226 10 散乱 雑である . そこで , 波束が原点付近に到達しない / < 0 では以の = 0 とし て , 入射波として平面波を使い , ( 9.86 ) 式を適用するのである . 10 ー 3 部分波展開と位相のずれ 照 ). 波動関数″ 0- , のは角に依存しないので , ″ , のはルジャンドル 中心ポテンシャルの場合の波動関数は球面調和関数で展開できる ( 5 ー 2 節参 多項式 Pl(cos の 0 ( ので , ″ 0- , の = RI(r)PI(cos の ( 10. 37 ) と展開できる . ん 0- ) を軌道量子数 / の部分波 (partial wave) という . レ ( わ = 0 の領域ではん 0- ) はカ ( ん - ) と〃 l( 耘 ) の 1 次結合で表わされる ( 5 ー 6 節参照 ). そこで % →でレ ( わが十分に速く 0 に近づけば , R 命 - ) のだ→ での漸近形は ん 0- ) = な。 s カ ( ん - ト sin のん - ) ] 1 AI sin ん - 一 - ー十の 2 1 ( 10. 38 ) と表わせる . ある . 、ア こで ( 5. 88 ) 式を使った . のは実数の定数 , は複素定数で ポテンシャルレ 0- ) = 0 の場合のん 0- ) は原点で正則なカ ( 耘 ) なので , ん ( わの→での漸近形は RI(r) = カ ( ん・ ) ー→ ( 10. 39 ) →々 である . ( 10.38 ) と ( 10.39 ) 式を比べると , 実数はポテンシャルによる軌 道量子数 / の部分波の位相のすれ ( phase shift) を表わすことがわかる . 図 1 Æsin ん - ー 10 ー 6 を見ると , のの符号は の > 0 < 0 であることがわかる . 入射平面波 e ・ = e ikr cos 0 引力 [ レ ( わ < 0 ] の場合 斥カ [ レ ( わ > 0 ] の場合 を ( 5.94 ) 式を使ってルジャンドル展開し , ( 10.40 )
10 ー 2 ポルン近似 223 はポルン近似の結果 ( 10.21 ) と同じである *. クーロン散乱の微分断面積は量 子力学と古典力学で同一になる特殊な場合である . クーロン散乱の微分断面積 ( 10.21 ) は散乱角→ 0 で 1 ル 4 に比例して急激 に増加し , その結果 , 全断面積は無限大になる . この理由は , クローンカは 到達距離が無限大なので , 入射原子核が標的原子核の遠くを通過する場合に も , 散乱角はごくわずかではあるが , 散乱されるためである . しかし , 現実には , 電荷が存在すれば , その近傍に異符号の電荷が集まって中和する ので , 厳密なクーロン散乱は起こらない . 原子番号 / の中性原子と電子の散乱微分断面積を求めよう . 原点にある 原子核のまわりの電子の電荷分布を一 / 印 0- ) とする p ( の = 1 この場合の入射電子に対するポテンシャルは p(x つ レけ ) = 4 Eo 7- なので , ( 10. 12 ) 式に ( 10.23 ) 式を代入すると , 散乱振幅は 8 応 2E0 カ - れみ 1 ・ 〃 2 / e2 = なの [ 1 ー F ( K ) ] 8 応 2E0 が = 元 ( の一 となる [ 2 行目の最後の r 積分の静を ( r ー (') におきかえて , の = はクーロン・ポテンシャルー / e2 / 4 砿による散乱振幅である . 4 0 4 ん 2 が sin20/2 2 襯 F(K) = F 2 ん sin— 2 ーん・ r ( 10. 23 ) ( 10. 26 ) ( 10. 25 ) ( 10. 24 ) * ただし , 正確な散乱振幅は , 複雑な位相因子がかかる . ポルン近似の結果 ( 10.20 ) と絶対値は同一だが ,
90 4 1 次元問題 2 - ーー反射と透過 ンが舌を出しているポーズである . た , 世界一小さなアインシュタインの画を紹介しよう . アインシュタイ グ過程をおこして , NTT 厚木研究開発センターの宇津木靖博士が描い ピューター・プログラムでコントロールされたナノ領域に化学工ッチン ナノテクノロジーの例として , 走査型トンネル顕微鏡を使用してコン 1970 年に江崎玲於奈らによって提案された .
論 序 4 E = んレ , の光子 ( 光の粒子 ) の集まりだとすると , 光電効果は金属による光子の吸収と 電子の放出 , コンプトン散乱は電子による光子の散乱として見事に説明され こで , 定数カは る . カ = 6.6260755 x 10 34 ( 1.2 ) で , プランク定数 (PIanck constant) とよばれる . 振動数レの電磁波のエネ ルギーの値はんレの整数倍に限られることを 1900 年に発見したのがプラン ク (). Planck) だったからである . このように光は波動性と粒子性の両方の性質を示す . これを光の 2 重性 (duality) という . とりあえず , 光の 2 重性を「光は空間を波として伝わり , 物質によって放出・吸収されるときは粒子として振る舞う」と理解してほし い . 光は波動性と粒子性をもつが , その間には密接な関係 ( 1.1 ) があること に注意しよう . 光電効果紫外線のような波長の短い光を金属の表面にあてると , 負電荷 を帯びた電子が飛び出す . この現象を光電効果 (photoelectric effect) とい い , このように飛び出した電子を光電子という . 1900 年頃までに , 光電効果の実験的研究によって , 次のような結果が得 られた . ( 1 ) 金属にあてる光の振動数レが , その金属に特有なある値レ 0 より小さ いと , 強い光をあてても光電子は飛び出さない . このレ 0 を限界振動数 という . ②光電子の運動エネルギーは , 光の強さに関係なく , 光の振動数レが 大きくなると大きくなる . ( 3 ) 単位時間に飛び出す光電子の数は , 光の強さに比例する . ( 4 ) どんなに弱い光でも , 限界振動数より大きな振動数の光をあてると , ただちに光電子が飛び出す . 光が波だとしたら , 電子が光から受けとるエネルギー E は , 光の強さと 光を受けた時間の積に比例するはずである . したがって , 電子に光を長時間 ( 1. 1 )
1 } 亨 ' ⅱ刪 第可視光・・十一一紫外線 6 3 2 Na ( A0 こ 42 1 Zn レ o(Na) レ 0(Zn) 0 12 10 8 6 レ ( 1014 Hz) 4 2 レ 0 ( W ) 図ト 3 単色光の振動数レ と阻止電圧協の関係 ことを示すので , Km = e 協の関係がある . 単色光の振動数レを変化させたり , 負極の金属の種類を変えたりして , レ これらの平行な直線の と e 協の関係を調べると , 図 1 ー 3 のようになった . 傾きをカとすると , 関係 , ( 1. 4 ) e 協 = カレーカレ 0 が得られた . この式と Km = e 協から ( 1.3 ) 式が得られ , 光子説の正しさが実 証された . 一般に , 電磁波によってエネルギー E が運ばれるときには , 同時に大き さがカ = E をの運動量も運ばれるので ( 。は真空中の光の速さ ) , 振動数レと 波長スの関係 c = 以を使うと , 光子の運動量〃は大きさがカ = hy/c = んな で , 光の進行方向を向いている . コンプトン散乱池の中の杭による水面波の散乱では , 入射波と散乱波の 波長は同じである . ところが , 1923 年にコンプトン (). H. Compton) は , 物質によって散乱された X 線には , 人射波と同じ波長スのもののほかに より長い波長えをもつものがあることを発見した ( 図 1 ー 4 ). このような散 乱をコンプトン散乱 (Compton scattering) という . 彼は , この現象を X 線 光子と電子の衝突として説明した . すなわち , 波長ス , 振動数レの入射 X 線 をエネルギー E = ル = ん翻 , 運動量カ = 力なをもつ光子の流れと考え , コン プトン散乱をこの光子と静止している質量襯 ( 静止エネルギー襯 c2 ) の電子 との弾性衝突と考えた . 相対論的に考えると , エネルギー保存則から ,
4 1 次元問題 2 ーーー反射と透過 4 ー 4 デルタ関数 量子力学にはデイラック ( P. A. M. Dirac ) が発明したデルタ関数が現われ る . デルタ関数ö(x ーのは , ( ェーの であるが , 点ェ = では無限に大きく , であるような関数である . ö ( ェーのを直観的に理解するには , 図 4 ー 11 に示す関数 , 0 1 / 2E 0 ( 〃ー E ミミ十の ーの = 1 は半の場合 ) dX = S1n 住工 E2 十ェ 2 と考えればよい . あるいは , e → 0 ö ( ェーの の→ 0 の極限を考えればよい . すなわち , ( 住 > の ( 4.36 ) ( 4.37 ) ( 4.38 ) ( 4. 39 ) ( 4. 40 ) なので , öは一のを 1 2E 0 図 4 ー 11
1 0 ー 2 ポルン近似 2 2 1 2 ↑ 入射方向 散乱方向 図 1 0 ー 5 K = ん一ん 波数ベクトルの変化ん一んを となる . K = 2 ん sin K = ん一ん とおいて ( 図 10-5 ) , K の方向を球座標の軸に選んで積分すると , sin 〃 d 〃 sinKr レけレみ これがポルン近似での散乱振幅である . が得られる . (1) 湯川ポテンシャル 例題 10 ー 1 の = ー協 e による散乱の微分断面積と全断面積をポルン近似で求めよ . ロン・ポテン ( 2 ) 湯川ポテンシャルの場合の″→ 0 の極限として , クー シャノレ ( 10. 13 ) 2 兀 2 応が 0 ー ~ K7 、 COS 0 0 ( 10. 14 ) ( 10. 15 ) レけ ) = 4 応ど 0 による 2 つの原子核 ( 電荷左 , みののクーロン散乱の散乱振幅と微分断面積 を求めよ . ( 10. 15 ) 式を ( 10.14 ) 式に代入し , K = 2 ん sin(0/2) を使うと ( 10. 16 )
第 1 0 章 ( 0 - ミの 演習問題 の場合には であることを示せ . レ 0- ) tan のは ) = て , を示し , また , jo(kr)=sin 耘 / ん - , 〃 0 ( ん - ) = ー c 。 s 耘 / を使っ öo は ) = ん→ 0 での全断面積は lim ät = 4 応が 229 ( 10. 48 ) ( 10.51 ) ( 10.50 ) ( 10.49 ) となることを示せ . [ 解 ] レ ( わ = 0 の場合の一般解 ( 10.38 ) とだ = での境界条件ん ( の = 0 から ( 10.49 ) が導かれる . / = 0 の場合に ( 10. ( 10. 52 ) l( わ cos öljl(kr)—sin の ( ん - ) 49 ) 式は tan 60 は ) = ー tan んとなるので , が導かれる . ん→ 0 では / = 0 の部分波だけを考えればよいので , 4 兀 lim ät = lim 2 sin2ö0(k) = 4 応〃 ( 10. 50 ) ( 10. 53 ) となる . 古典力学での断面積はät= 2 であり , 4 2 ではない . 量子力学 では , ド・プロイ波長 2 / んが標的の大きさ 4 より大きいので回折効果によ 第 10 章 って Ot = 4 応〃 2 になる . の場合のボルン近似での散乱振幅を求めよ . 入射粒子の速さがきわめて遅く , 1. 井戸型ポテンシャル 0- ミの
4 1 次元問題 2 ーーー反射と透過 88 の (E) いェ ) 11 -0- 1 亠 〃十わ〃十 2 わ 2 〃十 2 わ 0 ミ協のときの条件も cos KI = の (E) である . 領域を 0 ミエミ NI ( ルは自然数 ) に制限し , 周期的境界条件″ ( NI ) = ″ ( 0 ) を課すと , K = 2 / Ⅳけは整数 ) であ る . 図 ( b ) にØ(E) と c 。 sK / = の ( E ) で許される E の領域 ( 太線 ) を示す . この ポテンシャルのエネルギー固有値は帯 ( バンド ) を作ることがわかる . 6. 6 は一のは位置演算子の固有値 4 の固有関数 , デルタ関数規格化 であり , に従うことを示せ . 7. 体積レ = ん 3 の領域での 3 次元の自由運動で , 運動量の各成分がカエとカエ 十」ル , 加と加十」加 , ルとル十」ルの間にある固有状態の数は 」カエ」加」ル 」カエ」カ図ル = わ (a) であることを示せ . この場合 , エネルギー固有値が E と E 十」 E の間にある状態の数 p ( E ) 」 E が 4 兀襯 3 / 2E1 / 2 レ 襯 3 / 2E1 / 2 レ AE p(E)JE = JE = に 2 が と表わされることを示せ . p ( E ) を状態密度という .
4 1 次元間題 2 ー・一反射と透過 を使った . スは ) が 1 に規格化されていると , ″は ) も 1 に規格化されている . すな わち , / 1 ・・は ) 尸市 = 1 / 1 k)l ' = 1 ならば ( 4. 58 ) ■ ただし , 第 2 辺から第 3 辺へ移るときに ( 4.56 ) 式を使った . 自由電子の波動関数 ( ェ ) には時間因子の・研 ( の = カん 2 / 2 襯 ) がかかるの で , 自由電子の波動関数は , t) が = 0 に ( 4.53 ) 式であれば ( は , 0 ) = ( 4. 57 ) 1 2 応 ″は ) であれば ) , ( 4. 59 ) 2 兀 1 ー ( 」工淑々一々 0 ) 2 の場合の波束の確率密度は , あとで示すように , ェ械 0 〃襯の近傍に山をも スは ) = [ 2 ( 亠 ) 6 な ] 1 % [ ( 」 0 , ん 0 は定数 ] ( 4.60 ) 最小波束ース ( k)l が , ん戔ん 0 の近傍に山をもっ , である . これがこの波束の時刻 / での波動関数である . つ 4 襯 2 ( 」の 3 は一械 0 血 ) 2 X exp 2 ( 亠温 1 + が / 2 / 4 元 ( 」ェ川 ( ェ , 2 = [ 2 鼠」ェ ) 十 ( 4.61 ) である . この波束のェ座標の平均値くのと平均値からのゆらぎ ( ェ座標の不 確定さ ) 」ェ , 運動量の不確定さ」カを ( ェ , t) もスは ) も 1 に規格化されて いる場合 )