228 である . となり , 1 0 散 乱 /( の e したがって散乱振幅 / ( のは 1 2 ~ 2 旒に 0 ー 1)PI(cos の ( 10. 44 ) ( 10.45 ) によって表わされる . ( 10.45 ) 式の右辺を散乱振幅 / ( のの部分 波展開という . この式からポテンシャルの影響で軌道量子数 / の部分波の位 散乱の微分断面積と全断面積は 相が 2 だけ変化したことがわかる . = ゾ ( の尸 = ät = 2 応 1 ( 2 / 十 1 ル sin ölPl(cos の sin ノ日 ( 2 / 十 1 ) sin2 の 4 ( 10. 46 ) ( 10. 47 ) となる . ( 10. 47 ) 式を導く際に ( 5.28 ) 式を使った . 例題 10 ー 2 剛体球ポテンシャル 多項式になる . 軌道量子数 / の部分波までが散乱される場合 , 0 は c 。 s の 2 / 次の であることを確かめよ . 1 0 [sin2öo 十 6sin öosin ö、 cos (öo—öl) cos 日十 9 sin2ö、 cos20] 問 10 ー 1 / と 2 の部分波の位相のずれが 0 のときの散乱の微分断面積は / の小さな部分波しか散乱されない . 相のずれは小さい . また , 低エネルギーの粒子の散乱ではんが小さいので , 主として / < の部分波だと考えられる . したがって , / ~ んの部分波の位 子のカの中心への最近接距離はん / カ ~ / カ / 械 = 〃んなので , 散乱されるのは による粒子の速さの変化を無視すると , 古典力学では軌道角運動量んの粒 できるので , 力の到達距離がとみなせる場合を考えよう . ポテンシャル さて % →でレ ( わが急速に 0 に近づき , 4 < だではポテンシャルを無視
2 2 0 1 0 散 乱 sin / ( 仇 2 2 兀 ( 10.9 ) を散乱の全断面積 ( total cross-section) という . 断面積という理由は , の 20 は面積の次元をもち , 古典的には衝突する粒子の大きさ ( 断面積 ) を 表わす量だからである . い = 1 の場合 , すなわち , 入射粒子が入射方向 に垂直な面の単位面積を単位時間に 1 個の割合で一様に通過する場合 , ät は入射粒子が単位時間に散乱される確率を表わす . この場合に古典力学で は , 半径〃の剛体球による点状粒子の単位時間あたりの散乱確率は球の断 面積 2 なので , ( 10.9 ) 式のを全断面積とよぶのである . 10 ー 2 ポルン近似 漸近形 ( 10.6 ) をもつシュレーディンガー方程式 ( 10.2 ) の解″ ( r ) は , 積分方 程式 レ ( 均″ ( 心静 ' ( 10. 1 の exp(iklr—r'l) 2 襯 んツー r'l = ん ( 尸ー 2r ・ r ' 十 2 ) 1 / 2 んー・ r / わ = ん - ーん・ r ' となることを使 ( 10.10 ) 式の右辺の積分の中の r) を入射波 ezkz で近似して , 7- →で を計算する近似解法をポルン近似 ( Born approximation) という . すなわち , て , この積分方程式の解″ ( r ) をレのべき級数展開として求め , 散乱振幅 を満たすことがあとで証明される . ポテンシャルレ ( のの効果が小さいとし うと , ( 10. 10 ) 式は ″ ( r ) ー→ e → CE 2 が 7- ーれ←い " ' レ 0 つ静 ( 10. 11 ) となる . んとんは入射方向 ( 十方向 ) と散乱方向 ( r 方向 ) を向いた波数ベ クトルである ( ト = 矼んとんのなす角が散乱角日である . 右辺の 第 2 項のの係数が散乱振幅 / ( のなので , ( 10. 12 )
散 2 1 5 乱 原子の中心に原子核が存在する事実は , 金箔による住粒子の散乱実験によ って発見された . このように粒子を標的に衝突させたときにどのように散乱 されるかを調べることは , われわれに標的についての重要な情報をもたらし てくれる . 本章では標的のまわりのポテンシャルによる粒子の弾性散乱につ 粒子などに衝突させるという衝突実験が行なわれている . 荷電粒子を電場で加速して速度のそろったビームを作り , 原子 , 原子核 , 素 原子 , 原子核 , 素粒子などの構造や性質を調べるために , 電子や陽子などの 1 0 ー 1 散乱断面積 いて学ぶ . 対運動に分離される . 物理的に興味があるのは相対運動である . したがっ 8 ー 1 節で学んだように , 外力の作用しない 2 粒子系の運動は重心運動と相 非弾性衝突を示したが , 本章では弾性衝突のみを考える . 作用は無視できる場合を考える . 図 10 ー 1 , 10 ー 2 には新しい粒子の発生を伴う の粒子との衝突を考える . すなわち , ビームの中や標的の中の粒子間の相互 合も , 入射ビームの中の 1 個の粒子と標的あるいは第 2 のビームの中の 1 個 ( 図 10 ー 1 ) , 別の粒子ビームに衝突させる場合もある ( 図 10 ー 2 ). いずれの場 実験では入射ビームを静止している標的粒子に衝突させる場合もあるし
1 } 亨 ' ⅱ刪 第可視光・・十一一紫外線 6 3 2 Na ( A0 こ 42 1 Zn レ o(Na) レ 0(Zn) 0 12 10 8 6 レ ( 1014 Hz) 4 2 レ 0 ( W ) 図ト 3 単色光の振動数レ と阻止電圧協の関係 ことを示すので , Km = e 協の関係がある . 単色光の振動数レを変化させたり , 負極の金属の種類を変えたりして , レ これらの平行な直線の と e 協の関係を調べると , 図 1 ー 3 のようになった . 傾きをカとすると , 関係 , ( 1. 4 ) e 協 = カレーカレ 0 が得られた . この式と Km = e 協から ( 1.3 ) 式が得られ , 光子説の正しさが実 証された . 一般に , 電磁波によってエネルギー E が運ばれるときには , 同時に大き さがカ = E をの運動量も運ばれるので ( 。は真空中の光の速さ ) , 振動数レと 波長スの関係 c = 以を使うと , 光子の運動量〃は大きさがカ = hy/c = んな で , 光の進行方向を向いている . コンプトン散乱池の中の杭による水面波の散乱では , 入射波と散乱波の 波長は同じである . ところが , 1923 年にコンプトン (). H. Compton) は , 物質によって散乱された X 線には , 人射波と同じ波長スのもののほかに より長い波長えをもつものがあることを発見した ( 図 1 ー 4 ). このような散 乱をコンプトン散乱 (Compton scattering) という . 彼は , この現象を X 線 光子と電子の衝突として説明した . すなわち , 波長ス , 振動数レの入射 X 線 をエネルギー E = ル = ん翻 , 運動量カ = 力なをもつ光子の流れと考え , コン プトン散乱をこの光子と静止している質量襯 ( 静止エネルギー襯 c2 ) の電子 との弾性衝突と考えた . 相対論的に考えると , エネルギー保存則から ,
10 ー 2 ポルン近似 223 はポルン近似の結果 ( 10.21 ) と同じである *. クーロン散乱の微分断面積は量 子力学と古典力学で同一になる特殊な場合である . クーロン散乱の微分断面積 ( 10.21 ) は散乱角→ 0 で 1 ル 4 に比例して急激 に増加し , その結果 , 全断面積は無限大になる . この理由は , クローンカは 到達距離が無限大なので , 入射原子核が標的原子核の遠くを通過する場合に も , 散乱角はごくわずかではあるが , 散乱されるためである . しかし , 現実には , 電荷が存在すれば , その近傍に異符号の電荷が集まって中和する ので , 厳密なクーロン散乱は起こらない . 原子番号 / の中性原子と電子の散乱微分断面積を求めよう . 原点にある 原子核のまわりの電子の電荷分布を一 / 印 0- ) とする p ( の = 1 この場合の入射電子に対するポテンシャルは p(x つ レけ ) = 4 Eo 7- なので , ( 10. 12 ) 式に ( 10.23 ) 式を代入すると , 散乱振幅は 8 応 2E0 カ - れみ 1 ・ 〃 2 / e2 = なの [ 1 ー F ( K ) ] 8 応 2E0 が = 元 ( の一 となる [ 2 行目の最後の r 積分の静を ( r ー (') におきかえて , の = はクーロン・ポテンシャルー / e2 / 4 砿による散乱振幅である . 4 0 4 ん 2 が sin20/2 2 襯 F(K) = F 2 ん sin— 2 ーん・ r ( 10. 23 ) ( 10. 26 ) ( 10. 25 ) ( 10. 24 ) * ただし , 正確な散乱振幅は , 複雑な位相因子がかかる . ポルン近似の結果 ( 10.20 ) と絶対値は同一だが ,
1 ー 3 光の 2 重性 7 入射 X 線 図 1 ー 4 散乱 X 線の散乱角と 波長の分布 . 波長ス = 7.1 x 10 ー 1 1 m の入射 X 線のグラファ イトによる散乱 . 縦軸は散乱 X 線強度 = 45 。 = 90 。 電 光子 電子 E Pe 図ト 5 原子の中の電子によるコンプトン散乱 = 135 。 e= 〃ド C4 十〃 26 、 2 70 75 応 ( 10 ーに m) 80 十襯 c2 が導かれ ( 図 1 ー 5 ) , 運動量保存則から ん カ ス ス 十襯 2C4 十カ ec ( 1. 5 ) , cosg 十 PeCOSO ( 1.6 ) sin = pesin が導かれる . 角は光子の散乱角である . ( 1.6 ) の 2 つの式から sin20 + cos2 日 = 1 を使って電子の散乱角を消去すると ,
10 ー 1 散乱断面積 219 入射波の波動関数を平面波で近似したが , 入射ビームの幅は実際には有限 で , 散乱されずに直進する入射粒子は散乱粒子の検出装置には入らないよう になっている . したがって , ( 10.6 ) 式の人射波と散乱波の干渉項は考える必 要はない . 入射波 ( 10.4 ) の確率密度はい尸なので , 入射方向 ( + z 方向 ) に垂直な面 の単位面積を単位時間に通過する入射粒子数 ( 確率の流れの密度 ) は去 = い ( 個 / m2 ・ s ) である . 検出器が方位角 ( 仇のの方向にあり , 標的から見 た検出器の入口の立体角が」 0 , したがって入口の面積が尸」 0 の場合 ( 図 10 一 4 ) , 検出器に単位時間に入る散乱粒子数 Is(), のは , 散乱波 ( 10.5 ) の確 率密度がい鬥 / ( 仇い 2 ケ 2 なので , な伏の = い歳ゾ ( 仇 2 」 0 ( 個 / s ) であ る . ls とムの比 , / / ム = 」び , 」び ( の = ゾ ( 仇 2 」 0 あるいは を方位角 ( 日 , のの方向への散乱の微分断面積 ( d ⅲ erential cross-section) と いう . 0 = sin 日なので , / ( 仇の = / ( のの場合には ( 10.7 ) 式は , に = ゾ ( , い 2 ( 10. 7 ) ついて積分して , / / ( のなⅲ日 = 。 / ( の尸 となる . 全立体角への散乱の微分断面積の総和 ( 10. 8 ) 検出器 面積戸 sin 〃」〃」 4 図 1 0 ー 4 原点から見たときの検 出器の入口の立体角は」 0 = sin 日」」面積は尸」 0 = 尸 sin 日」〃」
224 10 散乱 は原子内部の電子の電荷分布による因子なので , 原子の形状因子という . こ のようにして , 原子と電子の弾性散乱の微分断面積の実験結果から形状因子 F ( K ) がわかると , F ( K ) から逆にフーリエ変換 ( 4.53 ) で , 原子の中の電子 の電荷分布がわかる . 高エネルギーの大角弾性散乱 ( K → ) では F ( K ) → 0 となるので ( 本章の 演習問題 2 参照 ) , 高エネルギーの電子と原子の弾性散乱は近似的に原子の ノア冫 ( , - ) 静 = 1 なの 中心にある原子核と電子の弾性散乱とみなせる . なお , で , F ( 0 ) = 1 である . したがって低エネルギーの電子の中性原子による散乱 の断面積は小さい . [ 参考 ] 積分方程式 ( 10.10 ) の証明 ( 10. 10 ) 式の解″ ( r ) が→で漸 近形 ( 10.6 ) をもっことは ( 10. 11 ) 式から明らかであろう . 原点にある点電荷 ( 電荷密度はö( r ー (')) のつくるスカラー・ポテンシャ ル r ) = 1 / 4 0 ツー r'l はボアッソン方程式▽ 2 r ) = ー p ( r ) た 0 , すなわち , 1 ▽ 2 4 0 ツー ( ▽ 2 + ん 2 ) を満たすことを利用すると , 1 —ö(r—r 法ツー ー 4 ( r 一心 を証明できる . 演算子▽ 2 十ん 2 を ( 10. 10 ) 式の両辺に作用し , うと , 偏微分方程式 ( ▽ 2 + ん 2 ) ″国 = 2 襯 ( 10. 27 ) ( 10. 28 ) ( 10.28 ) 式を使 ( 10. 29 ) が得られるが , これはシュレーディンガー方程式 ( 10.2 ) である . 積分方程式 ( 10.10 ) を使う代わりに , 9 ー 4 節で導いた摂動論での単位時間 あたりの遷移確率の公式 ( 9. 86 ) - - p(E)IH612 ( 10.30 ) を使っても , 散乱振幅の絶対値硎のポルン近似での結果を次のように
1 0 ー 2 ポルン近似 2 2 1 2 ↑ 入射方向 散乱方向 図 1 0 ー 5 K = ん一ん 波数ベクトルの変化ん一んを となる . K = 2 ん sin K = ん一ん とおいて ( 図 10-5 ) , K の方向を球座標の軸に選んで積分すると , sin 〃 d 〃 sinKr レけレみ これがポルン近似での散乱振幅である . が得られる . (1) 湯川ポテンシャル 例題 10 ー 1 の = ー協 e による散乱の微分断面積と全断面積をポルン近似で求めよ . ロン・ポテン ( 2 ) 湯川ポテンシャルの場合の″→ 0 の極限として , クー シャノレ ( 10. 13 ) 2 兀 2 応が 0 ー ~ K7 、 COS 0 0 ( 10. 14 ) ( 10. 15 ) レけ ) = 4 応ど 0 による 2 つの原子核 ( 電荷左 , みののクーロン散乱の散乱振幅と微分断面積 を求めよ . ( 10. 15 ) 式を ( 10.14 ) 式に代入し , K = 2 ん sin(0/2) を使うと ( 10. 16 )
途中で積分変数を日から肥 = c 。 s に変えた . ( 10.18 ) 式で % / 〃を一 / / ' e2 / 4 0 に変え , 〃→ 0 の極限をとればよい . す ②クーロン散乱のボルン近似での散乱振幅と微分断面積は ( 10.17 ) , なわち , 2 2 2 ( 10. 21 ) 式でカん = 襯びとおくと , 2 / が 0 2 襯協 が 0 10 散乱 2 襯協 e ー sin K だの・ 2 襯協 〃 2 十 4 ん 2 sin 2 襯 % 2 ( 10. 17 ) = ゾ ( の尸 2 襯協 2 〃 2 十 4 ん 2 sin ( 10. 18 ) 2 兀 0 ) + 2 が ( 1 ー。 ~ のに sin 日日 2 襯協 2 1 2 襯協 2 0 0 2 ( 10. 19 ) / ( の 2 川 / / 4 Eo カ 2 襯 / / ' e2 2 4 Eo が 1 4 ん 2sin2 の 2 1 16 が sin40/2 0 / / ′ e2 2 4 cosec 4 〃 22 4 2 1 ( 10. 20 ) ( 10. 21 ) ( 10. 22 ) となる . この式は 1911 年にラザフォード (). Rutherford) が , 金原子核 ( / = 79 ) による住粒子 ( / ' = 2 ) の散乱実験結果を分析するために , 古典力学を使 って導いた式と同一なので , ラサフォードの散乱公式という . ラザフォード は , 角分布の実験結果がこの公式とよく一致したので , 金原子の中心に正電 荷左をもつ小さな原子核があるという有核原子模型を提唱した . クーロン散乱の量子力学での微分断面積は正確に求められるが , その結果