では、ワンル 1 ムマンション投資に伴うリスクには、どのようなものがあるのでしよう か。まずそこから、ご説明していきたいと思います。 何より警戒すべきは、空室リスクです。ワンル 1 ムマンション投資で収益の源泉になる のは、その人居者が支払ってくれる家賃です。つまり、人居者が決まらないことには、収 益は得られません。月額家賃川万円のマンションであれば、人居者が—年間ずっと住み続 けていれば、年間 120 万円の収人が見込めます。しかし、 8 カ月しか人居せず残りの 4 カ月は空室だったとしたら、年間収人として見込めるのはその 3 分の 2 である万円にす ぎません。—年間まるまる空室だったとしたら、年間収人はまったく見込めません。これ では投資の意味がありません。 人居者を確保できず家賃収人が得られなくても仕方ない、人居者が決まるまで待てばい いのでは : そんなふうに考えていたら、大間違いです。なぜなら、マンションは所有 収入はないのに 支出ばかりかさむ空室リスクの怖さ 088
ライフプランと目標資産額を具体的に設定。 マンション経営を成功に導く計画の立て方 第 4 章 ワンルームマンション投資で特徴的なのは、こうした出ていくお金の一方で人ってくる お金が、実は家賃収人に限らないという点です。空室保証を前提に考えれば、家賃収人が 人ってくるのは当たり前です。それは当然として、それ以外にも収人面でのプラスが見込 めるということです。 それが、不動産投資一般の強みでもある、いわゆる節税効果です。通常納めている税金 の額を節減することができるので、その分、家賃収人のようにお金が人ってきたのと同等 の収人面でのプラスが見込めるのです。従って、節税効果が高い方が事業収支上は有利に 働きます。 節税の対象は、所得税と住民税です。サラリ 1 マンであれば通常、所得税と住民税は納 めているでしようが、給与明細上でその存在は確認できるにしても、恐らく多くの方は納 めている実感はないと思います。給料の振り込みを受ける段階で、源泉徴収という形で既 家賃収入以外にも節税効果で 収入面のプラスが見込める 1 41
この年代は後で詳述するように、支出がかさまざるを得ません。お金が必要だからこそ、 現在の収人や資産について悩みや不安を感じざるを得ないのです。しかも一方で、収人は 減りこそすれ、増える兆しは見られません。 収人の伸びが見込めないと見られる実態は、国税庁が毎年実施する「民間給与実態統計 調査」の結果からも読み取れます。 2013 年とその川年前にあたる年の調査結 果を比べてみると、平均給与は各年代で減少傾向を見せています。その比率は年代によっ 川 % に達します。代後半では減 歳 ) で最も大きく、 て異なりますが、 S 代後半 ( 肪— 少率は 1 ・ 7 % にすぎませんか、代前半になると、それは一気に 6 ・ 6 % に膨らみます。 そして代後半でピークを迎え、代前半では 7 ・ 7 % 、代後半では 3 ・ 6 % 、代前 半では 4 ・ 4 % 、と次第にしぼんでいきます。代後半になると、定年退職を前に役職定 年などで処遇が変わることもあってか、減少率は再び大きくなって、 6 ・ 8 % に上ります。 いずれにしても、収人増を見込める状況でないことは、各年代に共通の傾向といえそうで す。 次に「今後の収人や資産について」の悩みや不安は、年代別にみるとどのような傾向が 読み取れるのでしようか。調査結果によれば、悩みや不安を感じる回答者の割合は代で 020
投資のリスクは至る所に潜んでいる 資産形成で初心者が陥る 5 つのワナ 第 2 章 いった保有税が課されます。これらの存在を決して無視できません。 利回りの数値を示すとき、表面利回りとは別に実質利回りと呼ばれるものが示されるの は、その表れです。表面利回りは単純に購人価格に対する家賃収人 ( 年間 ) の割合です。 購人価格を万円、家賃収人を川万円 / 月とすれば、表面利回りは、川万円 / 月 1 カ月 + 3 万円 x 1 という計算式のもとで、 4 % とはじき出されます。ところ が実際には、この家賃収人はまるまる投資家の手元に人ることはありません。先ほど挙げ たようなコストが掛かるからです。家賃収人からその分を差し引いた分だけが投資家の手 に渡るわけです。仮にこのコストを年間万円とすれば、実際の収入は同じ家賃 2 万円 / 月だとしても年間万円です。購人価格万円に対して年間収人万円と いうことは、利回りは約 3 ・ 3 % と計算できます。これが、実質利回りです。表面利回り に比べればいくらか低くなるわけです。 不動産投資の場合、収益性の良し悪しを見極めようとするなら、この実質利回りの数値 を確認すべきです。表面利回りには運用に掛かるコストがまったく反映されていないので、 収益性を見極める上ではほとんど意味のない数値なのです。投資に伴ってコストがどの程 度掛かるのか、この視点を忘れないようにしてほしいと思います。 073
そこにさらに、保証・代行手数料と管理費・修繕積立金、そして固定資産税という 3 っ の費目が加わります。このうち固定資産税は毎年 5 月ごろに課税額が通知される費用です。 1 年目は帳簿上ゼロとして計上しますが、実際には購人時である川月からの 3 カ月分を概 算し、購人時の費用に含めておきます。従って、帳簿上では 2 年目から計上することにな ります。 しのでしようか。 購人段階だけに掛かる登記費用と不動産取得税の 2 つはどう扱えばいゝ 登記費用は登記時点で支払うことになるので、—年目に計上します。その金額は購人条件 でご紹介したように間万円です。一方、不動産取得税は課税が発生するのは取得から約 1 年後ですから、 2 年目に計上することになります。その金額はやはり購人条件でご紹介し たように万円です。 次に収人を見ていきましよう。収人として計上するのは単純に、月額 8 万円の 家賃のみです。—年目は 3 カ月間しかありませんから、 3 カ月分の家賃収人で万 280 円を計上します。 2 年目は 1 年間フルに家賃収人を得られますから、 8 万円 / 月 x にカ月Ⅱ 105 万円を計上します。 こうして事業収支をはじくと、 1 年目は経費合計 116 万 2942 円に対して収人合計 1 5 6
リスクを抑え、他人資本で資産形成。 サラリーマンのローリスクマンション経営 第 3 章 建物の劣化がコストを押し上げ、 リターンを圧迫 リターンの振れ幅としてのリスクには、リタ 1 ンの源泉ともいえる家賃収人そのものに 影響を与えるもの以外にも、家賃収人から差し引く必要のあるコストに影響を与えるもの が考えられます。リタ 1 ンⅡ家賃収人ーコストですから、家賃収人に変わりはなくても、 コストが思いのほかかさんでしまうと、リタ 1 ンは下がってしまいます。つまり、コスト を引き上げる要因も、リスクとして認識しておく必要があるわけです。 このコストとしては、先ほど空室リスクにふれるなかで税金と管理費・修繕積立金を挙 げました。これらも変動し得るものです。 固定資産税は、土地・建物の価値を評価し直す評価替えによって税額が変わる可能性が あります。この評価替えは 3 年ごとに実施されるもので、年度がその年度に当たっ ています。土地の評価は国が毎年 3 月に公表する地価公示価格などをもとに、建物の評価 は同じ場所に同じ建物を建設する前提でいくら掛かるかをもとに築年数も考慮に人れた上 095
いやそれでも、変動金利でローンを組むとなると、金利が上がる可能性も念頭に置いて おく必要があるのではないか、そんな指摘も聞こえてきそうです。確かに、金利が上がる 可能性はゼロではありません。可能性はゼロではないのですが、重要なのは、それが返済 にどのように影響するかです。 金利が上がる局面では、 物価も上がり家賃も上がる ができるのかという将来への不安に行き当たると思います。先ほども申し上げたように、 返済原資は家賃収人です。従って、その不安とは家賃収人が将来にわたって見込めるか否 かという不安に置き換えられます。確かに、空室・滞納リスクを普通に負うのであれば、 不安が尽きないのもやむを得ません。しかし、リスク・マネジメントによって空室・滞納 リスクを回避・軽減できていれば、どうでしようか。返済期間中に家賃収人を見込めなく なるという事態に陥ることはないのです。 124
に納付済みだからです。意識に上ることはまずないでしよう。 ところがワンルームマンション投資に乗り出すようになれば、その事業収支を確定申告 によって税務署に申告する必要が生じます。それが、所得税や住民税に節税をもたらすの に欠かせない手続きになります。 なぜ、所得税や住民税に節税効果が見込めるのでしようか。まず所得税や住民税の仕組 みから簡単に説明していきましよう。 所得税や住民税はともに、サラリーマンとしての収人に課されます。ただし課税の対象 になるのはあくまで課税される所得です。給与収人そのものとは異なります。課税される 所得は、給与収人から経費に相当すると考えられる給与所得控除を差し引き、さらに所得 控除を差し引きます。この所得控除には例えば、生命保険の保険料を支払っている場合に 適用される生命保険料控除、健康保険・国民年金・厚生年金保険・雇用保険といった社会 保険料のうち被保険者としての負担分を差し引ける社会保険料控除、一定の条件を満たす 配偶者や子どもなどを対象とする配偶者控除や扶養控除、誰にも共通に一定の額が適用さ れる基礎控除などが含まれます。給与収人からこれらの控除額を差し引いた金額が課税さ れる所得です。そこに税率を乗じることで税額を計算するのが基本です。 142
リスク、つまり人居者が家賃を支払ってくれないというリスクも回避することができます。 空室リスクと滞納リスクという、マンション経営で最も注意しなければいけない 2 つのリ スクを同時に回避できるものなのです。 月額家賃 8 万円のワンルームマンションを例に考えましよう。これを仮に、サプリース の形態は取らずに、一般の賃貸住戸として貸しに出したとします。人居者が 1 年間ずっと 住み続けてくれれば、年間の家賃収人は万円です。しかしこの場合、空室リスクを見込 む必要が生じます。仮に年間のうち 2 カ月は空室になってしまうとすると、年間の家賃収 人は家賃 2 カ月分減りますから、万円に抑えられます。ただしそこはあくまで想定です から、明確な事業収支は立てにくいという問題も生じます。 ところが、不動産会社のサプリースであれば、どのような計算になるでしようか。市場 家賃、つまり不動産会社が人居者から得られる家賃が 8 万円ですから、不動産会社は当然、 それより安い家賃で住戸を投資家から借り受けることになります。これを仮に 7 万円とし ましよう。この 7 万円は市場家賃よりは安いものの、投資家は毎月、確実にこの家賃収人 を得られます。年間の家賃収人は従って、 7 万円 / 月にカ月で制万円と計算できます。 貸しに出す住戸に実際に居住する人居者が決まらなくても、投資家はこれだけの金額を手 1 04
投資のリスクは至る所に潜んでいる 資産形成で初心者が陥る 5 つのワナ 第 2 章 と、年調査までは % 台前半でほぼ横ばいに推移していましたが、年調 査で跳ね上がり、 2 12 年調査ではいったん下がったものの、 2 13 年調査では再び 別ね上がり % を超えました。その内訳を年間収人別に見ると、当然のことながら収人の 少ない層が多くを占めますが、必ずしも収人の少ない層ばかりではありません。年収 万円以上の層も 1 — 2 割程度含まれているのが特徴です。しかも、 2 —年調査以降 はその増加傾向が見て取れます。ここでは資産として不動産が除かれているので何とも言 い切れませんが、どうやら収人は豊かでも資産は貧しいという層が一定程度は存在してい そうです。 金融資産は保有している。しかし、その構成は預貯金程度で投資は未経験ーーこういう 層も少なくなさそうです。日本銀行が 2015 年 9 月に公表した「資金循環の日米欧比較」 と題したデータ集を見ると、そうした層の存在が浮き彫りになります。このなかに登場す る「家計の資産構成」によれば、日本では、家計の半分以上、 ・ % を「現金・預金」 が占めます。それに、「保険・年金準備金」 ( 跖・ 8 % ) 、「株式・出資金」 ( 川・ 6 % ) 、「投 資信託」 ( 5 ・ 7 % ) 、「債券」 (—・ 5 % ) と続きます。「現金・預金」のように元本が損 なわれることのない安全性が第一ということでしよう。 049