地域 - みる会図書館


検索対象: マレー諸島
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1. マレー諸島

植物の分布の能力は昆虫よりももっと大きく、動物の場 は、そのようにしてニ = ーギニアから全マレー諸島を越え 合のような明瞭な分布地域に分けることができないという て、遥かにヒマラヤの麓まで広がった。一方、優美な長い のが、優れた植物学者の意見である。拡散する原因は、こ 触角を持っヒゲナガゾウムシ科はマラッカからニ = ーギニ アまで逆の方向に広がった。しかしオーストラリアそのもの場合はもっと強力であり、隣接地域の植物相を混合した、 幅広い一般的な分け方以外は、区別を認めることができな のへは、条件が適していなかったので、どちらも定着する 。これらの点は、地球表面の分割の問題に重要な意味が ことができなかった。他方、オーストラリアでは、花に集 まる様々の ( ナムグリ類やタマムシ科、また多数の大きなあり、それは生物の違いにより大まかに区別できる。われ 奇妙な地上性のゾウムシが発達した。そのうち = = 1 ギ = われは、そのような違いは、今は多少とも通過できない障 アの暗い森林に適応したものはほとんどいない。そこでは害によって長い間継続した分離の直接の結果であることを ま 0 たく異な 0 た種が発見される。しかしながら、昆虫の知っている。そして広い海や温度の著しい相違が、全ての 中のある群は、オーストラリア地区の赤道地帯の古い時代陸上生物の分散に対する最も完全な障壁であるので、地球 の個体群の生き残りであるように思われるものから成りの初期の分割を知るには、主に地上生物の分布の知識が大 いに役立つだろう。たとえ気候の影響が様々であり、分布 立っており、それらは今もなおほとんど完全にその地域に 誌限定されている。つまり、興味深いカミキリムシの亜科の手段が一様でないとしても、長い間続いた隔離の基本的 な影響を決して完全に消し去ることはないだろう。そして 自 Tmesisternitae 、タマムシ科の最も顕著な属の一つ C 0 ・ の ニューギニアと周辺の島々の植物学と昆虫学が鳥類や哺乳 島 き、美しい属 E ぎ ~ まを形成するゾウムシなどである。 ア 蝶ではシロチ ' ウタテ ( 属ミ。久ミナミヒカゲ属。・類と同程度に詳しく分かるようになれば、これらの分野も ーマレーとオーストローマレー 。ミ、辷。き、奇妙な眼状斑の 0 、 5 ミ 4 などがある。最また大マレー諸島のインド 後の属の一種はジャワで発見されているが、しかし西方の地区の大まかな区別をは「きりと示すことだろう。 島では他に見つかっていない。

2. マレー諸島

世界の他の地域ではどこでも馴染のある四足類が産しない。 な火山地域の存在、それは大量の地下の物質が流れ出し、 広大な台地や聳えたっ山塊を造り、平行して走る沈降線のその代わりに、オーストラリアは有袋類だけで、カンガル ーやオポッサム、フクログマやカモノハシなどを産する。 真の原因である。つまり、極めて新しい地質時代に、アジ ア大陸は現在の範囲を越えて、南東方向において、ジャワ、鳥類はほとんどが固有種である。オーストラリアには、他 の地域では普通の科であるキツッキ科とキジ科の鳥は産し スマトラ、ポルネオを含み、多分現在の水深一〇〇尋線に ない。その代わりに、世界の他の地域では見られない、 相当する範囲まで達していたものであろう。 ミッスイ、冠毛を持ったオウム、 フィリビン群島は、多くの点でアジア大陸や他の島々とさな塚を造るツカックリ、 一致しているが、しかし若干の例外もあり、それはこの群プラシのような舌を持っヒインコを産する。以上全ての驚 島がもっと早い時期に分離したことを示しており、その後くべき固有な鳥は、マレー諸島のうちオーストローマレー 地区を構成する島々でも同じく見られる。 多くの自然地理学的な大変化があったようである。 マレー諸島の二つの地区の間での著しい対照では、バリ 次にわれわれの注意をマレー諸島の残りの部分に転じる と、西の方の島々がアジア大陸と似ていたのと同様に、セ島からロンポック島に移る時ほど急激に認められる場所は レ・ヘスからロンポックの東の島々は、オーストラリアやニ他にどこにもない。そこは二つの地域が最も近接している のだ。・ハリ島には、ゴシキドリ、果実食の樹上性ッグミ類、 ューギニアと極めてよく似ていることが分かる。オースト ラリアの天産物は、世界の古い四つの地域のいずれの生物キツッキがいるが、ロンポック島に渡ると、以上の鳥はも はや見られなくなり、冠毛を持ったオウム、ミッスイ、ツ 学相が互いに異なるよりも、はるかにアジアの生物相と違っ ( 註 4 ) カックリが多産する。もちろん、それらはバリ島やもっと 地ていることはよく知られているのである。実際オーストラ - 目 リアは孤立しており、霊長類や猿類、ネコやトラ、オオカ西の島では、まったく知られていないのである。両島間の ミ、クマ、あるいは ( イエナ、シカ、アンテロープ、ヒッ海峡は、僅かに幅一五マイルであるので、それゆえ地球の ジ、ウシ、ゾウ、ウマ、リス、ウサギなど、一言で言えば生物分布の大きな境界線を僅か二時間で通過できるのだ。

3. マレー諸島

海の深さの対比ーーージョージ・ウインザー・アール氏が、 る。チモールとジャワの間の島々には、もっと樹木が繁茂 一八四五年王立地理学会で行なった発表、およびそれに続 している地域があり、棘や針のある種類が多い。これらは 大木に成長することはめったにない。また乾季になるとほ いて一八五五年に出した『南東アジアおよびオーストラリ ・ほ完全に落葉し、樹下の地面はからからに乾燥し、他の島アの自然地理学について』という小冊子で、最初に指摘し 島の湿った暗い常緑の森林と著しく対照的である。この顕たことであるが、浅い海がスマトラ、ジャワ、ポルネオを 著な特徴は、セレベスの南の半島とジャワの東端にも若干アジア大陸と繋いでいて、それらの地域の生物は大体似通 認められ、おそらくオーストラリアに近いことが大きく影っている。また同じような浅い海は、ニューギニアとオ】 響しているらしい。南東のモンスーンは一年のおよそ三分ストラリアに近接した一部の島々を繋いでおり、以上の地 〔訳註 7 〕 の二 ( 三月から十一月まで ) の間続いて、オ 1 ストラリアの域は全て有袋類の存在によって特徴づけられている。 北部を越えて吹きつけ、オーストラリアに隣接する島々の これはマレ 1 諸島における最も根本的な対比の手がかり 植生や自然景観の同一化を促すある程度の暑さや乾燥をもであり、それを詳細に研究することによって、私は島々の たらす。やや東の方のチモールーラウトとケー群島では、 間に一つの線を引くことができるという結論に到達した。 湿潤な気候が勝っており、トーレス海峡を通りニューギニ つまりマレー諸島はその線により二分され、半分の地域は アの湿った森林を越えて太平洋へ南東の風が吹いており、真のアジアに属し、また他の半分は紛れもなくオーストラ リアと類似している。私はそれらをそれそれマレ 1 諸島の その結果、どの岩礁も頂上まで緑に包まれている。さらに 学西の方では再び乾いた風が太平洋の広々とした海域を吹き中のインドーマレー地区とオーストローマレー地区と名づ 地 抜け、新鮮な湿気を吸収する機会がある。そしてあまり乾けよう ( 自然地形図を見よ ) 。 然 アール氏は、古い時代にアジアとオ 1 ストラリア両大陸 燥していない気候を持っジャワに行き着き、パタヴィア近 1 くの西端では雨がほ・ほ一年中降り、山々はどこでも先例のが結合していたと何度も論じているが、しかし彼が挙げた 証拠は、全体として両大陸が長い間分離していたらしいこ ないほど豊かな森林で覆われている。

4. マレー諸島

の中間型は、単にこれらの人種の混血の結果ばかりではな ワ語であるという事実によって証明される。これはほとん く、ある程度真の中間型あるいは移行型であり、褐色と黒、ど姿を変えていない発音の特殊さによっても証明され 。 ( プア人、ジャイロロとセラムの原住民、フィジー人、サ大変明瞭な人種の起原と同じほど遠い昔にマレー語が導入 ンドウィッチ群島の住民やニュージーランドの人々は、全されたものであるなら、言語学者の熱心な研究によって単 て一つの大きなオセアニア人あるいはポリネシア人種の様にマレー起原の語だけがもはや検出されるのではなく 様な型であると思う。 身体的におけると同様に精神的にも道徳的にもマレー人と おそらく褐色のポリネシア人は、もともと暗色のパプア違っている人種を容易に区別できるはずだ。 人と、マレ】人との混血の結果であるか、あるいは明るい この疑問に関係して、マレ 1 諸島の人種を分ける線と、 色のモンゴール人種との混血の結果である。しかし、もし同じ地域の動物相を分ける線との間に存在する一致を指摘 そうならば混血は遠い昔に起こり、そして物理的条件と自することが重要である。それを私は既に十分説明し、図を 然淘汰の絶え間ない影響によって大いに助けられて、その 示した。分割線は、本当のところ、完全には一致していな 状態に適した特別な型の保存をもたらし、雑種の徴候を持 い。しかし、それらが同じ地域を横断し、現在のように互 たない固定された人種となったが、しかし決定的にパ。ファ いに接近して存在するということは、注目しなければなら 的性質が優勢であることを示している。それはパプア系の ない事実であり、単なる偶然の一致以上のものである。し ーマレ 1 とオーストロ かしながら、もし動物学上のインド 人変わ 0 たものとして、分類するのが最善である。ポリネシ 島アの言語における明白なマレー要素の表われは、明らかに ーマレー地区の分割線が現在描かれている地域は、現在よ 一そのような昔の物理的な結合を示すものではない。それは りもかなり広い海によって占められていたという私の想像 マまったく最近の現象であり、主なマレ 1 部族の放浪の習慣 が正しければ、そしてもしその時代に人類が地上にいたと 0 に由来している。このことは、ポリネシアで用いられてい すれば、アジアと太平洋地域に住んでいる人種が、な・せ現 る言語に現実に混じっているのは、新しいマレー語やジャ在分割されている線の近くで出くわし、部分的に入り混じ 5 フ 3

5. マレー諸島

ならそうすることは、自然の教えに反する行動だと想像さ地域に、あるいは違った土地に生えているのだ。またその ッパ以外の土地は、イギリス 4 れるからだ。しかし公平に判断しても、その議論そのもの他の全てのやや暖かいヨーロ は非常に貧弱なものである。われわれは色彩を認識する 能の一般的な見方では、熱帯と混同されている。そして顕著 力を持っているので、自然の色の不足を補い、景観が大変な美しいものは、何でも地上の最も暑い所から来たに違い 単調な地域において、最も派手な色彩を用いるのは当たり ないという、漠然とした考えが作られてしまっている。し 前である。またもしその理論が有効であったとしても、し かし事実はまったく反対である。セイヨウシャクナゲやッ かしその議論の基づいている仮定は既に述べた如く全体に ッジは、温帯地域の植物であり、最大のユリは温帯の日本 誤っており、イギリスの野山や、生垣、森あるいは牧場に から来たものである。またイギリスの大部分の見栄えのす 惜しげもなく広がっている、派手な色合でイギリスの家やる花を咲かせる植物は、ヒマラヤ、ケープ、北アメリカ、 人を飾ったからといって、自然の摂理を踏みにじっているチリ、あるいは中国や日本など、全て温帯地域の原産であ と非難されるいわれはない。 る。確かに、熱帯には、多数の大きな豪華な花がある。し 熱帯の植生の性質について、このような誤った意見が広 かしそれらが大部分の植生に占めている割合は極端に小さ まった原因は容易に理解することができる。イギリスの温 。したがって変則的に見えることでは、事実である。そ 室の中や花の展覧会では、地上の最も遠い地域から運んでして、花が自然の一般的な様相に及・ほす効果は、地球上の 来られた最も美しい花の咲く植物を一堂に集め、自然状態温帯よりも赤道地域ではずっと少ないのである。 では決してありえないような近くに互いにそれらを並べる。 全て明るくて、奇妙で、豪華な花をつけている一〇〇の異 なった植物が一緒に運んで来られると、素晴らしい見世物 になる。しかし多分それらの植物のうちの二つが、かって 自然状態で一緒に見つかったことはなく、それそれ離れた

6. マレー諸島

はごく僅かしかなく、そこを探検したイギリス人旅行者は まずいない。イギリスの多くの地図ではそこはほとんど ( 註 1 ) 視され、アジアと太平洋群島の二つの部分に分割されてし まっている。しかし全体としてマレー諸島は地球の初期の 〔訳註 2 〕 分割によってできた一つの地域に相当するものであり、分 地球儀あるいは東半球の地図を一瞥すれば、アジアとオ離してできたマレ 1 諸島の島の幾つかはフランスやオース ーストラリアの間に、大陸から区別できる、両大陸のどちトリア帝国よりも大きいということを、ごく一部の人が知 らにも繋がっていない大小様々の島々が見つかる。赤道上っているにすぎない。しかし一度この地域を旅した人は直 に位置し、生暖かい熱帯の大海原の波に洗われているこのちに考えを変えるだろう。彼は幾日も、いや幾週間も大き 地域は、どの地方よりもいっそう一様な暖かさと湿潤な気な島々の一つの海岸沿いに航海しなければならない。島が 候に恵まれており、他のどこにも知られていない自然の産あまりに大きいので、原住民はそこを巨大な大陸であると 物に恵まれている。最高の果物や高価な香辛料は、この地信じている。これらの島々の間の航海は通常、週または月 〔訳註 1 〕 方の原産である。また巨大な花ラフレシア、大きな緑色の単位で数えられるものであり、北米大陸の原住民と南米大 とりばねちょう 翅を持っ蝶族の中の貴公子鳥翅蝶、人間に似ているオラン陸の原住民が互いにほとんど知らないように、それらの島 ゥータン、華麗な極楽鳥が産する。この島嶼地域の範囲を島の原住民どうし互いにほとんど知ってはいないのである。 学 間もなくその旅行者は、この地方は独特な思想、感情、習 越えた所では見られない、特有の興味深い人種ーーマレー 理 慣、会話様式、気候、植生、そしてそれらが一体となった 然人が住んでおり、それゆえここはマレー諸島と呼ばれてい ・目 世界に生き生きと生活している固有な人種と特徴的な自然 普通のイギリス人にとっては、この地域はおそらく地球景観によって、他の世界とかけ離れた別世界だということ 上で最も馴染の薄い地方である。この地域にはイギリス領を悟る。 第一章自然地理学

7. マレー諸島

3 yca 0 、 0 ー , Delias ar ~ き↓タチ・〈ナカサリシロ チョウ ( ダイダイウラ・ヘニモンシロチョウ、オオペニモンカ ザリシロチョウ ) ウオレスが学名を記録している蝶は、この地域の代表的 な美麗蝶五五種である。大きく目立つアゲハニチョウ科か ら特に多数選ばれている。 八、地名読み対照表 主要な島名および地名の綴りの一覧表を示す。上段はウ オレスの、中段はインドネシアの地図 ( インドネシア共和国 製の地図 ) の綴りである。その他の綴りの一致するものは省 々しこ 0 ′ imo 月 チモール クーパン Kupang Coupang Delli Dili SuIawesi Celebes セレ・ヘス Macassar Ujungpandang マッカサル Ambon アンポイナ Amboyna ジャイロロ G 一一 0 一 0 (HaImaheira) Halmahera Kaioa カイオア Kayoa Bachian Bacan パチアン Cera m Seram セラム Wahai Wahai Riiwaru Goram Matabello Manowolko Bouru Aru Ke 「 aigiou MysoI 九、謝辞 私は実際に出版の作業に直面してみて、外国語を正確に 訳すことの難しさをしみじみと感じた。かなり以前に、そ れも出版を考えないで訳したためか、様々のおかしな訳が 見つかり、本格的な翻訳原稿になるまでの半年ほどの間、 何度も何度も読み直さなければならなかった。ゲラの校正 についても、同様であった。英文と訳文と見くらべる作業 は、歳のせいもあるのだろうが、長い時間続けると目が霞 んでとても苦痛であった。長澤純夫博士が定年になられて から、毎年一冊ずつ翻訳を出されているのは、凡人には到 底真似のできない大変なことだとしみじみ癘感した。しか し『マレー諸島』第一〇版が出版されてからちょうど一〇 Waru Gorong WatubeIa Manawoka Buru Aru Kai 「 aigeo Misool キルワル ゴラム マタ・ヘロ マノウォルカ プル ワイギオウ 684

8. マレー諸島

マイルであるが、しかしその両側約一一〇〇マイルの地域に に消されてしまうようなことがなかったのは明らかである。 は、地下の火山活動の証拠として、珊瑚礁の隆起や沈降が 植生の対比ー・ーー赤道上に位置し広い大洋に囲まれている 認められる。火山の大曲線の中心あるいは焦点にポルネオので、マレー諸島の島々は海岸から山の頂きまで、森林植 が位置しているが、その島では最近の火山活動の徴候はま生によって覆われていても別に不思議なことではない。 だ観察されていない。また周囲の地域では非常に特徴的なれは一般的に見られることである。スマトラ、ニ = ーギニ 地震も、そこではまったく知られていない。同じく大きなア、ポルネオ、フィリ。ヒン群島やモルッカ群島、ジャワと 島の一つニューギニアは別の静かな地域であり、そこでもセレベスの未開拓地は、古い時代に切り開かれたりあるい 火山活動はまだ発見されていない。奇妙な形をしたセレベ は偶然の火災などにより生じたと思われる一部の小さな重 スも北半島の東端以外にはまったく火山がない。しかもそ要でない地域を別にすれば、大体森林が茂っている。しか の例外的な火山も、かってはセレベスから離れた一つの島し、これに対して重要な例外は、チモールとその周囲の小 であったらしい。マレー半島にも火山がない。 さな島々である。それらの島々では、他の島々に見られる マレー諸島の最初にして最も明白な分け方は、それゆえ、ような豊かな森林を完全に欠いている。そしてこの特徴は、 非火山地域と火山地域に分けることである。この分け方は、 フローレス、スンパワ、ロンポック、・ハリなどでも幾分認 植生や生活型の違いと、おそらく少しは対応しているらしめられる。 。しかしそのような対応は、限られた場合のことであろ チモールの最も普通の樹木は、オーストラリアに特徴的 〔訳註 4 〕 〔訳註 5 〕 う。地下の火山活動の発達は非常に大規模であった な数種のユーカリ属であり、あまり多くはないがビヤクダ 〔訳註 6 〕 〇、〇〇〇 ~ 一一一、〇〇〇フ ィートの高さの山々を積み上げン、アカシア、その他の種類がある。それらは多少密集し たり、大陸を破壊し、大洋から島々を作り出した 、カ た群落を作って島内のあちこちに見られるが、決して森林 しかしそうした変動は最近のものであり、もっと古い時代と呼ぶほどではない。疎らなイネ科植物が痩せた山の樹木 の水陸分布の痕跡が、そのような新しい活動によって完全の下に生えており、多湿な地方では豊富な草本が生えてい

9. マレー諸島

〇種の陸鳥のうちで、東方のセレベスへ渡ったのは一〇種められていない。これはあたかもマン島がツグミおよびク の固有種を有していて、イギリスとアイルランドに にも満たないのである。しかもマカッサル海峡はジャワ海ロドリ ほどに広くはなく、そのうえ少なくとも一〇〇種はジャワ共通する鳥とはっきりと区別されるようなものだ。 / ンカがスマトラやポルネオよりも この奇妙な事実は、・、 とポルネオに共通しているのである。 私はここで、動物分布の知識が過去の地球の歴史におけ長い間明らかに独立した島として存在していたことを示し る意外な事実をいかに明らかにできるか示すために、二つている。そして若干の地質学的および地理学的事実は、上 の例を提出しよう。スマトラの東の端に位置し、一五マイ述のことが初め考えていたほど起こり得なくはないことを 示している。地図の上では・ ( ンカはスマトラに非常に近い ルの幅の海峡によってスマトラから隔てられ、錫鉱山に恵 まれた岩がちの小島・ ( ンカがある。その島のオランダ人居けれども、ス「トラから最近分かれて生じたものではない。 留者の一人が、ライデンに鳥類や動物の 0 レクシ ' ンを送隣接するパレン・ ( ン地域は新しい陸地であり、一〇〇イ 0 てきた。その中の数種は、隣接するストラの海岸の動ル離れた山地から激しい流れによ 0 て形成された沖積湿地 である。一方・ハンカは、マラッカ、シンガポ 1 ル、および 物と明瞭に区別できるものであることが判明した。その一 〔訳註〕 リンゲンの間に介在する島々と同様、花崗岩とラテライト 然つはリス ( Sc き・ ba ミ ) で、これは、マレ 1 半島、 から成立している。以上の地域は、全てかってマレ 1 半島 島スマトラ、ポルネオにそれそれ分布する三種とよく似てい 諸 た。しかしそれらのリスはそれそれま 0 たく明瞭な別の種の延長部分として形成されたものらしい。ポルネオとス トラの河川が両島の間にある海を長い間に満たしたので、 マである。またヤイロチョウ属二種の新しい地上性の 〔訳註〕 鳥がいた。これらはストラとポルネオの両島に分布するその辺りが最近い 0 そう深くな 0 たことは確からしい。ま ン イ 別の二種と極めて近縁であるが、ま 0 たく明瞭に区別できたそれらの大きな島々は、「レ】半島を介して以外に、相 9 る別種である。しかしストラとポルネオのような遠く離互に直接陸続きとならなか「たことも確からしい。その時 れた大きな島々の間では、何ら注目されるような違いは認代には、同種のリスやャイロチ ' ウがこれらの地域全体に 139

10. マレー諸島

な色彩の一般的な特徴は、南アメリカや数千マイル隔てた シダの群生が散在している。 書物と植物園という手段だけで熱帯の自然に通じた読者東洋の熱帯で、大変しばしば見られる事実であり、右に述 は、そのような場所について聞くと多くの別の自然の美をべた事柄は、熱帯地域の赤道地帯 ( それは最も熱帯的である ) 思い浮かべるだろう。つまり、深紅、黄金、あるいは空色における自然の一般的な姿を代表していると私は結論せざ るをえない。 ところで、旅行者の記述が一般の人々に抱か の豪華けらんたる塊となって、これらの緑の崖をきらめか せたり、小さな滝に覆いかぶさり、また山の流れの縁を飾せる非常に違った観念はどうであろうか、またわれわれが っているはずの目も鮮やかな花々のことを、私が言い忘れ熱帯に存在することを知っている豪華な花はどこにあるの だろうか、と質問されるかもしれない。以上の質問には簡 ているのではないかと、その読者は考えるだろう。しかし 何が真実だろうか。私は青々とした草木の茂るこれらの広単に答えることができる。イギリスの温室で栽培されてい る美しい熱帯の花を咲かせる植物は、様々な多くの地域か い崖、垂れ下がっている登攀植物や低木の藪、滝の周り、 川岸、あるいは深い洞穴や薄暗い割れ目を、いたずらに眺ら選り抜かれたもので、それゆえどこかある地域でそれら が多産しているのではないかという大変誤った考えを植え め回したが、明るい色彩はほんの少しも認められなかった。 付ける。それら植物の多くは非常に稀れであり、またある 樹木、藪、登攀植物のどの一つをとっても、風景に著しい とちらを見ても種は分布地域が極端に限られており、またかなりの種はア 趣を添える花の一つも咲かせてはいない。・ 緑の葉と斑の岩が目にとまるだけだ。そこには、色彩の限フリカやインドのようなもっと乾燥した地域に生育してい りない変化と豊かに繁茂した植物の姿があった。しかし色るものである。ところがそのような乾燥した地域では、 ス レ彩の華々しさは認められず、艶やかな花々や豪華な花房も帯植物は他の地域のように豊富ではないのだ。艶やかな花 なく、世間で熱帯ならどこにもあると信じられている植物花よりもむしろ美しい変化のある葉が、熱帯植物が最も高 炻は何もない。私はこの場所についてできるだけ正確に書き度に発達しているこのような場所ではいっそう特徴的であ 留め、豊かな熱帯の本当の姿をここに記述した。このようゑそのような地域では一つ一つの種類の花は、数週間 229