産 が残されるのです。しかも、その不動産は資産価値が見込める上に、投資用不動産として 一定の収益を生み出してくれます。つまり、収益を生み出す資産が残されることになるわ けです。それがあたかも、生命保険と同等の効果を生み出すようなものであることから、 団体信用生命保険に基づくこのメリットを、生命保険効果と呼んでいます。 生命保険と同等の効果とはいえ、比較すると、ワンル 1 ムマンション経営の良さの方が 際立ちます。生命保険は死亡時の保険金額万円のものに加人したことを想定して 試算します。契約時の年齢によって保険料の払い込み期間に差が生じます。払い込み終了 を 8 歳に設定すると、払い込み期間は契約時の年齢が跖歳であれば肪年間、同じく歳で あれば年間と設定できます。この間に払い込む月額保険料は、契約時年齢跖歳で 3 万円 1 94
に納付済みだからです。意識に上ることはまずないでしよう。 ところがワンルームマンション投資に乗り出すようになれば、その事業収支を確定申告 によって税務署に申告する必要が生じます。それが、所得税や住民税に節税をもたらすの に欠かせない手続きになります。 なぜ、所得税や住民税に節税効果が見込めるのでしようか。まず所得税や住民税の仕組 みから簡単に説明していきましよう。 所得税や住民税はともに、サラリーマンとしての収人に課されます。ただし課税の対象 になるのはあくまで課税される所得です。給与収人そのものとは異なります。課税される 所得は、給与収人から経費に相当すると考えられる給与所得控除を差し引き、さらに所得 控除を差し引きます。この所得控除には例えば、生命保険の保険料を支払っている場合に 適用される生命保険料控除、健康保険・国民年金・厚生年金保険・雇用保険といった社会 保険料のうち被保険者としての負担分を差し引ける社会保険料控除、一定の条件を満たす 配偶者や子どもなどを対象とする配偶者控除や扶養控除、誰にも共通に一定の額が適用さ れる基礎控除などが含まれます。給与収人からこれらの控除額を差し引いた金額が課税さ れる所得です。そこに税率を乗じることで税額を計算するのが基本です。 142
ンルームマンションという資産であればどうでしようか。現金収人は家賃収入ですから、 毎月定期的に家計に組み込まれる給料のようなものです。いざというときには、その資産 を売却することによって、もっと大きな金額を生み出すことも可能です。大事なご家族へ の資産の残し方としては、こちらの方が安心に違いありません。 しかし第 4 章でご紹介した購人条件では、この団体信用生命保険料はゼロになっていた はずです。保険料を支払っていないなら、生命保険効果は得られないのでは、と疑問に思 われるでしよう。ご安心ください。団体信用生命保険の保険料として別途徴収しない場合 には、ロ 1 ン返済の中で金利分として支払っていることになります。団体信用生命保険に 加人はしていても、その保険料の計上額がゼロということもあり得るのです。 一定の収益を将来にわたって確保し続けられるという点は、ワンルームマンション経営 の大前提です。節税効果の高さは、税負担が抑えられるという点では収益面でのメリット といえます。ワンルームマンション経営はこのように一定の収益を生み出すことができる というメリットを基本に、①インフレ対策、②年金対策、③生命保険効果、④相続税対策 といった将来への備えにつながるメリットが上乗せされた存在なのです。 そして、こうしたメリットを元手なしに享受できるという点も、ワンル 1 ムマンション 196
年収格差、年金不安、支出増加・・ サラリーマンも資産形成なしには生活が安定しない時代 第 1 章 です。そうであれば、その勧誘を断る理由はそうないかもしれません。預貯金と並ぶ割合 を占めている背景には、こうした事青もあるのでしよう。 では、個人年金には、老後への備えとしてどの程度のうまみがあるのでしようか。保険 会社で扱う保険型の商品を例に確認してみましよう。取り上げるのは、保険料を毎月定額 で積み立てて、歳以降、年金を一生涯受け取るものと、同じように保険料を毎月定額で 積み立てて、 8 歳以降、年金を川年間に限って受け取るものです。基本年金額はともに年 間 10 0 万円です。 まず、年金を一生涯受け取る商品です。ある商品では仮に歳で個人年金に加人すると なると、保険料は毎月約 5 ・ 7 万円、払込期間は歳までの年間です。これをもとに計 算すると、歳までの払込額は総額で約 2052 万円に及びます。一方で、保険料の払い 込みを終えた歳から仮に四歳まで生きてその年間にわたって年金額万円 ( 年額 ) を受け取るとすると、その総計金額は万円 x 年間で oaoco 万円です。つまり、 払込額の方が約万円多いという計算です。もう 1 年長く生きて初めて、払込額と年金額 、ほぼバランスする計算です。別歳まで生きるかどうか、実に微妙な年齢のように思いま す。 033
将来への備えとして預貯金と並んで取り組まれているものに、個人年金が挙げられます。 公的年金や企業年金とともに年金のひとつに数えられるもので、個人が任意に自助努力の ひとっとして加人するものです。公益財団法人生命保険文化センターが全国の慴歳から的 歳までの男女を対象に実施する「生活保障に関する調査」 ( 2013 年度 ) の結果によれば、 個人年金保険・変額個人年金保険や生命保険に加人している回答者の割合は全体の引・ 3 % ・ % 。 2 ケタに載せているのは、この 2 つだけです。 しいます。ちなみに預貯金は 保険商品とは一般に、サラリーマンになったのをきっかけに、またはサラリーマンになっ て結婚したのをきっかけに生命保険に加人することで、付き合いが生じるのではないかと 思います。そこで付き合いが生まれた保険会社の担当者から次に勧められるのが、恐らく 個人年金ではないでしようか。年金不安に象徴されるように、老後はもちろん誰もが不安 元本割れも生じ得る個人年金にうまみなし しになるかどうかという程度の額です。 032
次に、年金を歳以降川年間に限って受け取る商品です。ある商品では同じく S 歳で個 人年金に加人するとなると、保険料は毎月約 2 ・ 4 万円、払込期間は歳までの年間で す。これをもとに計算すると、歳までの払込額は総額で約 864 万円に及びます。一方 で、保険料の払い込みを終えた歳から 2 年間にわたって年金額万円 ( 年額 ) を受 け取るとすると、その総計金額は万円 x 川年間で万円です。約 864 万円 を払い込んで年金として総計万円を受け取るわけです。これは表面利回りでロ 6 % に相当する高さです。利回りの数値だけを見ると悪くはありませんが、決定的な問題 を抱えています。 8 歳から川年を経過した間歳以降は、個人年金はゼロになってしまうの です。 いずれにしても、個人年金の場合は保険商品によってそのうまみは大きく異なりそうで す。ただし、この例からも分かるように、亡くなる年齢によっては元本割れも生じ得ると いう点は、要注意です。 034
「都心」「ワンルーム」が狙い目 ! 自己資金ゼロから始めるマンション経営の極意 第 5 章 万が一の場合には、 無借金のマンションと家賃収入を残せる 第 3 に、第 4 章で少しふれたメリットがあります。生命保険効果です。節税効果を具体 的にお示しする試算の中でワンルームマンションの購人条件をご説明しました。その中に、 団体信用生命保険料という費目があったのをご記憶でしようか。これが、生命保険効果を もたらす元になるものです。 ん。しかし、これまで見てきたような仕組みから、相続時には評価額は半分程度に圧縮さ れると考えられます。資産総額からは、万円十万円 / 人 x 法定相続人数と いう算式で求められる基礎控除を差し引くことができるということもあって、相続税の課 税が発生しない可能性も十分に見込めます。 インフレ対策と節税効果と相続税対策ーーとの 3 つを、不動産投資一般に共通するメ リットではありますが、再確認していただきたいと思います。 193
「年金や給与の減少への不安があり、早いうちに準備する必要性を日々感じていました。 老後はお金に苦しむ生活ではなく、豊かな生活を送りたい。そのため、年金以外の収人を 確保しなければならないという気持ちが徐々に強くなってきました。マンション投資であ ればその不安を払拭できるのではと思い、まず情報を集めることにしたのです」 ワンル 1 ムマンション経営のメリットはここまでにいくつか挙げてきました。情報収集 するなかで・—様が感じられたのは、それらのなかでも生命保険効果だといいます。 「これまでは不労所得の部分にしか目を向けていなかったのですが、実際に話を聞いてみ て生命保険効果にメリットを感じました。自分に万が一のことがあっても無借金のマン ションと家賃収人を家族に残すことができるというのは魅力です」 結婚し家族を持つようになると、独身時代と違って、自分の稼ぎで家族を養うことにも なってきます。すると、自分に万が一のことがあって稼ぎがなくなった場合、家族はどう なるのかという不安が生じます。そのため、結婚を機に生命保険に加人するという人は少 なくないはずです。そのとき、不安を解消する備えとして選択できるのは、何も生命保険 に限りません。同じような役割を果たすことができるワンルームマンション経営という道 もあるわけです。・—様はそこに、目を向けられたようです。 2 3 6
年収格差、年金不安、支出増加・・ サラリーマンも資産形成なしには生活が安定しない時代 第 1 章 年金不安の正体、 いわゆる年金不安が、将来の家計見通しを不透明にしています。よくいわれるこの年金 不安とは、具体的にはどのような不安なのでしようか。将来の収人を左右するものなので、 ここで簡単に整理しておきましよう。 年金には大きく、 3 種類のものがあります。公的年金、企業年金、個人年金です。この うち誰もが加人するのが、公的年金です。その基礎を形作るのが、文字通り基礎年金とも いわれる国民年金です。簡歳以上になると、一定の年金を受け取ることができる制度です。 原資は、加人者の納付する国民年金保険料や税金から支出される国庫負担金です。会社勤 1 マンであれば、そこに厚生年金保険が上乗せされます。 めのサラリ 1990 年代後半に家計上の不安 公的年金制度の先行きが不安視される最大の理由は、 が急速に高まった理由のひとっとして指摘された少子高齢化の傾向です。 少子化と高齢化が進むと、なぜ公的年金の先行きが危ぶまれるのでしようか。それは、 「所得代替率」引き下げの恐怖 025
明らかになっています。 2014 年度の試算結果によれば、経済が低成長で労働力率が高 まらなかった場合、所得代替率が % を切ることが分かりました。労働力率とは、歳以 上の人口に占める労働力人口の割合です。非労働力人口には、学校に通う人や家事に従事 する人、そして高齢者などが含まれます。 公的年金財政にとって、労働力率が高いほど余裕が生まれるという状況はすぐにのみ込 めるかと思います。公的年金の財源の担い手がそれだけ多くなるからです。経済環境の良 し悪しは、財源の内訳に着目すれば、その影響の仕方をご理解いただけるかと思います。 財源は、現役世代や企業の納付する保険料、国庫からの負担金、そして運用可能な積立金 に分かれます。経済環境が良ければ、報酬月額やポ 1 ナスに連動する保険料が上がり、積 立金の運用も利回りの高さが見込めます。公的年金財政にとっては、経済再生が図られ、 女性も高齢者も多くが労働市場に参加してくれた方が、より安定するわけです。 従って、社会経済環境の先行きによっては、公的年金財政に余裕が失われ、収人と支出 のバランスを確保するために支出を抑える、つまり公的年金の給付額を削らざるを得なく なる、という図式です。この社会経済環境の先行きも不透明です。所得代替率 % を切る という試算結果で想定されるような環境にならないとも限りません。この不透明さもまた、 028