Baits and Traps lhat Entrepreneurs Have to Avoid に吹っかけ stickiton だ。 村井が名乗ったのは「ビジネスコンサルタント」。名刺に刷った 営業品目 businessitem は、ニュービジネス、教育ビジネス、独立・ 転職、中高年問題とあった。どれ 1 っ取っても、その道 20 、 30 年 のキャリアがいるものばかり。「シニアビジネスネットワーク代表」 との肩書 title も書いてあった。要はなんでもいいのだ whatever 。 この村井に私も 1 度会ったことがある。そのときは確か「サバ イバルネットワーク代表」と名乗っていた。リストラが社会問題 social issue になっていた 1996 年ごろのことだ。その時々の社会の ーズに合わせて、巧みに会社と肩書をでっちあげて商売をやって いたのだ。前職 fi 。 rmertitle は人事セミナー会社かなんかの講師と こういう輩も脱サラ起業家の不安心理 a ety 聞いたことがある。 につけ込んだ、一種の詐欺師 crook だろう。 協力会社もズルズル金をつぎ込み 1500 万円の損害 舌を大石の透析食ビジネスに戻そう。 大石のビジネスは、資金不足 shortage ofcapital で苦労が続いた。 メニュー開発から製造・配達 production and delivery まで一貫して やると、人手以外に厨房や配送車などの設備がかかり、 1000 万、 2000 万の資金ではどうしようもないのだ。それで東京商工会議所 To い 0 Chamber of Commerce and lndustry のべンチャーネットに登録 register し、パートナー募集も始めてみた。本音を言えば、なんと か金づる money-spinner をつかみたかったのだ それと同時に、 2 年ほど前から上尾市で総菜店を経営する田村 二一一口 105
Pros and Cons of Start-Up in Japan Now Chapter 6 第 6 章 いまのニッポンで起業するのは損か得か ? Pros and Cons ofStart-Up inJapan Now 自信過剰があだとなった こまで他人の失敗ばかり書いてきたが、ではお前の体験はどう だったのか、と読者の多くは思っていることだろう。そこで、本章 では、私の失敗談 failurest 。 ry をまとめてみることにする。そこから、 わずかでも参考 less 。 n になる話を拾ってもらえれば、これ以上嬉し いことはない。 さて、私もそうだったが、会社を作って 1 、 2 年の中小企業の社 長 owners of small business の悩みは、資金調達 fund raising と顧客の 開拓 marketdevelopment だろう。逆にいうと、「カネと販路」にか らんだトラブルや落とし穴が最も多いということだ。 とくに最大の悩み thebiggestworry はカネである。 私もビジネス誌を出している間、毎月、支払い日 due date がくる 185
lntroduction I ntroductio n はじめに 起業して初めてわかった 「天国と地獄」 Heaven and Hell I ReaIized After I Started Up My Company ニッポン中が起業希望者だらけ いま、空則の起業プームだという (New business boom never seen before. ) 。中小企業白書 the white paper on small and medium-size business によると、起業したい人が全国に約 130 万人。サラリーマンの 40 人に 1 人が、 " 一国一城の主 " を夢みている計算だ。実際、チャンス があったらなにか事業 enterprise を始めたいと、密かに準備中の人が 60 ~ 70 万人いるという。まさに、日本中が起業希望者だらけとい う状態になっている。 その中で実際に起業 start ー up した人は、年に約 18 万人、資本金 capitalfund が 1 円でもいいという「中小企業挑戦支援法」で作った、 いわゆる「 1 円起業」が、この 2 年で 1 万 9000 社に上っている。 だが、世の中そんなに甘くない notthateasyo
Franchise is an Endless S truggle こで調剤薬局と一般薬局の違いを説明しよう。 マッキヨなどのいわゆるドラッグストアは、医薬品・化粧品 drugs and cosmetics を中心とした雑貨屋 general store である。もちろ ん、薬剤師の常駐も義務づけられているが、主力商品は、カゼ薬、 胃薬、栄養ドリンク剤などの大衆薬と雑貨。それに対し、医師が診 断して出す処方箋 prescription にもとづいた患者専門の薬局を調剤 薬局という。薬剤師が薬を調合し、取り扱い商品は専門的な医薬品 だけ。 当然、客は病院の処方箋を持った患者に限られる。患者が相手な ので、ティッシュや化粧品、ドリンク剤など買うわけがない。そう なると必然的 ine ⅵ tably に病院とのコネが重要になり、薬局のナワ バリ争い turfbattle で経営が左右される。当然、すでに院長の姻戚 関係や医者のサイドビジネス、薬剤師会、薬問屋などで利権 vested interest は押さえられており、シロウトが簡単に参入できる商売で はない。 この調剤薬局は、厚生労働省 Health, Labour and Welfare Ministry が進める医薬分業政策に乗って急成長中 rapid growth だ。処方箋 1 枚当たりの単価 per-piececost も上昇し、大手調剤薬局チェーンは 軒並み過去最高の利益 recorded earnings をあげている。業界関係者 にとって将来性が高いビジネス promisingbusiness の 1 つであるの は間違いない。 デタラメな収益予想で、予算は拡大の一途 肝心の投資額 stake がどのくらいか、契約前には大ざっぱな数字 169
Chapter 1 口から手作りしなければならないべンチャーの社長に ちょろい男は通用しない。田辺の話を聞いていて、「この男、なに もわかっちゃいない」と腹立たしくなってきた。 こんな甘っ 28 その後、田辺からは役員コースに残れそうだ、 2 、 3 年頑張って 待っている。 いる。だが、この思い上がりに大きな落とし穴 unexpectedpitfalls が なく、「買うもの」であることが常識 commonassumption になって 彼ら虚業べンチャーの社長にとって、会社は苦労して作るものでは 行 travel 、レジャー leisure などリアル市場の争奪戦が始まっている。 の間で、金融・証券 finance and securities 、通信 communication 、方役 ライブドアの話を持ち出すまでもなく、べンチャーの若手社長 ったことも理由の 1 つである。 とフジテレビ買収劇で、 M &A の認知度 recognition が一挙に高ま ちろん、世間を騒がせたライブドア・堀江貴文社長のニッポン放送 金持ちサラリーマンのレベルまで身近になってきている。それはも いまや会社の売り買い (M & A = Merger and Acquisition) が、小 「夢男」 dreamer なのである。 かっているのだ。まさに自信過剰 excessive self-confidence の夢見る 動かしてきた。小さな会社の 1 つや 2 っ経営できる」とナメてか という願望 desire なのである。「オレは会社で何億、何十億も も自信がある。会社に縛られた反動からか、最後にひと花咲かせた の幹部サラリーマンに多いようである。要は経済的に恵まれ仕事に setback を知らない大企業 big firms や地方の優良企業 local blue-chips てみたい」と夢みる中高年男が意外と多いのである。これは挫折 しかし、田辺も言っているように、「人生の最後に会社を経営し
Baits and Traps 田は t Entrepreneurs Have to Avoid だが、ぬるま湯で育った脱サラ起業家がこんなヨタ話に飛びつく と、とんだ落とし穴 trap にハマってしまう。無償のカネほど怖い ものはない。プローカー話に乗ってしまうと、あの手この手で身ぐ るみ剥がされるのが落ちだろう。 繰り返すようだが、人間は目の前のカネに弱い。そして、自分だ けは騙されないなどと、根拠のない自信 baselessconfidence を持っ ている。そうして、モノの見事に騙されるのである。 127
Baits and Traps %at Entrepreneurs Have t0 Avoid だ売上が立っていない仕事を当てにしたのだから、自爆 blowup は 見えている。 それにしても 6 割の仲介料 c 。 mmissi 。 n はあんまりだ。だが、い まさら引き返すことはできない。仲介料を 4 割まで引き下げるよう、 交渉 bargain しよう。 1200 万円の現金が入れば、半年は仕事に没頭 devote でき、なんとかプロジェクトが立ち上げられる。いまは危な い橋も渡る walking on a tightrope しかない。 連体後すぐプローカー側と会った。場所は上野の古ぼけたプロー カーの事務所。出席者はこちらが専務 executive director と 2 人、相 手はプローカーを人れて 4 人も出てきた。 本ポシは別の人物だった。プローカーの間にもう 1 人、「八百屋 のオヤジのような」顔のジャケット姿の仲介役がいた。その男が 本物のプローカーを連れて来ていた。もう 1 人謎の人物 mysterious figure がいた。つまり、本物のプローカーにたどり着くまで、 2 人 の男が間に立っていたのだ。 そのプローカーは金森重夫 ( 仮名 ) という名刺を差し出した。よ くみると、名前の上に小さく「 Ambassador 」 ( 大使 ) と肩書を刷り 込んでいる。悪魔の大使、というワケか。 金森はすらっとした背丈で髪はオールバック。キレもののビジネ スマンといった雰囲気で、個性派俳優・西岡徳馬に似ていた。 「はっきり言いますが、これへンな金じゃあありません。融資先は 大手都銀、中小企業救済が目的の金なんですよ」 と切り出した。 金森の説明では、昨年、政府が中小企業対策 measuresforsmall and mid-sized firms で数兆円の予算 budget を計上している。それが 115
Chapter 2 価している。ビジネスの敗因 cause of defeat は、キャリア career や 能力 abilit メなのではない。どんな優秀な経営者でさえ、「自社のカ を過信し、ライバル企業にタカを括った判断をして致命的な見込み 違いを犯してしまった」と指摘 point-out しているのである。これ は逆に、優秀であるが故にハマるワナでもあろう。 古今東西、企業の栄枯盛衰 ups and downs をたどってみると、多 くが自己過信とライバルをなめ切った戦略 strategy をとって墓穴を 掘ってきた。 われわれの身近な脱サラの世界でも、これと同様のカン違い illusion や見込み違い miscalculation が、いかに多いことか。大企業 の失敗は、社長が責任をとって辞めればカタがっく。しかし、脱サ ラの場合、全財産をなくし、家庭崩壊 familybreakdown に追い込まれ、 人生がズタズタになってしまう。最悪の場合 worst case は自殺にま で追い込まれる。 現実に中小企業経営者 owners of small and mid-sized companies の 自殺が急増し、いま、ワースト記録を更新し続けている。今回、取 材したなかでも、借金 debt を苦にして自殺寸前まで追いつめられ た人や、ワナにハメた相手を殺したいと思い込んだ人が何人もいる のだ。 私は、これまでの取材データから、「起業バカ」が見込み違いや カン違いをおかす原因 cause は 3 つあると考えている。 第 1 は、ほとんどのサラリーマンが罹っている「会社病」だ。 私はこれを「会社バカ」と呼ぶ。 24 時間、生活のすべてが会社 を軸に回り、価値観 value system も意識 mentality もドップリ会社に ハマっている人間がいかに多いことか。要は世間の動きにウトく、 62
Chapter 1 人べンチャー " を目指して起業 start-up したのは、テクノクエスト の早瀬正樹 ( 脱サラ時・ 47 ) である。早瀬は東京大学応用物理学 科を出て東芝、京セラと研究畑 research and development を 20 年以 上も歩んできた。専門は半導体部品の開発である。 京セラ時代には液晶ディスプレー LCD の開発責任者を務め、数 多くの画期的 epoch-making な商品 product を世に送り出した。大企 業は 3 億、 4 億のニッチ市場には見向きもしない。しかし、この隠 れた市場に将来大バケするおもしろい商品のネタが眠っている、と 気づいた。そこで、 1995 年にたった 1 人のハイテクベンチャーを 立ち上げたのだ。 得意技術は半導体のマイクロマシニング micromachining( 微細加工 ) 技術。小規模だが、外注先 subcontractor を使い半導体デバイスメー カーとして企画開発 research and development から製造 production 、ロロ 質検査 qualityinspection まですべてをこなしていた。 この着眼点ⅵ ewp 。 int はよかったが、いかんせん、スタッフは自 分 1 人。いつもいつも仕事に追われ、取引先との " 条件闘争 " する 余裕さえなかった。結局、最後まで下請けからはい上がれず、創業 9 年で倒産 go under した。 【実例 5 】オーダーメード・スーツのネット通販 →敗因・甘い見通しと少なすぎたスタッフ ネットを使ってオーダーメードの男性スーツを受・発注するビジ ネスを始めたのは、アクロスタイルの森宏吉 ( 脱サラ時・ 28 ) だ。 2 、 3 万円台で自分好みのスーツが作れるのがウリ sellingpointo こ のニュービジネスが新聞やファッション誌に取り上げられ、 3 日間 38
E 、 rerybody Failed Like1his のお膳立てした事業に乗りやすい」という証拠 pr 。。 f でもある。 の他人任せの脱サラバターンは失敗確率が高く、危険きわまりない。 この中で最も多い 50 代の加盟者 franchisee を見ると、 55 歳未満 が 6 割を超えている。このデータからは、脱サラ起業を決断 decide したのは 45 歳から 55 歳までの、働き盛り working prime の 10 年 間に集中していることがわかる。それはまた人生半ばの中高年たち が、リストラの標的 target にさらされ泣く泣く起業に追い込まれた という、悲惨な実態 sadreality を裏づけたものでもある。 マスコミや広告に煽られて脱サラしたシロウト起業家たち こ数年、サラリーマンの間では早期定年退職プームが続いて いる。大企業がバタバタ倒れ、終身雇用 life-time employment が崩 壊 c 。Ⅱ apse するなか、高度成長期のように 1 つの会社で一生を送る life-long commitment という、「単線人生」が送れなくなっている。 第 2 の人生、第 3 の人生と転職・転業 switchingjob and career をく り返さなければならないのだ。そして、その選択肢 option の 1 つ として、脱サラ・独立開業 corporate dropout and start up a business が 大きなウ工ートを占めている。 一方、マスコミが一部の IT べンチャーをもてはやし、起業 start- ups なんて簡単という印象 impressi 。 n を植えつけている。テレビに は「億万長者起業家」なるいかがわしげな人物 figure が登場し、い までは女性週刊誌でも女性起業家特集を組み、これでもかこれでも かと起業をアオっている。それで若者や女性の間に「手軽にカネ儲 けしたい」という " サクセス幻想 " が広がっている。 31