リスクを抑え、他人資本で資産形成。 サラリーマンのローリスクマンション経営 第 3 章 例えば劣化の一つとして、先ほど中性化を例に挙げました。鉄筋コンクリートの劣化は この他にもいくつか知られています。これらの劣化をあらかじめ防ぐ措置を取るというこ とも、地震リスクの回避・軽減に役立っことであると考えられます。 それは一つには、建築時から必要な劣化対策を講じておくことが挙げられます。対策が 講じられているか否かは、住宅性能表示制度に基づく等級表示で分かります。 この住宅性能表示制度とは、住宅に求められるいくつかの性能に関して、その建物では どの程度の性能を持たせているかを等級として示す制度です。ここで想定する性能は、① 構造の安定、②火災時の安全、③劣化の軽減、④維持管理・更新への配慮、⑤温熱環境、 ⑥空気環境、⑦光・視環境、⑧音環境、⑨高齢者等への配慮、⑩防犯ーーの川分野です。 住宅を購人する消費者としてはできるだけ質の高い住宅を手に人れたいものですが、その 質の高さをにわかには判断できません。そこで、住宅の性能をこのように川項目に分け、 それぞれに関してどの程度の性能を持っているのかを分かりやすく示すことで、良質な住 宅を安心して取得できる市場を育成しようという狙いです。 この住宅性能表示制度で 「力化の軽減」がここに〈凸まれていることからもへ刀かるよ一つに、 は劣化対策も念頭に置いています。それはしかも、構造躯体と呼ばれる建物の構造体を構
公的年金が世代間扶養の原則を取るからです。少子高齢化は公的年金制度を支える現役世 代の減少と公的年金制度の恩恵を受ける高齢世代の増加、この 2 つを同時に意味します。 公的年金の財源の担い手が減る一方で、公的年金の受給者が増えるわけですから、現役世 代にとっては自らの将来を悲観せざるを得ないわけです。 ここでの現役世代とは、生産年齢人口としてカウントされる—歳までの働き手を指 します。年国勢調査の結果によれば、約 8103 万人に上ります。一方 で、高齢世代は年金を受給できる簡歳以上の高齢者を指します。これも年国勢調 査の結果によれば、約 2924 万人に上ります。世代間扶養の原則に従えば、高 齢世代—人を現役世代 2 ・ 8 人で支える計算です。高齢世代対現役世代の比率は、 1 対 2 ・ 8 と算定できます。 少子高齢化は、高齢世代に対する現役世代比率の減少に拍車を掛けます。国立社会保障・ 人口問題研究所の将来推計によれば、高齢世代対現役世代の比率は、 2022 年ごろには 1 対 2 程度、さらに年には 1 対・ 4 程度になる、との推計結果も見られま す。支える側の現役世代が相対的に減っていくわけです。 高齢世代を支える現役世代の側で負担できる公的年金保険料の額は、そう大きくは変わ 026
「都心」「ワンルーム」が狙い目 ! 自己資金ゼロから始めるマンション経営の極意 第 5 章 土地の評価額を、市町村が定める固定資産税評価額をもとに建物の評価額を求めるのが基 本です。土地に関していえば、この路線価は実際の価格に比べ抑えられています。土地の 適正価格として毎年 3 月に国上交通省が公表する公示価格を基準にすれば、その 8 割とい われています。従って単純化していえば、仮に適正価格 1 億円の土地であっても、相続税 の税額算出に向けた評価では万円と見られるわけです。 しかも、相続される土地に賃貸住宅が建てられている場合には、その土地は「貸家建付 地」として扱われることになって、評価額はさらに引き下げられます。その割合は地域に よって異なるので一概にはいえませんが、おおむね 2 割は引き下げられると見られます。 この場合には、貸家である建物の評価額はそうではない建物の評価額に比べ抑えられます。 その程度もやはり地域によって異なるので一概にはいえませんが、おおむね 3 割は引き下 げられると見られます。ワンルームマンションは賃貸住宅として経営されているわけです から、土地・建物の評価額はともにこのように圧縮されるのです。 みロ価額の圧縮は、まだ可能です。一定の条件を満たす土地の評価額をさらに引き下げる 特例制度が用意されているからです。これを、小規模宅地等の特例と呼びます。この名称 からも分かるように、土地面積のうち一定程度までを対象に、その評価額を % または 1 91
将来への備えとして預貯金と並んで取り組まれているものに、個人年金が挙げられます。 公的年金や企業年金とともに年金のひとつに数えられるもので、個人が任意に自助努力の ひとっとして加人するものです。公益財団法人生命保険文化センターが全国の慴歳から的 歳までの男女を対象に実施する「生活保障に関する調査」 ( 2013 年度 ) の結果によれば、 個人年金保険・変額個人年金保険や生命保険に加人している回答者の割合は全体の引・ 3 % ・ % 。 2 ケタに載せているのは、この 2 つだけです。 しいます。ちなみに預貯金は 保険商品とは一般に、サラリーマンになったのをきっかけに、またはサラリーマンになっ て結婚したのをきっかけに生命保険に加人することで、付き合いが生じるのではないかと 思います。そこで付き合いが生まれた保険会社の担当者から次に勧められるのが、恐らく 個人年金ではないでしようか。年金不安に象徴されるように、老後はもちろん誰もが不安 元本割れも生じ得る個人年金にうまみなし しになるかどうかという程度の額です。 032
税です。現金、株式・債券、不動産など、相続する資産それぞれの評価額をもとに、相続 人それぞれに課される税額を算出し、その額を相続人が納税します。 2015 年—月 1 日 以降に発生する相続からは、制度の一部改正に伴って、課税対象になる資産規模が事実上 引き下げられました。改正前であれば課税対象にならなかった程度の資産規模でも、今は 課税が発生する可能性が出てきたということです。つまり課税対象の裾野が広がったわけ です。そのため、必ずしもいわゆる資産家ではなくても、相続税対策を講じる必要性に迫 られるようになってきたのです。 相続税対策の基本は、評価額の圧縮です。多くの資産を相続する相続人ほど多くの税を 納める仕組みですから、仮に—億円の資産でもそれが万円にしか評価されなけれ ば、そもそも課税対象にならないかもしれませんし、課税対象になって納税する必要が生 じたとしても税額を抑えることが可能です。 1 億円の資産はあくまで 1 億円としてしか評価できないのではないかとお考えかもしれ ません。確かに、現金—億円を相続する場合には、当然 1 億円と評価されます。ところが、 そうではない資産があるのです。 それが不動産です。不動産はまず、路線価と呼ばれる国税庁が公表する評価額をもとに 1 90
ライフプランと目標資産額を具体的に設定。 マンション経営を成功に導く計画の立て方 第 4 章 収人と所得との間でどの程度の開きが生じるのか、給与収人が年間万円の独身サ ラリ 1 マンを例に試算してみましよう。給与所得控除額は給与収人によって異なります。 年間 l-ooo 万円の場合には給与所得控除後の額が定められており、その金額は 346 万円 です。ここからさらに所得控除を差し引くわけです。代のサラリーマンを想定すると、 その控除額は万円を超えると考えられます。つまり、課税される所得は 250 万円 に満たない程度の金額規模に圧縮されるのです。 ワンルームマンションに投資している場合には、この金額規模がさらに圧縮されます。 投資を始めてから 1 年目、 2 年目といった時期であれば、年間万円近くに達すると 考えられます。従って、課税される所得も 250 万円程度からさらに万円程度にま で圧縮されることになります。所得税や住民税はこの課税される所得を計算の基準に据え るとご説明しました。課税される所得が圧縮されれば、所得税や住民税の税額も同時に圧 縮されることになります。これが、節税をもたらすのです。 投資していると課税される所得が圧縮される、それはなぜなのでしようか。ここからは、 実際のお金の出人りではなく、帳簿上の話になっていきます。 ワンルームマンション経営の事業収支を帳簿上で計算していくと、ある時期までは損失 143
ン、ニューヨーク、 ハリに次ぐ、 4 位に位置します。このランキングは都市力を表す 6 っ の分野「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」と、都市 活動をけん引する 5 つのアクター「経営者」「研究者」「ア 1 ティスト」「観光客」「生活者」 の視点から、都市の総合力を評価したものです。東京は分野別でいえば、「経済」で—位と、 世界トップの位置付けです。また、首都圏の大学や企業は都心回帰を始めています。大学 や企業の移転先は地価が上昇するなど、地域の経済を活性化させます。これらの強みが、 人々を引き付けるのです。 しかも今はアジアの拠点としての地位を確立しようと、東京都では国の特区制度を活用 し、外国企業のアジア地域における業務統括拠点や研究開発拠点の誘致活動に取り組んで います。さらに、東京がニューヨ 1 クやロンドンと並ぶ国際金融センターとして位置付け ーバル経済 られることを目指し、国や民間とともにその構想推進にあたっています。グロ の中での拠点性を高める動きが着々と進められているわけです。一方で、 2027 年開業 を目指し、東京・名古屋間ではリニア中央新幹線の建設工事が進められています。開業後、 東京・名古屋間はわずか叩分程度で結ばれる見通しです。そうなると、東京圏と名古屋圏 という 2 つの都市圏は一体です。東京はメガロポリスとして一段と強みを発揮するように 200
年収格差、年金不安、支出増加・ サラリーマンも資産形成なしには生活が安定しない時代 第 1 章 らないでしよう。これはつまり、公的年金の受給者である高齢世代が受け取れる金額が減 ることを意味します。ここに、年金不安の根っこがあります。 この不安の正体を、もう少しはっきり見据えるために「所得代替率」という指標に目を 向けましよう。これは、公的年金を受け取ることができるようになる歳時の年金額が、 現役世代のポーナスを含めた手取り収人に対してどの程度の割合なのかを示すものです。 想定する世帯は、年間にわたって男性の平均的な賃金を前提に厚生年金に加人していた 1 ト主婦の妻で構成されるモデル世帯です。 夫と専業主婦・ この所得代替率は % を上回るようにすることが公的年金の給付水準として法の中で定 められています。これは下限が約束されているようですが、一方で、そこまで給付が抑え られるという見方も可能です。実際、国が 2014 年 6 月に公表した財政検証結果では、 2014 年度の所得代替率は能・ 7 % といいますから、所得代替率 % ということは、現 在のおおむね 2 割減に相当してしまうわけです。年金不安は決して杞憂に終わることはな いのです。モデル世帯での比較ですからこのおおむね 2 割という数値はともかく、給付水 準の落ち込みそのものは覚悟せざるを得ません。 しかも、社会経済環境の動向によっては、所得代替率が % を下回る危険があることも ノ 027
ライフプランと目標資産額を具体的に設定。 マンション経営を成功に導く計画の立て方 第 4 章 東京都心部の新築ワンルームマンションの価格は 2015 年 8 月現在で住戸—戸当たり おおむね 2 5 c 万円程度と考えられます。目標資産をワンル 1 ムマンション—戸単位で 考えるなら、目標資産額は万円刻みで設定されていくことになります。 つまり、目標資産額を 2 5 万円に設定するということは、ワンルームマンション 1 戸を購人するということです。同じく 5 万円に設定するということは、ワンルーム マンション 2 戸を購人するということです。目標資産額を 1 億円に設定するということは、 ワンルームマンション 4 戸を購人するということです。 どの程度の資産を保有しようとするかは、その人次第です。ただし上を見れば、キリが ) し、 5 万円より 1 億円の ありません。 2 5 万円よりは 5 万円の方がいし 方が魅力です。どこを目指すのか、設定しにくいのが普通です。 こういう場合、上を見ないで、まず下に目を向ければい ) しのです。最低でもこの程度は ワンルームマンションでは 1 戸 2500 万円見当で目標設定 1 3 5
投資のリスクは至る所に潜んでいる 資産形成で初心者が陥る 5 つのワナ 第 2 章 と、年調査までは % 台前半でほぼ横ばいに推移していましたが、年調 査で跳ね上がり、 2 12 年調査ではいったん下がったものの、 2 13 年調査では再び 別ね上がり % を超えました。その内訳を年間収人別に見ると、当然のことながら収人の 少ない層が多くを占めますが、必ずしも収人の少ない層ばかりではありません。年収 万円以上の層も 1 — 2 割程度含まれているのが特徴です。しかも、 2 —年調査以降 はその増加傾向が見て取れます。ここでは資産として不動産が除かれているので何とも言 い切れませんが、どうやら収人は豊かでも資産は貧しいという層が一定程度は存在してい そうです。 金融資産は保有している。しかし、その構成は預貯金程度で投資は未経験ーーこういう 層も少なくなさそうです。日本銀行が 2015 年 9 月に公表した「資金循環の日米欧比較」 と題したデータ集を見ると、そうした層の存在が浮き彫りになります。このなかに登場す る「家計の資産構成」によれば、日本では、家計の半分以上、 ・ % を「現金・預金」 が占めます。それに、「保険・年金準備金」 ( 跖・ 8 % ) 、「株式・出資金」 ( 川・ 6 % ) 、「投 資信託」 ( 5 ・ 7 % ) 、「債券」 (—・ 5 % ) と続きます。「現金・預金」のように元本が損 なわれることのない安全性が第一ということでしよう。 049