ていたのは間違いなく共産党だった。過 雄去の歴史を抹殺したいからこそ、火消し 志に躍起なのだろう。 ーの志賀 れ戦前の共産党草創期のメンバ 19 6 4 年に除名された。 義雄もまた、 志賀は宮本とも良好な関係だったが、当 時、ソ連が主導していた部分的核実験停 止条約の批准に際し、共産党の反対方針 に反してソ連支持を表明したことが理由だった。志賀は他の除名された仲間と「日本共産 党 ( 日本のこえ ) 」を立ち上げたが、ほどなく雲散霧消した。 戦前の非合法時代から中央委員を務めた袴田里視は副委員長時代の行年に除名された。 戦前からの同志であり、当時は委員長の宮本の右腕とも言われていたが、宮本の党拡大路 線を批判したことで党員制限処分を受けると、今度は宮本の戦前の「リンチ事件」関与を 週刊誌で攻撃。規律違反として除名処分となった。 終戦直後に政治局員を務めた伊藤律は、戦前のソ連によるスパイ事件「ゾルゲ事件」に 関与したとして年に除名。同じく中央委員を務め、戦後の共産党の武装闘争路線を主導 192
本は同年、中国を訪問して毛と会談したが、決裂し、以後年間にわたり対立を続けた。 中国が改革開放路線を進めた後の年に委員長の不破哲三が訪中し、中国共産党が過去の 経緯を「謝罪」したとして、現在は再び友好関係にある。 対立時と和解後で中国に対する日本共産党の対応は激変した。中国は新年 8 月に首相の 中曽根康弘が靖国神社を " 公式参拝 ~ すると、突如として日本政府に抗議した。日本共産 党は当時から首相の靖国神社参拝を批判していたものの、中曽根の参拝から—年以上も経 過した部年川月ロ日、党政策委員長の吉岡吉典が「『靖国問題』の核心はなにか」との無 署名の論文を発表した。その中で、中国がいわゆる < 級戦犯の合祀のみを問題視している ことを非難し、中国に対して「重大な内政干渉」とまで糾弾する中国批判を展開した。 「『靖国問題』を事実上、 < 級戦犯合祀問題だけに限定し、その核心についてなんら問題 としない立場を繰り返し表明する中国政府の態度は、靖国神社『公式参拝』反対をも焦点 の一つとしてすすめられている、日米軍事同盟下の軍国主義復活・強化を阻止する日本人 のたたかいへの重大な内政干渉にならざるをえない」 そもそも、中国の靖国に対する批判が内政干渉であることは疑う余也よよ ) , 士。オしカ日・本丑 ( 産党はその「闘い方」の違いをめぐって「内政干渉」と批判しているである。 また、年 6 月に、中国政府が学生や市民の民主化要求を銃と戦車で弾圧した天安門事 167 第五章「唯一戦争に反対した党」は本当か
ヒソ話」「不審な車・船が出没」を挙げているが、 2 15 年以降、フランスやベルギー で起きた事件のように、最近のテロは不特定多数が利用する駅などの「ソフトタ 1 ゲッ ト」を狙ったものが多い。 愛知県警が情報提供を呼び掛けた内容もテロ防止には欠かせないことばかりだが、これ を赤旗は《市民の日常の行動を監視対象としている》と大げさに断じるのである。それほ ど「不審者」や「不審な行動」が通報されるのが怖いのだろうか。 しかも、「市民から批判があがっている」と表現しておきながら、記事では具体的な市 民の声を何一つ紹介せず、記事の最後では《テロ防止を口実に、体制批判は許さないとい う狙いが透けて見えます。市民同士で監視させる、戦前ばりの監視社会を当然視する県警 の の姿勢が問われます》と独自の見解を表明している。 象 対 視 要するに《市民》とは共産党の見解なのだ。このような独善的で無理筋の主張をして、 監 警備活動を批判する政党に警察や公安が目を光らせるのもうなずける。ましてやわが国の 政権を、仮にその一角ではあっても任せることなど想像もできない。 過去の暴力事件は確かに「終わったこと」かもしれないが、公安調査庁や警察庁が問題 3 第 視しているのは、民主主義革命から引き続き社会主義革命に至るという「二段階革命」と も一一一口える方針を現在の共産党も綱領で堅持していることだ。
広がることで、日本が再び軍国主義国家になっていく道が閉ざされて、平和な国として やっていけるスタート台に立てるのではないかと思います」 野中はⅡ年 3 月に自民党に離党届を出したが、赤旗のインタビューに応じた当時は、 れつきとした自民党員だった。政界を引退していたとはいえ、かっての重鎮が他党の機関 紙にわざわざ登場して身内を攻撃することは、反党行為でもある。 赤旗が、歴史認識や憲法改正、外交・安全保障政策などで安倍晋三政権を批判している のは一一一口うまでもない。第 2 次安倍政権発足後の年 1 月日付の赤旗日曜版に登場したの は、自民党の一兀幹事長で、やはり官房長官も務めた加藤紘一だった。 野中と同じで、またも「保守派でさえ反対することを推し進める安倍」とのイメ 1 ジを 拡散させる戦略があることは明らかだった。 加藤は、安倍が慰安婦募集の強制性を認めた 1993 年の「河野洋平官房長官談話」の 見直しを表明したことへの批判を展開。赤旗日曜版は 1 ペ 1 ジを割き、慰安婦問題につい て「世界の常識は『人道の罪』」として河野談話見直しの動きに国際社会が批判を強めて いるとの特集記事を組み、加藤の見解は紙面中央に「右バネききすぎ外交上問題」の見出 しで大きく掲載された。赤旗関係者によると、加藤は同紙のインタビュ 1 要請に「元官房 長官」「前衆院議員」の立場で応じたという。 121 第三章党財政を直撃する赤旗部数
を購人してすさまじい額のお金を払っている。政党助成金そのものだ」と痛烈に批判。 「赤旗を廃止した上で助成金に反対するなら筋が通る。 ( 購読料を ) 棚に上げて反対するの はきれい事で、いかにも共産らしい」と述べた。 では、仮に共産党が政党助成金の交付を受けた場合、どの程度の金額になるのか。政党 助成金の総額は、国民—人あたり 250 円、年間約 320 億円。これを各党の所属議員数 や直近の複数回の国政選挙での得票率などを基に算出するため、共産党の場合は年間跖億 円前後とみられる。 政治資金収支報告書による共産党の凵年分の党収人は約 224 億円で、このうち約部 % の 194 億円を赤旗などの「機関誌紙・書籍等」が占める。つまり、跖億円の助成金を仮 に受けたとしても、党財政が根本的に改善されることはなく、結局は「赤旗」の収人に頼 らざるを得ないのである。 赤旗に登場した自民党元重鎮 独特の紙面づくりをする赤旗は時折、「宿敵による身内への批判」を語らせる手法を使 119 第三章党財政を直撃する赤旗部数
炎上したツィッター ネットを含めた若者への浸透に余念がない共産党だが、そのネットが波紋を呼ぶことも ある。若手のホ 1 プである衆院議員で、吉良と同じ 19 8 2 年生まれの池内沙織は 2015 年 1 月跖日未明、ツィッタ 1 にこんな投稿をした。 《こんなにも許せないと心の底から思った政権はない。「ゴンゴドウダン」などと、壊れ たテープレコ 1 ダ 1 の様に繰り返し、国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権。安倍政権の 存続こそ、一一一口語道断。本当に悲しく、やりきれない夜。眠れない》 当時は、イスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国 ( — ) 」に拘束された日本人男 性の画像がインターネット上に公開された後だった。首相の安倍が「テロ行為は言語道断 であり、許し難い暴挙だ」と述べたことを念頭に書き込んだわけだが、罪を犯したテロ集 団への批判は一切なく、なぜか安倍政権を批判するという意味不明の投稿だった。 ネット上で投稿を問題視する意見が続出すると、池内は投稿を削除。日午前のツィッ タ 1 で《今の時期に昨日のようなツィートは不適切だと考え削除しました。お詫びいたし 95 第二章国民を見下す「ソフト路線」
件についても、当時は最大限の一一一一口葉で中国を非難し、「和解後」の年にも、委員 長の志位和夫が記者会見で「わが党は自主独立の立場にたって、社会主義を名乗る国々が おかした誤りについても、平和と社会進歩、社会主義の大義にたって、きびしい批判をく わえてきました」と述べ、天安門事件もその一つに挙げている。 ところが、現在の日本共産党はそんな過去があったことはおくびにも出さない。赤旗の 紙面に中国に対する批判的な記事が載ることもほとんどない。むしろ中国の主張には前向 きに理解を示すばかりである。凵年 8 月日付の赤旗には「『中国の脅威』どう考える ? 」 との記事を掲載し、次のような " 擁護論。を展開した。 「尖閣問題で中国は海軍を出して領海を侵犯しているわけではありません」 「南シナ海での領土紛争をめぐり、東南アジア諸国連合 (<næ<Z) と中国は 年に『南シナ海行動宣一言』 (QCO) で合意し、問題の平和解決に踏み出しました」 軍事対軍事では紛争解決は「不可能」とも断言し、対話が重要というわけだ。日本共産 党には中国が日本の近海で軍事力を背景に野心をむき出しにしている現実が目に人らない らしい そもそも社会主義を事実上放棄し、経済大国化を優先する中国共産党は、日本の一野党 に過ぎない日本共産党から好かれても何の得もない。むしろ中国側は日本の政権与党の中 168
戦後版 ? 」と題した記事を掲載した。 それによると、《軍国主義的な支配勢力は、あくまでも日本共産党や民主的な勢力にた いする弾圧体制、弾圧法規の存続をめざして抵抗をした》と指摘した上で、破防法そのも のについては《暴力主義的破壊活動の名目で、一一一口論・集会・結社の自由などの基本的人権 を抑えつけようとする悪法です》と批判。《憲法違反の「治安維持法の戦後版」といわれ る理由があります。ですから本来廃止されなければならない法律です》と強調している。 むろん、一一一一口論や結社の自由を抑えつけるような法律はないにこしたことはない。だ その対象となっている団体が、いくら憲法違反だと理屈を並べても説得力はあまりない。 しかもこの団体は過去の過ちを全く認めていないのである。 公安調査庁や警察当局を敵視する共産党は、警察のテロ防止の取り組みも気に人らない ようだ。年 5 月の伊勢志摩サミット ( 三重県 ) 開催に向けて、赤旗は同年 3 月円 日付で「愛知県警『密告』奨励ポスターまるで戦中『ヒソヒソ話で通報を』」と題した 記事を掲載した。三重県に隣接する愛知県警がテロ防止のため一般に協力を求めたポス ターに《市民から批判があがっています》という表現でケチをつけたのだ。 ポスターは「おかしいな ? と思ったら通報を ! 」と呼び掛け、具体的には、「見知らぬ 人がウロウロ」「変な荷物を持っている」「上着が異様に膨らんでいる」「身を寄せてヒソ 256
そのような政党と「連合政府」やら「選挙協力」といった議論がよくできるものだ。「左 派色」の強かった菅直人政権下で公表された平成 (NO——) 年版の「内外情勢の回顧 と展望」でさえ、共産党の今後の動向について次のように分析している。 《民主党政権の「異常な対米従属」や「大企業の横暴な支配」の打破を訴え、無党派層や 民主党批判層などの取り込みに力を注ぐものとみられる》 最新の平成年版には、国会周辺で行われた法案への抗議行動に《志位和夫委員長ら党 国会議員や党員を継続的に参加させ》て、《反対運動の盛り上げを図った》とも書いてあ る。公安当局の認定でも、主催者が参加者に万人と発表した 8 月日の国会周辺の抗議活 動などについて、「共産党員らの動員」が影響しているとみているのだ。 米軍普天間飛行場 ( 沖縄県宜野湾市 ) の名護市辺野古への移設に対する抗議行動でも、 《共産党や過激派は、移設作業を「沖縄の民意を踏みにじる暴挙」などと批判し、抗議行 動に取り組んだ》とし、共産党と過激派の " 共闘 ~ を報告。原発再稼働反対などを訴える 抗議行動でも、《共産党は、官邸前や国会周辺の抗議行動に党国会議員らを参加させ》た としている。 こうした共産党が関与した一連の抗議行動を結びつけ、公安当局は総括的に次のように 一三ロしている 238
民青は自らを《社会進歩を目指す自主的な青年組織》と定義している。その主張を見る と、就職難などの雇用問題の改善、核兵器廃絶、自衛隊の海外派遣反対、原発反対、日米 安保条約反対、大企業優先の経済政策批判などを列挙している点は、共産党と全く同じ 共産党との関係は《相談相手とし、援助を受けて、科学的社会主義と日本共産党綱領を 学び、自然や社会、文化について広く学んで人間性を育み、社会の担い手として成長する ことを目指します》としている。 一定の距離を置いたようなイメージだが、規約には堂々と共産党の「援助を受けて活動 する」と明記している。 共産党との密接性は、共産党の綱領を《科学的社会主義を日本の現状に応じて発展さ せ、日本の社会発展の道筋をあきらかにしたもの》と絶賛していることからも明らかだ。 旧ソ連のスタ 1 リン体制を批判し、《共産主義の失敗例》と位置づけているところも、ま さに " 親譲りんといえる。 民青の前身は、共産党が非合法組織として発足した翌年の 1923 ( 大正に ) 年 4 月 5 日に創立された日本共産青年同盟 ( 共青 ) だ。以後の歴史を民青は《社会進歩をすすめて きた輝かしい歴史と伝統をもっ青年組織》と自画自賛している。 ヾ 0 53 第一章 S E A L D s と共産党