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検索対象: 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~
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1. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

第三十六当初沿岸防御を命ぜられたる兵団に在りても、その一部または主力、状 況によりては全力を多方面に転用して防御に任じあるいは攻勢に参与せしめらるる ことあるを予期すべし 広大なる正面を担任する兵団にありては、その担任地域内に於いてもしばしば兵 力機動を必要とすることあり 兵団編成の特性により機動力充分ならざるものは、自ら所在の資材等を利用し、 あらかじめ所要の機動力を準備するを要す 第三節機動 第三十七敵の制空下、軍隊及び軍需品を神速に決勝点に集中するは戦捷の基礎な り。而して之が整斉 ( せいせい・ととのっていること ) 神速なる実行は事前に於け る交通路と通信網の整備、確保、後方兵站の確立並びに適切なる訓練等周到なる作 戦準備に依り始めて帰し得らるるものとす 神速なる戦力集中を図る為、主決戦方向の決定機宜を制するは高級指揮官の重責 とす 第三十八機動の実行にあたり、敵の砲爆撃、交通遮断、疲労困苦等の障碍を克服 し、戦機に投ずる行動を遂行するは各級指揮官の積極敢為の意志に俟つもの多きを

2. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

第四十四軍管区 ( 師管区 ) 部隊は当該管区を通過する決戦部隊の宿営、給養を担 任し、あるいは交通路、通信網の整備、確保に努め、以てこれら部隊の機動を神速 ならしむるを要す 第四十五高級指揮官は交通路の統制、整理に関し万般の施策を講じて機動の整斉 円滑を期するを要す 軍隊は交通軍紀を厳守し交通整理部隊の指示に絶対に従うべし 第四十六機動の細部、特に戦場機動に関しては「橋頭陣地の攻撃」による 第四節攻撃戦闘 第四十七決戦攻勢の要は、激烈凄惨なる戦況、極度の消耗を覚悟し将帥以下毅然 として敢闘不屈の意志を以てあくまで攻撃を続行し敵を圧倒撃滅するにあり 第四十八決戦は、通常海岸の狭隘なる地域に於ける橋頭陣地に対する攻撃にして 時間的、地域的に策略を施すの余地少なく、激烈凄惨なる局地戦闘に終始するを常 態とす。従って諸兵戦力の統合発揮に関しては、高級指揮官以下最大の努力を払う を要す 第四十九橋頭陣地に対する攻撃は、単なる一点突破を以てしては目的を達成しが たきを以て、攻撃に用うべき兵力に稽え数個の突破点を選定するを可とす。而して

3. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

第五十三敵陣前の火力障壁を突破し、その外殻を破砕するは必ずしも難からず。 我が攻撃の進展を阻碍するものは熾烈なる砲爆のほか、陣内縦深にわたる敵の近戦 火力と機甲反撃とにあり。兵団は諸兵種特に歩戦砲工の緊密なる協同と縦長戦力と により絶えず攻撃威力を培養発揮しつつ一意突進を継続し、敵の抵抗組織の全縦深 を撃摧するを要す 第五章持久方面の作戦 第五十四持久方面の作戦指導は状況により千変万化すべきも、要は決戦攻勢を成 立せしむる唯一終局の目的としてその行動を律せざるべからず 第五十五敵の進攻を受けたる持久正面の軍司令官は、攻勢により之を撃滅すべき や、持久抵抗により時間の余裕を得るを主とすべきやを定むべしといえども、持久 任務達成の最良の方策は攻勢にあるを想い、果敢溌剌の気勢を失わざるを要す 第五十六持久正面に於いて攻勢的に作戦を指導する場合に於いては特に慎重周到 なる戦術的考按を以てし、敵の火力の陥穽に陥り戦力を消耗して全般の目的達成に 背馳 ( はいち・行き違う、反対になること ) するが如きことなきを要す 第五十七主決戦方面に徹底せる戦力を集中する為、持久正面の軍隊は極めて優勢

4. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

するを要す 第十八作戦準備を神速に完整するの要訣は、各級指揮官就中高級指揮官の適切な る計画始動と率先垂範及び軍隊の厳粛なる実行貫徹とにあり。事に当たり困難、不 可能を思うは自ら敢闘邁進の気迫に欠くるものと反省すべし 第十九交通、通信、兵站に関する作戦準備については後章による 第二節教育訓練 第二十敵の物的戦力を圧倒撃滅するため作戦準備間最も努力を傾倒すべきは決 戦即応の訓練なり 各級指揮官は寸陰を惜しみて部下軍隊の訓練に邁進すべし 第二十一教育訓練の対象は指揮官を重点とす 上級指揮官は任務完遂を第一義とし、自らの脳漿を搾り研鑽創意すると共に隷下 団隊長、幕僚の教育に最大の努力を傾注すべし 第二十一一教育訓練は凡て戦地教育の要領により特に現地、現場に即する実地教育 に徹底すべし 第二十三高級指揮官は、その作戦計画に基づき速やかに隷下司令部、団隊長を訓 練して作戦、戦闘の要領を徹底す

5. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

第一章要旨 第一国土作戦の目的は来寇する敵に決戦を強要して絶対必勝し皇国の悠久を確 保するに在り 之が為、国土作戦軍は有形無形の最大戦力を傾倒し、猛烈果敢なる攻勢により敵 上陸軍を殲滅すべし 第一一国土に於ける決勝作戦の成否は、皇国の興廃に関す。仰いで国体の無窮を 念 ( おも ) い俯して建軍の本義に稽 ( かんが ) え挙軍一心匪躬 ( ひきゅう・我が身 をかえりみることなく主君、国家のため忠節を尽くすことの意 ) の節を致して一死 君国に報い絶倫の努力を傾倒して作戦目的の必成を期すべし 第三およそ戦捷は之を確信して最後の瞬時まで敢闘するものに帰す。宜しく全 軍相信倚 ( しんい ) し至難に処していよいよ鉄石の団結を堅持し、上は大命を拝し 下は国民に魁け仇敵を大海に排擠 ( はいせい・押しのけること ) し、以て戦捷を獲 得する為、最後の一人まで敢闘すべし 第四神州は盤石不滅なり。皇軍は自存自衛の正義に戦う。即ち将兵は皇軍の絶 対必勝を確信し渾身の努力を傾倒して無窮の皇国を護持すべし 必勝の信念は作戦準備の完整、就中周到適切なる訓練、築城、後方兵站の整備等 に依り培養せらる。各級指揮官は身を以て之が完整に努力すべし

6. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

第三十一高級指揮官は敵の上陸企図に関する判断に基づき戦備の度を定め、作戦 及び戦闘準備に関する準拠を示すと共に随時の奇襲に対応するを要す 第三十一一戦備転移、機動及び戦闘開始等は本作戦の特性に鑑み特に俊敏神速なる べし。之が為簡単明瞭なる伝達法 ( 例えば略号発令の型式 ) を準備し置くを要す 第二節沿岸防御戦闘 第三十三沿岸防御に任ずる兵団は優勢なる敵上陸軍及び空挺部隊の進寇に対し長 期克くその陣地に之を拘束し、為し得る限り甚大なる損害を与え、以て主力の攻勢 を容易にしらしめ、あるいは支作戦本面の持久を担任す 戦闘の遂行にあたりては、戦機を捕捉し勉めて攻勢的に任務を達成するを要す 第三十四防御戦闘は各種の手段を尽くして積極主動的に実施し、敵の物的戦力を 封じ、その弱点に乗ずるを要す 之が為火力及び逆襲に依るのほか、挺身奇襲、誘致、伏撃、逆上陸等溌剌果敢な る戦闘を遂行するを要す 第三十五集中する兵団の戦場到着に伴し ' 、、沿岸防御に任じある兵団は攻勢のため の支拶 ( しとう ) を確保し攻勢準備を援護す。攻勢開始にあたりては、攻勢兵団 に連繋し攻撃を敢行す

7. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

この間軍隊は基礎の訓練より逐次総合訓練に入り、兵団の実兵演習を以て訓練の 完成を期す 特に新たに編成せらるる部隊に在りては、その素質を精査し之に適応する訓練に 遺憾なからしむ 第二十四教育の期は作戦上の要求、編成着手順序、初年兵入隊の時期、築城との 関係等を彼比考慮して之を定む 教育の過程を定むるにあたりては速成教育の要領により、まず対米戦闘喫緊の課 目に限定し、且っ分、特業の内容はさらに之を専業的に分課して速やかに古年次兵 に伍して戦闘任務に服行る如くす 爾後時間の余裕を得るに従い、 戦場諸般の任務に就き得る如く教育するものとす 第三節築城 第二十五築城実施に関しては大陸指第二九一四号国土築城実施要項に依るものと す 第二十六築城は機宜に適する我が戦力の発揚を本旨とす。故に之が利用は戦闘法 に即応せしむ 又ややもすれば既設築城に戦力を膠着せしめて攻撃精神を消磨し、戦機の捕捉を

8. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

一、戦略的交通路 ( 鉄道、道路 ) の整備、兵要地誌、起床の調査 一「渡河点 ( 橋梁を含む ) の復旧準備及び隘路の副交通施設 三、交通要点及び輪転材料の防空、対爆施設、秘匿、艤装 四、交通統制組織の確立と之が機能の充実 五、戦場地帯の交通路の整備 六、軍官民通信の有機的な統合による戦略、戦術的通信組織の確立 第八章兵站 第六十六兵站は国土戦場の利点を最高度に活用し、特に作戦発起に伴い移動を要 する軍需品を最低限ならしむることに着意するを要す 第六十七作戦資材の整備は万物戦力化を本旨とし、各兵団は自ら所要の作戦資材 を現地自活し物的戦力を強化せざるべからず 第六十八作戦資材を敵の砲爆撃、雨露、湿潤等に対し防護し以て無為に消耗せざ ることは各級指揮官の重要なる責務にして、之が対策の実施は作戦行動なりと心得 第六十九兵站部隊は状況に応じ直接戦闘に参与し国土防衛の栄を担任すべきもの

9. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

屯している周辺地域の治安を守るために最大限の努力を払い、しばらくするとこうした混乱も落ちついた ということである。 ■第四十軍の教訓 さあ、ではいよいよ本書も最後。私がぐっときた、第四十軍による「遺言」を採録しておく。以下、 「第四十軍作戦行動の概要ー最後の第五章を全文掲載したものである。 ※防衛研究所戦史研究センター許諾済み 第五章教訓其他 一軍ノ任務ト編成裝備 、軍ノ任務ニ對スル第一線兵團數ハ敢テ小ナリトハ謂ハサルモ火力裝備 ( 特ニ爆藥ヲ含ム對戰車火力 ) 機動、補給、衞生能力ノ貧弱ナルハ致命的缺陷トス張付兵團ト雖 ( ※原文は略字、以下同様 ) モ機關銃 主體ニシテ火砲及彈藥爆藥裝備貧弱ナルハ戰車ヲ手トスル敵ニ對シ兵團トシテノ威力ヲ發揮スルニ適セス 機動補給能力ハ兵團カ所命ノ地域ニ諸準備ヲ完了セル以後ノ戰鬪ノ場面ノミヲ考フレハ敢テ不可ナキカ 如キモ上陸防禦ニ於テ極メテ緊要ナル兵團内ニ於ケル兵力移動ヲ拘束スルコト少カラス作戰準備間ニ於 テハ築城及軍需品ノ集積ノ爲ニハ張付兵團 ( ※主に海岸線付近に配置された兵団のことと推測。「かかし 兵団」とも言われ、時間稼ぎのための部隊といっても過言ではない ) ト雖モ輸送カヲ要スルコト何等機動 兵團 ( ※こちらは機動力を持ち、張付兵団が時間を稼ぐ間に反撃するための兵団 ) ト異ラザルニ關ラス

10. 本土の守りかた ~復刻・昭和20年「国土決戦教令」~

第五戦場は悠久の皇土なり。此処に父祖伝承して倶に生を享け民族永劫の生命 と共に存すべき地なり 万策を尽くして国民皆兵の実を発揮し且つ一切を活用戦力化し以て皇土総決戦に 参与せしむべし 第六平常的生活環境と、之に伴う消極的諸条件及び国土国民に対する感情の諸 作用とは、ややもすれば決戦気迫を消磨し、断乎たる統帥の実行を躊躇せしむるの おそれあり。故に指揮官は自らに鞭 ( むちう ) ちて勇断宜しきを制し克く軍隊をし て百事戦闘を基準とする野戦軍の本領を発揮せしむるを要す 第七国土決戦に於ける作戦、戦闘及び訓練は典令を活用するのほか、本教令に 準拠し且っ戦闘要領に関してはさらに「上陸防御教令 ( 案 ) 、橋頭陣地の攻撃」等 を参考とするものとす 第二章将兵の覚悟及び戦闘守則 第八国土決戦に参ずる全将兵の覚悟は各々身を以て大君の御楯となりて来寇す る敵を殲滅し万死もとより帰するが如く七生報国の念願を深くして無窮なる皇国の 礎石たり得るを悦ぶべし