渋谷系ではありません。渋谷系という言葉が世に出回るころにはフリッパーズ・ギター は解散していたのですから。フリッパーズは渋谷系と括られたアーティストの中の一部 に影響を与えたバンドであっても、渋谷系ではありません。ピチカート・ファイプも同 じ立場だと思います。 渋谷系という言葉ほど指し一小す範囲が曖昧な言葉もなかなかありません。そもそも音 楽のジャンルを指しているわけではないのですから。渋谷の音楽マニアが集まるような レコード屋で推されていたような複数のマニアックな音楽の中の、オシャレなイメージ で括ることができるような音楽をやっていた人たちが、レコード屋によってひと括りに 紹介されたような感じだと思います。 ソウルやフレンチ・ポップといったようなポップスやボサノバのような欧米のロック 以降の文脈ではない音楽を引用して再構築するような傾向もあったとは思います。それ だと、ネオアコって何か違、つよ、つな気がすると思、つ人もいるかと思いますが、一兀々ネオ アコというのはパンク以降の方法論でソウルやモータウンのようなポップスを再解釈す 157 第五章オザケン人気が謎すぎる
には何も思わないのですが、文化的特異性や優位性みたいなものを語られると違和感を 覚えてしまうのです。そういった文化的なものは扱っている音楽は違えど様々なシーン に同時代的に存在したのですから。私にとって渋谷系という領域はその中の一つでしか ないのです。こういう考えになってしまうのは、当時曲がりなりにも演者側にいたから なのかもしれません。 最近、『青春狂走曲』というサニーディ・サービスのインタビュー集を読んだのですが、 曽我部恵一さんをはじめ、メンバーの言っていることはほば同世代の人間として感覚的 に共感できる部分も多いのですが、インタビュアーの北沢夏音さんのフリッパ ーズ・チ ルドレン丸出しというかザ・渋谷系みたいな地の文に関しては違和感しかないのです。 これは自分の当時の立ち位置から見た景色であって、音楽産業の中の人から見た渋谷 系も、当時川代で地方でリスナーとして見ていた人の思う渋谷系も全然違う景色だと思 います。別にこれが正解というわけではないのです。逆に渋谷系に過剰な思い入れがある 人もそれは一つの見方でしかないのだから、あまり興奮しない方がいいと思うのでした。 161 第五章オザケン人気が謎すきる
るという側面があるものなので、別に問題ないと思います。 渋谷系という言葉が流行ってから、そのイメージに戦略的にただ乗りしてこようとし たアーティストが出てきたりしたため、さらによくわからない感じになっていますが、 本来はこんな感じだと思います。渋谷系は音楽のジャンルではないし、渋谷という街の 中で流行っていた音楽でもないのです。 そういえば、渋谷は年代前半の私にとってのようなレコード屋にレコードを 買いにいったり、クアトロやラママといったライブハウスにライプを見に行く街であり ましたが、 同時に夜中に「うだけー ( 字田川警備隊 ) いたらやだなあ、とビビりながら 歩く街でもあったのです。 ードコア・ 年代、すでに上京していた私は大学の音楽サークルに所属しながらハ ンク ( 細かく一言うとこの中で色々と界隈が分かれているのですが ) やノイズ、ボアダムズ 周辺、ガレージなどのライプに通いつつ、そこで知り合った人たちによく知らなかった 音楽を聴かせてもらったり、クラブに一緒にいったりしてました。キミドリの Q —のま 158
フリッパーズのお手本になるところが多かった 1 レーベルにしても、音楽やビジュ アル面に関してスノビッシュでコンセプチュアルではあっても、オシャレというよりは、 完璧な大正時代のファッションで決めて道を歩いている人みたいなオタクつほい執着の 方を強く感じてしまいます。日本で受け取られているような意味では全然オシャレじゃ ないのでは。 こ、ついうのは結局日本人の白人コンプレックスに原因があると思うのですが、イメー ジに左右されず音楽を聴いてもらいたいものです。とはいえ、フリッパーズの人気の一 因として、彼らが打ち出すルックスを含めたビジュアル的イメージがオシャレだったの と、それによってつほい幻想が投影しやすかったのがあるわけですが。 渋谷系ってなんだ々 フリ・ . ッヾ ーズと一一 = ロえば渋谷系のイメージがありますが、実際のところフリッパーズは 156
フ / 第四章松本人志という権威 つまらなくなったと評判の松本人志 / あの筋肉のせいなのか / 「ワイドナショー」での微妙なしゃべり / ゥーマンラッシュアワー・村本大輔はなんなのか 第五章オザケン人気が謎すぎる新 僕とフリッパーズ・ギター / フリッハーズ・ギターってそこまですこいか ? / 渋谷系ってなんた々 / 君は「燃え殻」さんを知ってるか / オザケンは超ポジティブ 7. 第六章ミス 2 と暴力 ミス 2 という治外法権 / 日野皓正のビンタ あとがき 188
れないことが多いので、時代が経ってしまうと証言者たり得る人の目星すら付けにくく なり、知ることが難しくなってしまいますね。 年代のこういったことを考えると、村松さんのことが頭に浮かひます。、ス マーフ男組での音楽活動や『』の編集者を一時期やられていたこと等で知ら れる村松誉啓さんのことです。最初に村松さんにお会いしたのは、に在籍して いた龍一くんが他にやっていたバンド・ O のドラマーを やられている時でした。 O > Q) は初期プラック・サバスやを変拍子 、 ) ロックバンドでした。 主体にしてハードコア・パンクの攻撃性を加えたようなかっこしし 私にとって村松さんは当時の東京の潮流を象徴するような人物の一人でした。本当に面 白くて素敵な人でした。忘れられない人です。 渋谷系とされたバンドの個々の音楽やビジュアル的な傾向について思い入れがある分 160
こちゃんのレコード持ちを一日で首になったり ( 理由はレコードを落としそうだから ) 、 暴力温泉芸者の周辺に出入りするようになったり、プンクポイというソロュニットを始 めたり、その後ロマンポルシェ。を始めたりするわけです。 東京のインデイベンデントな音楽シーンに関する自分の当時の実感としては、各音楽 ジャンルごとにそれぞれのシーンはあるけれど、そういったものをどんどん越境してい くような同時代的な流れが同時にあって、渋谷系と呼ばれているあたりから自分たちの あたりまで一つの大きな潮流の中の別の地点にいたような感覚があります。地続きにな ってる領域があったのです。 そういえば、囲年代後半の恵比寿は色んな人たちの交差点として機能してい ました。細かい話をしだすと、この章では到底おさまりきらず、本書のテーマとも大き くずれてしまうので、非常に雑ですがこれぐらいで止めておきたいと思います。東京と は言いましたが、私が把握できている範囲がそれぐらいということなので、もしかした ら他の土地でも起こっていたのかもしれません。こういう現場レベルでのことは記録さ 159 第五章オザケン人気が謎すぎる
そして、松本さんの印象を悪くさせている大きな原因の一つとして『ワイドナショー』 があげられると思います。 『ワイドナショー』でのビミョーなしゃべり 『ワイドナショ ー』は現在日曜日の朝にフジテレビ系で放送されているワイドショー形 式の番組で、松本さんはレギュラーコメンテーターとして番組に参加しています。芸能 ニュースやワイドショーといったゴシップを主体としたコンテンツを本来好まない松本 さんをメインのコメンテーターに据えることで、既存のそういった番組にはない新しい ものを作り出そうとしているのがうかがえる番組です。 なぜ、この番組が松本さんに対するかんばしくない印象を育ててしまっているのでし よ、つ、カ ? ・ 女優のさんが、夫の俳優さんやその周囲の人物に対して。や。 を通して強烈かっ不可解な批判を繰り返していたことがありました。それに対して松本 1 引第四章松本人志という権威
少なくとも現在ではネトウョ的な人たちは年齢・学歴・収入・性別を問わずいるわけ で、ネトウョって今はある意味では普通の人なんですよね。そこを認識しなければいけ ないのかなと思います。 気になるのが、ネトウョは妄想の世界で生きていればいいですけど、安倍さんはネト ウョ的な世界観を共有している部分があるとはいえ、現実の世界の政治家です。対中国、 対韓国、対北朝鮮といったところでネトウョの期待に沿えなくなることだってあります。 いや、対アメリカだって現実の姿とネトウョが語る安倍さんの姿では、一致しているわ けではありません。妄想で補完されているだけです。 安倍信者系の人たちは、理想の安倍さんと違う姿を安倍さんが見せだしたとしたら、 そのままついていくのでしようか ? 新しいヒーローを探しにいくのでしようか ? 水原希子叩きのバカバカしさ 韓国人である母とアメリカ人である父の間に生まれたモデルで女優の水原希子さん。
いて多少語られたことはあっても、強引な勧誘、しつこい勧誘は受けたことはありませ ん。強引な勧誘と言えば、学会と同じ日蓮宗系であり対立関係にある宗教団体・顕正会 の方が今もすごいのではないでしようか。一昨年も事件になってましたし。自分が実生 活でそれぞれ複数回ずつ耳にした強引な勧誘話は顕正会と統一教会によるものでした。 あ、あとエホバの証人の訪問がありました。 学会という組織自体は、出版妨害、批判者に対する盗聴、捏造した証拠に基づいた訴 訟など裁判ではっきりしているだけでも過去に多くの問題を起こしていますし、今も確 定されていないだけで色々な疑惑が残っていますが、信者の人柄とは無関係です。善良 な人々が一部の人間の利益のために騙されるかのようにして利用されているように見え る状況は悲しいものです。 宗教について、また信仰と搾取みたいな問題について何件か考えてきました。世の中 には色々な宗教がありますし、その中には様子のおかしな宗教も多く存在します。 1 13 第三章新輿宗教との付き合い方