第 格差の何が問題ですか ? 経済活動の前提は「違い」である 「結果の平等」と「機会の平等」 日本人というだけで格差に勝っている 「格差に勝ち残る」「無視する」「創り出す」それぞれの生き方 「格差に勝ち残る」意識のある人が特に格差を気にしている ? 給料は経営者や人事部ではなくてお客さんが決めている が一定なのにホントに賃金は増えるのか 「経験経済」Ⅱ「暇つぶし社会」では結局ゼロサムゲームになる 暇つぶし社会の企業は、個人の時間をどんどん侵食する 章
89 第 2 章格差の何が問題ですか ? 「経験経済」「暇つぶし社会」では結局ゼロサムゲームになる ほかにも、スマホゲームの進展でニンテンド市場は頭打ち。決済はアップル・ペイ が注目を浴び、自動車は 1 人 1 台どころかカーシェアリングの時代に、という流れを見てい るし」、 いまの経済は本当にゼロサムゲ 1 ムである。 その理由は、現在が「時間消費社会」だからだ。時間消費社会になるとゼロサムゲ 1 ムに なるという点は、世の中であまり指摘されていないようだが、私がこれからする説明を読ん でいただければ納得していただけると思う。 おそらく囲年代半ば頃のことだと思うが、「経験経済」というようなことが言われ始めた。 もうサポ 1 ト切れになってしまったマイクロソフトの「ウインドウズ」の「」とは Experience ( 経験 ) の略語である。を使って映像や音声、人とのコミュニケ 1 ション を楽しむことができるという思いが込められていた 経験経済とは、モノを所有することによる喜びよりも、モノを使って得られる経験、もし
これらのことは私個人の経験の範囲の話で、科学的に立証されているかどうかはわからな もしかすると私がほかの人よりも極端に「嫌いなこと」に反応し、それを避けようとす 「嫌いだけれど、必要だからやっている」は長続きしないので る性格なのかもしれないが、 はないかと思う。また、「面白そうだからやってみたけど、やってみたらそうでもなかった。 だからやめた」というのがしよっちゅうあってもよいだろう。富士山に登るには、いろんな ルートがあるのだ 昔はとにかく我慢を強いられた。近代化するまでの人類の歴史は寒さの我慢、空腹の我慢 す だった。しかし、選択肢の多い現在では嫌いなことを我するよりは、好きなことに絞り込 をんで時間を使うほうが、精神的にも経済的にもメリットが大きい もちろん、我慢が必要な局面もある。英語がしゃべりたければ、部屋にこもって文法を勉 強し、イディオムや単語を覚える過程を経なければその先には進めないし、スポーツが上達 工 したければ、日常生活にない不自然な動きを体に覚えこませて、そのスポーツにおいて自然 残 な動きを習得しなければならない 章 第 しかし、その我慢ができるのはそれが本当に好きでないと難しい
くはモノを買わなくても得られる経験に対してお金を払う経済のことである。経験するとい うのはイコ 1 ル時間を使うということだ。だから消費は「 1 人あたりの持ち時間 x 人数で 決まる。問題は 1 人あたりの持ち時間は物理的に上限があるということだ。 モノの消費社会時代には、空間を広げることができた。大きな家具を入れる広い部屋、モ ノが増えてきたからと裏庭に納屋を建てる。通勤用以外に遊びの車がほしいから、ガレージ を足す、などといった具合に、モノをしまっておく空間を広げることが可能だし、そのこと 自体でもお金を使う。 また、モノは同時消費ができるが、時間はそれが難しい。右耳はウォ 1 クマンで洋楽を聞 きながら、左耳は•—。で邦楽を聞き、手元のアンドロイドスマホで >-€ 0 の動画を見て、友達と楽しくレストランで食事をする、というようなことは基本的にできな 人間の集中力を考えたら、一度に楽しめる経験は一つである。 そもそも 1 日の上限は幻時間である。そこから睡眠時間と仕事の時間を削った時間が「可 処分時間ーだが、 それが一定だとすれば、たとえばスマホをやる時間が増えれば新聞を読む 時間が減る。可処分時間を増やすには仕事の時間を減らすか睡眠時間を減らすしかないだ
「へえ。では何がポイントなんですか ? そう私が訪ねると、彼はこう答えた。 「はっきり言って人ですわ」 企業は人であるー・ーあまりにもあたりまえの言葉に、私はいささかがっかりした。しかし、 それに続く彼の説明を聞くうちに、私は自分がいかに先入観にとらわれた、経験不足の頭 でつかちであるかを思い知らされることになる。 ある時期から彼のところに施設を買ってほしい、何とかしてほしいという案件が入り始め た。彼は介護ビジネスについては全く門外漢だったので、とりあえず持ち込まれた案件に関 して関係者の話を聞くことから始めた。 まずすぐにはっきりしたこととして、彼の所に来た介護施設の経営者は全員ダメである。 先述したようなシロウトの私でも思いつく理由を説明して ( 人によっては数字付きで詳細な 分析を加えて ) 外部環境のせいばかりにする。 また、経営者自身は例外なく現場の仕事には手を下さない。だから、現場の介護士から改
49 第 1 章学歴ェリートより「ストリート・スマート」の時代 手を克服するのは意味があるだろう。 しかし、平均以下の売上しかあげられていない人が、営業カそのものではなくその他の弱 点に目を向け、英語の勉強に精を出すとか、会計の知識が欠けているから簿記を勉強するな どという方向性で努力を重ねるのは、現実逃避と指摘されても反論できないだろう。 点を点にする努力は、既に多くの人が経験してきているため、「弱みを克服する」に ついてはそれなりのマニュアルがある。しかし、 100 点を 120 点にするには、徹底して 自分の頭で考えなくてはならない。受験の発想では、強みは伸ばせないのだ。 高学歴な人にありがちな仕事の弱点とは ? さらに、勉強のできる人間にありがちな仕事の悪癖というのもある。 受験勉強に成功した人は、机の上でやる仕事の問題解決能力が優れている点は間違いな しかし、それには弊害がある。それは、何でも「自分がやったほうが早いーと考えてし まう点である。プライドが高く、負けず嫌いな傾向も加わって、自分がわからないこと、苦
と、それだけで成功した大金持ちになった気になるものである。いわゆる「持ちきれないカ ネ」というやつだ。気が大きくなってどんどん使ってしまうのである。 コストは常に確定で、売上は常に未確定であることは経験のある経営者であれば常に肝に 銘じている考え方であるが、それが腹落ちしていない。だから、資金調達ができた時点で「計 画通り」お金を使うのだが、往々にして「計画通り には売上は作れないのである。 計画通り売上が上がらないことや、商品・サ 1 ビスが開発できていないことがはっきりす ると、そのことについて、経営者は採用した社員ーー・・・この時点ではマネジメント職中心 す を詰め始める。 視 を しかし、そこから新しく採用したマネジメントが努力してビジネスが浮上することはきわ 画 めてまれである。彼らは、安定を捨ててカッコ、 ( しべンチャ 1 に入ることによる一種の充足 や、昇給や昇進が目的の人間たちである。 工 念 なまじっか頭がよいから、できない理由は何万通りも思いつく。しかし、プレイクスルー 残 のための一つのアイデアが出てこない。仮に出てきたとしても、それを実行できない。誰も 章 第知らない会社の名刺を持って、聞いたこともないサ 1 ビスを売るために足を棒にして頭を下
172 傍観者になりがちな日本人 東京オリンビックの招致が決まってすぐのころは大きな盛り上がりを見せていたが、最近 は熱しやすく冷めやすい国民性か、この話題に関しては静かである。しかし、着々と準備を 進めている人たちも数多くいる。 豊かになったことの代償かもしれないが、 物事に対して「傍観者ーになっている人をよく 見かける。安定した日常が変わるのが嫌なのだろう。 情報はあふれているし、ニュースを見るだけで映画よりもエキサイティングなことが起き ていたりして、世界は刺激に富んでいる。しかし、それをただ傍観しているだけで、そこで 何かしてみようと思う人が少ない これはもったいないことである。 時間消費社会。その中で我々が求めているのは経験である。その経験も、ただヒマつぶし のためだけにするならその人個人に閉じた話だが、もしその経験をほかの人とシェアできれ ばそれは他人にとっての価値になる。つまり、ビジネスになる。そして、その経験に稀少性
101 第 2 章格差の何が問題ですか ? か ? , などという質問はしないでほしい。 これまでの経験から、そういう質問をする人は結 局何もしなし 、。何かをする人は「僕はフィリビンで〇〇を広めたいと思うんです ! 」とか「ケ ニアに可能性を感じるんです。なぜなら : : : 」という話をする。 私のこの話に何か感じるところがあれば、何日かフィリビンに行ってみるとよい。何かが ひらめくかもしれないし、何も起こらないかもしれないしかし、行ってみないことには何 も始まらないのである。 家具を全国で販売する「ニトリ」の創業者が日本経済新聞朝刊の「私の履歴書」の中で話 していたエビソ 1 ドを紹介しよう。 似鳥昭雄会長が最初に立ち上げた家具のディスカウントストア。開店当初は飛ぶ鳥を落と す勢いだったのだが、近所に大型家具店ができたところ、急に売れなくなった。資金繰りは 悪化し、金融機関から融資をストップされ、倒産が免れない状況だった。もう死ぬことばか り考えていたという。 そんな日々が続く中、米国の家具店を視察するセミナ 1 の話があり、わらにもすがる気持
185 第 5 章「こんなはずじゃなかった」が人生 味だし疲れるし、夜は長い。退職前の 4 年間は保険会社の仕事をしていたが、たぶんアクセ ンチュアに入るときに「保険業界の仕事がしたいです ! ーというような人はいないだろう。 だったら最初から保険会社に就職するはずだ。 どれも就職前には想像もっか 保険業界以外にもいろんな業界の仕事を経験させてもらい とれもやってみたら面白かった。 なかった仕事だったが、、、 よく人事コンサルタントが企業に「キャリアパスを示すべし」という提案をするが、本当 にそんなものを示すことができる企業があるのだろうかと疑問に田 5 う。キャリアプランを示 せるということは、企業のライフサイクルが予測できることを前提にしているはずだ。それ が予測できるということは、経済環境や市場環境が予測可能であると言っているわけだが、 それができない以上はキャリアプランもありえないのだ。唯一誰も疑わないことは、「人間 は年をとる」ということだけである。 今年の夏休みは会社の保養所に行こうと計画していたのに、業績が悪くなって春先に保養 所を売ってしまった、というようなことが起きると、夢がつぶれたということになる。しか し、それが普通だ、くらいにとらえたほうが楽しい人生になるのではないかと思うのだ