中戦車 - みる会図書館


検索対象: 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り
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1. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

単車訓練は、『単車教練』↓『乗員の基本的協同動作訓練』↓『応用訓練』というように、段階 的に訓練することとなっている。単車教練とは基礎の基礎とも = 一一口うべき訓練で、号令による戦車へ の乗車・下車などが中心の訓練だ。まず、車長の『定位につけ ! 』という号令により、復唱すると 同時に、戦車の前に整列するところからはじまるのだ。で、この際、車長以下が、自分が車長であ れば『車長』、操縦手なら『操縦手』と、それぞれ自己の任務を呼称する。そして、車長の『乗車 用意、乗車 ! 』の号令でやっと乗車となるわけだ」 太郎「気軽に戦車に乗り込むってわけじゃないのか」 おじさん「ああ。戦車への乗車と言っても、車体の適当な部分を足掛かりにして『よっこらしよ』 とハッチを開け、おもむろに乗り込むのではない。緩な動作ではなくキビキビとした動作で乗車 するんだ。しかも、だれが戦車のどちら側の車体から乗り込むのか、その際は、左右どちらの足を 車体のどの部分に掛け、手は車体のどの部分をつかんで乗り込むのかまでが決められている。もっ とも、これは基本動作の確行を主眼とした訓練だからだけどな」 太郎「つまり、なにごとも基本は大事ということッスね」 おじさん「そうだ。まあ、このように単車訓練でも大変なんだが、これが小隊での訓練となると ト家長の指揮によりその四輌が連携 それ以上に大変でな。戦車小隊は四輌をもって構成されるが、 / ド して行動することを要求される。とくに、集中射による『同時弾着射撃』がその好例だ。太郎、御 主は俺と一緒に自衛隊の総合火力演習を見学したことあるよな ? あれでお馴染みの射撃要領さ。 『撃て』の号令で各車の射弾を一点に集中させるには、小隊長以下の息がピッタリと合っていなけ

2. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

太郎「はいツ、がんばります。ところで、九〇式戦車とか米軍のー 1 戦車なんかは変速機もオ ートマチックで、七四式よりもっと操縦が簡単って聞いたけど おじさん「うん、しかも九〇式戦車はバイクのようなバー型のハンドルだから、操縦は容易だ そうだ。六一式戦車や米軍供与のー 4 戦車を操縦していた人からすれば、まさに隔世の感がある だろうな」 「地の利を活かして戦闘せよ ! 」陸自の戦車運用 用おじさん「つぎは、陸自の戦車運用、つまり戦車を用いた作戦について説明しようか。自衛隊の 車国土防衛戦における究極の目的は、戦勝を獲得し、国民の生命財産を守ることだ。クラウゼヴィッ ツの言を持ち出すまでもないんだが、戦争とは政治をもってする目的達成の手段にすぎない。戦争 ・目 陸の目的がなんであれ、また、それが自衛戦争であれ、戦争に勝たなくちや意味がないよな。 そして戦勝の獲得は、各種火力の発揮によって敵を撃破し、普通科部隊、つまり歩兵が目標を陣 よ 闘地占領することにある。その積み重ねによってはじめて目的を達成できるんだ。しかし、いかに歩 0 兵が最終的に陣地を占領し、戦闘の勝敗を決する存在だといっても、歩兵だけをもってして戦争に し か勝てるわけじゃない。 そのため、戦車部隊や特科部隊などの火力なくしては敵を撃破できないのだ。したがって、火力 の の発揮という点において、戦車は必要不可欠な存在だ。 地 一般的にどこの国の軍隊も、それぞれの国情に合致した独自の戦術を確立し、それを基礎として 127

3. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

に、頑なにライフル砲の搭載にこだわり、機動性より装甲防護力を重視した設計は、今後も継承さ れるのか興味深いな。 そして、第二次大戦後に西側諸国のリーダーとなった米国は、朝鮮戦争を第二次大戦時の戦車を 4 / 5 に対して苦戦を強いられて 主力として戦った。ところが開戦当初は、共産軍の装備するー 3 8 ( 6 一ヾ 、ンン ね。ー幻軽戦車の火力では履帯を切断するのが関の山で、九十ミリ戦車砲搭載のー グなどで対抗するしかなかったんだ。 これがベトナム戦争では、主として主要幹線における歩兵支援に戦車が使用された。これは、ジ ャングル内では戦車の機動も困難であったからだ。空挺用に開発されたー 551 シェリダン軽戦 車は、砲とミサイル兼用の百五十二ミリ『ガン・ランチャー』が売り文句だった。これは、当時の 史主力戦車だったー 8 にも搭載されたほど ( ー 8A2 型 ) 期待されていたんだ。しかし、整備性な ーパットン戦車は、アクテイプ式の赤外 のどの運用面で不評に終わってしまった。これに対して 戦線暗視装置が搭載されていた。日中は対戦車火器により被弾することも多かったけど、解放戦線の で制圧任務などの夜間戦闘に活躍したんだ」 式太郎「日本では、ちょうど七四式戦車が開発中だったころのことスよね」 九 おじさん「うん。で、一九八〇年代に入ると、米国は旧式化したー戦車の後継にー 1 戦車 、ら CQ としては世界初となるガスタービンエンジンを搭載したこと を開発したんだ。このー 一で、各国の注目を集めた。また、複合装甲の採用など、乗員の生存性を重視した設計が特徴だな。 マ ー 1 は、湾岸戦争で期待どおりの性能を発揮し、米国の高度な先進技術を立証することとなった。

4. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

太郎「つまり、地形地物を有効に活用しろってことですね、 おじさん「そう。だから、的確な位置に戦車を誘導することも重要だ。御主だって、後続車両の 誘導をすることもあるだろうが、手信号は覚えたか ? で、宿営だけでなく行進間もまた大変なんだ。 なにしろ、敵の脅威が小さいときは、小隊ごとに車両挺隊を組んで行進できるが、そうでなけれ ば単車行動しなければならない場合だってある。車両挺隊での行進間であれば、一号車は前方、二 号車は上空をというように、各車が警戒方向を分担できる。しかし、単車行動ではそうはいかんか ら、大変だぞ。 そして夜ともなれば、管制灯火での行進となる。さらに、灯火禁止線を超えたら暗視装置を頼り 進 行 に無灯火行進したりするしな。御主も車間距離によって管制灯火の見え方が異なってくるのは、座 宿学で習ったよな ? 」 距離によって灯火が縦に一本に見えたり、二本に見えたりしますね , 隊太郎「はい。 車おじさん「ああ。じゃあ、灯火が横になっていたら ? 」 え ? 横って ? 」 自太郎「 ? ? ? おじさん「前方の車両が横転すれば、灯火が横になって見えるよな。ごくまれなことだが、操縦 自 ~ ミスで横転することもあるらしいぞ」 太郎「ヒャ 5 、慎重に操縦しなきゃいけないんスね ホ 153

5. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

映画に登場した陸自の戦車 次郎「むかしは、第二次世界大戦の戦争映画に、実物の戦車が使われていたって、なにかの本で 読んだことがあったけど」 おじさん「一九六〇年代ころまではそうだったな。外国の戦争映画には、軍から払い下げられた 実物の戦車が登場することがよくあった。ドイツ軍の > 号戦車パンターなどは、米軍払下げのー 4 シャーマンをそれらしく改造したものだったりしたが、まぎれもない実物の戦車がスクリー 登場していたんだ。 一方、わが国の場合はどうかといえば、実物の旧軍戦車で現存するものは少なく、ましてや動態 保存されているわけでもなかった。自衛隊の戦車も同様でね、民間の映画会社に払い下げるどころ か、防衛庁も撮影に非協力的だったのだよ。 そのため、映画に登場する自衛隊の戦車と一一一一口えば、長らく『ゴジラ』シリーズなどの特撮映画に おける模型にかぎられていたんだ」 次郎「しかも『ャラレ役』だから怪獣に踏みつぶされたりして、かならず破壊されるのがお約東 ですよね。あれって情けないよなあ」 おじさん「昭和五十四年 ( 一九七九年 ) に公開された『戦国自衛隊』などは自衛隊の協力を得られ なかった好例 ( ? ) でね、やむなく八千万円を投じてリアルな六一式戦車を製作したほどだった。 この六一式戦車、なかなかに良く出来ていてね。空砲発射も可能だったんだ。さすがに、この映 画一作のみでお役御免となるのはもったいないと、その後、いまや大女優ともなった宮沢りえが出 256

6. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

2 戦車への乗車要領 車砲操装 縦填 長手手手 下車時の定位 短間隔 短間隔 形戦車への乗車は、それぞれ 隊の隊形に整列した後、車長 の「乗車」の号令によって の 実施するのが基本である。 ト国」 れ乗車にあたっては、車体お ま よび砲塔部の「手かけ」や ー 9 圉 「足かけ」を使用して、定 集 められた順序に従って乗り 9 砲手 込むのだ。 ろ ′ー車長 戦 れ ま 集 の形 車隊 戦の し倒 9 目 - 短間隔

7. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

現代の戦争は、開戦劈頭、つまりドンパチ開始当初における航空優勢の確立いかんが、その後の戦 争の帰趨に大きな影響をあたえる。先守防衛を国是とするわが国は、航空撃滅戦での先制攻撃は許 されない。したがって、敵国の着上陸侵攻に際して戦闘の主導権を握られては、戦車の活躍の場も せいぜい機動防御が関の山だろうな。局地的航空優勢を獲得してそれを徐々に拡大し、機が熟すま でひたすら堪えた後に反撃に出るしかあるまい。 これが、冷戦時代の旧ソ連軍の場合であれば、大量に装備された戦車に濃密な砲兵火力を組み合 わせ、全縦深にわたっての同時打撃によって、迅速かつ一挙に敵を撃破するドクトリンを旨として いた。なにしろ、かっての大祖国戦争においては電撃戦を確立したドイツ軍を相手に戦ったのだか ら、その影響も多分にあるだろうよ。 しかし、かりにわが国が、冷戦時代に旧ソ連軍と砲火を交えていたとしても、華々しい大戦車戦 はまず生起しなかっただろう。なぜかってえと、前に説明したように、わが国土は山地が主体で、 平野部は狭隘なうえに市街地や水田の占める面積が意外と大きいしな。したがって、局地的かつ小 規模な戦車戦は発生しても、数百輌もの戦車が同時に交戦するような大規模戦車戦はあり得ない。 それだけの規模の戦場となるべき地積がないからだ。 太郎「ちえ、残念だなあ」 おじさん「しかも戦車戦といっても、通常は戦車が単独で敵戦車と戦闘することは少ない。戦車 とは、あくまで敵戦車を撃破するための主役で、自走もしくは歩兵携行の対戦車火器と組み合わせ て運用されるのだ。 130

8. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

演して話題を呼んだ『ばくらの七日間戦争』にも登場したんだ。俳優に負けずとも劣らぬ存在感で、 好評を博していたよ」 次郎「俺はビデオで観たんですが、おじさんは、一作目の戦国自衛隊をリアルタイムで観たんで 1 しよ、つ ? ・ おじさん「ああ。なにかジェネレーション・ギャップを感じるがな。で、自衛隊が映画撮影協力 に積極的となったのは、特撮映画として人気の映画『ガメラ 2 』あたりからかな。このころから本 物の車輌や航空機のみならず、自衛官もエキストラとして出演している。また、コメデイタッチの 作品ながら、菅野美穂主演の『守ってあげたい ! 』では、九〇式戦車などもスクリ ーンに登場して いるぞ。 これは、毎年実施される『富士総合火力演習』のための事前訓練を、撮影協力のために有効活用 ( ? ) したものではあったけどな。さすがに実物の戦車ということもあって、かなりの大迫力だ。 もっとも、これは女性自衛官 ( 当時は婦人自衛官であったが ) 教育隊を舞台とした映画だから、戦車は 車 戦あくまでも傍役さ。しかも、映画の後半部分の数分間にしか登場しないのが残念だな。 ・目 しかし、『戦国自衛隊』公開以来二十六年ぶりとなる、続編の『戦国自衛隊 1549 』では、 陸 し 九〇式戦車などの各種戦闘車輌が、かなりの時間にわたって登場する。なにしろ、今回は自衛隊が 登全面協力したものだから、前作以上の迫力だ。前作で実物の戦車をスクリーンに登場させられなか ったかっての製作サイドも、大いに溜飲を下げたに違いないだろうよ」 257

9. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

車でも同様で、状況によっては歩兵が下車せず、固有の強力な搭載火器を使用しての乗車戦 闘もする場合があるとは一一一一口え、あくまで歩兵の下車戦闘が基本だ。 これは、欧米各国軍のが固有のガンポート、つまり車内から歩兵が射撃可能な銃眼を相次 いで廃止したことからもわかるだろう。使用頻度が少ないのなら、敵の攻撃に際して脆弱な部分な のだから、これを廃止して増加装甲を付加しよう、というわけさ。これに対して、わが国の八九式 装甲戦闘車は予算不足のためか、いまだにガンポートを廃止できずにいる。 そしてこのや、戦車の陰で目立たないとはいえ、兵員輸送の他に指揮連絡等多目的 わきやく に使用される重要な傍役だ。なにしろ多目的に使用されるのだから、数を揃えなければならない 通常は、戦車の装備数の倍の数量が必要とされ、欧米各国軍においてもそれは例外ではない。 ところがつい最近まで、わが国の自衛隊においてその数量比は戦車 2 に対して <æo が 1 と、ま ったく正反対だったんだ。これも予算上の制約で、戦車の装備定数を充足するのに精一杯だったか はらだ。近年になって、安価な装輪型の調達に力を入れはじめたのと、防衛計画の大綱見直し によって戦車の総数が六百輌と従来の約 2 / 3 に削減されることとなったため、この不均衡もよう 機やく是正される見通しとなったけどね」 太郎「う 5 ん、なんとも皮肉な話だよなあ 車戦車男の所属する機甲科とは ? おじさん「陸上自衛隊には、諸外国軍でいうところの兵科に相当する『職種』というものがある せんしやマン

10. 戦車男 : タンクバトルと戦車乗り

参考文献 ( 順不同 ) 陸上自衛隊服装参考集 / 陸上幕僚監部人事部監修・朝雲新聞社刊 波乱の半世紀陸上自衛隊の年 / 朝雲新聞社刊 自衛隊年鑑 / 防衛日報社刊 The Military B alance 2002 ー 2003 / The lnternational lnstitute for Strategic Studies ハランス 1994 ー 1995 / 英国国際戦略研究所編・メイナード出版刊 、、、ロノ / ロノ ハランス 1987 ー 1988 / 英国国際戦略研究所編・朝雲新聞社刊 武器補給処年史 / 陸上自衛隊武器補給処編 世界 << > 年鑑 2 C 2 ー 2 c 3 / アルゴノート社刊 陸上自衛隊車両装備史〕 19 5 ー 19 91 / 戦車マガジン刊 戦車マガジン増刊・世界の精鋭兵器 5 「六一式主力戦闘戦車」 / 戦車マガジン刊 戦後日本の戦車開発史 / 林磐男著・かや書房刊 進め ! タンクポーイズ / 吉田敬三著・光人社刊 ドイツ軍の小失敗の研究 / 三野正洋著・光人社刊 日本軍の小失敗の研究 ( 正・続 ) / 三野正洋著・光人社刊 砂漠の戦車戦第四次中東戦争 ( 上・下巻 ) / アプラハム・アダン著・滝川義人、神谷訳・原書房刊 図説中東戦争全史 / 学習研究社刊 火器弾薬技術ハンドブック / 防衛システム研究会編・防衛技術協会刊 防衛庁戦史業書 ( 各巻 ) / 防衛研究所戦史部編・朝雲新聞社刊 戦闘戦史 ( 攻撃・防御前・後編各巻 ) / 陸上自衛隊富士学校修身会編 初級戦術の要締 / 陸戦学会刊 小部隊の戦術 / 陸戦学会刊 旧陸軍戦闘詳報 / 防衛研究所戦史部蔵 軍服変遷史 / 柴田鉦三郎著・学陽書房刊 日本の軍服 / 太田臨一郎著・国書刊行会刊 図鑑日本の軍装 ( 上・下巻 ) / 笹間良彦著・雄山閣出版刊 273