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検索対象: 論理学をつくる
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1. 論理学をつくる

第 8 章さらにさらに論理言語を拡張する 惑星 (the heaviest planet in the solar system) 」のような句は , 或る 1 つの個体 ( ニール・アー 209 ムス トロング船長とか木星とか ) を指す表現であり , その点では固有名に似ている。しかし , 「歩く」 , 「重い」 , 「惑星」などの述語を含み , それらからっくられている合成的表現でもある。このよう な表現を確定記述句 (definite description) という。確定記述句を主語にする命題を論理言語 IPL へ翻訳するにはどうしたらよいだろう。例として , ( i ) 「その飛行機事故の唯一の生存者は 5 歳の 子どもだった (The survivor of the plane crash is a five-year-old child. ) 」という命題をとりあげ てみよう。これを「 a 」を「その飛行機事故の唯一の生存者」 , 「 P 」を「は 5 歳の子どもだった」 として , 「 Pa 」という具合に記号化してももちろんかまわない。だが , このやり方だとうまく扱 えない現象が 2 つほどある。 ( 1 ) 確定記述句自体がもつ情報 ( i ) から推論によって我々はいくつかのことがらを引き出すことができる。例えば , (a) 5 歳の子 どもが存在すること , ( b ) その飛行機事故には生存者がいたこと , ( c ) その飛行機事故の生存者は 1 人しかいないこと , などだ。しかし , この命題を「 Pa 」と記号化してしまうと , そこから引き 出せるのは ( a ) だけだ。 ( b ) や ( c ) も論理的帰結として出てくるような形でこの命題を記号化できたら その方がよいだろう。 ( 2 ) 指示対象が存在しない確定記述句 「太陽の上を最初に歩いた人 (the first person who walked onthe Sun) 」は誰も指示していない。 このような指示対象を欠く確定記述句が構成できるということは次の問題を生じさせる。 この表現は何も指すものがない。だから無意味だと言ってよいだろうか。そうも言えない気が する。少なくとも「そんなのはいないよ」と言える程度には我々にはこれらの表現の意味が分 かっているはずだ。したがって , この表現が有意味であるとしよう。そうすると , (ii) 「太陽の上 を最初に歩いた人はロシア人である」のような文も有意味だということになる。だとしたら , の命題の真理値はどうなるのだろうか。 確定記述句を固有名と同様にそれ以上分析されない「 a 」のように扱った場合 , 次のように考 えることになる。「 a 」に指す対象がないとき「 Pa 」にどのような真理値を与えるべきか。 1 つ の選択肢は真でも偽でもないとすることだ。しかしこれは , 2 値原理を捨て我々の論理学を大幅 に変えることになる。もう 1 つの選択肢は , ないものについての話は全部偽であるとすること 「 a 」に指す対象がない場合はそれを含む閉論理式はつねに偽になるとする。そうすると今 0 度は , (iii) 「太陽の上を最初に歩いた人はロシア人ではない」っまりは「 Pa 」も同じ理由で偽 にしなければならない。そうすると , ある式とその式の否定がともに偽になることになる。これ も相当にマズイ。指示対象をもたない確定記述句を含む命題を , 我々が建設中の論理学をそれほ ど根本から変えないでうまく扱える方法はないだろうか , これが目下の課題だ。 分析の手がかり これまでの考察から , 困難の原因は「太陽の上を最初に歩いた人間」のような確定記述句を , あたかも固有名のような単位的表現と考えて個体定項「 a 」によって記号化しようとしたことに あるらしい。したがって , 命題 ( ⅱ ) の文法形式 , 「太陽の上を最初に歩いた人 ( 主語 ) + はロシア

2. 論理学をつくる

106 第 I 部 い ) ( ▽ ) 論理学をはじめる . A e △ A e △ : A △ B e △ . •(AVB)e △ ) : •(A → B)e △ •(AAB)e △ : A V B △つ : A → B e △っ : Ae-+Be △ ゴキ→ B ) e △ Ae △かっ Be △ Ae △かっ•Be △ Ae △かつ Be △ —nA e △または•B e △ A e △または B △ ¯IA △または B △ ( Ae △かっ Be △ ) または ( Ae △かっ¯1Be △ ) つ ( Ae △かっ•Be △ ) または ( Ae △かっ Be △ ) ヒンティッカ集合の充足可能性 【定理 25 】いかなるヒンティッカ集合も充足可能である。 【証明】任意のヒンティッカ集合を△とする。そして次のように原子式に対する真理値割り当て V をつくる。 V : 各原子式 Pi について , Pi e △ Pi は 1 ようするに△に入っているか入っていないかに応じて , 原子式に 1 または 0 を割り当てるわけ だ。入っているものには 1 , 入っていないものには 0 。 このようにして定義される真理値割り当て V のもとでは , △に属する原子式はすべて 1 になる。 これは当り前。しかし , 実は複合的な論理式についてもこのことは成り立つのだ。つまり V は△ に含まれるすべての論理式に 1 を割り当てる。このことを示せば△は充足可能だということが示さ れる。そこで , 証明すべきことは , 「 Ae △なるすべての論理式 A は V のもとで 1 である」。証明 には帰納法を使う。 [Basis] 原子式 P については , V の定め方により , P e △ならば , P は V のもとで 1 である。ま た , 負リテラル—nP については , -•P e △であれば , ヒンティッカ集合の条件 ( ) により P △ だから , P は V のもとで 0 , したがって—nP は V のもとで 1 である。 CInduction Step] 結合子の数が k 個以下の任意の論理式 B, C について , それが△に含まれるな らば V のもとで 1 であると仮定しよう ( 帰納法の仮定 ) 。このとき , 結合子の数が k + 1 個の A に つしゝて , —nB の形のとき , ・ Subcase 1. A が △はヒンティッカ集合だから , 条件 ( ) により , もし Ae △であれば Be △である。 とき , 帰納法の仮定により B は V のもとで 1 である。ところで , A は一 IB であるから , V のもとで 1 。つまり , もし Ae △であれば A は V のもとで 1 , が成り立つ。 ・ Subcase2. A が B △ C の形のときも同様。 ・ Subcase 3. A が¯I(BVC) の形のとき , この A も △はヒンティッカ集合だから , 条件 ( v ) により , もし Ae △であれば , B e △かっー 1 C •B も一℃も結合子の数が k 個以下だから帰納法の仮定が適用できて , △である。このとき ,

3. 論理学をつくる

第 3 章人工言語に意味を与える 【補助定理 20 ー 1 】どの△も有限充足可能である。 85 【証明】仮定により出発点の ( つまり△ 0 ) は有限充足可能である。だから , △が有限充足可能な ら次の△ n + 1 も有限充足可能である , ということを示せばよい。そのためには , △が有限充足可能 なのに , 次の△。 + 1 になるはずの△。 U { ーーー IA 。 + 1 } も△ nU{An + けもいずれも有限充足可能ではない , と いうことがありえないということを言えばよい。 そこで背理法を使う。つまり , ( 1 ) △が有限充足可能であり , ( 2 ) △。 U { An + 1 } は有限充足可能で はなく , (3) △ nU{An + I) も有限充足可能ではないと仮定する。 そうすると , ( 2 ) より , △。 U { ーーー lAn + 1 } の有限部分集合で充足可能でないものがあることになる。そ れは△ n の何らかの有限部分集合△言に¯nAn+I を合わせたものになっているはずである ( △ U{¯1An + 1} の有限部分集合には一・一 - lAn + 1 を含まないものもあるが , それは△の有限部分集合になっ てしまうから , それが充足可能でないとすると ( 1 ) に反してしまう ) 。したがって , △言 CJ { A 。 + 1 } が 矛盾する ( つまり△言 , -- ー lAn + 譱である ) ような△の有限部分集合△言が存在する。 同様に ( 3 ) より , ぷ , An + 譱であるような△の有限部分集合ぶが存在する。 さて , △言 , ーー - ー lAn + 譱と△ : ; , An + 譱より , △ー - ー 1 -- -- -1 An + 1, △ -- ー lAn + 1 である ( 定理 15 ( 5 ) からすぐに 出てくる ) から , △ : ICJ △ー一一。 1 一一一 1 A ・¯nAn + I となり , 集合△ : ICJ △ : ; は矛盾していることになる。と ころで , △言 U ぷは△ n の有限部分集合だから , このことは△ n が有限充足可能であるという仮定に 反する。ー △の定義 ・ , △ n, ・・・にでてくる集合はどれも有限充足可能であること 以上により , 集合の列△ 0 , △ 1 , △ 2 , がわかった。次にこの列に現れるすべての集合の合併集合 U △ n を△とおく。この△は作り方 からして次の性質を持っていることは明らかだ。 n 十 1 , n=0 【△の都合のよい性質】 ( 1 ) 1 △ ( 2 ) すべての論理式 A について , ( 3 ) △は有限充足可能である。 A か A のいずれかが△に属している。 このうち ( 3 ) だけは証明しておいたほうがよさそうだ。 【 ( 3 ) の証明】△のどの有限部分集合△ ' も , 有限集合であるからにはそれが含んでいる An ( あるいは ¯nAn) には最も番号の大きなものがあるはずだ。その番号をかりに n とすると , ぷは△ n の部分集 合だということになる。補助定理 20 ー 1 によりどの△ n も有限充足可能だから , △ n の有限部分集合 である△ ' も充足可能。したがって△のどの有限部分集合も充足可能である。・ のよい性質とはここで挙げた 3 つの性質に他ならない。 この△が前ページで「都合のよい性質を持つ集合△」と呼んでいたものだ。そしてその都合

4. 論理学をつくる

68 第 I 部論理学をはじめる に新たに定義しなおしてみよう。 【定義 2 】 PC 1* に含まれている式と C とを構成しているすべての原子式にれを簡 単に「 I' と C に含まれる原子式」と言うことにする ) への真理値割り当てのうち , に含まれ るすべての式を同時に 1 としなおかっ C を 0 とするような真理値割り当ては存在しな 定義 1 を言い換えただけでちっとも変わらないじゃないかと思うかもしれないが , 定義 2 の方 が概念の拡張をちょっとだけ含んでいる。というのは , 定義 2 では I* が無限集合であってもよ いからだ。例えば , いま I* を , 偶数個のが P にくつついてできたすべての論理式からなる集 P, ・・・ } としよう。さて , こで C を式 P としてみる。そうすると , I* に含 P, まれるすべての式を同時に 1 とする真理値割り当て , つまり P を 1 とする真理値の与え方のも とで C ( つまり P) もつねに 1 となる。したがって , }=P と言ってよいはずだ。 だけど , こういった話を論証の妥当性という観点から展開するのには抵抗がある。だって , 無 限にたくさんの前提をもった論証というのはちょっと・・ 。その点 , 論理的帰結という関係は , あくまでも式の集合と式の間の関係なのだから , それは自然に式の無限集合へと拡張できる。 このことの意義はものすごく大きい。論理的帰結の概念ははじめ , 論証という我々が日頃行っ ている実践に結びつけて導入された。しかし , それをめいつばい理論的に扱おうとして一般化・ 普遍化した論理的帰結の関係は , 抽象的に考えられた論理式同士の間に , 我々がそのような論証 をするかどうかとは無関係に成り立っ関係に化けてしまったわけだ。 簡略な表記法の約束 ( 1 ) 以上のように定義し直したト記号は , 左辺には論理式の集合を表す記号が来なければな らないから , 厳密に言えば AI , ・・・ , An l=C のような書き方はできないはずで , {AI , ・・・ , (n) l=C の ように書かねばならない。しかし , 左辺にくる集合が式の有限集合で , 比較的簡単にその集合の 要素になっている式が列挙できるような場合は , 従来通り AI , ・・・ , An I=C のような書き方も認め ることにする。 ( 2 ) に論理式 P をさらに加えたような集まりは , きちんと集合として書こうとすると I' CJ (P) と書かなくてはならないはずなのだが , 面倒くさいので , 「 I*, P ト C 」のように書いてし まう。これは論理式の集合と 1 個の論理式 P とが対等に並んでいて本当は変な書き方なのだ が , 誤解はないだろう。 ( 3 ) さらに , 集合 I' に属するすべての式と△に属するすべての式とを合わせた集合から C が 論理的に帰結する , と言いたいときも , 本当なら CJ △ l=C と書くべきなのだが , 「 r, △ト C 」の ように書いてしまう。 ( 4 ) また , 「 IÄ I=C ではない」ということを「 I* YC 」と書くことにする。

5. 論理学をつくる

第 7 章さらに論理言語を拡張する 185 先に論理式の定義の方針を明確にしたときに , 空虚な量化が出てくるような定義も OK とい うことにしておいて , それが真理値に影響しないようにしておけばよい , という方針で行くのだ と述べておいた。この定理 32 は空虚な量化は真偽に影響しないということを保証してくれてい る。 【 ( 1 ) の証明】▽穹 A ト A の方向は定理 31 の特殊ケースである。というのは , A の中で穹が自由に現 れないような場合は , A / 引は A に他ならないからだ。そこで , A ト▽ EA の方向のみを示すこ とにする。 さて , VM(A) = 1 となる任意のモデルを M とする。このとき , VM(V (A) = 1 すべての M な ( は A に現れない ) に対し , VM / 鼠 A / 引 ) = 1 すべての M/a に対し , VM/a(A) = 1 ( なぜなら , いま A の中では自由に現れないから , A / 引は A と同じ式である ) なので , すべての M/a に対し , VWa(A) = 1 を言えばよい。ところで , M と M/a とは A に現れる すべての個体変項と述語記号に対する付値が一致しているから , 定理 29 により VM(A)=VM/a(A) よって , Vwa(A)=1 したがって , VM ( V A ) = 1 が言えた。■ ( 2 ) も同様に証明できる。 7.3 PPL にタブローを使ってみる 7.3.1 マリンバに挑む 多重量化があっても , タブローの書き方にはまったく変更はない。まずはやってみることだ。 例として , マリンバ論証の妥当性を調べてみよう。論証の前提はそのまま ( 第 1 行 ) , 結論は否 定して ( 第 2 行 ) 並べたリストから出発する。 ( 1 ) 第 2 行に当てはめられる展開規則 , [ ▽ ] , [EI], [ → ] , い、 ] を次々当てはめていくと , 8 行目までは誰でも簡単に行ける。タブローは次のページにある。 ( 2 ) 第 8 行で再びヨで始まる論理式が生じた。もういちど [EI] を適用してこのヨをはずす には , y に代入する個体定項に「いままで出てきていないものに限る」という制約があったこと を思い出そう。そこで y に b を代入してさらに , [ △ ] , [ - 叭 ] , [ ヨ ] を当てはめて 13 行目ま で来る。 ( 3 ) この段階で展開規則を当てはめずに残っているのは , ▽で始まる論理式 ( 第 1 行 , 第 13 行 ) だけになった。仕方がないから , V をはずすことを考えよう。これまでに生じている個体 定項は a と b の 2 つであり , ▽で始まる論理式も 2 つあるから , 全部で 4 通りの代入ができる が , 闇雲に代入するのは得策ではない。タブローを閉じるのに関係のある代入だけをやればよ い。まず , 第 10 行に Qab が現れていることから , 第 13 行の y には b を代入しておけばよいだ ろう ( 第 14 行 ) 。左に分岐する経路が閉じるからだ ( 第 15 行の左 ) 。

6. 論理学をつくる

第 12 章古典論理にもまだ学ぶことがたくさん残ってる ( 1 ) モデル M の論議領域は , 拡大した言語におけるすべての項の集合とする。 325 論議領域をこのように定めるのは , どの項にもその項じしんを割り当てるようなアサインメン トを定義して使っていこうとねらっているからだ。つまり , 任意の項了に対して了 ) = 了とな るようなアサインメントである。 ( 2 ) アサインメントというのはすべての個体変項についてモデル M の論議領域 D 内の何ら かの個体を割り当てる関数びのことだった。まず , これをさっきのねらいにしたがって次のよ うに与えよう。 び ( の = 穹 次にこのアサインメントびを拡張してびを定義し , 個体変項だけでなく , 個体定項や複合的 な項への割り当てもさせるのだった。それは 320 ページにあるような仕方で帰納的に定義され る。その定義にしたがってびをに拡大したときに , どの項にもその項じしんが割り当てられ るようにするには , V( のと V(cpn) の定義を工夫しておかなくてはならない。 ( 3 ) それは次のようにすればよい。 (a) 個体定項については , V( の = とすればよい。これによりび ( の = V( の = となって くれる。 (b) 関数記号については , 〆了 1 ・・・幻 = V ( 〆 ) ( 印 , ・・としたいのだから , ・ , ) = 了 1 了 2 ・・・て。を満たす関数だと定めておけばよい。 v(pn) を , v ( ) ( 了ぃ了 2 , ( 4 ) 述語記号への意味づけは次のように行う。 V@n) は次のような条件を満たす集合とする。← 1 , このように定義するのは , いまっくっているモデルとアサインメントは , P* に含まれている 式をすべて充足するものにしたい , というねらいがあるからだ。 ( 5 ) 最後に同一性記号への意味づけが残っている。しかし , これまで通りのやり方でやると ちょっとまずいことになる。 IPL のセマンティクスを見ると分かるように , これまでは同一性記 号への意味づけを , 「 = 」を含む原子式に対して次のような真理条件を与えることで行ってい ・・ , 了 h ) = 了 1 VM , び ( 了 1 = 了 2 ) = 1 び ( 了 1 ) = び ( 了 2 ) 項了 1 と了 2 とが同じ項である から , この真理条件をそのままっかうと , でも , いま考えているアサインメントでは項にはその項じしんを割り当てることになっていた 任意の項了 1 と了 2 について , VM , び = 了 2 ) = 1 び ( て 1 ) = び ( 司 = 」は同一性関係として解釈する。つまりその両辺に置かれた項が 1 つの同じものを ( 1 ) それぞれの項にその項じしんを割り当てるようなモデルを考える。 での困ったことは , れないことになってしまう。これでは , 我々が充足可能にしたい式の多くが充足されない。 く同じ記号が並んだときに限られることになってしまう。だから , 1 十 1 = 2 みたいな式は充足さ 「 = 」の両辺に全 となって , 了 1 = 了 2 の形の式が充足されるのは , a = a とか fx =fx のように ,

7. 論理学をつくる

第 3 章人工言語に意味を与える 79 から not と and を組み合わせて nand と呼ぶというわけ。 さて , このとき , 臼 P 田 PAQ 臼 ゴ巧 Q) 呂① Q)I ① Q) という具合に , △とが一によって定義できる。そうすると , { , △ } が十全である以上 , { も十全。つまり , いかなる真理関数も , 「にを結合子とするだけで表せてしまう。この魔法の 棒のことを , 発見者の名にちなんでシェーファーの棒 (Sheffer stroke) と言う。「すべての真理 関数を表現するためには , どれだけの結合子が必要なのか」という問いに対する最終的な答え は , 「シェーファーの棒 1 つあればよい」だったのである ! お願いだから驚いて。 練習問題 19 ( 1 ) 冂」だけを用いて , PVQ と P → Q に論理的同値でなるべく簡単な式をそれぞれつくれ。 ( 2 ) 一 15 を実現する結合子を↓と書き , 「 nor 」と読む。このとき , { ↓ } も十全であることを示せ。 ( 3 ) { △ , \/ , ← } は十全であることを証明せよ。 シェーファー関数 一般に , 1 つで十全であるような真理関数 , つまりその真理関数だけを繰り返し使って他のす べての真理関数を生み出すことのできるような真理関数をシェーファー関数と言う。シェー ファー関数は他にもあるだろうか。 3 変数 , 4 変数・・・・・・のシェーファー関数まで考えれば , シェーファー関数はいくらでもある。しかし , 2 変数のシェーファー関数は , ーと↓だけしかな ' の事実を証明しておこう。 い。ら & に , 【定理 19 】 2 変数のシェーファー関数は , ーと↓だけである。 【証明】 2 変数の結合子 * によって表される真理関数がシェーファー関数であるためには , 次の条 件を満たさなければならない。 ( 1 ) A と B とがともに 1 のとき , A * B は 0 なぜなら A と B とがともに 1 のとき , A * B が 1 となると , * しか結合子を含まない式はす べて , 原子式がすべて 1 のときは 1 となってしまう ( つまり , 「トップワン」である ) 。そうす ると , * を使って否定を表すことができない。 ( 2 ) A と B とがともに 0 のとき , A * B は 1 A と B とがともに 0 のとき , A * B が 0 だとすると , * だけからなる式はすべて , 原子式に 一斉に 0 を割り当てると 0 になってしまう ( 「ラストゼロ」か ? ) 。したがって * だけからなる 式は決してトートロジーになれないということになる。 ( 1 ) ( 2 ) の要件を満たそうとすると , * の真理表は次のようなものになる。 残りは , と滝の箇所に何が来るかだ。次の 4 つの場合が考えられる。 場合 ( a ) 住 = 0 , 滝 = 1 のとき 場合 ( b ) 住 = 1 , 滝 = 0 のとき * 0 6 ′ 1 1 亠 -0 一 11 -0- 1- 亠 1 よ -0- -0 一

8. 論理学をつくる

第 7 章さらに論理言語を拡張する 191 I* を出発点とするタブローにはつねに 【定理 33 ー a の別の述べ方】 I* が充足可能である 少なくとも 1 本開いた経路がある。 つ というものになる。以下ではこれを証明する。やり方は命題論理の場合とほとんど変わらない。 次の補助定理を使う。 の経路は開いている。 【補助定理 33 ー 1 】タブローのある経路 ( 伸びてゆく途中のものでもよい ) が充足可能なら , 【アウトライン】 それではいよいよ , 証明の本番にとりかかる。まず証明のアウトラインを示しておこう。 【定理 33 ー a の別の述べ方】の証明のアウトライン これの証明は命題論理の時と同じく自明なので省略する。 そ ( 1 ) I* が充足可能だとする。つまり , IÄに含まれる論理式をすべて真にするモデルが存在す るとしよう。このとき , 補助定理 33 ー 1 により , 出発点になるを縦に並べた経路は開い ている。 ( 2 ) この経路を出発点として展開規則を適用しながら経路を伸ばしていく。展開規則を適用 して延長した経路のうちにはつねに少なくとも 1 っ充足可能なものがある。 ( 3 ) 補助定理 33 ー 1 により充足可能な経路は開いている。したがって I' から生じるタブロー にはつねに少なくとも 1 つ開いた経路が含まれている。 あとは ( 2 ) だけを証明しておけばよい。この部分を証明するのに , 命題論理の時は , タブローの 展開規則が「上にある式が真になる真理値割り当てのもとでは , 下にある式 ( 分かれているとき はすくなくともどちらか ) も必ず真になる」という性質を持っていることを使った。述語論理も 扱えるように追加した 4 つの展開規則についてはどうだろう。定理 31 により , V EA が真にな るモデルでは A[a / 引も真になるから , 追加した展開規則のうち [UI] はこの性質を持っている ことがわかる。また [ ▽ ] と [ ヨ ] がこの性質を持っことも明らかだろう。したがって , [EI] を除く 3 つの展開規則については次のことが成り立つ。 【補助定理 33 ー 2 】 [EI] を除くタブローの展開規則はすべて次の性質をもっている。 上段にある論理式が , モデル M のもとで真であるならば , 下段に書き込まれる論理式 ( 枝分かれのある規則の場合は少なくともどちらか ) も M のもとで真である。 ところが , [EI] については補助定理 33 ー 2 はなりたたない。次のような開いた経路 ( 1 ) があると しよう。この経路は例えば ( 2 ) のモデル M で充足される。

9. 論理学をつくる

6 第 I 部論理学をはじめる 別の例を挙げよう。 ( 1 ) 鯨はほ乳類であり知能が高い ( 2 ) 鯨はほ乳類であるかないかのいずれかである ( 1 ) も ( 2 ) もともに正しい。しかし , ( 1 ) は動物学の調査研究の結果初めてわかったことだ。これに 対し , ( 2 ) の文は , 動物学には関係ない。この文が正しいことを知るためには現実の鯨を研究する 必要はない。 ( 2 ) の文が正しいのは , 「『エルム街の悪夢』の監督はアイオワ州生まれであるかない かのいずれかである」 , 「マリファナは有害であるかないかのいずれかである」 , などが正しいの と同じ理由による。つまり , 「 ~ は・・・であるかないかのいずれかである」という形をしていると いうだけの理由によって正しいわけだ。このため , ( 2 ) のような真理は形式的真理 (formal truth) と呼ばれる。 そして , この形式的真理とは何か , ある文が形式的真理であるかないかを判定するにはどのよ うな方法があるかということを体系的に研究するのが論理学の第 3 の目標だ。この目標も先の 2 つの目標と密接に関連していそうだということは察しがつく。 論理学の目標と本書の戦略 以上でわかったように , 論理学が扱う重要な概念はとりあえず 3 種類あり , これらは互いに関 連しあっている。こうした関連をはっきりさせながら , なおかっそれぞれを明確にしていくのが 論理学のさしあたっての目標だ コヾ 0 論理学があっかう基礎概念 つじつまが合っていない どんなときも正しい 論理的に出てくる 矛盾している 絶対に正しい 「〇〇から x x は言える」 筋が通ってない 当たり前のこと 論理的帰結 矛盾 形式的真理 論証の妥当性 何について言われる概念であるか文の集まりと 1 つの文の関係文の集まり 1 つの文 この 3 つは見かけは違うけれど , あとではっきりするように結局は同じところに通じる。だか ら , どれを出発点に選んでも , 最終的にできあがる論理学は同じになる。本書では , 正しい論証 とは何かという第 1 の問いを出発点とし , 論理学を作っていく過程を経験することを通じて論理 学に入門してもらうことにしよう。 と 的 常 日 論理学的な言い方に直すと 1.1.3 論理学っておもしろいんだろうか ? さてと。これまで論理学の目標を述べてきたが , 次のように考える人がいるかもしれない。 「何だか論理学ってつまらなそう。だって , しかじかのことから , かくかくのことが出てくる

10. 論理学をつくる

自然演繹法を使いこなそう AI A つまり , 【攻略法 とせよ , 第 9 章 ということだ。だからこの場合は , 2 2 1 とすればよ Q → (P → R) →を目指すには】 A → B に達したいとき , A を前提とし , 一番下に B が出てく るような導出を構成し , → intro によって A → B を得るようにするとよい。 例題の場合 , Q → (P → R) に達したいのだから , 次の ( 1 ) のように Q を前提し P → R が出てくる さて , 問題は ( 2 ) の左から 3 つ目の導出線に沿って , P から R をどのようにして導くかだ。そ り , 次の ( 2 ) のようにしろ , ということ。 → intro により P → R を得ればよいから , だいたい次のような演繹ができればよいわけだ。つま てくるような導出を構成するためには , 同様に P を前提とし R が出てくるような導出をつくり ような導出を構成し→ intro によって Q → ( P → R ) を得るようにすればよい。さらに , P → R が出 れには次の攻略法が役に立つ。 【攻略法 : 復活はいつでも OK 】ある論理式に達したいなら , 他の攻略法を試した後で , れに役立ちそうな論理式をとにかく復活させてみるとよい。 そ いまは 2 つしか復活させる論理式がないので , とりあえず両方復活させてみる。そうすると ( 3 ) になる。 ( 1 ) P → Q → (P → R) P → R Prem —->intro ( 2 ) P → R Prem Prem ( 3 ) P Q → R Prem P Prem Q → (P → R) P → R → intro - → intro P → (Q → R) Reit Reit Q → (P → R) P → R → intro - → intro さらに次の攻略法を導入する。 【攻略法 : 除去はいつでも OK 】除去規則が使えそうなときはとにかく使うべし。