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検索対象: もう一つの万葉集
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1. もう一つの万葉集

語・韓国語の一一重よみを経て ( 第四句 ) 、また完全な韓国語で終る ( 第五句 ) 、いとも複雑なよみ 方の歌なのです。 ①韓国語部分の第一・第二・第五句には、主題とモチーフがすべて含まれています。②日本語 部分の第三句は主に固有名詞。③韓日一一重よみの第四句は主格で、主語とそれに対する形容部分 です。 最初、韓国語を漢字表記してよまれていた万葉集は、およそこのような過程、つまりマ完全な 韓国語よみ↓マ固有名詞・代名詞・主語など一部日本語よみ↓一部韓国語・日本語一一重よみ↓ マモチーフ・主題も含めた完全な日本語よみの順で、段々と韓国語ばなれしていき、日本語その ものに独立してきたのでしよう。したがって万葉集における独特な二重よみ部分は、韓国語が日 本語に移行する過程の研究に必要な重要資料であるとも思えます。 ( ことばの説明 ) がぶじゃぎ ( がぐぎ ) ①如此耳 札 ( 外ュ ) の さるじゃ ( さじえ ) ②恋哉 九 急に 棲もう・一緒になろう

2. もう一つの万葉集

まるわん また前の歌の場合と同様に、「麻」即ち「麻」と、「せ」にかけて「麻続王」と「玉藻」も強 調しています。 △印は「さ」系音 ( 二字 ) △印は「まる」系音 ( 一一字 ) 「さ」系音で「麻続王」に、「まる」系音で「玉藻」にアクセントを与えているのです。 特別な韻で、なぜ特別な部分に照明をあてているのでしよう。それはこの部分が、強調部また は二重よみされている迷彩部であるからなのです。「乱」は「浪」に、「起きて」は「濡れて」 に、「このように」は「伊良虞」に、「渡り行く」は「 : : : の島の」に、巧みな迷彩をほどこして 主題をかくしています。しかし、迷彩はしているものの重要な部分であるので、この部分に一種 のヒントを与えているわけです。 迷彩書きですので、見せかけは非常にリアルで淡々としていますが、その実、血のにじむよう な自嘲的政治詩なのです。 歌万葉集の重要な特性として、歌意の二重性とよみ方の一一重構造を前述しましたが、この二首の 応歌は、意図的に二重によまれたもっとも典型的なケースと言えるでしよう。 島ついでに「麻続」について説明を加えておきましよう。 良日本古典文学全集の註によれば、『ヲミは麻 ( ヲ ) 績 ( ウ ) ミの約。「麻績」と書くのが正しい 伊 が、上代では多く「麻続」と記す』とあります。 「麻績」は麻布織りのことですが、上代なぜ「麻続」と漢字表記して、「ヲウミ」とよませたの さむ 177

3. もう一つの万葉集

莫囂円隣 四字のなかの二字「相七」をのぞくと「大兄」になりますから、多分中た皇子を暗示してい るものだと思われますが、この「兄」は「海」をも意味していることは非常に示唆的です。韓国 語で、「減」は大河や湖または海を指します。海の音よみも「司」で、「え」音に通じます。 また「兄」が「へ」にもよめることは、表向きの解釈で先述したとおりです。「大兄」イコー ル「大海」で、中皇子と同時に人皇子も意味しているのです。 ことばの遊戯もここまでくると、記号性を超越して高度の芸術性を感じさせます。額田王は、 稀にみる天才的なことばの錬金術師だったのでしようか。 じよっあるげ ④爪謁気 ( 麻具を識らせよ ) じよ じよっ 驚くほど大胆な表現部分。「爪」は、韓国音で「丕」。男性の性器を表現する韓国語「」の終 声をのぞいて、漢字表記しているのです。 あるげ 「謁気 , は「せ刻」で、「識ることのできるように」という意味です。前述のとおりこの「気」 は乙類ですから、「き」ではなく「け」とよまれ、韓国語では「」になります。 じよっ じよっあるげ 「爪謁気」はこれで「せ刻」、「麻具 ( ) を識らせよ」「麻具を識りたい」になります。 「爪湯気」の表記が間違いであることは、これでお分かりと思います。 ⑤吾瀬 ( 来たれ ) —と同じです。「全」 ( 全国 ) 、すなわち「来たれ」「おいでなさい」。

4. もう一つの万葉集

十七夕歌 「時」は「とき」の意の「内」 ( 音よみ ) 、または「」 ( 訓よみ ) なのですが、ここでは「刈」 をとります。詩語としては前者がよりひびきよく、古代歌にも「とき」はたいていこの「内」で 詠まれているからです。 「由」は日本音で「ゆ」「ゆう」、日本訓では「よる」「わけ」なのですが、このうち訓の「よ る」をとり、これを韓国語の「」にあててよませます。「」は「 : : : なりき」「 : : : あり き」などの意の語尾です。 びよるよるしよら 三字合わせて、「ー ( 別れる時なりき ) となります。 率直な話が、この「由」の解読にはまったく苦労しました。はじめ、音の「ゆ」をとり「目」 ( 感嘆詞の「 : : : よ ! 」の意 ) とよんだところが、歌の開句の部分の三・三調にも合わない、こ の部分の押韻からもはずれる : : : あれこれ考え、四苦八苦悪戦苦闘の末、突如行末韻の「ら」に 気がついたわけです。日本訓の「よる」を、韓国語の「よら」にあてていることが分かったので す。暗闇の世界に、ばっと燈がともされたような感じでした。 なんと創意的で、強引なよみ方 ! 憶良の強烈な個性が、よんで取れます。 ねもつがら ⑤伊奈牟之呂 ( すぐには行かれぬ ) これは非常に重要な部分です。 「いなむしろ」は従来枕詞とされていて、「伊奈牟之呂」のほかにも「伊奈武思呂」「伊儺武斯 243

5. もう一つの万葉集

十七夕歌 さち′」う ⑩指更 ( 股の睾 ) 「指」は日本訓で「さす」、これを韓国語の気」 ( 股 ) にあてているのです。また「指」は韓 じ じよっ 国音で「」、これを「」 ( 男性の性器 ) にあててもいるのです。 古事記・万葉集など、日本古典文学に現われる「佐斯」「相七」「指」「恋都」「思都」は、みな この「股」 ( 男性の性器も含む ) または「城」を表しています。 ぎよん ぎよん 「更」は日本音で「こう」、「睾」にあてています。これはまた韓国音では「」で、「茎」と同 音。それで陰茎の「茎」にあてているのです。やはり「睾」のことです。 「指更」は、「手をさし交す」とか「腕をさしかえる」とかでなく、「股の睾」を意味している のです。 この部分の古事記の表記は、「佐斯麻岐、となっています。「佐斯」は「」、「麻岐」は韓国古 さむで 代語の「麻楷」で男性性器のこと、「麻具」「麻木」とも表記されました。原意は「司」 ( 麻の 茎 ) 、麻の茎が硬直した睾に似ているので、このようによばれたということです。これが、「まぐ わい」 ( まぐはひ ) の「まぐ」です ( 第三章「莫囂円隣之」歌の解釈部分参照 ) 。 なむらじゃまお なむるやまお ⑨余宿毛または余夜毛 ( 咎めなさるな ) ここから終句までが、最難解部分です。 内容は、「ハース・コントロ 1 ル」に関する方法論、赤ちゃんができないようにするには、ど うすべきか : : ・という注意書きが、歌の結句なのですからまったく驚かされます。ここにいたっ 271

6. もう一つの万葉集

しかも、ら ( ・印 ) 、も ( △印 ) 、「い」 ( △印 ) 、ね ( 〇印 ) 、じ ( ロ印 ) の行末韻もきちんと踏ん でいます。 ( 一一三一頁 ) 「一云」の部分の行末韻をのぞくと、「ら」音九字、「も」音七字、「い」音七字、「ね」音三字、 「じ」音三字で整然と韻を踏んでいるのです。 あさなぎ 「如此耳」歌と同様、韓国語と日本語で一一重よみされている部分もあります。「朝奈芸」とか ゅふし 「タ塩」などの部分ですが、面白いのは日本語との二重よみによってこの部分の韓国語のきわど い表現がやわらげられているということです。実に、心憎いうたい方ではないでしようか。 〈万葉仮名〉 牽牛者織女等天地之別時由伊奈牟之呂 ( 伊奈宇之呂 ) 河向立思空不」安久尓嘆 空不安久尓青浪尓望者多要奴白雲尓渧者尽奴如是耳也伊伎都枳乎良牟如是耳 也恋都追安良牟佐丹塗之小船毛賀茂玉纒之真可伊毛我母一云、小棹毛何毛朝奈芸 尓伊可伎渡タ塩尓一云、タ倍尓毛伊許芸渡久方之天河原尓天飛也領巾可多思吉 真玉手乃玉手指史余宿毛 ( 余夜毛 ) 寐而師可聞 ( 宿毛寐而師可聞 ) 一云、伊毛左袮而師 加秋尓安良受登母一云、秋不」待登毛※ ( ) 内は「新版・新校万葉集」の万葉仮名表記 224

7. もう一つの万葉集

おぶすに ⑨無一一 ※ ( ) 内は慶尚道方一一一一口、⑦は日本語よみ部分、⑨は韓国語よみ部分 つまり、これが原詩です。 さじえしよど 外ュ刻刈爿三 あきづのに S たなびく雲の ぬん だねびきん 回司くも芒 じなるで はおぶす 司叡。一引 ①如此耳 ( 急に ) 札「如」は韓国訓で「せ」。これを終声を消すと「外」。 の 「此」は日本訓で「これ」「この」。第一字目の「こ」をとり、これを韓国語の「ヱ」にあてま ぎい 九 「耳」は韓国訓で「引」、これを「」とよませます。 す。 ( おぶすい ) 無いので 209

8. もう一つの万葉集

もくさむまる もくすむうる 「命乎」はそれで「号音」 ( 命を ) 、古代語で「ユ気ロせ」になります。 あきめ ③惜美 ( 惜しみ ) あき あきだ 「惜」は韓国訓で、惜しむの意の「刎」 ( 動詞「」の語幹 ) 。 「美」は韓国音で、「可」、これを酷似音の「可」ともよませます。 あきめ この場合は文法上、「刎」 ( 惜しんだので、惜しんだばっかりに ) とよむのが妥当です。「外 きみ 引」とすると、「惜しんだのが、惜しんだことが」の意になり、文法に反します。 なんい ④浪尓 ( 乱が ) らん らん 「浪」は、韓国音で「」。この「らん」に日本語の「乱」をあてているのです。 「尓」は、韓国音で「引」。「 : : : が」という意味の助詞「 : ・ : 引」です。日本よみでは「 : ・ に」。 なんり 歌一一字合わせて「咄引」 ( 乱が ) 、または「司」 ( 乱が ) になります。 応この部分は二重よみに構成されていて、「乱」にもなり、「浪に」にもなります。 島この「乱」は壬申の乱を指しているのです。 ⑤所湿 ( 起きて ) この歌の中で、もっとも難解な部分です。 とじよ らんい 171

9. もう一つの万葉集

と思います。おそらく、つづけ文字にしたとき「謁」と「湯」があまりにも似ていたために「湯」 いでゆ と誤写され、このように解説書によって表記が分かれているのでしよう。あるいは紀の温泉に行 幸した時の歌ということから、「湯」という連想が生まれたとも思えます。いずれにしても「爪 気」でないと解釈できません。 ⑤吾瀬 ( 来たれ ) この歌の真相が見えなくなるのは、この部分の切り方を間違えるからです。 わがせこ 日本人ならだれでも一応「吾瀬子」とよむことと思われます。いかにも日本風に書いてはあり ますが、実は韓国語で「吾瀬」と「子之」とに切り離さなければよめません。額田王のテクニカ ルな「おとしあな」だとも言えるでしよう。しかし、真の意味ではないにしても、この部分を わがせこ 「吾瀬子」としても通じるところにこの歌の妙味があるのです。 れ 「吾」は音で「全」、「瀬」は「国」、合わせて「全国」になります。これは「来よ」「来い」で 「来る」の命令形にあたります。同じく慶尚道方言で、標準語では「全」。 じゃっし ⑥子之 ( 城が ) じゃ 「子」の音は「」、「之」の韓国音は「」ですが日本音は「し」、ここではこの日本音「し」を じゃし じゃっし じゃっ とります。それで「」となり「」と同音になるのです。「城が」の意味です。「」は 先述のとおり「城」、「叱」は日本語の助詞「が」と同じ意味のことばで、上の字の終声をリエゾ

10. もう一つの万葉集

日本古典文学全集の原文には「塹湿 , として、「所」と「湿」の間にカエリ点を打ってありま す。「湿」を「所」に先立ってよめということです。 もともと漢詩ではないのですから、先に読む必要があるとしたら、わずらわしくカエリ点など 打たないで、「湿所」と最初から表記すればいいわけです。 とすると、この部分を「湿所」と表記しないで「所湿」と表した強力な理由があるはずです。 「所湿」とは : : : ? そして「湿所」とはいったい何のことなのでしよう。 この部分も一一重構造になっています。「ほんとうのよみ方」の場合は、もともと書かれてある 順序どおり「所湿」とよみ、「もう一つのよみ方」の場合においては「湿所」と逆によまなけれ ばならないので、カエリ点を必要とするのです。 では、最初の「ほんとうのよみ方」から先に説明しましよう。 て そ 「所」は、韓国訓で「」または「司」 ( 慶尚道方一 = ロ ) 、音で「丕」。 じよっ じよっだ 「湿」は韓国訓で「」 ( 動詞「坪」の語幹 ) 、「濡れ」の意です。終声がなくなると「」 になります。 とじよ 二字合わせると「司」で、「起きて」「勃発して」となります。「乱が起きて」の意です。壬 申の乱が起きたことを指摘しているのです。 「もう一つのよみ方」の場合は じよっ 「湿」は同じ韓国訓で「ズス」。 じよっそ 「所」は韓国音で「丕」。一一字合わせて「上」、濡れます、という意味のことばとなります。 172