結局、オープン情報なら、新聞記事や雑誌記事で十分ということになります。一つだけ 留意しなくてはいけないのが、日本の関心が世界のスタンダードではないことと、発行元 によってかなりの特色があるということです。 マーケット情報なら、業界新聞、日経新聞の 2 誌でおおむねの情報がっかめるはずです。 グロ ーバルな視点でのスタンダードな情報が欲しければ、インターナショナル・ニュー ヨーク・タイムズ ( 元へラルド・トリビューン紙 ) の情報も加味して雑誌記事のデ 1 タベ ースで補完すれば十分でしよう。 1 か月の時間があったとしても、 1 回くらいは途中報告もしなければいけません。 他の事務所の 1 回めの報告が 2 週間後だったとします。私なら、 2 日後に報告を入れま す。情報源は、新聞と雑誌のみで十分です。 「これは斬新だ」というよう どのような手段を使うかにかかわらず「これはすごいー な秘密情報などを入手できることはますありません。 先方もおおむねの情報は収集していることでしよう。 それを補完してあげればよいのです。 そのためには、スピ 1 ドが重要です。 192
第 5 章「人たらし」とは人生究極のゴールである ③関連情報を管掌している省庁に依頼する ④新聞記事や雑誌記事を参考にする どの手段を使うことが望ましいと思いますか 正解は④「新聞記事や雑誌記事を参考にする」になります。 陳情や依頼がある場合、依頼主は最終的なアウトブットや成果物を重視することは当然 ですが、同時にスピードも重視するものです。 仮に報告までの日数として 1 か月の猶予があったとしても、 1 か月後に報告をするのは 愚の骨頂でしよう。 シンクタンクや調査会社に依頼すると時間がかかります。内容によっては費用も高額に なりますから現実的ではありません。 有力な領事館や大使館は、外交事務、情報収集が役割ですから相応の情報は持ち合わせ ていますが、クロ 1 ズな情報を外部には出しません。原則的にオープン情報の開示に留ま ると思います。 省庁の役人も情報は持っていますが時間がかかります。またこちらもオープン情報に終 始して支障のない情報提供に留まるはすです。 191
第 4 章上司を味方につける 倒なことになります。 上司 < ともめるようなことがあれば、「君は、上司 < の言うことを聞かないそうだね。 いい加減にしたまえ」「それは、君と上司 < の問題だ。僕が関与する問題ではない」。こん な具合でしよう。 いすれにしても、上司の上司に気に入られることによってあなたの存在を無視できなく なりますから、社内でのキャリアパスをよりよいものにすることが可能になるのです。 社内では役職が上の社員のほうが人事権やさまざまな裁量権を持っています。そのこと を十分に理解したうえで、上司の上司に気に入られることが大切です。 やり方は簡単です。顔を合わせたら挨拶をする、また廊下ですれ違ったら挨拶をする。 これの繰り返しです。ある程度、顔を覚えてもらって親しくなったら、メ 1 ルを送信する などしながら情報を提供すればよいのです。 組織は上位役職者になるにつれて情報が入りにくくなり、入ったとしても事実とは異な る内容が伝わることがしばしばあります。上位役職者は社内の情報を欲している場合が多 いので、情報提供の役割を担うことで関係性を強くすることができます。 上司の上司とのコネクションを築いたら、誰も無視できなくなるのです。 171
よって秘書同士もいい意味で切磋琢磨し、競争意識を持っているのです。 また、各秘書に担当地域を割り当てる目的は他にもあります。それは地域ならではの情 報を細かく吸い上げることです。各候補者の評判やウィ】クポイント、対抗陣営に関する 情報を収集し、それをベースにして詳細な選挙戦術を立てていくためです。 情報に左右されやすい無党派層が多い昨今の選挙では、このようなドロ臭い情報戦ほど 価値があるのです。 さらに秘書は、選挙の裏方に徹します。選挙前の行脚のときなどは、候補者のはるか後 ろを歩くようにしています。実は、そこには綿密な計算があるのです。 人出の多い商店街や駅前などで、候補者が支持者と話している様子を見たことがある人 も多いと思います。候補者が歩いて回っていますから、支持者は愛想よくしてくれていま すが、内心ではすごく迷惑だと思われていることが多いのです。 なにしろ人数が多くて大名行列になりますから、お店の出入り口を塞いだり、他のお客 様の入店を邪魔したりしてしまうこともあります。それでもお店の宣伝になればまだしも なのですが、特定のお店を宣伝することや商品を購入することは公職選挙法に抵触します からできません。
第 3 章「なるほど ! 」と思わず唸るキーバーソンを味方につける技術 程度だと思います。たとえば朝礼の挨拶、会議などでの自己紹介、プロジェクトメンバ 1 同士が顔合わせをする際などに与えられる標準的な時間だと思います。 この場合は、基本情報 ( 会社名、氏名、取り組んでいる仕事や関心ごと ) を中心にまと めて、 1 分でしつかり自分についての情報を伝えることが必要です。 3 分程度の自己紹介であれよ簡単なスピーチのつもりで臨んでください。ストーリ 1 を構成してじっくり伝えることを目指しましよう。自分を理解してもら、っためのエピソー ドやその場を盛り上げるための気の利いたコメント、緊張を和らげるひと言などのエッセ ンスを取り込むとより印象に残ります。ビジネス以外に、プライベートな話や趣味の話な どを盛り込むといいでしよう。 政治家や議員秘書は、このような自己紹介やスピーチの際に使えるような最新のネタを 仕入れるために、さまざまなメディアの情報源を積極的に利用しています。そして仕入れ たネタは、折を見てタイミングよく披露します。 自己紹介は、第一印象を決める最初の機会となります。によって話すべき長さや 内容を変えなくてはいけませんから、スラスラ一言えるようにしておかなくてはいけません。 政治家が挨拶やスピーチがうまいのは当然ですが、議員秘書もあらゆる局面で自己紹介
3 「ありがとう」をログセにする 相手のやる気を引き出して、 活力を向上させる魔法の言葉 仕事をしていて感謝をされるとうれしいものです。 立場の上の人に感謝されれば、即モチベーションが上がります。 ねぎら 私が秘書をしているときに、いちばんうれしかったのは先生の労いの言葉でした。「い つもありがとう」「がんばっているな」。このひと言で、すべてが報いられた気持ちになっ たものです。 私は永田町の議員会館勤務でしたが、議員会館は地元事務所とは異なって役所や党関係 者との折衝、政策立案の対応、後援会の対応、陳情の対応等、情報発信から情報処理など 業務範囲は多岐に及びます。 その多岐に及ぶ業務を数名の秘書で分業制によって対応しています。 105
第 4 章上司を味方につける のごとに評価を下すと、それに反する評価が見えなくなることがあります。 たとえば「彼は東大を卒業している」という事実があると、「彼は将来の幹部候補生だ」 と決めつけてしまい、「彼は優秀だから採用しよう」と評価をしてしまうことなどが挙げ られます。 そして、うまくいかなくても最初の評価のインパクトがあるとなかなか修正できません。 仮に先の東大卒の人が成果を出せずにいても、「こんなはずはない。しばらく様子を見よう」 と、最初の評価を変えられないといったことです。 このようなバイアスは好ましくないことだとされ、たとえば評価の際の基準のすり合わ せをしたり、採用の面接官の基準のすり合わせをして改善の取り組みをするものの、人に は好き嫌いといった感情的な側面の交錯が避けられませんので、なかなかよい方向にはい きません。 結局、バイアスがかからない情報はないわけですから、掲げたビジョンが建前であった としても、それが心地よいものであれば、受け手こよ、 ししハイアスかかカるとい、つことを踏 まえて、行動することが大切だということです。 社長にバイアスがかかった心地よい情報が伝われば、誰もが出世できるのです。 175
第 5 章「人たらし」とは人生究極のゴールである のです。火中の栗の状態であれば、手を出す人が圧倒的に少ないですから、ライバルも少 なく有利な状況をつくリ出すことができます。 ここは長年の勘であったり、情報網を活用します。笑顔と恫喝を使い分けながら火中の 栗の中身を分析するのです。うまくいけば、黄金に化ける栗が存在するからです。 サルカニ合戦のサルのように大火傷をしないように注意しながら、必す落としどころを 想定して拾いにいきます。 そして来たる選挙に備えるのです。やはり気になるのは、ライバルになりそうな候補者 です。議員秘書は、情報収集を欠かさず隙は見せないものです。 たとえば、次のようなケースがあったとしましよう。 同じ選挙区で、ライバル関係にあって双方が現職である場合です。同じ選挙区で双方と も現職ということは、選挙区当選、比例復活による当選ということになります。 このような激戦区では、選挙区内の有力者が開いた会合やパ 1 ティで、よくお互いの陣 営が顔を合わせることがあるものです。 議員が参加しない場合は、秘書が代理出席をするわけですが、ほとんど腹の探りあいの ような状態になります。 183
第 4 章上司を味方につける 生に伝える情報と現実に差がありすぎてしまい、若者は入社してもすぐに辞めてしまうの です。このような現象をミスマッチと言うのです」とすかさす横山さんは応じます。 「なるほど」と議員が答えます。 横山さんは「委員長の議員の秘書に確認したところ、質疑のなかでミスマッチに関す る情報が審議されるはずです」と続けます。 このように説明していけば「こいつは、そっかない」と思われることでしよう。 「そっがない Ⅱ気が利くーと思わせたら、評価はうなぎ登りです。 政治の世界に限らず、一般の社会でもそっのない部下の評価は高いものです。 戦国時代に、豊臣秀吉は敵を攻めた際、ほば勝利は目に見えているにもかかわらず、織 田信長に援軍の要請をたびたびしています。 「信長様のご威光がなければ、勝利することはできません。どうぞお助けください」 普通なら、目の前の手柄を自分のものとして上司にアピールしたいところですが、さす がは知将と呼ばれる豊臣秀吉。そこには計算されたすごさがあります。 「信長様の威光で、今回の合戦は勝利することができました」 戦略に長けていた織田信長のことです。戦況を把握すれば、勝ちが目の前にあることは 145
くことができます。つまり会う前から、議員秘書にはアドバンテ 1 ジがあるのです。 議員秘書は、面会の前には会う相手のことを調べ尽くしておきます。 ロクを 、相手がホ 1 ムペ 1 ジを開設していればすべて目を通すでしよう 書いていればすべて読みます。著書も必ずチェックし、講演会やセミナーをしていれば受 講するなどをして、相手のことを徹底的に調べて理解しようとします。 そのうえで「この人はこんな情報を探している」「こんなことに興味があるのではないか というヒントをつかみ、ったときに、「それについては、このような方向性に進む可能 性が高いですよ」「それについては、こんな話がありますよ」という切り口で会話を進め ます。 このようなところにも、議員秘書の人たらしの技術が隠されていると思います。