心理学 - みる会図書館


検索対象: 本当によい教育を実現するための覚書
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1. 本当によい教育を実現するための覚書

【補論】アイドルについて されています。それは「一方を追求すれば他方を犠牲にしなければならない」という考え方です。一つ のことに集中するのが美徳とされている。しかしそれはできない人の僻みで、指をくわえていてはただ 差をつけられるだけです。 僕が地下アイドルとして理想的なあり方だと考えている上記の 2 人が、まさにこれを実践していると いうことがお分かりいただけるのではないでしようか。それは例えば、それぞれ単著を出版していると いう現実にも表れています。桜雪ちゃんは『地下アイドルが 1 年で東大生になれた ! 合格する技術』を、 姫乃たまさんは『潜行ー地下アイドルの人に言えない生活』を著している。これは偶然ではなく、一定 の需要が認められているという証拠です。 地下アイドルとして活動するなら、このようなレベルを目指すべきではないでしようか。これはレベ ルの高い要求です。そして少なくとも、メディアの中で言及される存在にならなければいけない。アイ ドルヲタクの中で知られていても、世間にリーチしていかないのであれば、それは存在していないこと と同じです。少なくとも芸能界というのはそういう世界です。ヲタクも「〇〇ちゃんはまだ知られてい ないけど本当に頑張っている良い子なんです」と言っている場合ではありません。頑張っているだけで はメシが食えないからです。 ■地下アイドルヲタクのあるべき姿 そして地下アイドルヲタクの快楽とは何か。それは、現在十分に知られているアイドルを推すのでは なく、これから世間にリーチしていく存在をいち早く見つけることでしよう。もちろん「知られている」 というレベルにもグラデーションがありますから、一概には一一一一〕えません。それでも一言で定義するなら 111

2. 本当によい教育を実現するための覚書

【補論】アイドルについて あるいは作曲家は、全ての作曲家が競争相手となる 仮に、歌の上手さが「一万人に一人」というレベルの歌手だとしても、日本に人口を一億人とすると、 ライバルは一万人もいることになる。これでは、競争に勝つのはなかなか難しい。当然、作曲家も同様 しかしながら、歌と作曲、両方の能力を兼ね備えていた場合、話は全く違ってくる。どちらも一万人 に一人のレベルであれば、一万かける一万で、一億人に一人のレベルということになるのである。つま り、日本にはライバルがいなくなるのだ。そうして、競争相手のいない、新しい分野を作り出すことが できるのである。」 今の時代、たった一つの武器を持って、勢いで何とかできる時代ではありません。インターネットが 普及してからは特に、とにかく競争が激しい。その中でアドバンテージを取るには「競争をしない」と いうことが肝要になってくる。これってまさに現代的というか、幻世紀的あるいは年代という 時代を表していると思います。今は 2 足 3 足のわらじを履く時代だからです。生まれてこの方これ一本 という職人的な生き方も賞賛されるべきものと一一一一〕えるかもしれないですが、今はやりたいことを何でも やったモン勝ちという時代ではないでしようか。タレントとして一世を風靡する人にそういう人が増え ている。古くは本業のマッサージ屋で稼いでいた楽しんごという人がいた ( いなくなってしまったけど ) 。 小説家、漫画家、エッセイストがタレントのようにテレビを賑わせ、お笑い芸人が絵を描き小説を書く。 バラエティに引っ張りダコの林修先生は現役の予備校講師だし、厚切りジェイソンは企業の役員で す。 現にそういう人が強い。 これは資産運用の分野で言われるリスク分散という考えにもつながります。 常識にとらわれていないからこそ、それが思い切りの良 一方がダメになっても、他方で頑張ればいい。 さにつながってこれまでにない新たな魅力を生み出す。特に日本人はトレードオフという考え方に支配 110

3. 本当によい教育を実現するための覚書

【補論】アイドルについて とはいえ、ある程度以上のプランドがなければ、少なくともアイドルの武器としては機能しないでし よう。そこはシビアに考える必要があります。プランドのためでなく自分の教養を高めるためという確 固たる目的があれば大学に行けばいいし、役に立たないのであれば行かないほうがマシです。ただし、 東大 ( 早慶でも良い ) に合格する確率と、地下アイドルとしてプレイクする確率で、どちらが倍率が低 いのかということは考えてみる価値はあると思います。ある目的に対して、実現可能性の高い手段を選 択していくのがクレバーな生き方だからです。 ・姫野たま もう一人が地下アイドルでライターの仕事もしている姫乃たまさんです。彼女は桜雪ちゃんと極めて 対照的です。高校時代から地下アイドル活動を始め、高校ですでにライプ活動が忙しく、受験勉強は完 全に乗り遅れ、たまたま恩師に勧められた指定校推薦で大学に進学します。大学は卒業していますが大川 学名は特に公表しておらず、ただ自分の教養を高めるために勉強をしたのだと思います。そして今でも どこの事務所にも所属せずにフリーで活動しています。彼女もまた「地下アイドル」として徐々に活躍 の場を広げています。本人は「地下アイドルだったから今までやって来られた。地下ではないアイドル になれたら、一日でやめていたかもしれない」と言います。 桜雪ちゃんの武器が「東大卒の地下アイドル」だとするならば、姫乃たまさんの武器は「地下アイド ル兼ライター」ということになるでしよう。地下アイドルとして固定ファンをある程度抱えながら、ラ イターとして活躍するというのはやはり強いです。 ( 付け焼刃でない ) 属性は複数あるほど相乗効果が 得られるからです。そこにはエロ本ライター時代から培われた、確かな実績があります。またサプカル 界隈にも精通していて、そのこと自体が大きなアドバンテージになっています ( オジさん層に人気があ

4. 本当によい教育を実現するための覚書

【補論】アイドルについて って自分がアイドルヲタクだったころからその勉強は始まっていたといえるのかもしれません。なぜな ら、人に愛されるアイドルがどういうものかということについて、体験を伴いながら四六時中考えてい たということですから。 ■ 2 人のモデルケース 僕自身も約川年間、様々なアイドルを見て推してきました。その中でおぼろげながら、長く続くアイ ドル、そうでないアイドルが見分けられるようになってきたように思います。指原莉乃ちゃんはそのう ちの一人ですが、そんな中で現在僕が推しているアイドルの中でも、特に理想的だと考えているある 2 人のアイドルを紹介したいと思います。 ・仮面女子【アリス十番桜雪 まず一人目が仮面女子【アリス十番の桜雪ちゃんです。仮面女子は「最強の地下アイドル」を自称す るほどのライプアイドル界では異端な存在ですが、その中で桜雪ちゃんといえば、最近では小池百合子 都知事の「希望の塾」に現役アイドルとして合格して話題になったり、「クイズプレゼンバラエティ さま ! ! 」特番に出演して人中 3 位という好成績を残すなど、仮面女子の中でも群を抜いてメディア 露出を増やしているメンバーです。出演番組は「踊る ! さんま御殿、「ダウンタウンのガキの使いやあ らへんで ! 」「ネプリーグ」「ナカイの窓」「有吉反省会」「ダウンタウン QX 」など、そうそうたるライ ンナップです。彼女の最大の特徴は、東京大学を卒業していることでしよう。だからこそ「高学歴芸能 人」として番組に呼ばれることが多い 105

5. 本当によい教育を実現するための覚書

【補論】アイドルについて がぎこちないものだったとしても、それはマイナスにはならないということ。むしろプラスになる。ス キルよりも一生懸命さが大事。そして握手会などでは目の前のファンの人としつかり目を合わせて話す こと。人見知りという言い訳は通じないということ。そして順位付けされても ( こたれない強い心を持 つ、ということです。それはまさに、アイドルとして生きていくという強烈な覚悟を持っことです。 指原さんもまた、歌唱力やダンススキルを必須なものとはしていない。必要なのは努力と振る舞い方 です。そう発言する彼女が現在の日本のアイドル一番の売れっ子であるならば、これがほとんどの答え であるように思います。では、努力というのは意志の問題なのでよいとして、振る舞い方をどのように 獲得していくのか。 ■知性を磨くしか生き残る術はない 結論はやはり、どんな分野においても「勉強するしかない」ということです。もちろんここでいう勉 強とは、学校の偏差値やテストの点数を上げることではありません。世の中の成り立ちについて、仕組 みについて知ること。目指すべきビジョンを持ち、自分を相対的に見つめる視点を養い、立ち位置につ いて勉強すること。それを日々継続していくことです。かって僕は同人誌を作るときに、「もしドラ」 著者で秋元康氏の弟子でもあった岩崎夏海氏にインタビューをしたことがあります。その際に「アイド ルを目指す若い子達にどのようなアドバイスがありうるか」という質問をしたら、「知性を磨いて覚悟を 持っことしか、生き残る術はない。おバカタレントには需要がないんですよ」とハッキリ言っていまし た。ありのままで、バカをバカのままで全面に押し出すというのでは、とてもではないけど戦えないの です。少なくとも芸能界はそのような甘い世界ではない。愛嬌が大事ですが、それは自然発生的に生ま れるものではない。「愛嬌がある」とはどういう状態なのか、真剣に勉強していくしかない。それが分 からないというのなら努力が足りないか、そもそもセンスがないだけです。指原莉乃さんの場合は、か 104

6. 本当によい教育を実現するための覚書

【補論】アイドルについて これはあくまでも僕個人の価値観ですが、やはり日本のアイドル文化はエンタティンメントショーと しては特異なもので、ダンスが上手いこと、歌が上手いことは全く求められていないように思います。 最低限、振り付けに遅れない程度のリズム感と、休みの日にポイストレーニングでもしてくれれば、ア イドルとして必要なスキルには事足りるだろう。歌唱を魅せることはやはり歌手やアーティストと言わ れる人たちの本分だからです。ではアイドルとは何を魅せているのだろう。それは僕の考えでは「愛さ れる力」「愛嬌」「努力」ということでしかない ここで今現在、日本で最も成功していると思われるあるアイドルについて考えてみましよう。それは の指原莉乃ちゃんです。所属こそですが、今やグループを代表する出世頭で、 、ハラエティでは見ない日がないというほどの売れっ子です。選抜総選挙では前人未到の 2 連覇 中である。僕はもうずいぶん前から彼女のファンで応援しているのですが、彼女がかって「笑っていし とも ! 」に出演した時に、小学生人の前で 3 分間の授業をするというコーナーで話していたこと がとても印象に残っています。 それは「になる方法」というタイトルでした。今や小学生女子の、将来の夢の上位がアイドル だと聞きます。そして立場上「」の名前になっていますが、これは「アイドルになる方法」と言 っても差支えがない内容だったと思います。そこで指原さんは何を言っていたか。それは 3 つのポイン トでした。 ・歌やダンスの練習をしなくても良い ・人見知りはダメ ・順位付けされることに慣れる 少しだけ補足すると、これはもちろん努力しなくてもいいというわけではなく、一生懸命やった結果 103

7. 本当によい教育を実現するための覚書

【補論】アイドルについて 【補論】本当のさいごにアイドルについて 大学を卒業してからの川年間、放蕩の日々の中でアイドルについても考えてきました。結論から言う とアイドルヲタクだったというわけですが、その中でも特に地下アイドルに興味があります。始めはま だメジャーではない頃の絽にハマり、が国民的アイドルに近づくのに伴って、地下ア イドルの世界にのめり込むようになりました。絽が元々地下アイドルだったことを考えれば、あ る意味僕の関心は一貫していると一一一一〔えるかもしれません。持って生まれた圧倒的な才能や、家柄や、環 境がない場合、それでもエンタティンメントの世界で活躍するにはどうするか。その命題に立ち向かっ ているのが、現在の地下アイドルの子たちであり、かってお笑い芸人を夢見て上京してきた僕自身でし た。だから勝手にシンパシーを感じているのかもしれません。 もし若い女の子がアイドルを志すなら、今ならハロプロなり絽グループ・乃木坂グループなど に応募するのがまずは第一歩でしよう。しかしそれは限りなく狭き門だ。だから落選したところから考 える。今やアイドルプームが到来して久しいから、地下アイドルは名乗れば誰でもなれる時代です。し かしそれは、成功するかどうかとは関係がない。そんな中で、一部の選ばれた人間でない場合、どのよ うに振る舞うのが最もアイドルとして成功する可能性が高いのか。アイドルとしての有効な生存戦略と はどのようなものなのか。そんなことを考えています。 ・アイドルに必要なものとは 102

8. 本当によい教育を実現するための覚書

本当によい教育を実現するための覚書さいこ ■「学校について」 「逃げ場の不足した」社会がもたらす教育現場の深刻な問題に対して、我々はなんとか新たな解決方 法を見つけていく必要があります。というか、順番から言いますと、その新たな解決方法を見つけるこ とのできそうな場所を、まずどこかにこしらえていく必要があります それはどのような場所か ? 個人とシステムとがお互いに自由に動き、穏やかにネゴシェートしながら、それぞれにとって最も有 効な接面を見出していくことのできる場所です。言い換えれば、一人ひとりがそこで自由に手足を伸ば し、ゆっくり呼吸できるスペースです。制度、ヒエラルキー、効率、いじめ、そんなものから離れられ る場所です。簡単に言えば、温かな一時的避難場所です。誰でもそこに自由に入っていけるし、そこか ら自由に出て行くことができます。それは言うなれば「個」と「共同体」との緩やかな中間地域に属す る場所です。そのどのあたりにポジションをとるかは、一人ひとりの裁量にまかされています。とりあ えずそれを僕は「個の回復スペース」と呼びたいと思います 最初は小さなスペースでいいんです。何も大がかりなものでなくていい手作りみたいな狭い場所で、 とにかくいろんな可能性を実際に試してみて、もし何かがうまくいくようであれば、それをひとつのモ デル " たたき台として、より発展させていけばいい。 そのスペースをだんだん広げていけばいい。 僕は そう考えます。時間はある程度かかるかもしれませんが、それがいちばん正しい、筋の通ったやり方で はないかと思います。そういう場所がいろんなところに、自然発生的に生まれていけよ、、、 ーししなと思一つの です 村上春樹「職業としての小説家」第八回学校について この言葉は、僕の背中を押してくれたように思います。 101

9. 本当によい教育を実現するための覚書

本当によい教育を実現するための覚書さいこ 持しつつ、徹底的に「楽しい」ことにこだわっていきたい。映像だとかゲームだとかパズルだとか、イ べントなんかを重視していきたいというのはそういうことです。趣味と言えるものを見つけられたら、 なおよいです。 ■村上春樹の提言 村上春樹という作家がいます。春樹といえば、現在存命で、世界で最も有名な日本人作家ということ ができるでしよう。今年こそノーベル文学賞を取るのかと話題になるのは、秋の風物詩のようになって います。そのあまりの存在感、ポピュラーぶりに、僕はつい 2 年ほど前までどちらかというと避けてい る存在でした。かって一度だけ読んだ小説 ( アフターダークでした ) が肌に合わなかったという理由も あります。アンチ春樹だったと言っても過言ではないでしよう。しかしある程度年齢を重ね、様々な人 生の紆余曲折も経て読んでみると、驚くほど感銘を受けるものばかりでした。まさにコペルニクス的転四 回です。人生には何回かの転向というものがあるのでしよう。村上氏の、自分の確固たるスタイルを持 っているところ、そしてプレない自信、驕らないところなど本当に推せます。春樹は小説だけでなく、 ェッセイも珠玉の文章が多いのですが、その中で『職業としての小説家』というェッセイ集は、本当に 素晴らしいものでした。 小説家、あるいは文筆家というものは、物事の本質を見出し、抽象化し、文章化するのが仕事なので しよう。本書の中で「学校について、という章があります。自分の思想について、創作について、そし てこれからの日本社会について語るときにおいて、春樹もまた学校 ( Ⅱ教育 ) について語らずにはいら れなかったようです。

10. 本当によい教育を実現するための覚書

本当によい教育を実現するための覚書さいご 覚を身につけるということです。 これは宮台先生がよくする話ですが、人が物事を判断する尺度に「正しさ」と「楽しさ」があります。 「正しさ」を追求したいと思うのは、これは当然のことです。それは罪を犯してはいけないとか、差別 はいけないとか、いじめはいけないとか、そういうことです。 ( ポリティカルコレクトネス ) とい う言葉も聞くようになりました。しかし余裕がない現代人は、「正しさ」よりも「楽しさ」を優先して しまう。いじめは無くせないし、ヘイトスピーチも溢れている。思わぬ政治家が生まれてしまう。それ は全て「正しさ」よりも「楽しさ」が優先された結果です。これは世界中で起こっていることです。人 は「楽しさ」の魔力に抗うことはできません。 他方で「正しさ」は暴走する。平等を追い求めるあまり本質を失ってしまう。「楽しさ」は悪だとい うばかりに、道徳的なつまらない言説があふれてしまう。運動会では順位を決めない方が良いというこ とになり、マンションで挨拶するのを止めましようとなる。問題を起こさないことが第一に考えられて いる教育現場がまさにそうです。異質なものを排除しすぎているのです。これでは楽しくない上に、本 来求めるべき教育効果さえ犠牲にしている。本末転倒なのです。 この状況を打開する方法は何か。「楽しく」かつ「正しい」という手法を取るしかない。これが唯一、 持続可能なやり方だというのです。思えば僕も「楽しい」ことだけをやってきたように思います。それ に加えて、僕は今でも個別指導塾で子供と接していますが、自分の「正しさ、は常に意識しています。 相手が小学校低学年だろうと、舐めた態度をとったときは「そうじゃねえだろ ! 」と詰めます。そうす ると教室長に「もっと優しくしてください」などと言われるのですが ( 笑 ) 。慣れあって相手を気持ち よくさせることだけが教育ではありません。時には厳しい態度も必要です。だから僕は「正しさ」を維 8 9