の違いか別の場合に引き起こすであろう形態や色彩の変化六種、ポルネオから一五種が含まれている。しかも一四種 を消し去ってしまう傾向がある。このような事実に留意す以上は前者に限られているのに対して、後者に固有な種は ると、セレベスの昆虫の特性はわれわれが予想していた以二種だけであゑタテ ( チョウ科は極めて大きな群で、一 上に大きいのかもしれない。 般に強力な翅と非常に明るい色の蝶である。熱帯に多産し、 コ 他の島々と正確に比較する目的で、周知の、また私自身イギリスにおいては、ヒョウモンチョウ、アカタテハ が注意深く研究した群だけに限定することにしよう。アゲ ムラサキによって代表されている。私は数ヶ月前、この群 ( チョウ科から始めると、セレベスは二四種を産し、一八 の東洋の種の、私自身が発見した新種もすべて含めた目録 種という多くの種数は他の島では発見されていない。もしを作成した。そして次のように相対的な結果に到達した。 これをポルネオと比較するならば、二九種のうち僅か二種 タテハチョウ それそれの島 固有種の割 類だけが他では発見されていないのである。その違いは他 科の種数 の固有種数 の何よりも目立っことである。シロチョウ科では、その差 ジャワ 七〇 異はそれほど大きくない。それは多分この群が遥かに放浪 ポルネオ 性であることによるらしい。しかしそれでもまだかなり著 セレベス 四八 七三 しい違いがある。セレベスに分布する三〇種のうち一九種 が固有種であり、一方ジャワ ( ジャワからはスマトラやポル 甲虫類は非常に数が多く、その群のごく一部しかまだ詳 ネオよりもいっそう多くの種が知られている ) 産三七種のうちしく研究されていない。それゆえ私は、ただ一つだけ、私 固有種は一三種だけである。マダラチョウ科は大型の、し自身が最近研究したものを参照することにしよう。それは 「訳註〕 かも弱々しく飛ぶ蝶であって、森林や庭園でよく見られ、 ハナムグリ科 Cetoniadae ( 甲虫の一群 ) であり 、非常に美し 質素な色合ではあるが、時に非常に派手に彩色されている。 い昆虫のために、大いに探し求められてきた。ジャワから この科では、私自身のコレクションには、セレベスから一 はこの昆虫は三七種知られており、セレベスからは三〇種 一一九
のに荷担している少数の種を除外することにする。それらな丸く白い斑点の優美な列を持ち、その科の既知の他種の は数にして二〇種あり、それを差し引くと、セレベスに特どれともま 0 たく明瞭に異な 0 ている。三種のフクロウは 徴的であると考えられる一〇八種が残る。周りの全ての地同様に固有であり、その一つセレベスメンフク。ウ ( s 、「洋 〔訳註 5 〕 域の鳥類とこれらを比較すると、ただの九種が島の西の方「。ミ i) はその近縁種で、インドから全ての島々を経て 〔訳註 6 〕 へ広がっているだけで、一九種は東方へ広がり、一方、八 ロンポックまで分・布しているメンフクロウ S 、、洋ミ ca 〇種以上はまったくセレベスの動物相に限定されている。 よりも大きくいっそう頑丈である。 島の位置から考えると、セレベスの固有性の程度に匹敵す セレベスで発見された一〇種のオウムのうち、八種は固 る場所は世界のどこにもない。もしこれら八〇種について有である。それらの中で、ウチワイン = 属 p 「斗、を 〔訳註 7 〕 も 0 と詳しく調べるならば、それらの構造に表われている構成している珍しい一一種のラケ ' ト型の尾羽を持っオウム 多くの固有さや、また彼らの多くが世界の離れた地域の鳥 がある。この属は二本の長い匙状の羽毛を尾羽に持ってい と奇妙に類似しているように思われることに驚くだろう。 る。二種の近縁種が、隣接するフィリビン群島の一つミン これらの点は、非常に興味深く大変に重要であるので、島 ダナオで発見されている。しかし、その形の尾羽は全世界 に固有な種の全てを概観するうえで、忘れてはならないこ の他のオウムからは発見されていない。小型のキ とであり、注目すべきこととして人々の注意を喚起する必ン = ( T 「ミ。ミ。。斗ミの最も近縁の種はオースト 要がある。 ラリアに分布している。 〔訳註 8 〕 タカ族の六種はセレベスに特有である。それらの三種は その島に生息している三種のキツッキはいずれも固有種 ジャワとポルネオまでの全インドに分布している近縁の鳥であり、ジャワとポルネオで発見される種と、もちろんそ から明瞭に区別される。そしてそれらはセレベスに入るとれらの全てと著しく異な 0 てはいるが、しかし近縁である。 急激に変化してしまったように見える。別の種シラボシオ 三種の特有なホトトギス科の中で二種は非常に注目すべ オタカ ( 。。きミ、、、 ~ ・ = 0 、ミま ) は美しいタカで、尾羽に大ききものである。セレベス・ ( ンケンモドキ、。。 0 。。。ミ・
スマトラの種についてはわれわれの知識がやや不完全な 上と同様の事実を示している。しかしジャワで多数のコレ クションが作られたために、ジャワが優越しているというので、幾らか差引いて考えると、ジャワは、他の二つの島 不公平な評価があるかもしれない。しかし真正のアゲハチが互いに孤立しているよりもさらにこの二つの島から孤立 ョウ科に属する蝶の場合はそうではない。この蝶は形が大しているように見える。以上のように鳥類および哺乳類の きく色彩が豪華なので、他の昆虫よりももっと頻繁に採集分布から得られた結果は、蝶の場合でも完全に確認できる。 されている。二七種がジャワから知られ、二九種はポルネそしてジャワがアジア大陸から完全に分かれた最初の島で オから、一方二一種だけがスマトラから知られている。四あるということを、ほぼ確信できるのである。またジャワ 種の分布は完全にジャワに限られており、一方、ただ二種が最近スマトラから分かれたという原住民の伝説は、まっ たく根拠がないということである。 ・、ヂルネオに、また一種はスマトラに固有である。しかし 今やわれわれは、出来事の経過をある程度正確に追うこ ジャワが隔離していることは、二島ずつを対として比較す ればよく分かるだろう。まず各対ごとに共通する種の数をとができる。ジャワ海全体、シャム湾、マラッカ海峡が乾 いた陸地であって、ポルネオ、スマトラ、ジャワが、アジ 示す。結果は次のようである。 . ア大陸の広大な南の延長部を形成していた時代が始まると、 ボルネオニ九種ー その最初の動きはジャワ海とスンダ海峡の海浸であり、大 スマトラニ一種ー 陸の南の端に沿ったジャワの火山の活動が続き、そしてそ の島の完全な分離を引き起こした。ジャワとスマトラの火 ポルネオニ九種ー ジャワ 山帯の活動が激しくなり、最初にポルネオが、その後スマ 一一七種ー トラが完全に分離されるまで、次々と陸地が沈降した。最 スマトラニ一種ー 初の変動の時代以来、幾度かの顕著な隆起および沈降が起 ジャワ 一一七種ー こり、そして島々は相互にあるいは大陸と二回以上繋がり、 ー両島の共通種一一〇種 ー両島の共通種一一〇種 ー両島の共通種一一種 142
いない。チモールから知られている一五種のうち九種は、 ている。・ハリとロンポックの島々は小さく、しかもほとん ど完全に火山であって、他の島々のものよりも変化した種ジャワあるいはその西の島々でもまた発見されている。三 が少ないので、比較的最近の起原であることが指摘できる種はモルッカ由来の種で、その大部分はオ 1 ストラリアで だろう。チモールがオーストラリアの最も近くに接近しても発見されている。残りはチモールの固有種である。 陸上哺乳類は、数ではたった六種である。それは次の通 いたその時代に、幅広い海峡がおそらく現在・ハリやロンポ りだ。 C 普通のカニクイザル辷きき 0 ~ 四、 s 、これは ックが存在する場所を占めていたらしい。そして、火山活 動はゆ 0 くりと現在の肥沃な島・ ( リと。ンポ ' クを積み上全てのインドー「レー諸島で発見されており、ジャワから ハリとロンポックを通ってチモ 1 ルに広がった。この種は げ、一方、オーストラリアの北海岸は大洋の下に沈んでい 川の堤防に非常に頻繁に見られ、洪水によって運ばれた木 ったのだ。ここに示されたような変化の一部は、どのよう の上にのって島から島へ移動したのかもしれない。マレ にそれが起こったかをわれわれに理解させてくれる。チモ 〔訳註 7 〕 マレー諸島の大部 ジャコウネコ、、 4d0 暑ミ、 s トミ s 。 ールの鳥類は、全体としてオーストラリア由来と同様イン ト由来のものも多いけれども、その島群に固有である種は、分では極めて普通である。ルサジカ c 。「ミ・、ぎミ ~ 。 もし別種だとしても、ジャワとモルッカの種に酷似してい 特徴の点では大部分がオーストラリア由来である。また、 〔訳註 8 〕 る。 @イノシシ S ま、ぎ 0 ュ e 鬯多分モルッカの種のある 誌ジャワを通って・ ( リまで分布が及んでいる多数の普通のイ 〔訳註 9 〕 ものと同種。チモールジネズミ SO 、、ミ % チモ】ル ンド由来の種は、それよりさらに東の島々にまで、何故ど の 群の一つの代表種をも伝播することができなか 0 たのか理解の固有種と見なされる。困東方のオポ ' サム、 ( イイ 0 ク 〔訳註川〕 スクス 0 、 scus ミミミ。もし明瞭な独立種でないとする 一できるはずである。 チその島群の他の島々の哺乳類相と同じく、チモールの哺と、モル ' 力でも同一種または近縁種が発見されている。 これらの種はどれもオ 1 ストラリア由来でないこと、ま 凵乳類は = ウモリ以外は極端に乏しい。 = ウモリ類はかなり 多く、またまだ多くの種が未発見のままたということは疑たオ 1 ストラリア由来のどれともほとんど近縁ではないこ 201
やインドに広がっている。マラッカからインドまで分布し地区にだけ固有な例外が一つある。リスは非常に多く、特 ている二種を除くと、全てのシカは固有種である。ウシで徴的である。二五種のうち二種だけがシャムとビルマにま 「訳註 9 〕 〔訳註〕 はインド系の一種がマラッカに達している。一方、ジャワ で及んでいる。ッパイは奇妙な食虫動物で、リスに酷似し 〔訳註川〕 とポルネオの・ハンテンウシ 38 きミ d ミ c はシャムとビル ており、羽毛状の小さな尾を持っポルネオのハネオッパイ マでも発見されている。ャギに似た動物はスマトラで発見 p ミ oc ミこミや、奇妙な長い突き出た鼻を持ち尾に毛の 〔訳註〕 〔訳註〕 されているが、その代置種はインドに分布している。一方、ないジムヌラ G きミ、まき e のように、ほとんどマレ スマトラの二角のサイとジャワの一角のサイは長い間これ 1 諸島だけに分布が限られている。 らの島々の固有種であると想像されていたが、今ではビル マレ 1 半島が現在アジア大陸の一部を構成しているよう マ、ペグ、ムールマインにも分布することは確実である。 に、マレー諸島もかって大陸と繋がっていたのではないか スマトラ、ポルネオ、マラッカのゾウは、現在ではセイロ という疑問は、マレ 1 半島といくつかの島々に分布してい ンやインドのそれと同一種であると考えられている。 る種を研究することによってさらに詳しく解明されるだろ 哺乳類の他の全ての群でも、同じ一般的な現象が再び起う。さて、もし飛翔力を持ったコウモリ類のことをまった こっている。少数の種は、インドのものと同一種とされてく考えに入れないなら、四八種の哺乳類がマレー半島と三 いる。さらに多くの種は、極く近縁種かあるいは代置種で大島に共通である。これらの中には七種の四手類 ( 長尾の 〔訳註凵〕 ある。しかし一方では、世界の他の地域のものと異なった猿、無尾の猿、原猿類 ) があり、これらの動物は全生涯を森 林で過ごし、決して泳がず、僅か一マイルの海を横切るこ 在を含む、少数の固有な属が、必ずこの地域に存在する。 約五〇種のコウモリ類、つまり翼手類がいる。そのうちとさえまったくできないだろう。一九種の食肉類のうち一 部の種類は、疑いなく泳いで渡れるかもしれない。しかし 四分の一以下はインド系である。三四種の齧歯類 ( リス、 かなり多数の個体がその方法で、一ヶ所を除けば三〇 ~ 五 ネズミその他 ) があり、そのうち六 ~ 八種だけはインドにも 〇マイルの輻がある海峡を、横切ったとは想像できない。 分布している。また食虫類は一〇種あり、そのうちマレー 136
〔訳註 3 〕 類 0 数は、一七〇種をかなり越えている。コウモリ類を別 マレー半島で発見される以上の四手類のうち、七種はス にすれば、これらの動物は数マイルの幅の海峡を越えるた めの決まった方法は何も持っていない。それゆえ、哺乳類マトラにまで、四種はポルネオにまで、三種はジャワにま で、それそれ分布している。一方、二種がシャムとビルマ の現在の分布を説明するのは、その種が出現して以来、こ にまで、また一種が北インドにまで分布している。オラン れらの島々がかって互いにあるいは大陸と陸続きであった ゥータン、フクロテナガザル、ルネオメガネザル Ta ごき s のかどうか、解明するための大きな手がかりとなるに違い 〔訳註 7 〕 ミミき、ヒョケザル属を別にすれば、残りの四手類の全 四手類あるいはヒト以外の霊長類は、この地域の最も特てのマレーの属は、インドでは別の近縁種によって置き代 色を示す特徴の一つである。二四種の明瞭な種類がそこにわっている。もちろん大部分の四手類の分布範囲は限られ 分布することが知られている。そしてそれらの種は島々にており、極めて少数だけがインドと完全に同一種であるに かなり一様に分布している。ジャワには九種、マレ】半島すぎない。 には一〇種、スマトラには一一種、ポルネオには一三種が 食肉類では、三三種がインドーマレー地区から知られて 然 見つかっている。大型類人猿のオランウータンは、スマト おり、そのうち約八種はビルマとインドでもやはり発見さ 白ロ の ラとポルネオからだけ知られている。奇妙なフクロテナガれている。その中には、トラ、ヒョウ、ヤマネコ、ジャコウ 島 ネコ、カワウソが含まれる。一方、マレーの食肉類二〇属 一ザル ( オランウータンに次ぐ大きさ ) はスマトラとマラッカで レ 〔訳註 のうち一三属は、インドではほぼ近縁種によって置き代わ マ発見され、長鼻のテングザルはポルネオだけに分布してい 4 〕 る。他方、どの島々にも、ギポンっまりテナガザルや、四つている。一例として、イタチアナグマ ( ミ s ミミミ ン イ は、北インドにおいては近縁種ミ、ミ e ま旁によっ 手類の代表種が分布している。キツネザルのような動物っ 〔訳註 6 〕 〔訳註 8 〕 〔訳註 5 〕 て置き代わっている。 9 まりスローロリス属 ~ 、一 c 、メガネザル属 Tarsius 、 有蹄類は種数が一三種あり、そのうち約七種は、ビルマ ヒョケザル属 G ミき、 cus は、全ての島々で発見されてい 13 ラ
イギリスのデザイン学校で褒めそやされるような仕事をすは非常に数の多いもの以外は何でも捕まえ、約六〇種採集 した。しかし六月の終わりの日は、九五種以上のはっきり るために、彼らの暇な時間を使っているのだ。 = = ーギ = アにおける滞在の後半は、天気は大変湿って区別できる甲虫の種類を持ち帰った。以前あるいはこれ以 いた。私の唯一の猟師は病気になり、鳥は少なくなり、そ後にも、一日でこれ以上の数の甲虫を採集したことはない。 のため私自身の方策は昆虫採集だけになった。私は好天気それは晴れた暑い日で、私は歩き回って見つけた最上の場 の時はいつも非常に熱心に働き、毎日、多数の新しい種を所で、枯葉を探したり、葉を叩いたり、腐った樹皮の下を 入手した。枯木や倒木はどれも何度も何度も捜索した。そあさ 0 た。私は朝一〇時から午後三時まで出かけ、そして して、乾いたりまたは腐った葉の間で , ーーそれらは未だ切全ての標本に針を刺して並べ、種を分けるのに六時間かか 小さな甲虫を私は多った。私は既にその場所で二ヶ月半毎日働き、八〇〇種以 り倒された木にぶら下がっている 数見つけた。私はポルネオの時のような多数の大きく見事上の甲虫を入手したが、この日の仕事では三二種の新しい か種類を追加できた。これらの中にはカミキリムシ科四種、 な甲虫を見つけたことはその後も決してなかったが、し オサムシ科二種、ハネカクシ科七種、ゾウムシ科七種、ダ しここで私は相当様々の種類を手に入れた。最初の二、三 〔訳註 7 〕 〔訳註 8 〕 イ週間は、最上の場所を探し続けている間、毎日、およそ三イコクコガネ類 (Cop 「 idae) 二種、ハムシ科四種、異節類 」〇の異なった種の甲虫を採集した。また別にその数の半分 Hete 「 ome 「 a 三種、オナガコメッキ属 Elater 一種、クロタ 一の蝶、少数の他の目の昆虫も手に入れた。しかも、その後、「ムシ属 B = 一種があ 0 た。最後の日ですら、私は ニまさに最後の週まで、私は一日平均四九種を採集した。五出かけて一六の新種を採集した。その結果、私は、一、〇 一月三十一日には、主として枯木と腐った樹皮の下で、七八〇〇以上の異なる種の甲虫を、一平方マイルそこそこの場 種の明瞭に異なる種を採った。私は以前にそれほど多数を所一ヶ所で、ドーレイに滞在した三ヶ月の間に採集したけ 採ったことはなかった。晴れた日は丘まで、あるいは原住れど、これは同じ場所に現実に生息している種の半分にも 5 民の畑までかなり長い距離を歩き、私の前に現われるもの達しないだろう。あるいは二〇平方マイルの地域内に生息 第 34 章
使える約一〇〇種の鳥が残る。 われわれが知る限りでは、それそれの島にだけ分布が限 チモール 定されている種を取り上げると、次のようになる。 ジャワの鳥 オーストラリアの鳥インドの鳥オーストラリアの鳥 二属 五属 この表から何百年、何千年の間続いてきた、そしてまだ現 四属 一六属 在も続いている移動の経路をはっきりと読み取ることがで きるのである。ジャワから入って来た鳥はジャワに一番近 い島に最も多い。他の島に到達するために横断しなければ それそれの島における固有種の実数を間違いなく数えてい ならない一つ一つの海峡は、障害物として立ちはだかる。 るとは、私にはとても考えられない。なぜなら、急速に増 加するその数は、フロ】レスにおいてよりもチモ 1 ルにおそれゆえ、次の島に渡ることができる鳥の種数はず 0 と少 ( 註 2 ) なくなる。オーストラリアから入って来たと考えられる鳥 いて、ロンポックにおいてよりもフロ 1 レスにおいて、 の種数は、ジャワから入って来た鳥よりも多くない。それ 誌っそう熱心に作られたコレクションに明らかに依存してい のるからである。しかしわれわれがも 0 と信頼できることや、でチモールとオ 1 ストラリアを隔てる広い海洋が移住を妨 げている原因であると、一見しただけで想像してしまうか 群もっと特別に興味あることは、西から東に移るにつれて、 一オーストラリアの鳥の割合が著しく増加し、インドの鳥のもしれない。しかしそれは性急であり、間もなく見るよう チ ジャワ 割合が減少するという点である。このことをも 0 と注目すに、それは単なる想像にすぎず、何の確証もない。 凵べき方法では 0 きり示そう。つまり、それそれの島の、ジやオーストラリアに分布する種と同一とされる、上記の種 ャワあるいはオ 1 ストラリアの種と同一とされる種数を拾とは別に、それら二地域の固有種に酷似している他の鳥が チフロ モロン スク 一一属四種 七属一二種 一一〇属四二種 い上げてみよう。 ロンボック 四 フローレス 五 19 フ
「訳註〕 = 導 5 はその属の中で最大の一番格好の良い種であり、グミ G きぶ e 、守。きはチモールの固有種に最も近縁 である。二種のヒタキは、マレー諸島では発見されていな その嘴の三色の、明るい黄、赤、黒によって区別されてい 〔訳註 9 〕 いインドの種と酷似している。いくらかカササギに似た二 る。オ一一カッコウミ dY ミミミミ ~ 0 こ c 、ミ s は百【つ一旦ぐな 〔訳註Ⅱ〕 黒い嘴を持つので近縁の全ての種と異なっている。その属つの属 ( S 、、。。。ミと C ュ、。は、まったくセレベス に限定されている。これらとカササギとの近縁関係は極め の他種は常に緑、黄、あるいは赤つぼい嘴を持っている。 て疑わしく、シュレーゲル教授はそれらをムクドリの間に セレベスブッポウソウ (Coracias 、 e ミミ il ミ ) は、同属の 他種とかけ離れた興味深い種の例である。 = ジ。フッポウソ置いた。彼らには美しい長い尾羽があり、黒と白の羽毛を アジア、アフリカに生持ち、また頭部のいくらか固い鱗状の羽毛を持っている。 ウ属 Coracias の種はヨーロ ムクドリに近縁であることが疑わしいもう二種の非常に 息するが、しかしマレー半島、スマトラ、ジャワ、あるい この種はそれゆえ完全にかけ隔離された美しい鳥がある。その一つはアカマュムクドリ はポルネオには生息しない Enodes e こきき s で、灰色と黄色の羽毛を持ち、しかし 離れており、さらにいっそう奇妙な事実はそれがアジアの 目の上は幅の広い橙赤色の線条で飾られている。もう一つ 種のどれともまったく似ていず、しかもアフリカ産の種に のセレベスオオサマムクドリ B ~ ~ ミ s c ミ e は、胸部 最も近縁であるように思われることである。 の両側に一個の白い斑点を持っ濃い藍色の鳥で、頭部は羽 次の ( チクイドリ科では別の同様に隔離されている鳥セ 毛の美しい偏平な鱗状の鶏冠で飾られており、南アメリカ 体レベス ( チクイミ e き、 0 を ) 、 e があり、これはアフリ のよく知られているイワドリのそれと形態がよく似ている。 の力とインドのハチクイドリの特徴を兼ね備えており、しか 〔訳註川〕 この鳥と唯一近縁の種はセラムで見つかっており、まった レもその唯一の近縁種はデ = ・シャイ = 氏によって西アフリ 〔訳註Ⅱ〕 く違った具合に上方へ引き伸ばされた鶏冠の羽毛を持って 力で発見されたズグロハチクイ e 、をミミこである。 〔訳註〕 二種のセレベス産サイチョウは、周囲の地域に多産する またさらに奇妙な鳥はシュウダンムクドリ Sc s ~ き、ミ 鳥の中に近縁種を持たない。唯一のツグミ、ムナグロジッ 、ルし、 ッ 0 、、 263
かなりいる。この問題に性急な結論を下す前に、それらのしてはいるけれども、オーストラリアの種とは明瞭な別種 種についても検討しなければならない。前の表にそれらのとされていることが分かる。またそれらの代表種あるいは 種数を付け加えてみよう。 近縁種は、島がオーストラリアから離れるにつれて次第に その数が減っていくが、反対にジャワから離れていくとそ の数が増えていく。このことには二つの理由がある。一つ は、島の大きさがチモールからロンポックへは急速に小さ くなっていること、それゆえ種の減少も起こるということ である。もう一つは、そしてもっと重要なのは、次の点で ある。つまり、チモールからオーストラリアまでの距離が 一〇新しい移住者の流入を遮り、このようにして変異が十分生 じることを許すのに対して、ロンポックはバリとジャワに 近いために、新しい個体が継続して流入することを可能に し、そのことが、早期の移住者との交配により、変異が生 じるのを妨げている、とういことである。 ジャワおよびオーストラリアから由来したと思われる鳥 これらの島々の鳥類が由来した起原については、われわ の総種数は三つの島ではそれそれ約四〇種前後にな「てほれの意見を分かりやすく示すためにそれらを一まとめにし ぼ等しいが、しかしこの二つの系列の間には著しい違いがて取り扱い、しかもジャワとオーストラリアに対するそれ あることが分かる。ジャワの組の鳥類のかなり大部分のもそれの島の関係をも 0 と分かりやすいように次の表に示す。 のは、ジャワにやはり分布する鳥と同一種とされるのに対 チモール島群の鳥は次のような種数を含んでいる。 して、オーストラリアの組の鳥類の場合は、しばしば酷似 ジャワの鳥 ジャワの鳥の近縁種 合計 オーストラリアの鳥 オーストラリアの鳥の近縁種三 合計 ロンポックフローレスチモール 三四 四 七 四九五八五 198