次 / 角運動量 7 ー 1 スピン 143 ー 2 電子のスピン角運動量演算子 S と固有関数 目 14 ラ 7 7 7 7 7 た 3 スピンの回転巧。 ー 4 磁場の中の電子 ( 2 ) ー 5 角運動量演算子の交換関係巧 6 ー 6 角運動量演算子の表現行列と固有値 1 5 2 第 7 章演習問題 168 -8 スピン一軌道相互作用 167 7 ー 7 角運動量の合成 163 巧 8 8 多粒子系 8 ー 1 多粒子系のシュレーディンガー方程式と波動関数 8 ー 2 同種粒子 177 8 ー 3 独立粒子近似 第 8 章演習問題 187 9 近似解法 191 9 ー 4 時間に依存する摂動 2 。 3 9 ー 3 時間に依存しない摂動 195 9 ー 2 摂動論 193 9 ー 1 代数的方法と 2 準位近似 9 巧変分法 2 。 9 第 9 章演習問題 2 1 1 10 散乱 10 ー 1 散乱断面積ラ 10 ー 2 ボルン近似 2 2 0 10 ー 3 部分波展開と位相のずれ 第 10 章演習問題 X111 ・ 143 ・ 173 ・ 2 巧 ・ 191 173 226
( 2.52 ) 式のように , ある関数に演算子を作用させたものが , その関数の定 数倍になれば , その関数をその演算子の固有関数 ( eigen function), 定数を 固有値 (eigen value) といい , このような方程式を固有値方程式という *. し たがって , 関数 e 掫は微分演算子ルの固有関数で , 固有値はカである . 固有関数に対応する状態を固有状態 ( eigen state) という . ルを運動量のェ成分の演算子 ( 叩 erat 。 r ) という . ルと同じようにル , ルを定義して , 2 シュレーディンガ 34 E = 力の øxe ~ 々工 / カ 一方程式 ゆ工 / た / 々工 / = Pe ( 2. 52 ) をまとめて運動量演算子 (momentum operator) という . 波動関数 ( 2. 55 ) ( 2. 53 ) ( 2. 54 ) は固有値方程式 ル = カエ / , 氿 = カ , ル = ル を満たすので , 波動関数 ( 2.54 ) は運動量演算子万 = ( ル , ルル ) の固有値 = ( カエ , 九 , ル ) の固有関数である . 波数んと角振動数の波数んと角振動数のを カ カ 2 ゆ カ 2 カ = カん E 2 応 E と定義すると , 波動関数 ( 2.44 ) は カ カ 2 レ , ( 2. 56 ) ( 2.58 ) ( 2. 57 ) と簡単になる . ん = 2 なは , 「単位長さあたりの波の数」の 2 応倍なので , 波 こでは演算子とは関数を ( 一般には ) 別の関数に変える操作を行なうものを 意味する .
2 3 シュレーディンガー 方程式 波動の従う運動方程式が波動方程式である . 波動関数の従う運動方程式がシ ュレーディンガー方程式である . 本章では量子力学の基本方程式であるシュ レーディンガー方程式を紹介し , その性質を簡単に調べてみることにする . 2 ー 1 弦を伝わる横波の波動方程式 波動関数 r, t) の運動方程式であるシュレーディンガー方程式を学ぶ前 に , 弦を伝わる横波の波動方程式を理論的に導き , その解を求めよう . ェ軸に沿って張カ S で張ってある線密度 p の弦を平面内で振動させ る ( 図 2 ー 1 ) . この弦の 2 点工とェ十」ェの間の長さ」ェ , 質量 p 」ェの微小部 分に対する運動方程式を導こう . 弦の変位が小さいときには弦の各点の振動 方向は軸に平行なので , 時刻での点の弦の変位は〆ェ , / ) と表わされ 工 工 ェ = 0 工 . r 十」ェ 図 2 ー 1 弦の変位
146 7 角運動量 古典力学では拡がりのない物体は自転の角運動量をもてない . したがって , スピン角運動量演算子を , 古典力学に現われる物理量の演算子戸 , 万な どでは表わせない . すなわち , 古典力学との類推は理解の助けになるが , 類 推はそこまでである . 量子力学では , スピン角運動量演算子は , 7 ー 5 節で導く , 軌道角運動 量んの従う交換関係と同型の交換関係 [ ま ] = ま , [ 立ま ] = S に従う演算子であると要請する . 電子のスピン角運動量演算子を理解するには , 電子のスピンの状態を 表わす波動関数の表わし方およびこの波動関数へのの作用の仕方を理解 する必要がある . さて , 演算子 S の作用する対象の波動関数とその変数はどのようなもの であろうか . 波動関数 / ( ェ ) の変数ェは位置演算子テの固有値が分布する 実数全体を変域とする事実を思い出そう . まの固有値はカ / 2 とーカ / 2 の 2 つしかないので , 新しい変数として , 1 / 2 と一 1 / 2 の 2 つの値しかとら ない変数びを選べばよいことがわかる . 本書では変数としてのびをスピン 座標 , ま / 力の固有値としての 0 をスピン量子数とよぶことにする . そこで , スピン自由度に対応する波動関数を″ ( のと書く . 4 ( のは 0 = 1 / 2 での値 4 ( 1 / 2 ) とび = ー 1 / 2 での値 4 ( ー 1 / 2 ) を与えれば決まる . を ( 1 / 2 ) 尸はスピン上向きの電子を発見する確率で , を ( ー 1 / 2 ) 2 はスピン下 向きの電子を発見する確率である . したがって , スピン波動関数″ ( のの規 = Sz ( 7. 1 ) 格化条件は 当″ ( 列 2 = を ( 1 / 2 ) 尸 + を ( ー 1 / 2 ) 尸 である . スピン波動関数″ ( のにまを作用すると s ( の = び ( の となるは ( ェ , t) = ェ ( ェ , t) と対比せよ ). 演算子まの固有値がカ / 2 の規格化された固有関数住 ( の ( 7. 2 ) ( 7. 3 )
7 角運動量 スピン上向きと下向きの状態のエネルギーの差〃召ー ( ー″召 ) = 2 〃召に等し い . そこで , 外部から電磁波を送れば , その振動数レが歳差運動の振動数 に一致したときにエネルギーの強い吸収が起こり , 電子のスピンの向きが変 わる . この現象を磁気共鳴吸収という . シュレーディンガー方程式 ( 7.45 ) にはスピンに関係しない部分は省略して ある . 7 ー 8 節に紹介するスピン一軌道相互作用が無視できる場合には , 波動 関数のスピン部分と空間部分が変数分離している解があり , その場合のエネ ルギー固有値はハミルトン演算子の空間部分の固有値 ( 例えば ( 5.108 ) 式 ) と 圧の固有値士〃召の和である . 7 ー 5 角運動量演算子の交換関係 6 ー 5 節で導いた戸との交換関係 ( 6. 44 ) 他のすべてのテ , ゑ , ル , ル , ルの交換関係は 0 を使い , 交換するものは自由に交換させると , え , とは = 朝ルーゑ氿 )( ゑル - テル ) ー ( ゑルーテル ) ( ツルーゑル ) ( 7. 54 ) = 沢ル , 司ル + 虱ゑ , 屬ル = はルーツル ) ーツゑルル + をツ + ゑルルーテルゑル ルゑルーテッ一ゑ 2 ルル十テゑルル すなわち , ん工となの交換関係 が導かれる . が導かれる . = ん = んェ = ん y べクトル積の記号を使うと , 3 つの交換関係 ( 7.55 ) を 同様に ん x ん = ん ( 7. 55a ) ( 7. 55b ) ( 7. 55C ) ( 7. 56 )
140 6 物理量と期待値 すなわち時間的に一定であることを示せ . これが量子力学における保存則であ る . 6. ( 一様な磁場の中の荷電粒子の運動 ) 古典物理学では , 一様な磁場お = ( 0 , 0 , B ) の中の質量襯 , 電荷ー e の荷電粒子の運動は , 2 方向の等速直線運動と 面上でのサイクロトロン振動数の c = e 召 / 襯での等速円運動の重ね合わせであ る . 量子力学ではどうなるだろうか . ス = ( 0 , おェ , の , 広 = ル , 鵬 = ル十 e 召テ とおくと , 5 ー 7 節で示したハミルトン演算子は 2 襯 1 となる . となる . を導け . X=(1/eB)Iiy を定義すると 1 2 襯 ' 2 襯 〃十一一襯磋 X2 十 これを調和振動子の場合と比較してエネルギー固有値 E = カ〃十 - ー十 2 襯 ( 〃 = 0 , 1 , 2 , ・・ ; んは実数 ) 右辺の第 1 項をランダウ準位という . この準位を解析的に求めるには , ( 5. 101 ) 式で = 0 とおき , 円柱座標 (), を使え ( ェ = p cos 仏 4 = psin の .
2 ー 4 電子の 2 重性と波動方程式 数 (wave number) という . 運動量 = ( カエ , 九 , ル ) に対応して波数ベクトル ん = ( ん , = ル / カ , = 九 / カ , ん = ル / のを定義できる . 位相速度と群速度波動関数 ( 2.44 ) が表わす波の位相が一定 , すなわち 加一療 = 一定という条件から , 電子波の等位相面は速さ E かで十ェ方向に 伝わることがわかる . この速さ vp を位相速度 (phasevelocity) という . 位相 速度は 第 2 襯 2 なので , 古典力学での電子の速さとは一致しない . この不一致の原因は , 波動関数 ( 2.44 ) に対応する電子の確率密度は空間的 ( 2. 59 ) にも時間的にも一定な定数 , ェ , 畊 = いド ( 2.60 ) であり , 物質の塊が運動しているという電子の粒子像に対応しないからであ る . 電子ビームの長さは有限なので , 現実の電子波は無限に長い波ではなく , 波長に比べればはるかに長いが , 長さが有限な波である . 長さが有限な波を 波束 (wave packet) という . 波束の具体例を 4 ー 5 節に示す . 簡単のために ' ' では異なる波数と振動数をもっ 2 つの波動関数 ⑦の = がん 2 / 2 襯 ) は ( の + 」の ) = がは + 」ん ) 2 / 2 同 を重ね合わせて作った波動関数 = 物十を考える . は , 02 = 2 い日 1 + cos [ ( 」ん ) ェー ( 」の川 } ( 2. 62 ) ( 2. 63 ) ( 2. 61 ) となり , この波動関数は無限に長い波を表わすので , 波束ではない . しか し , 図 2 ー 5 に示されているように , この / は長さが 2 ( 」ん ) の波の塊のつ ながりである . この波の塊は速さ = 」の図んで運動する . 一般に , 長さが」の波束は , 波数んがん 0 ( = カ 0 / のの近傍の幅が」ん 1 / 」ェ , すなわち」カ = 力」ん力 / 」ェ , の範囲の多くの波を重ね合わせて作られ
259 94 ア行 アインシュタイン 5 アハラノフ - ポーム効果 昇降ーー 生成ーーー 索 213 引 〕基ノこ、ポテンシャノレ 力行 位相速度 位相のずれ 位置演算子 1 次演算子 1 次独立 35 227 37 127 126 井戸型ポテンシャル 47 階段型ポテンシャル 角運動量 143 角運動量の合成 163 角振動数 34 確率振幅 12 , 136 確率の流れの密度 66 , 138 確率の保存 126 67 3 次元の 無限に深い 108 44 確率密度 ガーマー 11 , 66 , 138 12 EPR のパラドックス 242 運動量演算子 34 永年方程式 200 江崎玲於奈 76 , 89 工ノレミ 工ノレミ 工ノレミ 演算子 位置ーー 運動量 軌道角運動量 工ノレミ 消滅 エネルギー準位 127 37 34 , 119 ート多項式 ート共役 ート演算子 16 124 124 59 98 124 完全系 28 完全性条件 130 規格化条件 28 , 38 , 39 球調和関数 114 球座標 91 軌道量子数 99 軌道確率密度 107 軌道角運動量演算子 基底状態 17 , 46 基底 128 期待値 122 基準振動 27 98 34 球ノイマン関数 159 , 169 136 , 234 スピン角運動量 136 , 234 / 、ミノレトン 両立する 145 37 132 球ハンケル関数 球べッセル関数 球面調和関数 行列力学 42 偶然縮退 105 クレー ッヒーベニ 109 110 109 95 ・ポテンシャノレ
1 ー 3 光の 2 重性 3 原子の不安定性の困難困難はそれだけではない . 電磁気学によれば , 水 素原子の中で荷電粒子である電子が回転数レの回転運動を行なうと , 振動 数レの電磁波が放射される . 水素原子は電磁波を放射するとエネルギーを 失うのでエネルギーが減少し , 電子の軌道半径は小さくなり , 最後には電子 と陽子は 1 点になる . つまり , 力学と電磁気学などから構成されている古典 物理学 ( 古典論 ) では , 大きさのある水素原子がなぜ安定に存在できるのかを 説明できない . 古典論を電子や光に適用できないことは , 電子や光が波動の性質と粒子の 性質の 2 重性を示すことからも明らかである . 1 ー 3 光の 2 重性 ニュートンカ学に従う粒子とは , 決まった質量をもつ小物体である . 2 つの 通り道があれば , 1 つの粒子はどちらか一方だけを通る . 粒子の運動は各時 刻での粒子の位置 ( 軌跡 ) によって記述される . これに対して , 波は媒質の中 での振動の伝搬であり , 広い領域に拡がって起こる現象である . 2 つの通り 道があれば , 波は両方を通り , あとで合流するときに干渉効果を起こす . 波 を記述するには , 各時刻での媒質のすべての点の振幅と位相を指定する必要 がある . 古典物理学では波動性と粒子性とは両立しない . 電灯の光をコンパクト・ディスクの面で反射させると虹色に見える . この 現象は , 光が波であり , いろいろな所で反射された光の波が干渉して強め合 う角度が光の波長によって違うためだとして説明される . すなわち , 光は波 動性を示す . しかし , 波長の短い可視光や紫外線を金属にあてると電子が飛び出す光電 効果 , 物質によって散乱された X 線の中にはその波長が入射 X 線の波長よ り長い方に変わったものが含まれているコンプトン散乱などの現象では , 以 下に示すように , 光 ( 一般に電磁波 ) は粒子的な性質を示すことが知られてい る . すなわち , 振動数レ , 波長スの光線は , エネルギー E と運動量が
180 8 多粒子系 ″。 ( n , rD は相対座標 r = rl ー r2 だけの関数である . 相対座標を球座標け , 仇ので表わすと , 相対運動の軌道角運動量演算子の固有関数は (s=0) と表わされる . 2 電子を交換すると , , , のは , 応 - 日 , 十になるが , ) 篇は一仇 p 十兀 ) = ( ー以襯 ( 仇のなので ( ( 5.37 ) 式参照 ) , スピン 3 重項 ( s = 1 ) の場合 には許される / の値は奇数 1 , 3 , 5 , ・・・で , スピン 1 重項の場合には許される / の値は偶数 0 , 2 , 4 , ・・・である . 複合粒子のスピン複数の粒子から構成された複合系 ( 複合粒子 ) の構成粒 子の相対運動の軌道角運動量と , 構成粒子のスピン角運動量を合成した全角 運動量量子数ノ ( 全角運動量の大きさの 1 倍 ) を複合粒子のスピンという . 偶数個のフェルミ粒子の複合系 ( 複合粒子 ) のスピンは整数で , 奇数個のフェ ルミ粒子の複合系のスピンは半奇数である . この事実は全角運動量の z 成 分の可能な値を調べることで確かめられる . ヘリウム原子 {He は 6 個のフェルミ粒子から構成されている . 整数スピ ンをもっヘリウム原子田 e2 個の全座標の交換で , 複合系の波動関数は不変 である ( フェルミ粒子の座標の 6 回の交換での符号の変化は ( ー 1 ) 6 = 個のフェルミ粒子から構成されているので半奇数スピンをもつヘリウム原子 羽 e2 個の全座標の交換で , 複合系の波動関数に負符号がかかる ( フェルミ 粒子の座標の 5 回の交換での符号の変化は ( ー 1 ) 5 = 一般に整数スピンの複合粒子はボース粒子で , 半奇数スピンの複合粒子は フェルミ粒子である . 複合粒子の状態を指定する座標は , 重心座標および主 量子数〃 , スピン入そのえ成分〃 % 等の量子数である . He 原子はボース粒子である . He 原子核のスピンも基底状態の He 原 子のスピンも 0 なので , 基底状態の 3He 原子 2 個の相対運動の軌道量子数 / の許される値は / = 0 , 2 , 4 , ・・・であることが , 2 原子の交換で波動関数が ( ー以倍になる事実から導かれる . ( 8.30 )