透過率 - みる会図書館


検索対象: 量子力学
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1. 量子力学

1 次元問題 2 一一一反射と透過 まず , 古典力学ではカの作用を受けずにェ軸に沿って等速直線運動する場 4 ー 1 1 次元の自由運動 る . 本章ではこのようなことを学ぶ . 古典力学では通過できないポテンシャルの高い土手を電子が透過したりす 考える . ポテンシャルに段差や凹凸があるとそこで電子の反射がおこるし , くともどちらか一方よりも大きいので , 電子が無限遠まで運動できる場合を 電子のエネルギーが , 無限遠での位置エネルギー ) とレ ( ー ) の少な 合を考える . この場合の位置エネルギーレは ) は一定 , レは ) = 協 ( 定数 ) である ( % = 0 である必要はない ). ( 4. 1 ) 量子力学では , エネルギーが E ( 行の固有状態で固有値が E ) の電子の波 動関数は , 時間に依存する因子までを含めて , は , t) = 4 はル と表わ されるが , 波動関数の空間部分″ ( ェ ) は時間に依存しないシュレーディンガ 一方程式 が卍″ 2 襯 r2 に従う . 電子の運動エネルギーを 十協″ = Eu ( 4.2 )

2. 量子力学

4 1 次元問題 2 ーーー反射と透過 襯垢〃 2 / カ 2 = 1 襯協〃 2 / カ 2 = 0.1 0.5 0 0 襯レ紐 2 / が = 10 1 2 3 4 E/ 協 5 6 7 8 図 4 ー 5 ポテンシャル障壁の透過率 T ( 協〃 2 襯 / が = 0.1 , 1 , 10 の場合 ). トン ネル効果は協〃 2 襯 / がが小さいほど大きい . 協〃 2 川 / がが一定ならば , T は E / 協のみの関数である . E % の場合には T [ 1 + ( % 〃 2 襯 / 2 が ) に 翹 = [ 2 襯 ( 協ー E ) ] 1 / 2 〃 / カ》 1 の場合には , 透過率 T は , 16E ( Vo—E) 2 旗協ー E ) 協 2 である ( exp = ). [ 参考 ] 一般のポテンシャル障壁の透過率位置エネルギーの形が図 4 ー 6 のような場合のトンネル効果による透過率を正確に求めることは難しい . さ て , 紐》 1 の場合の角型の土手の透過率 ( 4.34 ) の精度の粗い近似式として T の 2 が有用である . 一般のポテンシャルの場合 , 〃協ー E に対応する ものは / v(x)—E なので , 透過率 T の精度の粗い近似式として , ( 4. 35 ) T exp が得られる . 'T 《 1 の場合の近似式である . 例題 4 ー 1 トンネル効果の透過率は土手の高さ協を減らしたり , 厚さ〃 を薄くすると急激に増加する . エネルギー E = 10 eV の電子が , 高さ協 = ( 》 1 ) ( 4. 34 )

3. 量子力学

4 ー 2 階段型ポテンシャルによる反射と透過 ″ ( ェ ) = Ce ・冖十〃 e 2 旗 E ー協 ) / カ が である . 右辺の第 1 項は十ェ方向に進む透過波を表わす . 第 2 項は原点に 向って左向きに進む波なので , 右側からの入射波を表わし , この場合には存 在しない波である . したがって , 2 襯 ( E ー % ) / カ が 境界のェ = 0 で境界条件を ( 4. 13 ) と ( 4. 14 ) に課すと が連続 : 十召 = C 面 / 市が連続 : ん ( ー召 ) = ん℃ という条件が得られる . 召と C を未知数として解くと , 召ん一が C 2 ん ん十ん ' ' 一ん十が が得られる . ( 0 ミエ ) ( 4. 14 ) ( 4. 15a ) ( 4. 15b ) ( 4. 16 ) 反射波の確率の流れの密度⑦ん / 〃川川 2 と人射波の確率の流れの密度 ⑦ん / 〃川川 2 の比 ( 4. 17 ) ( 力が / 川 ) ℃尸とェ < 0 での入射波の確率の流れの密度⑦ん / 襯 ) い尸の比から , ェ = 0 にある階段の透過率 T は , ェ > 0 での透過波の確率の流れの密度 = 0 の古典力学とは異なることに注意 ) . が , 階段型ポテンシャルのェ = 0 にある階段による電子の反射率である ( が C 2 4 んが ん員一は + が ) 2 ( 4. 18 ) であることがわかる . 反射率 R と透過率 T は R 十 T = 1 という確率の保存 を表わす式を満たす . 古典力学では T=I, = 0 であるが , 量子力学では ( 4.18 ) 式が示すように透過率 T は 1 より小さく , E →の極限 ( が / ん→ 1 ) 界ェ = 0 で反射か透過のどちらかを確率と T で行ない , 1 個の電子の一 であるように見えるが , 実際に電子を検出しようとすると , 個々の電子は境 この電子の反射・透過現象は媒質の境界での音波の反射・透過現象と同じ で T = 1 , R = 0 になる .

4. 量子力学

反射と透過 4 1 次元問題 2 72 透過光 ガラス 反射光 反射光 入 射 射 ガラス光 ガラス光 図 4 ー 4 光のトンネル効果 ラスの中へ透過していくのである ( 図 4 ー 4 ( b ) ). それでは , 土手型ポテンシャルの場合の電子の運動をエネルギー E の値 によって 2 つの場合に分けて考えてみよう . (a) 0 < E < 協の場合 . トンネル効果による透過率 T を計算する . がん 2 2 襯 2 襯 ' ーディンガー方程式は とおくと , シュレ ーん 2 ″ Eu ( 4. 25 ) 2 襯 ( 4. 26a ) ( ェ < 0 , < ェ ) d ェ 2 2 襯 ( 0 ミエの ( 4. 26b ) 2 ( 協ー E ) ″ = ん 2 ″ となる . ェ < 0 では右向きの入射波と左向きの反射波 , 〃くエでは右向きの透 過波のみが存在するので , ( 4.26 ) 式の解は次のようになる . ( ェ < の ( 4. 27a ) ( ェ ) = 員 e ・れ十召 e ・れ ( 4. 27b ) ( 0 の ″は ) = 〃 e " 工十 F の ( 4. 27C ) 境界のェ = 0 とェ = 〃で ( ェ ) と面 / 市が連続だという境界条件から導か れる次の 4 つの式 十召 = D 十 F , 旒 ( 員一召 ) = ん ( D ー F ) ん ( ル紐ー Fe ーっ = ikCetka Ce DeKa 十 Fe を解くと , 入射波 , 反射波 , 透過波の振幅ス , 召 , C の関係 , ( 4. 28 )

5. 量子力学

4-3 トンネル効果 75 レは ) 2 図 4 ー 6 一般的なポテンシャル障壁 30eV で , 厚さが ( 1 ) 1.0nm , ( 2 ) 0.10 nm のポテンシャルの土手を透過す るときの透過率 T を , 正確な式 ( 4.30 ) および近似式 T 2 紐の両方を使 って計算せよ . [ 解 ] 協ー E = 20eVX ( 1.6X10 ー 19J / eV ) = 3.2X10-18J ( 1 ) = 1. Onm = 1.0X10 ー 9m のとき 2 旗協ー E ) 〃 2 9.11X10 ー lkg 3.2X10 ー 18J ( 1.05X10 ー 3 4J ・ s ) 2 T = 3.7X10 ー 20 , T e 2 ( 2 ) = 0.10nm のとき翹 = 2.3 , T = 3.5 x 10 ー 2 , T e 2 = 1.0 >< 10 2 なお , 位置エネルギーが図 4 ー 7 の場合の反射率と透過率は , ( 4.33 ) 式で が = [ 2 襯 ( E 十協 ) ] 1 / 2 / 力とし , % を - 協で置き換えたものであることが 2 つの場合のシュレーディンガー方程式を比較することによってわかる . いェ ) 1 ア ん〃 xl. 0X10 ー 9m = 23 = 1.1X10 20 ー 46 e 一 4.6 e 0 井戸型ポテンシャル 図 4 ー /

6. 量子力学

4 ー 3 トンネル効果 は 2 + ん 2 ) ( e お 員 は + 浦 2e 4 旒ん e 。 員 は + / ん ) 2 が得られる . ( 4.29 ) 式から反射率と透過率 T は 4 ん 2 ん 2 1 十 は 2 + ん 2 ) 2 sinh2 ん〃 は 2 十ん 2 ) 2 sinh%ca 1 十 4 々 2 ん 2 と求められる . ( 4. 29a ) ( 4. 29b ) 4(Vo—E)E ー 1 協 2 sinh2Ka 協 2 sinh2/ca 4E(Vo—E) ( 4.30 ) ( 4. 31 ) Sinh ん〃 2 である . (b) E > 協の場合 . この場合 , 領域 0 エでの波動関数は ″ ( ェ ) = D ' e ・々 ' 工十 F ・ e 2 旗 E ー協 ) / カ が なので , 反射率 , 透過率は ( 4.3 の式のを泥で置き換え , ーん 0 Sinh ん に置き換わることに注意すれば , 次のように求められる . 協 2 sin2k'a 協 2sin2 が 電子の透過率 T をエネルギーの関数として図 4 - 5 に示す ( 襯協が / が = 0.1 , 1 , 10 の場合を示す ). E > 協の場合には , 古典力学では , 物体はポテンシャルの土手を乗り越 えて必ず〃くエの領域に進み , 反射は起こらない . 量子力学では , ( 4. 33 ) 式 からわかるように , sin が〃 = 0 のとき以外は反射率 R 半 0 である . E < 協の場合がトンネル効果を表わす . 電子のエネルギー E が小さくて ( 4. 32 ) / Sin ん′ が 2 2 ( 4.33 )

7. 量子力学

70 4 1 次元問題 2 - ーー反射と透過 部が反射され , 残りの部分が透過するという現象は決して検出されない . 十ェ軸に沿って原点に向って左向きに入射波 e ー工が進むとき , 図 4 ー 2 のポテンシャルのェ = 0 の階段での反射率 R , 透過率 T を計算すると 4 んが は + が ) 2 ( 4. 19 ) となり , 原点に向って右向きに入射する場合と同じ結果が得られる . [ 注意 ] 電子の確率密度はツ ( ェ ) 尸なので , 上でい工 + 召 e ー ' 2 の干渉 項ス * 召 e 一蹴工十ス召 * e2 を考えずに , ー尸と一 B 尸のみを考えることに疑 問を感じる読者がいると思う . 実際の実験での入射波と反射波は ( 波長に比 べればはるかに長いが ) 長さが有限な波束なので , 境界点で反射が起こって いる時以外には入射波と反射波の干渉は起こらず , 干渉項は無視できる . (b) E< 協の場合 . 古典力学では , 電子は E < レ ( ェ ) の領域には侵入で きないが , 量子力学では少しは侵入できる . 協ー E = がん 2 / 2 襯 ( ん > のとお くと , 方程式 ( 4. 12b ) は ( 0 の ( 4. 20 ) となる . となる . となる . この方程式の , ェ→では ) → 0 という条件を満たす解は ( 0 エ ) である . 境界のェ = 0 で ( 4. 13 ) , ( 4.21 ) に境界条件を課すと , なが連続 : ス十 B = C / が連続 : 旒い一 B ) = ーん C ( 4.22 ) 式を解くと 召々ー / ん C ん十 / ん ' ん十 / ん 2 々 ( 4. 21 ) ( 4. 22b ) ( 4. 22a ) ( 4. 23 ) 古典力学では侵入不可能な 0 < ェの領域にも電子は少しは侵入でき るが , ェ→でツ ( ェ ) 2 = ℃を一 2 れ→ 0 なので急激に減少する . 当然のこと ながら反射率 R = 田い尸 = 1 となる . ただし , 反射の際に反射波と入射波の 位相にずれが生じる . 協 > E の > 0 の領域で実際にツは ) ド半 0 であるこ とは , 次節で学ぶトンネル効果の検証で確かめられる .

8. 量子力学

第 4 章 演習問題 ( ⅱ ) このビームが距離 = 4cm 進むとき , 」スによる位相の変化はいくらか . 高さが 10eV で幅が 0.50nm の土手型ポテンシャルに電子が入射する . 透過 率 T = 1.0 % の場合の電子のエネルギーはいくらか . T の 2 を使え . 3. ( i ) 図 4 ー 3 と図 4 ー 7 のポテンシャルの場合 , 反射率 R = 0 になるのは , sin が〃 = 0 すなわちん ' 〃 = 〃 ( 〃は整数 ) なので , ポテンシャルの山または谷の 幅が半波長の整数倍のときである . R = 0 になる電子のエネルギー E の値を求 めよ . このような E の値のときに電子が反射しない現象をラムサウワー効果と しゝう . ( ⅱ ) 図 4 ー 3 と図 4 ー 7 のポテンシャルで R = 0 の場合の波動関数の実部と虚 部を各 1 例ずっ図示せよ ( 人射波の振幅 = 1 とせよ ). 図 4 - 3 と図 4 ー 7 の場合 の波動関数の定性的な差を述べよ . 4. 図 4 ー 8 (b) の場合 , エネルギー E = ーの電子の透過率 T を ( 4.35 ) 式を使 って推定せよ . 嬲 = 4.5eV , 電場の強さ EO = 5X109V / m のときの透過率はい くらか . 伝導電子の平均密度を 1029m ー 3 , 平均の速さを 106m / s とすると , 金 属表面の 10-8m2 から 1 秒間に約何個の電子が飛び出すか . 5. 図 (a) に示す距離 / = 〃 + わの平行移動での不変性をもつポテンシャル ( クレ 2. ッヒーベニ ・ポテンシャノレ ) 協〃 ( 〃十の一〃ミエミ〃 ( 4 十の レな ) 〃 ( 〃十の < ェ < 〃 ( 〃十の十わ の中の電子の波動関数は , 位相因子び橇を除いて周期的であるという条件 ( 〃は整数 ) を満たす解の 1 次結合で表わせる . E > 協のとき , K は条件 4 は + / ) = 硬切 ( ェ ) (K は実数 ) は = cos KI 2 襯 E / 広が = は 2 + に ) sin が〃 sin 勀三の (E) cos が〃 cos 舳 - 2 ′ 2 川 ( E ー協 ) / のを満たさねばならないことを示せ . 0 < E

9. 量子力学

4 1 次元問題 2 反射と透過 レは ) E → 0 いェ ) 0 図 4 ー 8 ( a ) 電場お = 0 の場合 . ( b ) 電場 E 半 0 の場合 トンネル効果を実験的に示すには , 冷たい金属の表面に垂直に強い電場を かければよい . 電場のおよばす電気力のために , 電子の位置エネルギーは図 4 ー 8 (b) のようになる . 電場を強くすると , 金属表面での位置エネルギーの 壁は薄くなり , トンネル効果が起こる . 強い電場をかけると , 冷たい金属の 表面から電子が放射される現象は 1922 年に観測されていたが , 量子力学の 誕生によって 1928 年にトンネル効果として説明された ( この場合の電子の透 過率については本章の演習問題 4 参照 ). この現象は電子顕微鏡などの電子 ビーム源などに利用されている ( 例えば , 図 1-7 の実験の電子ビーム源 ) . 2 つの導体あるいは半導体の間に薄い絶縁体を障壁として挟んでサンドイ ッチを作れば , 電子のトンネル効果が現われる . 1958 年にごく薄い絶縁体 ( 実際には半導体 ) を p 型半導体と n 型半導体の間に挟んだ素子にトンネル 効果が現われることを江崎玲於奈が発見した . この素子をトンネルダイオー ドあるいはエサキダイオードという . 障壁の透過率はダイオードに加える電 圧で変化する . 走査型トンネル電子顕微鏡 STM 1980 年代に開発された走査型トンネル 電子顕微鏡 (scanning tunneling electron microscope ; STM) はトンネル効 果を利用した電子顕微鏡である ( 図 4 ー 9 ) . 先端の幅が 1 原子 ( あるいは数原 子 ) 程度しかない微小な探り針 ( プロープ ) を試料の表面に沿って ( 電子ビーム がテレビのプラウン管の画面上を走査するように ) 動かす . 走査中は探り針 の位置が試料の上の約 lnm という超至近距離にあるように保っ . 試料と探 り針の間 ( ギャップ ) に小電圧を加えて , このギャップ ( 真空 ) を電子がトンネ ル効果によって透過するようにさせ , トンネル電流を流す . ギャップの幅を

10. 量子力学

9 ー 4 時間に依存する摂動 0 ー 3eEro 3eEro 固有値 1 / ー 1 / / 2- 固有べクトル 0 0 1 1 / ー 0 0 0 したがって摂動の最低近似でのエネルギー固有値と固有関数は E = 屋 0 ) 十 3eE 新 , ( ″ 200 ー″ 210 ) / 2 E = 0 ) ー 3eE 新 , ( ″ 200 十″ 210 ) / / E = 房 0 ) ( 縮退 ) , ″ 211 , 421 ー 1 である . 0 ) = ーが / 8 襯鳶 = ー e2 / 8 ( 4 0 レ 0 である . [ 注意 ] 4 ー 3 節では金属表面に垂直に強い電場をかけると , 金属電子がト ンネル効果で飛び出すことを説明した . 原子に強い電場 E = ( 0 , 0 , E ) をか けると , ( 9.56 ) 式の電場による位置エネルギーが付け加わるので , 電子のポ テンシャルレ ( r) はえ→ーでレ ( r) →ーとなる . したがって , ー 2 方向 の v(r) の壁の厚さは有限になり , 電子がトンネル効果で原子から飛び出す ことが可能になる . すなわち , 原子の励起状態も基底状態も不安定である . 第 4 章の演習問題 4 と似た計算で , トンネル効果の透過率 T の電気力の強 さ eE への依存性は Tcre ー ( 定数 ) であることがわかる . すなわち eE → 0 で T → 0 であるが , この減少はきわめて速く , T を eE のべき級数に展開で きない . したがって , ( 9.56 ) 式の行を摂動ハミルトン演算子とする摂動計 算で T を求めることは不可能である . このような過程を非摂動的過程とい つ . 203 -0- 0 0- 11 ( 9. 62 ) 0 0 ( 9. 63 ) 9 ー 4 時間に依存する摂動 水素原子に時間的に急激に変化する電場をかけると , 原子の状態は変化す る . この場合には , が / 2 川一 e2 / 4 廳 0 アをハミルトン演算子の無摂動部分 とし , 時間的に変化する電場による演算子を摂動部分として , の 1 つの固有状態にある水素原子が時間の経過とともにの別の固有状態に