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検索対象: 論理学をつくる
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1. 論理学をつくる

第 8 章さらにさらに論理言語を拡張する ( 2 ) 論理式の定義のうち原子式の項目に次の定義を追加する。 ( 1 ) まず MPL の語彙に「同一性記号」という項目を加え , そこに「 = 」を登録する。 論理式の定義の変更点 203 【定義】了 1 と了 2 が項のとき , ( 了 1 = 了 2 ) は論理式である ( もちろん , カッコを適切に省略するた めのとりきめもつけ加えるものとする ) 。 モデルにおける真理の定義の変更点 次に , 我々が普通に理解している同一性に相当する意味を記号「 = 」に与えなくてはいけな い。そこで , この記号の解釈を次のように与える。つまり , 方針 T をとる場合は , (1) を MPL に おける原子式に対する真理の定義【 TI ' 】につけ加えればよいし , 方針 S をとる場合は , ( 2 ) を充 足関係の定義【 SI ' 】につけ加えればよい。 ( 1 ) 任意の個体定項 , 滝について , VM ( = の = 1 V(a)=V(ß) ( 2 ) 任意の項了 1 と了 2 について , VM , び ( 了 1 = 了 2 ) = 1 鼠了 1 ) = び ( 司 2 つの「 = 」を区別せよ いまの定義 ( 1 ) ( 2 ) には 3 カ所ずつ「 = 」が出てきている。これらの「 = 」は見た目が同じでも , 本来は異なった記号だから注意しよう。 VM に続くカッコの中に現れる「 = 」は論理式の構成要 素になっている同一性記号 , つまり , V ややヨなどと並んで対象言語 IPL の語彙に含まれ ている記号だ。一方 , の右辺に出てくる「 = 」や左辺の「 = 1 」の「 = 」は , 「付値関数 V が とに同じ個体を割り当てる」とか , 「 = 滝という形の論理式がモデル M のもとで真であ る」という日本語を短く書くために使われている , メタ言語の記号である。神経質な人は , この 2 種類の記号を形の上からも区別しなければならないと考えて , 例えば IPL の語彙に属する方 の同一性記号を「」として , ( 了 1 了 2 ) のように書いたりする。そうすれば , 確かに真理の定義 は「 VM の = 1 V ( の = V ( の」となって , 2 種類の記号は身分が違うんですよというこ とがはっきりする。本当に厳密にやろうとしたらその方がいいに決まっている。しかし , ほとん ど混同の恐れはないと思うので , IPL の語彙としても普通の「 = 」を使ってしまおう。 練習問題 60 この同一性記号の表現力をもう少し確かめるために次の翻訳をしてみよう。 ( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ) アランはベネロープを愛している。しかもベネロープだけを愛している。 アランだけがベネロープを愛している。 バージルが愛しているのは自分だけである。 スコットはバージル以外の人も愛している。 他のすべての人を愛しているのにそのすべての人から愛されないような人がいる。

2. 論理学をつくる

95 ーゴ P △ Q ) = 1 ( P ▽ Q ) △ー、 Q = 1 = 0 PVQ=I 第 4 章機械もすなる論理学 ( P △ Q ) (PVQ)A•Q PVQ X X P Q = 0 4.1.4 タブローを汎用的な方法にする きをどのような論理式にも使えるように整備すればよい。そのために便利な言葉を導入しておこ (c) のようなダイアグラムをこれからはタブローと呼ぶ。あとはこうしたタブローをつくる手続 【定義】タブローのてっぺんからひとつの末端までをずっとたどり , を集めてつくった式集合を経路 (path) と呼ぶことにする。 そこに含まれる論理式 例 ) タブロー ( c ) では , はじめ 1 本だった経路は枝分かれし , 最終的に次の 3 つの経路が生じ ( 1 ) 左の経路 ( 2 ) 真ん中の経路 ( 3 ) 右の経路 { ( P △ Q ) , (PVQ)A¯•Q, PvQ, ¯IQ, P, ¯IP) {•(PA•Q), (PVQ)A¯IQ, PvQ, { ( P △ Q ) , (PVQ)A¯Q, PvQ, ¯•Q, Q) P, タブローをつくるとはどういうことだったのか ら , 経路を 2 つに分岐させ , 一方の分岐の末端に A , 他方の分岐の末端に B を書き加えろ」と ( 3 ) 3 行目から 5 行目をつくる。これは次のような , 「 A \/ B という形の式が経路に出てきた ↓ A △ B き加えろ , という規則だ。この規則のことをい ] と名づけよう。 つまり , A △ B という形の式が経路に出てきたなら , その経路に続けて A と B を縦に並べて書 4 行目をつくる。これは , 次のような規則にしたがったと考えればよい。 ( 2 ) 2 行目から 3 , ( 1 ) 最初にチェックする式集合に含まれる論理式を列挙する ( 1 行目と 2 行目 ) 。 (c) を完成させるためにどのような手続きに従ったのかを反省してみよう。

3. 論理学をつくる

204 第Ⅱ部論理学をひろげる ( 6 ) 自分自身だけを愛しているような人もいる。 ( 7 ) 自分のことしか愛さない人は他の人みんなに愛されない。 同一性記号についてのセマンティカルな定理 妥当式 , 矛盾 , 論理的帰結などの定義はこれまでと少しも変わらない。同一性記号を含む論理 式について成り立ついくつかの事実を列挙しておこう。 【定理 36 】 ( 1 ) ト = つまり , = の形の式は妥当式である。 ( 2 ) ト = →滝 = ( 3 ) ト ( 住 = △ = → = ( 方針 S をとっている場合には , 以上は個体定項だけでなく任意の項について成り立つ ) ( 4 ) ト V 穹 = のつまり , 同一性関係は reflexive である。 ( 5 ) ト▽穹 V ぐは = ぐ→ぐ = の同一性関係は symmetric である。 ( 6 ) ト V ▽ぐ V ク ( は = ぐ△ぐ = ク ) →穹 = の同様に transitive である。 ( 7 ) = ト A / 引← A [ 厩引 ⑧手トつまり , 半の形の式は矛盾式である。 ( 7 ) は同一者不可識別の原理 (principle of indiscernibility of identicals) とかライプニツツの原理 (Leibniz's principle) と呼ばれている。 8.1.3 同一性をタブローで扱う 「 = 」に対する展開規則を導入する まず否定形については , 次の規則をたて 定理 36 の ( 7 ) と⑧が展開規則の根拠を与えてくれる。 ↓ この規則はようするに , 住ヰとか ( = のという形の論理式は矛盾式で絶対に真になりよ うがないから , この式を含む経路はそれだけで充足不可能になる。だから , そのような経路は閉 じてしまえ , という規則だ。 = を含む肯定形の論理式についての展開規則をたてよう。 {Pa ^ Pa/\•Pb ! 次に —nPb, a=b} という集合を考える。これは矛盾しているから , 閉鎖タブローを 生じなければならないはずだ。途中までタブローを書くと , 右のようになる。 これを閉じさせるにはどうしたらよいだろう。第 3 行により a は P である。 ↓

4. 論理学をつくる

付録 この種の書き方を使うと , 先ほどの AI n A2 n A3 なんかも , 354 2.4 順序対とテカルト積 順序対 ßl An と書けるだろう。 中学の数学の時間に座標というものを習っただろう。座標は , 点をいくっかの数の組で表すも のだ。数の集まりだから , 座標というのも一種の集合と考えてよい。しかし , ただの集合とは ちょっと違う。集合の場合は , { 1 , 2 } = { 2 , 1 } のように , 要素をどのような順序で並べるかにはか かわらず , 同じ要素だけからなれば同じ集合であるのに対し , 座標では , く 1 , 2 > という点と , く 2 , I> という点は別の点になる。このことからもわかるように , 座標では要素の並ぶ順序も重要 になってくる。そこで , く 1 , 2 〉のように , 要素の並ぶ順序を無視しないで考えたペアを順序対 (ordered pair) と呼ぶことにする。 順序 n 組 これを一般化すると , く x,y,z>, く x , y , z , w 〉 , ・・・ , < , X2 , ・ , xn > のように , 順序込みで考えた 3 個 , 4 個 , n 個の要素の組を考えることができる。こういうのを , 順序 3 組 , 順序 4 組 , 順序 n 組と言う。もちろん , く 1 , 3 , 2 > , く 3 , 2 , 1>, く 1 , 2 , 3 > などはすべて異なる。 デカルト積 いま , 次のような 2 つの集合を考える。 A = { 1 , 2 } , B = {a, b, c}o この 2 つの集合から , 前の 方には A の要素 , 後ろには B の要素がくるように順序対をつくれるだけっくると , 全部で , く 1 , a>, く 1 , b > , <1, c>, く 2 , a>, く 2 , b > , く 2 , c > の 6 つの順序対ができる。この順序対を全部集めて作っ た集合 { く 1 , a>, く 1 , b 〉 , <1, c>, く 2 , a>, く 2 , b > , く 2 , c 〉 } を集合 A と B の直積 (direct product) または 集合 A と B のデカルト積 (Cartesian product) と呼んで , AxB であらわす。 一般に , AxB と BxA は異なる。この場合も BxA = { く a , 1> , く a , 2 〉 , く b , 1> , く b , 2 > , く c , 1> , く c , 2 〉 } だから A >< B B >< A である。でも , 同じ集合同士のデカルト積は掛ける順序にはよらない。 例えば AxA = { く 1 , 1> , く 1 , 2 〉 , く 2 , 1> , < 2 , 2 〉 } である。だからこれを , A2 と書く。 同様にして , A3 = A x A >< A = { く 1 , 1 , 1>, く 1 , 1 , 2 〉 , く 1 , 2 , 1>, く 2 , 1 , 1>, く 2 , 2 , 1>, く 2 , 1 , 2 〉 , く 1 , 2 , 2 > , く 2 , 2 , 2 > } A4={<1, 1 , 1 , 1>, く 1 , 1 , 1 , 2 > , ・・ , <1, 2 , 2 , 2 〉 , く 2 , 2 , 2 , 2 > } を考えることができる。これによると , 中学で習った平面座標は , 2 つの実数の順序対だから , こうした平面座標全体の集合 ( 言い換えると平面のすべての点の集合 ) は R2 で表せることにな

5. 論理学をつくる

第 7 章さらに論理言語を拡張する 7.2 PPL のセマンティクス 175 次に多項述語を含む論理式にも真偽を定義できるようにモデルを拡張する。考えなければなら ないのは , ( 1 ) 付値関数 V によって多項述語に何を割り当てたらよいかということと , ( 2 ) 原子式 の真 ( 方針 S をとるなら充足関係 ) の定義を多項述語を含む原子式の場合にも適用できるように 拡張するにはどうすればよいか , ( 3 ) 多項述語記号を導入すると , それに伴って多重量化が生じ る。真理の定義が多重量化についてもうまくつかえるだろうか , ということだ。まず , ( 1 ) ( 2 ) に ついて考えよう。前章でモデルの概念の原型となった「世界」に戻って考えることにする。 7.2.1 愛の世界 2 項以上の述語には , 世界においては関係が対応する。・◆■の 3 人しかいない世界を考え る。人間界での最も重要な関係は愛するという関係だ。ある人がある人を愛しているとき , 図の ように愛している人から , 愛されている人に矢印を書いて示すことにする。 [ 世界 1 ] ・一一十◆ [ 世界 2 ] [ 世界 3 ] [ 世界 4 ] 世界 1 は不幸な世界だ。世界 2 では , ■さんは誰からも愛されるアイドルである。しかし , さんが愛しているのは自分だけ。冷酷なアイドルのいる世界と名づけよう。世界 3 で◆さんだっ たらいやだろうなあ。世界 4 では , 世界 2 と対照的に◆さんが愛なき世界における博愛主義者に なっている。 練習問題 54 ( 1 ) 2 項述語 L は「愛する」という意味で解釈するものとする。以上の 4 つの世界のそれぞれにつ いて , 次に挙げた論理式のどれが真になるかを指摘せよ。 (b) VxVy(Lxy → Lyx) (a) Vx ヨ yLxy (c) ヨ x ヨ y(LxyA •Lyx) (d) ヨ xVyLyx (e) ヨ xVyLxy (f) VxVyLxy (g) ヨ xLxx ( 2 ) 次に 真になる世界 , ( ii ) ヨ xLax が真になる世界 , 圃▽ x ( Lcx → Lxb ) が真になる世界はそれぞれ 4 つの うちどれか。 ・◆・の 3 人にそれぞれ , 「 a 」 , 「 b 」 , 「 c 」という名前をつけよう。このとき , ( i ) Lac が

6. 論理学をつくる

第 5 章論理学の対象言語を拡張する ヨ EA ↓ A / 引 127 こんなんでよいかな。 A / 引は A に含まれる個体変項穹の自由な現れに一斉に個体定項 を代入した結果得られる式を意味するものとする。ようするに , むにやむにゃなものがある , と いうことが真である以上 , そのようなものがあるのだから , それに適当な名前を付けて , 代入し てよろしいという規則だ。 普遍量化子についての規則 次に第 1 行に注目しよう。これは , すべての x について Px → Qx が成 り立っと言っている。ということは , いま名前を付けた a についてもこ のことが成り立たなくてはならない。そこで , Px → Qx の x のところに a を代入して第 5 行を書き足す。 a くんも , サービススタンプを 10 個集め たんだったらラーメン券がもらえるはずだ , ということだ。この 5 行目の 式には命題論理のタブローで使っていた展開規則 [ → ] が当てはまる。 左側の経路は Pa と Pa とを含んでいる。したがって , この経路は充 足不可能だから閉じる。問題は右の経路だが , その前に , 第 5 行を得るの に使った考え方を , 展開規則の形にまとめておこう。 V EA ↓ A / 引 Vx()x → Qx) ヨ xPx ! ヨ xQx Pa → Qa ! •Pa その x のと Qa ようするに , すべてのものについてむにやむにや , ということが真である以上 , ころにはどんな個体定項を代入しても成り立つはずだという規則だ。 否定十量化子についての規則 さて , 右の経路をどうするか。まだ何の規則も当てはめていない式は 3 行目のヨ xQx だか ら , これに当てはめる規則を考えよう。展開規則は上の式が真になるなら下の式も真になる , と いう考え方で作られていた。ヨ xQx が真になるとき真になる式は何か。一番簡単なのはこれ に論理的同値な式だろう。ド・モルガンの法則によると , ▽ x ¯Qx はそうした式の 1 つだ。 の式に書き換えると , もうすでに V で始まる式についての規則 [ V ] は立ててあるから , それを 使えるだろう。つまり , 次のような規則を立てればよい。ついでに —nY ではじまるやつにも 規則を作っておこう。 V 穹¯IA ↓ ↓

7. 論理学をつくる

付録 416 矛盾式ではない。 85 2 値原理を採用し , V(A), V(B) ともに 1 か 0 のいずれかであるとする。 このとき , V(AVB) V(AAB) 平 ( ーー 1 A) V(A) V(B) V(A) max{x, y) min{x, y) 1 0 V(A → B) x > y のときだけ 1 0 1 1 1 よ -0- 1 亠 -0- 1 亠 1 亠 -0- -0- 1 1- 亠 11 -0- 1 亠 -0 一 -0 一 -0- となるから , (F¯I), (FA), (Fv), ( F → ) にしたがって定まる真理値は真理表によって定められたも のと一致する。 86 【証明】 ( 1 ) この推論の場合 , r= {A → B, A} である。この推論が定義 2 の意味で妥当であるかど うかを考えてみよう。もし , この推論が妥当でないならば , 定義 2 により , V(r)=1 かっ V(B)< 1 であるような真理値割り当てが存在するはずである。さてこのとき V(r) = 1 であるためには , V(A → B) = 1 かっ V(A) = 1 でなくてはならない。 V(A → B) = 1 となるためには , (F → ) より V ( A ) > V ( B ) であってはならない。したがって , V(A)<V(B)0 ところが V ( A ) = 1 であるから , V(B)=10 これは V ( B ) < 1 に反する。したがってこのような真理値割り当ては存在せず , A → B' AkFB0 つまりこの推論は妥当である。■ ( 2 ) r={A → B, A } とする。定義 3 にしたがうと , このとき V ( B ) < ( ) であるような真理値 割り当て V が存在してしまう。例えば , V ( A ) = 0.5 , V ( B ) = 0.4 となるような真理値割り当ての もとでは , V ( A → B ) = 1 ー ( 0.5 ー 0.4 ) = 0.9 ゆえ , ( ) = 0.5 。したがって ( B ) < ( ) 。このよう な反例の存在は , A → B, APFBO つまりこの推論は妥当ではないことを示している。■ ( 3 ) ( 2 ) 9.3.2 ( 253 ページ ) ですで PA —nP Prem P Aelim •P Aelim ↓•elim* •(PVQ) Prem P Prem P V Q V intro •(PVQ) Reit ↓•elim* —IP —lintro Q Prem PVQ Vintro -•(P v Q) Reit 工¯nelim* Q ¯nintro* •P △—Q △ intro にやってある。 ¯li ntr 0

8. 論理学をつくる

330 ( 5 ) ( 2 ) 第Ⅳ部論理学はここから先が面白い ! 量化子▽ , ヨ 同一性記号 補助記号 項 , 論理式の定義 進んだ話題のロードマップ これらの語彙から , FOL の項の定義 , 論理式の定義に沿ってつくられる記号列が , 0 の項 , 論理式である。「 0 の論理式」と言ったとき注意してほしいのは , これは 0 で provable な式と か , Q の公理になっている式という意味ではなく , Q の語彙でつくることのできる式 , という意 味だということだ。 Q の公理 0 の公理は次の 2 つのグループからなる。 ( 1 ) 論理公理 (logical axiom) これはどんな第 1 階の理論も共通にもっている公理だ。具体的には AFOL の 6 つの公理を Q の論理公理とすればよい。ただし , AFOL の図式文字 (), 穹 , 了 ) に代入して考えてよい記号 は , Q の語彙とそれに基づいてつくられる Q の項と論理式に限られる。 ( 2 ) 固有公理 (proper axiom) これはそれぞれの理論に固有な公理であって , これによりその理論に固有な記号 ( 関数記号や 個体定項 , 述語記号 ) に「意味」が与えられる。当然のことながら , この部分は理論ごとに異な る。ロビンソン算術 0 では次の 7 つの公理を置く。 Q 1 Q 2 Q 3 Q 4 Q 5 Q 6 Q 7 V V ぐは手ぐ→ S 穹手 S の V 穹 ( 0 手 S の V 穹は手 0 →ヨぐは = S V は十 0 = の V 穹▽ぐは + S ぐ = S は + の ) V 穹は・ 0 = の V 穹 V ぐは・ s ぐ = ( は・ぐ ) + の ) Q のモデル 数学で「算術」と言ったとき , それは「読み書き算盤」のことではなく , 自然数と加法 , 乗法 という演算についての理論を意味している。 Q はその意味での算術を公理的理論の形に整備した ものだ。だから , Q の固有公理は次のモデルで真になる。というより , そもそもそうなることを 意図してつくられている。

9. 論理学をつくる

第 2 章論理学の人工言語をつくる しかし , 次のような疑問があるだろう。 23 「練習問題 2 をやったおかげで , 日本語で書かれた命題や論証が与えられたときに , それを論 理学の記号言語に書き換えることができるようになりました。だから , 自然言語と L との翻訳 マニュアルは勉強済みだと思うんですよね。だったら , 日本語で書かれたどんな論証がやってき ても , それに含まれる単純命題をアルファベットに置き換えて , 論理結合子を→とかみたい な記号に書き換えれば , 論証の論理的形式が見やすい形になるんだから , あとはそれが正しい論 証かどうかを考えていけばいいんじゃないでしようか。つまり , L の文法書みたいのをわざわざ つくらなくても , 目的は十分果たせるような気がしますけど」。 論理学は普遍的な研究であるべきだ 確かに , 我々が現実に行っている個々の論証の妥当性を把握するためだけなら , そういうやり かたでよいかもしれない。しかし論理学はもう少し大きな目標を持っている。 TV アニメの『名 探偵コナン』で江戸川コナン少年が行った推論の妥当性だけを扱う論理学があるとしよう。この 江戸川論理学をつくるのはとても簡単だ。彼はこのシリーズですごくたくさんの推論を行っただ ろうが , いくら多くても有限であるには違いない。そこで , コナン君の行った推論を時間的順序 に従って番号をつけ記号化し , 推論 1 は妥当 , 推論 2 は非妥当 , 推論 3 は妥当・・・・・・という具合に 判定していく。こうすれば , 扱うべきすべての対象についてそれが妥当であるか非妥当であるか が明確になるのだから , 江戸川論理学では , 「推論が妥当であるとは , それが推論 1 か 3 か ・・ 128812 か 128819 かのいずれかだということである」という具合に定義できてしまう。 しかし , いま我々がつくろうとしている論理学はこうした江戸川論理学のようなものではな い。それは普遍的な研究でなければならない。つまり , これまでに全人類がやってきた論証のす べて , それどころか , だれもやったことがないが原理的に可能な論証のすべてを対象とするもの であってほしい。例えば , 前提が 10 億の 10 億乗個もある論証は , これまでに誰もやったことが ないし , これからもそうだろう。また , 10 ポイントの活字で印刷すると地球からケンタウルス 座星にまで達するような長い文を含む論証もおそらく誰もやったことがないはずだ。しかし , 論理学が普遍的な研究であるためには , そのような論証に対しても , それが妥当であるというこ とがどういうことかを定義できるものでなくてはならない。 そうすると , ひとつ困ることがある。可能な論証はおそらく無限にたくさんあるだろうという ことだ。だから , 江戸川論理学のように個々の具体的な論証について「これは妥当である」とい うような判断をいくら積み重ねても , 我々の目指す論理学はつくれない。そのために , 論理学は 「どんな論証についてもあてはまる妥当性の定義」とか「任意の論証が与えられたときにそれが 妥当であるかどうかを判定する手続き」というものを見いだそうとするわけだ。 ようするに , 論理学がこのような意味で普遍的な研究であるということは , 人間には実際にで きないようなものまで含むありとあらゆる論証 , ありとあらゆる論理式について当てはまる定義 ができ , それらおそらく無限にたくさんあるすべての論証や論理式について成り立っことがらが 研究できなくてはならないということだ。こんな風にして , 論理学は数学に似てくる。我々は自 然数を使ってものを数えたり , 分配したりして日常生活を生きている。そこでは例えば 23 が素

10. 論理学をつくる

130 第Ⅱ部論理学をひろげる ( 1 ) Vx()x → Qx) ¯lQb —•(•QaVPb) ¯QaVPb ! Vx()x → Qx) Pa ¯lQb ¯QaVPb ! ¯IQ a Pb ¯Qa Pa → Qa ! Pb Pa → Qa ! •Pa Qa X ¯lPa ( 3 ) された論理式は , あることがらがあらゆる個体に 度も繰り返し適用されるということだ。普遍量化 このことからわかるのは , [U 日は同じ式に何 した。閉じました ( 3 ) 。 いか。そう考えてもう一度代入すると・・・・・・やりま だ。だから , b も代入しないといけないのではな くて , b についても成り立っと言っているはず なりたっと主張しているのだから , a だけじゃな う。第 1 行は Px → Qx があらゆるものについて いのはおかしい。そこで次のように考えてみよ でも , どう考えても論証 A は妥当だから閉じな できる式にはすべて規則を当てはめてしまった。 まだ閉じない。しかし , 規則を適用することの Qa X Vx()x → Qx) ¯lQb •-n(•QaVPb) •QaVPb ! Pa → Qa ! Pa → Qa •Pa Qa X —nPa X Qa Pb → Qb ! Qb •Pb ついて成り立っということを主張している。だから本来は , 新しい個体定項が現れるたびに , そ だ。もちろんこんなやり方でも判定結果じたいは変わらない。このタブローの下手さの決め手 次は 126 ページのラーメン屋の式集合を考えうる限り最も下手なやりかたでチェックしたもの 攻略法 ないからだ。 済の「 ! 」印をつけないほうがよい。またいっそこに戻って規則を適用することになるか分から は 1 つの式に何度も当てはめるような規則になる。そうすると V で始まる論理式には規則適用 とは規則適用済の印としてチェックマーク「 ! 」をつけておいてもよい。これに対して , [UI] [ UI ] 以外の展開規則は 1 つの式に 1 回ずつしか使わない。したがって一度規則を当てはめたあ 定項を代入する前にタブローが閉じてしまうことはありうる。そういうときはラッキーなのだ。 は経路に現れている個体定項の数だけ繰り返し適用しないといけない。もちろん , すべての個体 の定項を代入したものをそのつど書きたさねばならないはずなのだ。つまり [UI] は , 原則的に