ノイ・ノう 勝川春章。ゴシュウ (GOSHUU) のジ ( Ji ) 家の 大名を演じる市村家の役者。黒、白、エンジ 色、灰色。ズッコ所蔵 鳥居派清広。女流歌人小野小町を演ずる役者 中村富三郎。小町の歌。版元 : 江戸の堺屋。 淡紅色と緑色の二色摺。ズッコ (Succo) 所蔵 、三 勝川春章 ( 鳥居派四代目清長のあと ) 勝川春 潮。舞台上の瀬川菊之丞、岩井半四郎、市川 高麗蔵。冬景色。背景に楽士。ズッコ所蔵 勝川春好。女方の岩井家 ( 半四郎 ? ) の役 者。夜の水辺。黄色、各種の黒。ズッコ所蔵
ばならないであろう。そしてかなりの確信をもって、作品全体が 3X3 Ⅱ 9 枚の版画ーーーそ のうちの二枚が我々には欠けているーーで構成されていたという結論に達する。五枚のうち の二枚は、もともとそれぞれが半分ずつ持っている一つの墓標によって密接に結ばれている が、これら二枚のうちの一枚は、間違いなく残りの三枚のうちの一枚である。なぜなら、戦 ・ 9 ーⅡ、図版番号 6 のシーンはそれを介して構成されているからである。 ( 一つのシリー ズだけに異なる役を演じる同じ一人の役者を登場させるという冗談は、のち の作品では好んで行われたが、当時の写楽はまだ知らなかった。それが真実であることは、 ある程度完全なシリーズを目の前にすればただちにわかる。これらのシリーズを歴史的にグ ループ分けするのを可能にするような外面的根拠は、存在するのだろうか ? それは確実に 存在する。しかもかなりの信頼度で存在する。一七九〇年以降に東洲斎写楽の落款が押され た作品では、一つの例外を除いて、背景の跡、いや基礎の線〔訳注床または地面と壁または 背景を区切る線〕さえ描かれておらず、描かれているのは黄色か銀色のどちらか単色で彩色 された背景であることに気づく。最初の版画では、逆に完全な背景が描かれており、無色の 基礎〔訳注床または地面〕がくつきりと浮かび上がっていた。とはいえ、これは予定通りの 展開であることをうかがわせる ! いずれにせよ、存在する、あるいは欠けている基礎の線 と、彩色された地が、十分な着眼点を生み出している。我々はそれに応じて次のように分類 した。
落款「写楽画」。版元松村弥兵衛、江戸。 止細判。極印なし。明るいレンガ色の名札に役者の名前。背景風景。 尾上松助。女物の衣装を着ている。柳が立っている川岸に雨が降っている景色。 黄色、灰色がかった黄色、明るいレンガ色。図版。 描かれた役者のアルファベット順のリスト 〔訳注以下 * 印を付した役者名はクルト以 後の諸研究によって明らかになったもの〕 218
" 肥。 > 。 ( 違い摺あり ) 。。図版。 松本幸四郎。お軽の父、与市兵衛役。着物は白に、暗青色の正方形の模様が入った もので、縁飾りは黒。下着は灰色がかった緑色。白い鉢巻きをしている。右向き。 右手を左袖の中に入れて、左手には赤と暗黄色のキセルを持っている。— ( 職人の服装 ) 。図版。 ⑩森田勘弥。薬売りの扮装をした浪人役。着物は緑青色 ( 一般的には水色 ) に 白い雲丹の模様が入っている。紫の肩掛け ( 一般的にはタバコのような明るい茶 色 ) には白い熨斗の縞模様 ( ? ) が付いている。下着は赤 ( 一般的には橙色 ) と淡 紅色。帽子は白っほい黄色 ( 一般的には白 ) 。両手を隠している。左向き。 、、 + 。。。 ( 違い摺あり、一枚は鮮やかに彩色されてい る ) 。図版。 尾上松助。刀を差した浪人役。右手に閉じた扇子を持っている。顔は ( さびたたよ うな ) 明るい橙色がかった淡紅色で、髭剃あとは灰色。前髪は白色がかっている。 着物は明るい黄緑色、帯は紫、半襟は黒、そして袖ぐりは黄色がかった灰色。右向 き。 + 。。 ( 違い摺りあり ) 。図版。 大谷鬼次。浪人またはスパイのクダヤ (Kudaya) 役 ? ( ヴィニエ。定九郎 ) 、 を参照 ) 。着物は暗い赤褐色で、黄色の縞模様が入っており、また黒い半襟が付け
った」 ) 。翫以 ( そこでは手書きで「谷村虎蔵一七九四」 ) 。 。 ( 違い摺あり、一枚には三行の手書きの覚書、もう一枚では緑色の着 物を着ている ) 。図版。 岩井半四郎。由良之助の妻お石役。右手には、例えば仏陀の絵が入っている、黄色 の模様の付いた、淡い赤 ( 一般的には橙色 ) のお守り袋を持って、左の方を向いて いる。着物については版毎で非常に異なっている。淡い赤の扇蝶が付いている黄色 と暗紫色、あるいは橙色の扇蝶が付いている黄色と茶色、あるいは淡紅色など。半 襟には淡紅色がかった銀色の雲母が摺られている。帯は黒。。新。 ( ザイトリツツ (). seidlitz) のところの図版四 ) 。。 ロは版毎で異なっている。図版。 小佐川常世。本蔵の妻戸無瀬役。左手で着物をたぐっている。右手は隠れている。 左向き。着物は美しい赤で、内側の半襟は淡紅色の雲母で、外側黄色つほい白。袖 ぐりは紫青色で、帯は黒。 + 。。 >RO 版木はまだ現存する、本文一六一 ー一六二頁。図版。 ①松本米三郎。与市兵衛の娘の花魁お軽役。頭巾なし。右手は隠れていて、胸の膨ら みから現われている左手は朱色のキセルを持っている。着物は暗紫色 ( 一般的には 水色、一般的には灰色 ) で、白い輪による星模様が入っている。下着は深紅色、半 、 L.n 0 1 0 6
られている。下着は黒、くすんだ淡青色 ( 一般的には緑と暗い緑青色 ) 、そして赤。 胸がはだけている。目は赤く隈取られている。両手の指が大きく広げられている。 右向き。翫。 ( 文字が書かれた札「役者大谷鬼次、天明から寛政、一七八一ー一八 〇三」 ) 。極。。。翫鵬 ( 多色 ) 。 ( 違い摺あり ) 。図版。 大谷徳次。由良之助のお供役。右手はこぶしを握って、左手は刀を握っている。右 向き。胸ははだけている。淡い赤褐色の肌の色。空色の髭剃あと。着物は暗褐色掛 かった紫色二般的には暗い黄色 ) で、白い輪郭線が付いている。下地は泥のよう に暗い赤 ( 一般的には淡黄色 ) と黒である。刀の柄はプロンズがかった緑色で、金 > 。図版。 属部分は黄色。。。。 + 。。Ⅷ 沢村宗十郎。大名塩谷判官高定役。着物は赤味をおびた淡褐色 ( 一般的には紫色 ) で、下着は淡黄色。右手に持っている、開かれた大きな扇子は、金色にプロンズメ ソキされていて、白抜きされた渦巻き模様が入っている。左向き。翫間 ( 一七 九四 ) 。 > 。図版。 谷村虎蔵。加古川本蔵役。右手は淡緑色の刀の柄を握っている。肌色。目の隈取り は赤で、髭剃あとは水色。着物は赤味をおびた淡褐色 ( 一般的には灰色 ) と黒。右 向き。翫 ( この場合、文字が書かれてる札「天明時代二七八一ー一七八八 ) に は加賀屋歌七と名乗り、享和時代 ( 一七八九ー一八〇〇 ) には中村歌右衛門と名乗
、図版番号Ⅷー ) で、両方とも「写楽」としかないか、この点は特に三枚 の版画 ( 続き絵で際立っている。なぜなら、他の版画 ( ヴィニエは一点しか付け加えていない ) には 東洲斎の落款があるからである。しかし両方とも事実と合致していない。彼の高麗蔵の版画 はばろばろに近く、右側の「東洲斎」はちぎれている。私は保存状態のずっと良いものの写 真を持っているが、それには東洲斎とはっきり印されている。しかし二つ目の版画の落款で は、彼自身の模写が示しているように、「写楽」ではなくて、「 : : 楽」だけしか保存されて おらす、残りの部分は同じようにちぎれている。それなのにどうして、そこに「写楽」とし かなかったと主張できるのだろうか , ( 図版番号は灰色の背景と記録しているが、私が黄色の地の同じ版画 さらに % — を知っているということは、最大限二版あるということである ! 最後に、以前の細絵シリ 、図版番号燗 ) について、ヴィニエは奇妙なことに黄色の地と記録しているが、 彼自身のきわめて卓越した色摺の複写から、地が顔と同じ色つまり無色だったということが はっきりわかる。かくして一九一一年のパリ大博覧会でも、私の推定が見事に確認されるこ とになった。 新しい落款になってからのものとして私が知っているのは、細絵判型の三十点の版画であ る。すべてに共通しているのが、黄色一色の地と登場人物の大きさである。そのうちの二十 六枚の版画については落款は一行になっているが、残り四枚では二行になっている ( ・、 リ 5
くはない ( 図版番号 2 ) 。丹絵は一七二〇年頃には、奥村政信 ( 一六八六ー一七六四 ) によ踴 って発明され、そしてその技法が旧鳥居派によってすぐに取り入れられた漆絵にますます取 って代られた。漆とは「ワニス」のことで、特定の塗料・ーー特に黒ーーーを手で塗ると、その ニカワのような被膜が、これらの作品にラッカーのような光沢を与える。丹はほとんど使わ れなくなってしまったが、 それに代って黄色と橙色の絵具、とりわけ弱い赤褐色の絵具イン クが好まれ、特定の面に金粉をふりかけることで、全体の効果が一種の紋章学的な壮麗さに まで高めることができる。江戸の浅草は同朋町に印刷所を構えていた版元和泉屋権四郎は一 七二五年頃に、ニカワを塗らなくても銀色の光沢が得られる、サフラン植物 ( 紅花 ) から得 られるカルミンレッド ( 紅 ) を採用した。この紅絵は多色摺が発明されるまで続いた。鳥居 派初代は、これらの彩色方法を用いて仕事に取り組んだ。彼の形式の話はかっての師宣の流 派についても語っていた。いまなおまったくの絵画的解釈に由来するとともに 、影かたくさ んなくても、生き生きとした造形美を錯覚させるこの「浮世絵版画の発明者」の丸味を帯び た点が、鳥居派の最初の摺りで重要な役割を果たしている。のちになると、彼の描く人物像 はより一層金属板を彫ったようになり、そして絵画に比べて、浮世絵版画の特徴を一層際立 たせるとともに、明央さを失っていった。しかし、把握力はそれらに固有のものとして残さ れていた ! ( 図版番号 3 ) 。これらの簡素な版画の中、つまり浮世絵版画のこの「初恋」の 中では、まさに我々にきわめて好感を抱かせる一本の弦が鳴り響く。表現の素朴な模索、自
茶碗を持って左の方に歩きかけている。黒の縁飾りの付いた濃赤色の着物を着てい る。帯は明るい縞模様の入った漆黒で、その上に帯に松鶴が刺繍されている。前掛 けは黄褐色で、白いヒトデの模様が入っている。飾り帯は橙色がかった黄色。 図版。 2 岩井喜代太郎。芸者役 ( ヴィニエ ) 。左を向いて立って、キセルを持っている。着 物は暗い赤褐色で、黄色の縞模様が入っている。飾り帯は淡い銀緑色で、上の方に 結び目が作られている。追加図版。 小佐川常世。黒の飾り帯をしめて、立っている。追加図版。 四大判。雲母摺。二行の落款「東洲斎写楽画」。一枚物 ? 劇場の頭取、ミャウチ ( 都 ) 伝内が両手にポスターを持って、跪いている。ザイトリツツ ( v. se 一 d 一を ) の場合は多色。第二版。本文一四〇頁参照。追加図版。 ・ 5 Ⅷ。大判黒雲母半身像が各一枚。二十四枚の版画。一七九四年 大判・ LnX 秋。竹田出雲のドラマ忠臣蔵を描いている。本文一四一頁以降を参照。女方の頭巾 ( 野郎帽子 ) は一般的に紫。今までわかっているシリ ーズ全体が、図版で入れられて 239
襟は淡紅色の雲母。垂れている大きな帯は黒。左向き。翫 -. 0 0 、 0 1 。図版。 1 4 中山富三郎。女方。左手を上げている。着物は淡い革のような黄色 ( 一般的には水 色 ) 。下着は、白い輪の模様が入った橙色がかった黄色 ( 一般的には赤 ) と、白い 雲丹の模様が入った黄褐色。帯は暗黄色で、模様が入っている。左向き。 <0 + 。而。 ( 違い摺あり、一枚では、帯に模様なし ) 。図版。 国佐野川市松。一カ茶屋の芸者役 ? 両手で扇子を持っている。半襟は恐らく淡紅色 の雲母。着物の縁飾りは格子模様。色 ? + 。Ⅷ。。 >ä0 図版。 瀬川菊之丞。カ弥の花嫁小浪役。右手を黒い帯の中に差し込んでいる。右向き。着 物は赤味をおびた淡褐色 ( 一般的には暗黄色、一般的には白 ) で、暗黄色 ( 一般的 には紫 ) の雲丹の模様が入っている。下着は、白い菊の模様が入ったプロンズ色が かった緑色と、白い輪が入った赤。半襟は淡紅色の雲母。紫帽子は暗い黄緑色 ( 一 般的には暗い黄褐色 ) で、鉢巻きは明るい淡褐色 ( 一般的には明るい黄褐色 ) 。 z 。。十。 rn z 6 瀬川富三郎。塩谷の妻顔世役。右手は羽織を摘んでいる。右向き。着物は肉のよう な赤。羽織は黒で、色彩豊かな菊の花の模様が入っている。半襟は淡紅色の雲母。 帯は黒で、光沢だしされている。翫Ⅲ。多分。図版。