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検索対象: 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)
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1. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

の決意を打ち明けた上で、政治将校を射殺する。 そこで初めて、自分の意思で命令を出すことができたが、これはもちろん反逆罪で ある。 ただしこれほどの度胸と決断ができる指揮官や将校は、大粛清後の赤軍には、ほと んど存在しない。 実際、師団司令部が消滅して、師団長と政治将校の消息が途絶えても、第皿狙撃師 団の各部隊は指令書どおりに戦い続けた。 この事実を、あとになって知った堤中将は、思わす天を仰いで言った。 「勝利か、しからずんば死か : : : まさに帝國陸軍と同じ土俵で戦う相手というわけか 隊 っ 0 魂 「師団司令部と連絡がとれない ? それがどうした ? 我々は命令に従って、戦うだ 壮けだろう、同志」 章通信将校から、この緊急事態に関する報告を受けた連隊長は、かたわらに立っ連隊 第政治将校をチラリと見てから言った。 命令書に記載されていたのは、〔連隊はⅢ高地を総力を挙げて攻撃し、速やかに占

2. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

北のソ連であり、有能な人材を配備していた。 だから現地の第五方面軍や第五艦隊では、戦略優先の大本営の作戦指導に、異を唱 える参謀は、この伊東陸軍大佐だけではなかった。 第五艦隊の志摩司令長官も、大本営や聯合艦隊司令部の方針には納得しておらず、 執拗に意見具申を繰り返したらしい。 結局、現地方面司令部からの抵抗を恐れた大本営と参謀本部は、妥協策を出してい る。 それは北方方面の戦力の一部を、期限付きの形で方面軍の裁量下に置くことであっ 裁量下に置けば、北千島へ救援に振り向けることは先刻承知であるが、このやり方 ならば、全責任を現地の方面軍や艦隊が負い、大本営が黙認することで北千島への対 魂 応もできる。 大本営の参謀らも、現地司令部が独断専行することを恐れて、この際は官僚的な 列 ~ 壮発想で妥協を図った。過去には、満州の関東軍や華北の中国進駐部隊が、大本営の頭 章ごなしの指導や指示に反発した結果、現地部隊が暴走したことがある。 第その結果、現地での紛争が拡大し、事態を収拾するために、帝國政府が長期間にわ 幻たって苦労した苦い経験がある。その反省から、大本営や参謀本部、あるいは軍令部

3. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

224 専門訓練を受けた要員を、この場で一度に失えば、個々の部隊はともかく、師団レベ ルでの指揮統制能力は壊滅したも同然だった。 しかも今回は、第皿狙撃師団の師団長と師団政治将校も、合わせて戦死させていた から、これ以降、第皿狙撃師団は司令部機能を、ほば喪失していた。 さらに師団傘下の赤軍部隊は、島内各地で戦う部隊同士の連携も、次第にとれなく なっていった。 もっとも指揮連絡系統の維持をきわめて重視する英米軍とは違い、赤軍では上級司 令部は用があるときにだけ、下級部隊と連絡をとる傾向がある。 したがって変更命令が届かない限り、赤軍の下級部隊は、直前に指示された命令を 忠実に守り、独断で変更や判断することはない。基本に忠実と言うよりも、上級者に 判断を委ねて盲従することが、下級者に課せられた義務であった。 命令書や報告書に、指揮官と並んで政治将校が署名するのも、政治将校の役目が上 級司令部の決定を厳密に守らせることにあるためだ。各戦術単位に配属されている政 治将校は、必要とあれば指揮官を解任できるし、指揮官を逮捕して自らが指揮を執る 権限も、非公式だが認められている。だから赤軍部隊の指揮官は、不利な状況であっ ても、自己判断で撤退や降伏を決断できない。 もしこのような行動に出る場合には、少なくとも信用のおける部下や副官に、自分

4. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

238 時限信管付きの榴弾を低伸弾道で撃ち込むことにより、砲列を敷いた七・ , ハ二セン チ野砲は、四嶺山の陣地群へ充分な砲撃を加える間もなく、次々に撃破されてい った。 これは高射砲の連射性能もだが、高速で飛行する航空機を狙い続ける技量が、対砲 兵戦でも充分通用したというわけだ。 一個中隊の野砲が短時間で壊滅させられたことは、赤軍歩兵にとって、予想外の反 撃だった。 だが逆に言えば、この高地攻略を狙うソ連赤軍部隊を大いに刺激したことは間違い 激怒した連隊長は、新たな対策をとるように部下を集めて厳命した。 「師団司令部は、同志諸君にこの高地を攻略せよと命じた ! 我々の使命は、それに こた 応えることだ」 その後しばらくして、師団司令部との連絡は途絶えたが、命令の変更や中止命令が 届くまで、攻撃は続行される。 こうして麓に展開した野砲が、砲撃を開始して間もなく撃破されると、今度は引 / 新中戦車を並べて砲撃に出た。 薄い防楯一枚しか防御手段がない野砲に比べて、分厚い装甲で覆われた戦車は、榴

5. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

それは戦艦群が動かない限り、聯合艦隊の本格攻勢ではなく、「威力偵察だと誤認 させたかった」とも、見ることができる。 実際に米太平洋艦隊司令部は、通信傍受の解読情報から、聯合艦隊司令部の所在地 を誤認していた。 主要な作戦命令は、相変わらすトラック環礁内の通信所から、暗号通信文の形で発 信されていた。 確かに帝國海軍は、本土と内南洋との間に、通信連絡網を維持していたから、基本 的な送受信はこのルートを使っていた。 また内南洋と周辺の島嶼の間には、秘かに海底ケープルを敷設しており、重要な指 示や通信は有線を使っていた。 でんらん じつは、ジョンストン島にも占拠後間もなく、電纜敷設艦が来航しており、ウェー 戦 航ク島との間に海底ケ 1 プルが敷設されていた。 岸したがってこのジョンストン島からでも、複数の通信中継所を経由するが、短時間 西 でトラック環礁や内地へ、通信を送ることができた。 章 これを受信したトラック環礁の司令部では、新たに乱数暗号文に組み直して、無線 第通信所から発信していたのだ。 しかもこのカラクリを、米太平洋艦隊情報部は見破っていなかった。

6. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

論はなかった。 一個中隊が強襲に失敗して、壊滅した先例があるから、マカレンコ大隊長の命令に は誰もが納得していた。もっとも大隊政治将校は、この悠長な攻撃準備の状況を見て マカレンコは平然としていた。 心配を隠さなかったが、 とにかく時間をかけるなら、まずは懲罰大隊を使い、地雷原の除去から始める。 そしてその間に野砲中隊は、ゆっくりと野戦陣地を構築して、砲撃の準備をおこな 「大隊長同志、必要以上に時間を費やしては、連隊長や上級司令部から叱責を受ける ことになるのでは : もちろんプルガーニン大隊政治将校が心配するのは、自分にも連帯責任が及ぶから だがマカレンコ少佐は、微笑みながら言い切った。 「プルガーニン同志、安心したまえ。連隊や師団司令部は今ごろ、自分たちに向けら れた敵の攻撃を防ぐだけでも、精一杯のはずだろう。運命とは皮肉なものだよ : 予言者のような口振りであったが、事態はマカレンコの予期したとおりに進展して 別ルートで島内奥深くへと進軍した第狙撃連隊と第皿狙撃師団は、このとき堤中

7. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

方面から駆けつける増援部隊と共に、樺太北部の制圧を狙っていた。つまり第五艦隊 そうや 司令部の狙いは、樺太南部と道北との間にある宗谷海峡を確保することが最優先事項 だった。 まみや さらに作戦が進展すれば、樺太と沿海州を隔てる間宮海峡も確保する。 間宮海峡を一水戦が確保すれば、沿海州のソ連赤軍は樺太北部へ増援部隊を送り込 めなくなる。 大本営としては、樺太北部の油田群を早々に押さえることが戦略目的であった。 したがって一水戦に編入された増援の駆逐隊の役目は、樺太全土を陸軍が制圧する までの間、千島列島の海上優勢を確保することだった。 もっとも木村昌福少将は、第五艦隊の指示に不満を隠さなかった。 「露助がヤンキ 1 の手助けを受けて攻め込む先は、南樺太ではなく、北千島だ ! 」 木村提督は、志摩司令長官に向かって、再三命令の再考を要請したが、志摩中将も 大本営からの命令を、艦隊レベルでは覆すことはできない。 そこで木村提督は「一個駆逐隊だけでも根室港に配備して、増援の駆逐隊から要請 があれば、即座に出撃させたいと懇願した。 これには志摩中将も、木村提督の要求を承認するしかなかった。 そんな最中であった。占守島に米ソ連合艦隊が押し寄せ「ソ連赤軍ガ竹田浜へ上陸

8. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

聯合艦隊傘下の第五艦隊だけでなく、帝國陸軍第五方面軍 ( 北海道・北方 ) 司令部 が、アリューシャン方面へ食指を動かさなかったのには充分な理由があった。 北千島には、艦隊が収容できるほど、大きな湾がある場所が意外に少なく、冬季の 季節風や嵐の際に、風雨を避けて、艦隊が避難できる湾が近くの島になければ、遠方 の島まで後退しなければならない。 じつは、北方海域で艦隊が巡航する際に、頻繁に利用されているのは、南千島の択 ヒトカップ 捉島の単冠湾であった。 この湾は広いために、複数の戦艦や空母を余裕を持って収容できた。 ただ北千島の島々には、これほどの好条件を備えた湾はなかった。 そのようなこともあって、北千島方面には事前に強力な艦隊を配して、米ソの攻撃 よ、つげま - を邀撃することは無理であった。 「いくら攻撃が予想されるからといって、付近に収容できる港湾もないのに、艦隊を 密配備するのは難しいでしよう」 軍令部総長は常識論から、北千島への艦隊配備が困難であることを告げた。 章「だが島に駐留する守備隊だけでは、敵の攻撃や上陸を防ぐのはきわめて難しい。海 第軍が適宜に艦隊を派遣しなければ、守備隊は全滅を覚悟しなければならん」 軍令部総長の発言に反応したのか、参謀総長は早速反論する。 ロフ エト

9. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

設を攻撃するというのが、九一師団司令部の出した判断だった。 二式複戦丙型と五式襲撃機は、共に胴体下面の爆弾架に二五〇キロ爆弾各二発を装 着して離陸している。 ただし襲撃機は、急降下爆撃ができないので、低空からの水平爆撃で命中精度は低 、。したがって施設の完全破壊は、襲撃機だけでは難しいとの判断であった。 そこで空襲と連携するように、島内の複数の砲台からも、この施設へ標定砲撃を加 えることが決まった。 もっとも杉野少将だけでなく堤中将も、この野戦通信基地が前線司令部を兼ねてい るとは知らなかった。じつは、九一師団だけでなく、七三旅団本部も、敵師団の司令 部は上陸地点の竹田浜か、その周辺にあると見ていた。 ただ竹田浜方面の残留斥候や潜入斥候班は、依然としてソ連軍の師団司令部の位置 を特定できずにいた。 実際、九一師団司令部からの要請を受けて、第五方面軍司令部では南千島へ進出し 壮た重爆隊を、出撃させる計画を立てていた。 章 この爆撃機隊とは、四式重爆飛龍装備の飛行戦隊で、五〇キロ焼夷弾と破片爆弾の 五 第併用で、竹田浜の海岸堡を焼き払う計画であった。 英米軍の双発爆撃機に比べて、爆弾の搭載重量が八〇〇キロときわめて少ない帝國

10. 新東亜大戦 4 (アメリカ本土最終決戦)

だから聯合艦隊司令長官といえども、無理に取り上げることはできなかった。 それに意外かもしれないが、小沢は軽巡洋艦大淀を気に入っていた。 図体がでかい戦艦は、艦隊旗艦として使うには、大袈裟すぎる艦種であった。 なにせどこへ行っても、無闇と目立ってしまう存在だし、常に護衛の駆逐艦数隻を 周囲に配備しないと、前線にも出られないのだ。 わずら 本音を言えば小沢は、こうした戦艦に仰々しく将旗を掲げて行動するのは、煩わし くてしよ、つかなかった。 加えて、艦内に余地がある戦艦は、参謀長とか先任参謀だけでなく、さまざまな司 令部スタッフを、収容できることから大勢が乗艦した。 ところが小沢は、このような仰々しい司令部幕僚団をク大名行列クと呼び、不快感 戦を示した。 空 余計なスタッフが多すぎて、情報伝達や指揮系統に混乱が生じている。 航 だから小沢の本音は、限られたスタッフだけを乗艦させて、残りは陸上司令部に置 西き去りにした上で、効率化を図りたかった。 嶂それには聯合艦隊司令部を入れる器を、あえて小さくして、思い切った削減をする 第のが、一番手つ取り早い方法だ。 しかも今回、大淀の後部区画にある艦載機格納庫を、司令部施設区画へ転用したこ