第・ 一話を 16 中島和田右衛門、松本幸四郎、岩井半四郎 の三役者の、完結された三枚絵シリーズ。 No. 3a 、 b 。ノヾルプートー (Barboutau) 所蔵 15 女方の中村野塩 ( ? ) ( 瀬川雄次郎 ) と瀬川富三郎を 描いた、三枚絵シリーズのうちの二枚の絵。 N 。 .5b 、 c 。 マーシャ (Mascha) 所蔵、以前、ヤ工ケル (Jaekel) 所蔵 = 当豸な新を、ミぐミご、
ばならないであろう。そしてかなりの確信をもって、作品全体が 3X3 Ⅱ 9 枚の版画ーーーそ のうちの二枚が我々には欠けているーーで構成されていたという結論に達する。五枚のうち の二枚は、もともとそれぞれが半分ずつ持っている一つの墓標によって密接に結ばれている が、これら二枚のうちの一枚は、間違いなく残りの三枚のうちの一枚である。なぜなら、戦 ・ 9 ーⅡ、図版番号 6 のシーンはそれを介して構成されているからである。 ( 一つのシリー ズだけに異なる役を演じる同じ一人の役者を登場させるという冗談は、のち の作品では好んで行われたが、当時の写楽はまだ知らなかった。それが真実であることは、 ある程度完全なシリーズを目の前にすればただちにわかる。これらのシリーズを歴史的にグ ループ分けするのを可能にするような外面的根拠は、存在するのだろうか ? それは確実に 存在する。しかもかなりの信頼度で存在する。一七九〇年以降に東洲斎写楽の落款が押され た作品では、一つの例外を除いて、背景の跡、いや基礎の線〔訳注床または地面と壁または 背景を区切る線〕さえ描かれておらず、描かれているのは黄色か銀色のどちらか単色で彩色 された背景であることに気づく。最初の版画では、逆に完全な背景が描かれており、無色の 基礎〔訳注床または地面〕がくつきりと浮かび上がっていた。とはいえ、これは予定通りの 展開であることをうかがわせる ! いずれにせよ、存在する、あるいは欠けている基礎の線 と、彩色された地が、十分な着眼点を生み出している。我々はそれに応じて次のように分類 した。
い袴。追加図版 Ⅳ細判。多分、三枚絵。背景灰色。 山下金作。傘をさした老人役。類似。 ・ 5 二人の全身像。背景無色か雲母 ? ( ヴィニエ ) 置物。十二枚 間引 x 跚 2 引 x 四・ 5 Ⅷ。黄つぶし半身像。頭の横に役者のもともとの名前と紋。多分、 十二枚の絵。 ? 6 ! ヴィニエとは逆 ) 。魔王の閻魔役。ならびに中 中島三甫右衛門 ( 紋一覧表 z 3 村野塩 ( * 中村富十郎 ) 。彼の女中 ( 局 ) 役。本文一一五頁参照。追 加図版。 市川門之助。朝比奈役。一匹の小悪魔の襟首を撼んで、もう一匹を踏み潰している。 追加図版。 追加図版。 229
ズでは、まだあまり意識的な戯画化は認めらず、実際にはときどきその痕跡が感じられるだ けである。このシリ ーズの中で私が知っている版画は三十五点である。私はまず最初に背景 を基準に分類してみた。そのとき私は、全体の一部を直接構成している絵のうちの数枚が一 枚の絵と考えられていたことに気づいた。これまで政信とその息子の利信が好んだような、 かっての時代の美人三幅対に似て、必ず三人、恐らく多くてもせいぜい五人の人物が、一つ のまとまったシーンを構成しているように思われる。そして、完全な多色摺の時代以降は、 役者のホソ工 ( 細絵 ) は一枚物としては全く発行されす、常に他の版画と強く関連づけられ た形で発行されるようになったと言っていいぐらし : 、こ、この原則を一般化して差し支えない。 この点は、特に勝川春章の場合に簡単に立証されるが、一つの原則として彼から写楽に受け 継がれることになった。もう一つ私が気づいたことは、黄色の基礎の上に赤い葉で覆われた カエデが描かれたシリーズの版画には、役者の中山富三郎と市川八百蔵がそれぞれ二回登場 するという点である。従って、これら七枚の版画から、たとえ背景がすべて同じであっても、 少なくとも二つのシーンが選り分けられねばならない。そのうえ、二人の獅子の踊り手は、 類似の描写から判断すると、さらに三人目の人物、しかも三人目の人物だけを、つまり猿回 しだけを前提にしている。このシーンは「忠孝貴人伝」、つまり「皇帝と両親に服従して頭 角を現した人間たちの伝記」の劇に由来するといわれている。写楽はこのシーンをこの他に も二枚描いている。従って「カエデシリーズ」の他の版画も、それぞれ三つにまとめなけれ 107
を一 江戸の通油町にあった版元耕書堂蔦屋 重三郎の店。 1802 年の絵本東遊の彩色判 から。挿絵は北斎による。クルト所蔵 12 工紹助 14 中島和田右衛門、松本幸四郎、岩井半四郎の 三役者の、完結された三枚絵シリーズ。 No. 3co モスレ ( M 。 s に ) 所蔵 13 女の衣装を着た尾上松助。 N 。 .1 。 プレーメン美術館
落款「写楽画」。版元耕書堂蔦屋重三郎、江戸。 ム中版 ( 間判 ) 。七福神シリーズ。腕に魚を抱えた恵比寿。彼の前には魚が二匹入った 追加図版。 ま細判。各三枚の図版。背景お茶屋のべランダ ? 白いアヤメが描かれた水色ののれ ん。木工物は黄色がかった橙色と仄色がかった緑色。地面は無色。今まで五枚が確認 されている。ー は恐らくこの一部であろう。ヴィニエは以前の試みとして、、 を、彼の「三枚続き絵」、、であると提案しているか、はに適合しな 中島和田右衛門赤い着物突っ張った格好。股引。茶屋の亭主役。着物に丸に中 > 左側の図版。 和の字の入った紋。左側の絵。哩 2 岬 ①松本幸四郎。赤とホロホロ鳥の模様。自称シトべイ (Shitobei) 役の侍。頭巾。わ ら縄で縛られた鰹節を背中に背負って、左手にはウワッタ (Uwatsuta) ( ? ) 名の 入った菓子箱を持っている。商標丸に斜めの二本横帯と数字「・」 間判 > 期。図版。 岩井半四郎。右手が隠れている。着物は黒と暗灰色の縞模様で、その上に牡 219
落款「東洲斎写楽画」。版元耕書堂蔦屋重三郎、江戸。背景、床の線などを暗示させるも のなし。 追加図版。 二代目坂東三津五郎。紋菊鶴。前の名前 ( 俳名 ) 大和屋是業。刀の柄をつかん でいる男だて。本文一一八頁参照。追加図版。 三代目沢村宗十郎。紋丸に上を切られた菊の花。前の名前紀伊国屋 (Kiiko- kuyi) ( ヴィニエ Kinokuniya) 納 ( 訥 ) 子。刀を抜こうとしている主人公。 追加図版。 一枚物。一七九〇年の日付。若者力士の大童山文五郎が描かれている。正確な説明は 本文一一九頁以降を参照。。図版。 三枚続き絵。中央土俵上の大童山文五郎。二人の観客。左右にそれぞれ五人の力士 がいて、名前が添え書きされている。本文一二五頁参照。追加図版。 2 歹
中山富三郎。女方。水に浮かぶ桜の花の模様の着物を着ようとしている。黒い飾り 帯。 > 。 ( ( 岩藤 ) 、ヴィニエ z 2 、。・ 8 を参照 ) 。に相当。図版。 沢村宗十郎。立って、左を向いている。仙台の大名として、花模様の黒い衣装を着 。。・ 4 こ相当。。 > 。。追加図版。 て、扇子を持っている z 2 ( 二枚目の絵 ( 花魁高尾としての瀬川菊三郎 ) はまだ確認されていない。 大谷鬼次。侍役で、右を向いて立っている。頬冠りの布を上にたくしあげようとし と同じ、シャツのような下着。 > ( そこでは灰 ている。黒い帯。・幻 色の地 ) 。図版。二枚目の絵 ( 市川男女蔵 ) はまだ確認されていない。 2 糸判。黄つぶし。落款は一行。三枚続き絵と思われる絵のシリ ④庭を暗示させるために、上方にカエデの枝。将軍所有の庭園の女庭師役の岩井半四 郎 ( エジ ( 衛士か ) ) 、熊手を持った庭師役の市川高麗蔵、女庭師役の小佐川常世、 これら三人はみんな黒い帽子をかぶっている。一式組。 >ä0 追加図版。 大谷徳次。鋤を持った百姓役。市川富右衛門。ハチマキをして、斧 ( 鍬 ) を持った 百姓役。服はたくし上げられている。中島和田右衛門 ( * 中島勘蔵 ) 。馬丁役。怒 って包丁を振りかざしている。スペース不足からこの版画の場合は二行の落款。一 ヾ 0 236
ぶり、腕と脚には布を当てており、恐らく巡礼の旅の途中の高貴な人物なのであろ う。リンドウは源家を意味する。中央の絵。 >ä0 図版。 藤川村次郎 ( * 榊山三五郎 ) 。帯状の長い振袖を付けた、扇の模様が入った黄褐色 の着物を着て、隠した右手を上に挙げている。右側にカエデの幹。右側の絵。 0 4 0 > 期。図版。 に細版。多分、三枚絵。背景、木。地面の線。 中村野塩。女方。花の咲いている小枝を持っている。ほば後向きの格好で、飾り帯 を後に隠している。写楽の最も愚かなタイプ。 >ä0 本文一一二頁参照。追加図版。 は細判。多分、三枚絵。背景無色、地面なし。梅の花が咲いている太い幹。 山下金作。太った老女役。身をかがめている。束ねられず、長く垂れた髪。上衣は 赤で、白い輪の星模様が入っている。下着は黄緑色で、ランの花模様が入っている。 図版。 帯は幾何学模様が入った黒である。 225
1 細判。三枚絵。地は無色か単色で、床または地面の線と背景なし。置物。詩人の小野 小町か主人公役のドラマ。 ( シュミット、五十八、五十九頁を参照 ) 沢村宗十郎。花の付いた小枝を束ねたものを背負った大伴黒主役。着物と帽子は黒、 袖は白。この三枚続き絵への割当てに多分間違いはないであろう。 >ä0 追加図版。 / 野小町役で、左向きに膝を付いているが、頭は右を向いている。彼女 中村野塩。ト の前には、取っ手が四つ付いた、金属性のきらびやかな水盤と、同じ素材でできて いる水差しが置かれていて、彼女はその水盤の中で大伴黒主の短冊を洗い清めてい る。豪華な宮中服、振袖、髪には金属性のかんざし。極。図版。極。追 加図版。 瀬川菊之丞。右向きに膝を付いているが、頭は左を向いている。菊模様の似たよう な衣装を着た御前役。両手には御所車を持っているが、舞台では恐らく実物大のも のが使われるに違いない。極。図版。極間。図版なし。 は細判。多分、三枚絵。地は無色で床または地面の線はなし。 五代目市川団十郎 ( * 市川鰕蔵 ) 。戦いの出で立ちの暫 ( ヴィニエ ) 役。大きい赤 228