55 第 1 章学歴ェリートより「ストリート・スマート」の時代 えると致命傷になることがある。現実としての仕事はそういうふうに動いている 社員の知的レベルは平均的で十分、 大事なのは「いい人」かどうか おそらくこのことは、組織の規模の大小を問わず当てはまる。これまでコンサルタントと して大手企業を中心にさまざまな業種・職種の仕事ぶりを見てきたし、事業をやるようになっ てからは自社で社員を採用し、また以前とは別のタイプの取引先と仕事をしている。その経 験から言えるのは、日常の仕事のほとんどは、でいえば平均値の 100 あれば十分こな せるし」い , フこし」た。 人の話を正しく理解できない、最低限の文章が読めない、書けないというレベルは問題だ が、中の中レベル、公立小学校で成績がまん中付近であれば一般的な仕事の基本能力として は十分である。 が 100 以上だったとして、次に重要なことは先述したとおり「いい人ーかどうかで
援する家族や友人、サポータ 1 だ。 主要なホテルは関係者ですでに押さえられているから全 く空いていない。だから空き家を探す。オリンビックは一時的ではあるにしろ、ビジネスチャ ンスとして狙うのは悪くないと思う。空き家、居住中問わずオリンビックの会場から一時間 以内に家を持っているのであれば、旅館業法の現状と、これからの変更の過程を慎重に チェックしながら、何らかの準備や練習をしておくとよいだろう。 で リスクだと思っていることは、 実はそれほどたいしたリスクではない て お で ク 念のため断っておくが、エアビ 1 アンドビ 1 を使って家を貸すことを勧めているわけでは ン ない。あくまでビジネス思考トレ 1 ニングのテ 1 マの一つである。それでもリスクを取れる 京人は果敢にチャレンジしたらよいし、リスクに敏感な人は読んで想像して楽しんでいただく 東 だけでよい。やる、やらないは個人的な問題である。 章 第 ただし、ここで一つ言っておきたいのは、あなたがリスクだと思っていることは、見方に
経済活動の前提は「違い」である 近頃、格差問題が頻繁に取り上げられている。金持ちと貧乏人、正規社員と非正規社員、 高齢者層と若年層といった異なるクラスタ 1 間の格差が広がっていることが問題視されてい る。格差の程度や種類についても議論があり、日本はアメリカほど格差は大きくないとか、 機会の平等と結果の平等をどうバランスさせるかなど、多くの人が論陣を張っている。 「格差」を『三省堂大辞林』で調べると「同類のものの間における、価格・資格・等級・水 準などの格付け上の差」とある。平たく言えば「ランクづけされた違い」ということだ。 私は、「格差」を「問題視」すること自体に意味があるのか、そして格差解消のための多 くの施策 ( 案 ) に実効性があるのか疑問を持っている。 なぜなら、我々の生きる社会は「違い」を前提に成り立っているからだ。 営利団体に属する働き手のほとんどは「誰かに何かを売る . ことによって生計を立ててい
75 第 2 章格差の何が問題ですか ? の人件費と、公的機関からの発注を受ける事業者の売上となり、そこに勤める社員の給料と 1 セントを削減すると、何十万人の人たちが職探しを迫られ なっている。仮に 8 兆円の川。、 る。 民間企業が竸争原理に基づいて行っている事業であれば、無駄なサービスは自然淘汰され る。しかし、公的サービスにはそういった機能が働かない たから、社会的な非効率にメスを入れようとしても、できないことが多すぎる。よく「危 。それよりも「本当の危機ーが来れば、多 機感を持てーといわれるがそれはなかなか難しい くの人がおかしいと感じていることを、実行できる人が出てくるのではないかと思う。 「格差に勝ち残る」「無視する」「創り出す」それぞれの生き方 世の中で起こっている問題に興味を持ち、正しく理解することは必要だ。しかし、それに 対して不満や不安を感じているだけでは、もったいない。私も前項で大学や公務員に関する それに対して個人的にできることはないと思っている。 問題提起をしたが、
思考のトレーニング程度に、無駄な公共サービスへの発注額を 5 分の 1 にしたらどうだろ う。製造業で既に同じことが起こったため、組み立て加工は全部中国に行ってしまった。日 本人の仕事はなくなったが、 それでもみな新しい仕事をして生きている。だから公務員にも できるはずだ 程度のことは考える。しかし考えること以上はしないし、できない。 それより、我々にとって重要なのは「こういう問題が起こっている」だから「自分はどう 亠 9 るかーし」い , フこし」た。 格差を問題にするのであれば、私は以下の 3 つの生き方を提案したい。 ・格差に勝ち残る生き方 ・格差を無視する生き方 ・格差自体を創りだす生き方 ひとつめの「格差に勝ち残る」生き方。きわめてオ 1 ソドックスな自己成長論であり、高
格差の 何が問題ですか ? 章
87 第 2 章格差の何が問題ですか ? 誰かの賃金が上がれば 他の誰かの賃金が下がる GDP
97 第 2 章格差の何が問題ですか ? 問題は、高学歴ホワイトカラ 1 の中に、リーダー的な役割を全くやらずただヒマな人、あ るいはにしく見えるけども事務をこなしているだけの人がいることである。この人たちは、 この年で「そろばん二級、書道初段」的な人たちがたどったのと同じ道を歩むことになる ごろ一フ 「創り出す人 [ と、 「こなす人」の格差はこれからも広がる一方である。人々がどれだけ叫 ばうと、法律で何とかしようと、この流れは止められない。企業は利益を求める。利益は税 金として国に、キャビタルゲインや配当として株主に払われる。国に払われた税金は社会イ ンフラの整備や公的システムの運用、住民サ 1 ビスの提供に使われ、配当は退職者に支払わ れる年金の重要な原資だ。 あなたがいまエリートだとしても、それでいられる期間は残り少ない もし、「格差に勝 ち残るー生き方がしたいのであれば、ヒマな時間をただヒマに過ごしたり、エクセルの関数 知識の多寡を竸ったりしている場合ではない。リ 倉り出さなければ、ダメなのだ。
69 第 2 章格差の何が問題ですか ? られて能力が向上し、就業機会が高まる。反対に貧乏な家で育った子供は低賃金の仕事に就 かざるを得ないことが多く、またその子供も十分な教育が受けられずに選択肢の幅が狭くな る、とい、フロジックだ。 そうなると、政治家や識者は「国の所得再配分機能が正しくないからだ」と指摘し、主に 税制と補助金を中心として何らかの変更を加えようとする。しかし所得再配分機能の「最適 化」は永遠に定義できない少なくとも、個人としてそれを期待しないほうがよいと思う。 なぜなら、ある人にとって公平なことは、別の人にとっては不公平だからである。 たとえば年金問題。 2013 年の時点で幻歳から歳の成人 2 ・ 3 人で高齢者を支えてい る。この時点で高齢化率は世界最高なのだが、 2025 年になるとそれがさらに 1 ・ 8 人に なると推計されている ( 出典〕財務省 ) 。 現実的な計算をすればいまの若い人に将来、約東通り年金を出すには、現在の受給対象者 への支払額を減らさなければならない 。しかし、評論家や政治家が公の場で「将来世代のた めに、現在の受給者の年金を減らすべきとはっきり言ったら、現実がわかっていないとか、
67 第 2 章格差の何が問題ですか ? る。販売や営業の仕事に直接携わっていなかったとしても、会社としては第三者に何かを 売っている。あなた自身、あるいはあなたの会社が売っている商品には、まず間違いなく競 合商品がある。似たような商品が並んでいる中で、あなたの商品を買ってもらうためには、 競合商品との「違いを出さなければならない モノやサ 1 ビスを売っているあなたも、仕事を離れれば消費者だ。板チョコが食べたいと 思ってスー 1 に行くと、明治、ロッテ、森永の 3 社の商品が目立っところに並んでいる。 あなたはそのうちのどれかを、何らかの理由を見出して選択する。その理由は価格かもしれ ないし 、パッケージの色やプランドかもしれないあるいはこの 3 社の商品ではビンと来な いから別の店に行って 3 倍のお金を払ってリンツを買う人もいれば、安売り店でノ 1 ブラン の廉価品を買うかもしれない。 : しすれにしても何か一つを選ぶのは、そこにあなたなりの 「違い」を見出しているからである。 買い物をするときには気にならないが、提供者側に立った時に深刻な問題となる点があ る。それは、あなたが何か一つを選んだ時点でほかの商品は売上ゼロ、競争に負けていると いう点だ。あなたのような消費者一人ひとりの選択、提供者から見たら勝敗が明確な勝負の