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検索対象: 涼宮ハルヒの消失
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1. 涼宮ハルヒの消失

~ 京・宮ノ、ノレヒの ~ 肖失 谷川流 、ツ 角川文庫リ 444

2. 涼宮ハルヒの消失

とうてい 俺が発するべぎコメントを到底探し得ないでいると、長門は朝比奈さん ( 大 ) に向かって、 「目標の時空間座標を伝える」 「あ、はい」 朝比奈さん ( 大 ) は忠実な大型犬がお手をするように片手を伸ばした。 「どうそ : : : 」 こう 失長門の指が、朝比奈さん ( 大 ) の手の甲にちょんと触れ、緩やかに引っ込められる。 の れだけ ? しかし朝比奈さん ( 大 ) にはそれだけでよかったようで、 「解りました、長門さん。そこに行って『彼女』を修正すればいいのね。難しいことではあり 宮 涼ません。そこの『彼女』には何の力もないはずですから・ : にぎこぶし 何事か決意したように握り拳を作る未来人に、宇宙人が言った。 「待って」 第五章 ゆる

3. 涼宮ハルヒの消失

ようやく朝倉は腰を上げ、 れいと , っ 「長門さん、余った分は別の入れ物に移してから冷凍しておいて。鍋は明日取りに来るから、 それまでにね」 なら ばくさ あいまい 俺もそれに倣う。縛鎖から解放された気分だ。曖昧にうなずいていた長門は、うつむいたま ま俺たちをドアまで見送りに来た。 朝倉が先に出たのを確認して、 「それじゃあな」 ささや 俺は戸口の長門に囁いた。 「明日も部室に行っていいカ ? 放課後さ、ここんとこ他に行くところがないんだよ」 長門は俺をじっと見つめ、それから : ・ 失薄く、だが、はっきりと微笑んだ。 の ヒ レ 目眩がした。 宮 涼 さなか エレベータで降りている最中、朝倉は含み笑いを浮かべて言った。 「あなた、長門さんが好きなの ? 0 なべ

4. 涼宮ハルヒの消失

「ハルヒ」 「何よっ」 「ヨダレを拭け」 くちびる 唇と眉をびくびくさせながら ( ルヒは口一兀をててぬぐい、そのまま顔をべたべたなで回し ながら俺を睨め付けた。 「あんた、あたしの顔にイタズラ書きしてないでしようね」 したかったけどさ。 「ふん。で、他に言うことはないの ? あんたさあ、」 思った通りに答えた。 「心配かけたようだな。すまなかった」 失「わ、解ってるんだったらいいわよ。そりやそうよ、団員の心配をするのは団長の務めなんだ ヒから ! 」 ここち どな ハルヒの怒鳴り声を耳に心地よく聞いていると、ドアをノックするか弱い音がした。古泉が 宮じよさい 涼如才なく立ち上がってスライド式ドアを引く。 みまいきやく そこに立っていた第三の見舞客は、俺を見るなり、 「あ。あつあっ」 わか

5. 涼宮ハルヒの消失

ことを知らない。 では誰が ? 朝倉のナイフ一閃を素手で止めてくれたのは、そんなことが出来そうなのは、それをするだ ろう奴は 長門しかいない。 そして俺が意識を失う前に見た二人の朝比奈さん。大人でないほうの朝比奈さん、あれは俺 の朝比奈さんだ。この世界にいる、俺がよく知っている愛らしい未来から来た上級生だ。 加えてもう一人、あの声の主もそうだ。最後に俺に呼びかけた、どっかで聞いたことのある 思い出そうと努力して、そんな努力は必要ないことに間もなく気付いた。 失あれは俺の声だ。 の 「なるほど、そうか」 と一一一一口うことは、・こ。 涼もう一度、俺はあの時間に行かなくてはならないのだ。十二月十八日の朝つばらまで時間遡 こう この時間にいる朝比奈さんと長門と三人で。 行しなくてはならない。 そうして、世界を今ここにある形に戻すのだ。 声。 いっせんすで

6. 涼宮ハルヒの消失

俺は言った。 「お前のしわざだったんだな」 めがね 眼鏡付きだった。これはあの長門だ。十八日以降の、文芸部の一部員でしかない長門有希。 宇宙人でも何でもない、引っ込み思案な読書好き。 その眼鏡の長門はさらに驚いた顔をする。わけがわからないというような。 : な。せ、ここに、あなたが」 「お前こそ、なんだってここにいるのか自分で解ってんのか ? 」 「 : : : 散歩」 かす 長門は微かな声を出した。目を大きく開けて俺を見つめる少女の顔で、眼鏡が街灯の光を反 失射していた。それを見ながら俺は思う。 の そうじゃない。そうじゃないんだよ、長門 こいつは疲れていたのだ。ハルヒの思いっきに振り回されたり、俺の身を守ってくれたり、 ひろう かつやく 、そんなことに色々な疲労が 涼おそらく俺たちの知らないところで秘密の活躍をしていたり 溜まっていたんだ。 ついさっきまで俺がいた長門の部屋で、三年前の長門は言った。

7. 涼宮ハルヒの消失

何かおかしい。 まちが わかん この違和感は何だ。ここがどこだかは解る。文芸部の部室で間違いない。おめーはタイコか。 谷口のセリフが不意に去来した。どこ。問題はそれじゃない。そうだ。どこか、ではないんだ。 じようしよ、フ とうとっ 唐突に俺は違和感の正体を突き止めた。気づくと同時に体感温度が一気に上昇したように感 さつかく じたが、そうではない。最初から気温はこうだったんだ。俺の体温変化による体感温度の錯覚 ではない。 がまん 我慢できず俺はジャケットを脱いだ。全身の毛穴が開いて次々と汗を噴き出しつつある。上 着を脱ぎ、ワイシャツの袖をまくっても部屋に籠もった熱気は収まらない。 つぶや 失と、俺は呟いた。 の 「まるで・ーー」 まるで真夏の気温だった。 宮 涼 つまり、現在の俺が思うべき疑問は一つだけだ。 今は、いつだ。

8. 涼宮ハルヒの消失

よ、 0 かんし 先ほど長門の隠したデータが何だったろうかとも思ったが、監視するような視線が俺の背後 から届いている。見られてはマズいものを発見されそうになるや、即座に電源コードを引き抜 こうと身構えているような気配である。 俺は席を立った。 手がかりはこの。ハソコンにはないのだろう。本当に見たかったのは朝比奈画像集でも とら 団ウェブサイトでもない。ハルヒと俺が閉鎖空間に囚われてしまったときに出現したような、 むざん 長門のヒントメッセージが表示されるんじゃないかと思ったのた。その期待は無惨に投げ捨て られた。 じゃま 「邪魔したな」 とびら ひろう 失疲労した声で告げて俺は扉に向かった。帰ろう。そして寝てしまおう。 の ここで意外なことが起こった。 「待って」 ほんだなすきま 涼長門は本棚の隙間から藁半紙を引っこ抜き、ためらいがちに俺の前に立つ。そして俺のネク タイの結び目あたりを見ながら、 「よかったら」 わらばんし ね

9. 涼宮ハルヒの消失

えんりよ いことだ。 , 彼女のできた谷口をひがんでのことではないが、今日のことを知っていれば遠慮は していただろうな。 「そうだっけ。あれえ ? おかしいな」 にんじん かたむ 国木田はキンビラゴボウの人参を取り分けながら、首を傾けた。 「僕の見間違いかなあ」 のんきな口調である。 わか 「うーん、でも後で谷口に訊いたら解ることだよね」 もや 今日はいったいどうしたことた。谷口も国木田も、なんだか靄に包まれたようなことを言っ てる上、ハルヒなんか欠席している。ハルヒを除く全人類が困るようなことがまた発生しよう けいかい としている前兆ではないだろうな。あるわけのない俺の第六感が警戒警報を。ヒリビリ発令し始 みよ、つ 失め、首筋の裏側あたりに妙な冷気が走った。 消 の ヒ レ 涼その通り。 かん 俺の勘も捨てたものではない。それはまさしく前兆だった。勘で解らなかったのは、困るの は誰かってところだ。ハルヒを除く全人類 : : : ではなく、この事態が発生しているのに気づい き

10. 涼宮ハルヒの消失

イヤな予感がするね。何かいかがわしいことを考えているときの笑みだ。けっこう長いっき あいだ、それくらいは俺にだって理解できている。 問題は : 「とってもおいしかったわ。みくるちゃん、お礼と言っては何だけど、あなたにちょっと早め のプレゼントがあるのよね」 「え、ほんとですか ? 」 目を瞬かせる可隣なメイドさんに、 「これ以上の真実はないってくらい本当よ。月が地球の周りを回ってて地球が太陽の周りを回 っているくらい本当のことだわ。ガリレイのことを信じなくてもいいけど、あたしの言うこと は信じなさい 失「あ、はははい」 のそうしてハルヒはまたもやバッグに手を差し入れた。 かた びくしようう 気配を感じて顔を向けると、まともに目があった古泉が微苦笑を浮かべて肩をすくめて見せ 涼る。何のつもりだと言いたいところだが、何となく解る。だてに ( ルヒの仲間を半年以上もや ってないんだ、これで想像できないほうがおかしいだろ。 そう、と俺は思うのだった。 またた かれん わか