団 - みる会図書館


検索対象: 涼宮ハルヒの消失
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1. 涼宮ハルヒの消失

228 「それが起きたのは十八日の何時頃の話だ。どこの階段だ」 ばや あわ 矢継ぎ早に質問する。十八日と言えば世界が変わっちまって俺が慌てふためいていた初日で ある。 「それも覚えていないんですか ? 昼過ぎのことです。団全体会議を終えた僕たちは五 人で買い物に出かけようとしていたんです」 買い物 ? きおく 「それすら記憶から飛んでしまいましたか。よもやとは思いますが、忘れたふりをしているん じゃないでしようね」 「いいから続きを教えろ」 くちびるゆる 唇を緩めて古泉は笑う。 「その日の会議の主題は、ええとですね、二十五日のクリスマスの日に涼宮さんの地元で子供 会の集会があるんですが、そこに我々 coOco 団がゲスト出演するというものでした。朝比奈さ いしよう んのサンタ衣装を有効利用しようというわけです。彼女がサンタ役を演じ、子供たちにプレゼ ントを配るという心温まるイベントですね。涼宮さんが手配をつけてきました」 いつも通り、勝手なことをしやがる。 「ですがサンタ一人ではリアリティに欠けると思ったのでしよう。涼宮さんは誰かにトナカイ ごろ

2. 涼宮ハルヒの消失

210 選ぶもくそもあるか。 確かに団だけなら修復可能だとも。ハルヒと古泉は別の高校にいるが、そんなもんた きっさ いした障害にはならん。学外活動にしてしまえばいいだけた。いつもの喫茶店を溜まり場とす そこでもやはりハルヒはわけの解らんことを言い倒すだろ る謎のサークルにしちまえばいい。 ろ、つばい うし、古泉は笑っているだけだろうし、朝比奈さんは狼狽しているだろうし、俺は仏頂面で遠 じようちょ い目をしているという情景が目に浮かぶ。そして長門も、あの情緒不安定な性格のままでそこ だま にいることだろう。黙って本を読みながら。しかしな それは俺の知っている c00co 団ではない。長門は宇宙人しゃなくて朝比奈さんも未来人じゃ なくて古泉も単なる一般人、ハルヒにも不思議な力は全然ないという、まことに常識的な、単 なる仲良しグループでしかない。 それでいいのか。そのほうが良かったのか。 ハルヒの巻き起こす色んな出来事、非常識な事件の数々に、俺 俺はどう考えていたんだフ はどう思っていた ? うんざりだ。 しい加減にしろ。 アホか。 なぞ いつばん たお

3. 涼宮ハルヒの消失

136 しんにゆう 北高近くで車を降りた俺は、まず自分の教室にとって返した。ハルヒが考案した北高侵人 作戦の準備のためた。 ちなみにタクシー代は古泉に任せきりである。ここでのあいつはハルヒの財布代わり的ポジ ションに甘んじているようで、罰ゲームでもないのにご苦労なことだと思うね。本気で ( ルヒ れんあい に恋愛感情を抱いているのか ? いったいどこに忽れたのか聞いておきたいが、そういやハル ヒは異常な行動にもかかわらず中学時代にやたらモテたと谷口が言ってたな。まあ北高でも だれかれ 団なんて立ち上げなければ、あの女は誰彼かまわす告白の列を。ハッサ。ハッサと切り捨てて いた可能性もある。ならば cooco 団はハルヒにとって格好の風よけの役割を果たしていたとも なぞ みのが 一一一口える。あんな謎クラブの首領として君臨してれば、たいていの常識的な男は暴投を見逃す。 かいひ さんしん ちよくげ・き 〉 , , 0 う」回避行動」移。〉←を振 0 工一一振 ~ 頭部直撃 0 デ〉 , ~ 、り、四一 いちるい 見逃して一塁べースに歩くほうがまたいいもんな。 そんなことを考えながら最上階を目指す。 「お前らしいよ」 こた まゆ みや と俺は応えて、眉を寄せる古泉の複雑な表情を見遣った。 ほ

4. 涼宮ハルヒの消失

目ざとい同級生や俺の無断エスケープを知る教師どもに発見されないうちに、俺たちはそこ 凵に行かねばならない。 つうしよ、つ ほんきょち 通称旧館、部室棟三階にある団本拠地、正式には文芸部の部室へと。 とびら 今度の扉はノックしてから俺が開いた。 「よう、長門」 めがね テー、、フルに、 ードカバーの図書館本を立てかけて読んでいた眼鏡の顔がすっと上がった。 長門は俺を見て安堵したように息を吐き、 「え」 続いて現れたハルヒに目を丸くし、 そのハルヒに抱え込まれている朝比奈さんの姿に口を開け、 末尾をつとめた古泉の登場に至って絶句した。 まっぴ と、つ

5. 涼宮ハルヒの消失

えん けじゃないし、今の俺がめったやたらに幸福なわけでもない。 だが程度問題を度外視さえすれば、当たらずも遠からずと言ったところだ。これまでの俺は ( ルヒにまつわる変な出来事に神経を左右されていたし、それは現在の俺にとってはもはや無 縁のものらしいからだ。 しかし ふつう ここにはハルヒはおらす、古泉もおらず、長門と朝比奈さんは普通の人間で、 ruooco 団なん てものは影も形も存在しない。ェイリアンもタイトムトラベルももなしだ。ましてや猫 が喋ったりすることもない、非常に普通の世界である。 どうなんだ ? これまでと、この今と、どっちの状況がよりふさわしいんだ。どちらが喜ばしい状態なのだ ろう。 俺は、いま幸せなのか ? 放課後、習慣的に文芸部室へと足が向いていた。毎日同じことを繰り返していれば考えなく ふろ ても身体が動くという典型的な自動的行動である。風呂に入って体を洗う順番が特に決めてな しゃべ じようきよう

6. 涼宮ハルヒの消失

よ、 0 かんし 先ほど長門の隠したデータが何だったろうかとも思ったが、監視するような視線が俺の背後 から届いている。見られてはマズいものを発見されそうになるや、即座に電源コードを引き抜 こうと身構えているような気配である。 俺は席を立った。 手がかりはこの。ハソコンにはないのだろう。本当に見たかったのは朝比奈画像集でも とら 団ウェブサイトでもない。ハルヒと俺が閉鎖空間に囚われてしまったときに出現したような、 むざん 長門のヒントメッセージが表示されるんじゃないかと思ったのた。その期待は無惨に投げ捨て られた。 じゃま 「邪魔したな」 とびら ひろう 失疲労した声で告げて俺は扉に向かった。帰ろう。そして寝てしまおう。 の ここで意外なことが起こった。 「待って」 ほんだなすきま 涼長門は本棚の隙間から藁半紙を引っこ抜き、ためらいがちに俺の前に立つ。そして俺のネク タイの結び目あたりを見ながら、 「よかったら」 わらばんし ね

7. 涼宮ハルヒの消失

156 「すまない、長門。これは返すよ」 かんまん 差し出した白紙の入部届けに、長門の白い指が緩慢に伸びた。一回失敗して、一一度目にやっ とつまむことに成功する。俺が手を放すと、入部届け用紙は風もないのに震えていた。 「そう : : : 」 声まで震わせて、長門は睫毛で目の表情を隠す。 「だがな」俺は大急ぎで言った。「実を言うと俺は最初からこの部屋の住人だったんだ。わざ わざ文芸部に入部するまでもないんだ。なぜならーー、」 ハルヒと古泉と朝比奈さんは「何言ってんだこいつ」みたいな顔で俺を見ている。長門の顔 は髪に隠れてよく見えない。かまわない。安心しろ長門。これから何が起ころうと俺は必す部 もど 室に戻ってくる。 「なぜなら俺は、団の団員その一だからだ」 O ・・さ、もちろん。 俺は指を伸ばし、エンターキーを押し込んだ。 その直後ーーー かみ まっげ ふる

8. 涼宮ハルヒの消失

たものですから」 北高にはエアコンもないからな。 ハルヒが溜息をついた。 。楽しそうね、すつごく」 「団か : おかげさまで。 「あなたの一一一一口葉を信じるならば」 じゃっかんおさ 横からロ出ししてきたのは古泉だ。如才ないスマイルを若干抑えたシタリ顔で、 かいしやく じよ、つきよう おちい 「聞いた限りにおいて、あなたが陥った状況を説明するには二通りの解釈が上げられます」 いかにも古泉が言いそうなことだった。 二つはあなたがパラレルワールドに移動してしまった、というものです。元の世界からこの 失世界へ。二つ目の解釈は世界があなたを除いてまるごと変化してしまったということですね」 の ヒ それは俺も考えたさ。 レ 「しかし、どちらにも謎は残ります。前者の場合ですと、ではこの世界にいた別のあなたはど 涼こに行ったのかが謎ですし、後者ではなぜあなただけが放置されたのかが解りません。あなた に不思議な力があるのならそれはそれで説明できますが」 よ、。断一言する。ない。 ためいき なぞ じよさい わか

9. 涼宮ハルヒの消失

くるの正体なのだ。 と、言われたら八対一一の割合で信じてしまえることだろう。うちの妹なら絶対信じる。確実 ヾ - 」 0 「非常によいですね」 感想を述べたのは古泉である。 じよ、つとうく 「申しわけありませんが、常套句しか思いっきませんよ。ええ、とてもよくお似合いです。う ん、そうですとも」 「でしょ ? 」 かただ ハルヒは朝比奈さんの肩を抱き寄せ、目を白黒させているサンタ少女の顔に頬を寄せた。 かわい 「めっちゃくちゃ可愛いわ ! みくるちゃん、もっと自分に自信を持ちなさい。これからクリ 。ハまで、あなたは coOT) 団専用のサンタクロースよ。その資格があなたにはあるわ ! 」 「ふひー」 といき 情けなさそうな吐息をつく朝比奈さんだったが、これだけはハルヒが正しい。誰も反対する ものはいないだろうな、と考えて長門のほう見やると、小柄なショートカットの無一一 = ロ娘は、当 然無言のままに読書にふけり続けていた。 頭に三角帽を載せつばなしで。 」カら

10. 涼宮ハルヒの消失

178 「わたしだけでは無理なの」顔を曇り気味にして、「長門さんの助けがいります。それから、 いっしょ もちろんキョンくんも一緒じゃないと」 「やったのは誰です ? どうせハルヒだと思いますが」 「違います , 笑顔を引っ込め、朝比奈さんは沈んだ声でおっしやった。 「涼宮さんではありません。他の人が犯人なんですよ」 やろう 「新たな登場人物ですか ? どっかの知らない異世界人野郎がーー」 さえぎ 俺の言葉を遮り、朝比奈さんはなぜか憂いた声で言った。 「あなたもよく知っている人です」 もう少し時間的余裕がある、と朝比奈さん ( 大 ) は腕時計を見せながら言って、 cooco 団で の思い出を懐かしそうに語った。俺にしてみれば、その思い出すべてはこの一年以内のことな のだが、彼女にとっては何年も前のことらしし 、。ハルヒに拉致されて部室に連れて行かれたこ ぼんおど とから始まって、強制バニーガール、七夕の願い事とか島で出くわした殺人事件劇、盆踊りで えがお しず うれ うで