中戦車 - みる会図書館


検索対象: 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)
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1. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

また戦車に関しても、中戦車の量産で、限定生産された中戦車に相当数の 在庫があった。 ほかにも軍服や軍靴、携行食糧、天幕なども、米国の生産力をもってすれば、合州 国陸軍の必要分を満たした上に、ほかの連合国へ供給する分を取りわけても、まだ充 分な在庫がある。 だからスターリンの要求に対して、合州国政府が拒否したのは、戦艦や巡洋艦、そ れに空母の提供であった。 これは拒否と言うよりもクソ連赤色海軍の将兵では、貸与しても使いこなせない との判断が、合州国海軍作戦部から出されたためだ。 「あの熊公どもに、戦艦や巡洋艦、空母の動かし方と戦い方を教育して、一人前に動 かせるようにするには、まず二、三年は必要です。四年経っても、この戦争が続いて いると大統領は思われますか ? 密容赦のないキング提督に、そこまで言われれば、ウォーレスも、要求項目に赤イン クで斜線を引くしか選択肢はなかった。 章むろん四年とは大袈裟な表現である。ただ本音を言えば、合州国海軍にとって、日 第本帝國海軍に替わる将来の敵を育てる気はキングには毛頭なかった。 「熊は泳げない方か、こちらには都合がよい

2. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

を含む敵部隊の主力を四嶺山北部より引き剥がすことを狙っていた。 「歩兵大隊には、試作品を含めた携行対戦車兵器が大量に携行されている。 我々の目的は、四嶺山北面より敵戦車隊を引き離して、そのまま誘導し、歩兵大隊 が布陣する地点へ誘導することにある」 どうやら池田大佐は、ドイツ国防軍が北アフリカ戦線で英軍戦車隊を殲滅したのを 参考に、赤軍戦車隊を罠へ誘導する腹のようだ。 なにせ三式中戦車チヌは一式中戦車の発展型で、米軍の主力戦車シャ 1 マン中 戦車との交戦を前提に開発された戦車だ。 したがって性能面で、中戦車を大きく上回る引 / 新中戦車が相手では、真正 面から戦うのは、きわめて不利ということになる。 隊 実際、引 / 新に対抗するには、を凌駕すべく開発された四式中戦車チトか、 魂 最新鋭の五式中戦車チリが必要であった。 ただ四式チトは現在生産中で、教導連隊と満州を含む大陸方面の戦車連隊へ、輸送 列 ~ 壮配備がおこなわれている状況であった。 章さらに九九式八・八センチ高射砲を戦車砲へと転用した五式チリは、ようやく生産 第が始まったばかりであった。 むろん池田連隊長も、チヌ車で真正面から戦う不利は、充分に承知している。

3. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

情報参謀が、ポツリと呟いた。 「九一師団と直轄部隊だけでは、敵軍の揚陸を阻止するのはきわめて難しいかもしれ ん」 船舶工兵連隊から派遣されていた幕僚の一人は、この戦車揚陸艦の隻数から、 輸送可能な戦車の数を、ざっと推測したところ、連隊規模の戦車や装甲車両であるこ とか判った。 「第五艦隊の戦力では、樺太近海やオホーック海での海上封鎖を実施するだけで手一 杯です」 艦隊司令部から派遣された参謀が、呆然とした表情で一言う。 本音を一言えば、このベトロバブロフスク・カムチャッキーを洋上から封鎖したい。 ところが戦艦主体の第一艦隊は、中部太平洋で勃発した一連の海戦で、米太平洋艦隊 の戦艦群を撃破したが、同時に大損害を被っている。 第一艦隊が大打撃を受けた今、これからの中部太平洋での戦いは第二艦隊と、空母 主体の第三艦隊、それに基地航空隊に頼るしかない状況だ。 この状況では、第五艦隊を増強するために、第二、第三艦隊から引き抜ける戦力は、 ほとんどないに等しい。 さらに潜水艦主体の第六、第七艦隊も、中部及び南太平洋洋上での監視と通商破壊

4. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

したがって占守島では、第七三旅団本部は島内を大まかに五つの地区に分けて、防 衛態勢を敷いていた。 敵軍の想定上陸個所が、北部の竹田浜しかない占守島では、北部に重点を置く形で、 複数の砲台や野戦陣地群が設けられている。 だが歩兵大隊以外の師団直轄の部隊は、占守島では旅団本部の指揮下に置かれてい る。 特に戦車第一一連隊は、派遣に際して、米ソ双方の部隊との交戦を想定して、保有 する装備を一新していた。 ます同連隊が、従来保有していた戦車は、九五式軽戦車 ( 三七ミリ砲装備 ) 二五両、 九七式改中戦車 ( 四七ミリ長身砲搭載 ) 一五両と一式中戦車 ( 五七ミリ長身砲搭載 ) 二〇両だった。 ただ対峙するソ連軍は、七六・一一ミリ砲搭載の引中戦車を連隊へ大量配備してい る。 ノモンハンで戦ったソ連赤軍のように、旧式の % 軽戦車や中戦車が主体なら ば脅威ではないが、 e 引中戦車だと話が違う。 そこで九〇式野砲を改装した三式七五ミリ戦車砲搭載の三式中戦車が、九七式改や 一式中戦車に替わって、導入されている。

5. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

帝國陸軍の歩兵は、行軍時には跨乗しても、戦闘時には全員が下車して、徒歩で進 む随伴歩兵であった。 ンデイト しかも英国製の携帯無線通話装置を歩兵分隊の分隊長へ携行させたことで、戦車長 は車内から、随伴歩兵分隊長との通話が可能になった。 これは車内からの視野が狭く、死角が多い戦車にとっては、外部からの警告や通報 も当てにできるぶんだけありがたかった。 対戦車銃や対戦車砲も、車内では見え難くとも、徒歩で進む歩兵から見れば一目瞭 然だ。特に移動中の対戦車銃は、その長い銃身が槍のように目立つ。 また、樹木がわすかしか見当たらない占守島の自然では、地面を深く掘らずに、そ のまま配置について、擬装網を被せただけの対戦車砲も、これまた歩兵には目立っ存 連在であった。 魂 まさに下車後に散開して進む随伴歩兵は、戦車中隊には貴重な目と耳だった。 対照的にソ連赤軍では、このような役割を跨乗歩兵分隊にはまったく期待していな 壮かった。 章 まして轟音を発しながら、起伏のある地面を疾走する引 / 新に、しがみつくよう 五 第に乗る跨乗歩兵には、周囲の異変に耳を澄ませ、油断なく警戒する余裕はない。 これ一つを取っても、歩兵を消耗品と割り切る赤軍よりも、帝國陸軍の方が歩兵の

6. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

個々の性能では劣っても、戦術と搭乗員の技量で、ある程度の不利は補える。 まして索敵情報によれば、四嶺山正面に展開している敵戦車は、二〇両前後と見ら れており、数的には戦車第一一連隊の方が有利だ。 むろん数の優位だけで戦車戦の勝敗が決まるとは、露ほども思っていない。だが占 守島が初めての赤軍戦車に比べ、島での生活が長い一一連隊の将兵は、島内の地理や 地形に通じている。 だから正面装甲の不備は、起伏の多い地形を最大限に利用して、中距離以下からの 砲戦を挑めば、三式中戦車なりの戦い方はできる。 最近もソ満、満蒙国境付近で、続発した国境紛争でも、赤軍は意識的に新型兵器を 前線へ投入して、極東地域での運用を試していた節がある。 隊 しかも引 / 新中戦車や重戦車に混じって、重戦車も姿を見せていた。 連 魂 満州方面で四式チトに続いて、五式チリの配備が急がれているのは、この重戦 車に対抗する必要があるからだ。 壮 このク退治ツに五式中戦車の車体を流用した五式重砲戦車ホリと、四式中戦車 章の車体流用の五式自走対戦車砲車カトの生産にも着手していた。 第 このホリ車とカト車は、共に新たに開発した一〇五ミリ ( 一〇センチ ) 加農 / 対戦 車砲を装備した車両で、射程と貫通力で搭載の一二二ミリ砲を、凌駕することを

7. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

判明する。 すると副官を伴って、前方を眺めていた池田連隊長は、素早く丘陵を駆け下りた。 丘陵の陰には、連隊本部の三式中戦車を含む、第一中隊のチヌ車が待機している。 右手の丘陵付近には、地面の凹みを掘り広げて造った応急陣地に、三式改砲戦車が 車体を隠して待機している。 こうして応急陣地に車体を入れて、砲戦を交える戦い方を、英米軍ではダックイン と呼ぶらしい。巣で卵を温めるアヒルの姿を連想させるからだろう。 凹みに車体を隠して、敵戦車を邀撃する戦術は、全体を曝さないぶんだけ、敵戦車 から狙われる範囲は小さくなる。 固定砲塔とは言っても、ホニⅣは砲塔前面に追加装甲を溶接して、最大装甲厚を六 隊 〇ミリに増やしている。 連 魂 もっとも八五ミリ砲の徹甲弾を喰らえば、果たして貫通しないですむかどうかは、 正直言って微妙なところだろう。 壮そこで乗員は、さらに砲塔の前面に幾重にも、土嚢を積み上げるなどして、わすか 章でも防御の強化をしている。 第 ただ戦車の存在を隠すような擬装は、あえておこなってはいない。むしろここで待 ち受けているのを、ソ連軍戦車に誇示するような格好だ。

8. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

また跨乗する戦車に徹甲弾が命中したり、対戦車地雷を踏めば、その戦車を放棄し て、ほかの走行中の戦車に飛び乗るしかない このような戦い方をしているから、東部戦線での跨乗歩兵の平均寿命は、年単位で はなく、一日単位で計算されるという。 ウォッカ なお赤軍では、攻撃前に狙撃兵 ( 歩兵 ) に火酒が特配されるのが習慣だ。 これは士気高揚と言うよりも、酒の酔いで恐怖感を麻痺させることが目的だ。 そして今回も、充分な火力支援のない中、攻撃を続行させるために、当然のように ウォッカが特配されていた。 彼らは海に慣れない陸兵だったから、荒れる北方海域で耐波性の悪い上陸用艦船に 乗れば、当然の如くほとんどの者が船上で船酔いしている。ようやく波打ち際で下船 して、嘔吐が収まった。 戦 下士官兵の多くは海岸に座り込むと、接岸した揚陸艦艇から、戦車や自走砲を含む、 の 島 さまざまな車両が導板を渡って上陸するのを、漫然と眺めていた。兵士の多くは、い 守 占 まだ青ざめた顔をしたままで、しばらくはここで休めることを期待していた。 章 だが期待は見事に裏切られた。その直後に、突然集合を命じられると、中隊付きの 第政治将校が現れて、すぐに出動することを告げたからだ。 だからほとんどの者は、特配の火酒を水筒に入れたまま、それを味わう暇もなく、

9. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

が安全だと思い込むのだ。 確かに現時点では、戦車から飛び降りた瞬間に、対人地雷を踏むことを恐れて、足 がすくんでいただろう。 だが対人地雷が埋まっていたら、その先には大型の対戦車地雷が、埋設されている 可能性に気づくべきであった。その事実に気づいたのは、乗車する e 引が三式対戦車 地雷を踏みつけ、爆発した瞬間だった。 三式地雷の爆薬量は eze 火薬約三キログラムだから、 e 引 / 新戦車の履帯を破壊 するだけでなく、車体も破損させるに充分な量だ。 しかもご丁寧なことには、引中戦車の砲弾は、車体の床部分へ弾薬ケースに入れ たまま、積み上げているのが普通だ。 軽油を使うディーゼル主機だから、欧米のガソリン主機搭載車とは違い、 被弾して 戦 も発火する心配は少ない。ただ車体の床に積み上げている砲弾に命中すれば、話は違 の う。砲弾の装薬に被弾すれば、次の瞬間に誘爆するのは確実だ。 守 占 だから通常ならば、一番被弾しにくい床に、装瞋時の不便を承知で置いたのだろう。 章しかし地中に埋められた対戦車地雷が爆発した衝撃は、履帯や転輪を破壊するだけ 第 でなく、床下から車体にも及ぶ。 実際、三式地雷を踏んだ e 引四両のうち、三両は瞬時に弾薬に誘爆した。

10. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

が被弾しており、二両が直撃弾で撃破されている。 この交戦で驚いたのは、ソ連戦車大隊であった。 非力な相手を簡単に撃破できると思い込んでいただけに、思わぬ強烈なパンチを喰 らい、先頭を走る三両が撃破されたのだ。 この事態に激怒した戦車大隊長は、数で勝る優位を利用して遮二無二攻撃し、撃ち 破ろうと考えた。 肉薄戦闘時に通常おこなう散開隊形を命じる赤旗を、ハッチから突き出す様子がな いのだ。 部下の戦車は大隊長車が赤旗を掲げない以上、隊形を変更できない そこで相変わらず、密集隊形を維持したまま、突進をおこなっている。 そのときだった。丘陵の陰に隠れていた池田連隊長は、直率の第一中隊と共に側面 から、一気に引の群れに襲いかかった。 「各車、肉薄して発砲せよ。照準は車体側面か機関部を狙え。砲塔側面を狙、つのは、 二〇〇メートル以内に肉薄してからだ」 突入前に池田大佐は、こう言い渡していた。どうやら池田大佐は、あえて乱戦に持 ち込んで、敵戦車を撃破する腹だ。 実際、この側方からの突撃を受けたとき、跨乗歩兵が全滅していたソ連戦車隊は、