5 1.2 有限要素法の特長 図 1.3 曲面を平面の集まりで近似する とするよりも 解く 単純な方程式ができる一→ 工学的に近似を入れる一→ という方が見通しがよく , 親しみ易く , まちがいも少ないのではなかろうか . 有限要素法は後者に属する解法である . 解釈のしかたによっては , 前者の一 種であるといえないこともないが , 工学関係者の多くは , だいたい後者 , すな わち , 有限要素法は工学的近似解法である という考えで有限要素法を使っている . 近似のバランスがよい近似計算を行なう際に大切なことは , 近似のパラン スである . 万程式だけが厳密でも , 組い計算しかできなければ , 精密な答は出ない 十算だけが厳密でも , 方程式が雑ならば , 精密な答は出ない 適度に工学的近似を用いて方程式を作る その方程式を適当な精度で解く とするのが賢明である . 筆算の時代には , 複雑な数値計算は不可能であった . したがって , 方程式も 単純にする必要があった . それにちょうどマッチしたのが , 前記の「何でも梁 として扱う」という方式であった . しかし今日では , コンビータが使用でき ニ = ロ だから
4 ・ 2 連立 1 次方程式の解法 J T = L L ( J E) I I T = I T ー J T 十 1 9 TK ( I I T , JT ) = TK ( I I T , JT ) + EK ( I E , J E ) これは図 4.3 の「添字の対応」をそのまま書いたものである . 実際には , DO ループを次のようにまわす方が ( 仮想記憶方式の場合 ) 有利 I I T DO DO である . = I T ー JT 十 1 J T = L L ( J E ) I T = L L ( I E ) 9 1 E = JE , NN 9 JE = 1 , NN ー J T I M J = L L ( I E ) DO 9 1 E = JE , NN J T = L L ( JE ) 1 , NN DO 9 J E 次のように書けば時間がもう少し節約になる . 9 TK ( I I T , JT ) = TK ( I I T , JT ) 十 EK ( I E , JE ) 4 ・ 2 連立 1 次方程式の解法 本書のプログラム例では , この形を用いることにする . 9 TK ( I M J + 1 , J T ) = TK ( I MJ + 1 , J T ) + EK ( I E , J E) るが , 本書では Choleski( コレスキー ) 法を用いることにする . のよい解法があるので , それを用いるとよい . そのような解法は , いくつもあ 対称なノくンド・マトリックスを係数とする連立 1 次方程式に対しては , 能率 を解く部分である . プログラムの中で , もう 1 箇所 , 改造する必要があるのは , 連立 1 次方程式 リックス ( 対角より右上が全部 0 であるよフなマトリ ス = んん T 下三角マトリックスんと , その転置マトリックスん T の積に分解する方法の一 もともと , 対称 ( かっ正定値の ) マトリックスを , Choleski 法これは , つである . すなわち , になるような下三角マ ト
3 ・ 3 方程式作成の自動化 節点 3 における方程式を加えあわせると ーた 2 ″ 2 + は 2 + ん 3 ) ″ 3 ーん 4 ( 10 ) 節点 1 , 節点 4 の方程式は一つずっしかないので , そのままでよく , 以上の 4 式を連立させたものが全体の方程式になる . 固定条件と荷重条件をとり入れる上記のようにして作られた方程式は , い かなる固定条件 ( 拘束条件 ) , 荷重条件のもとでも成立する式である . これに を代入すれば , 変位を 0 に拘束する ( 固定する ) ことになり , ( は具体的な数値 ) とすれば , 荷重 0 ( いいかえれば , その成分は内力だけでつりあうべきこと ) と を代入すれば , 強制変位を与えたことになり , したことになり , とすれば , 荷重をかけたことになる . [ 例 ] 前記の例 ( 図 3.6 ) において = 100 とすれば , 全体の方程式は 100 ー 100 42 ( は具体的な数値 ) = 200 ー 100 十 300 2 ー 200 な 3 ー 300 〃 3 十 300 〃 4 = / 4 ー 20042 十 500 な 3 ー 30044 である . 節点 1 に 6 kg の荷重をかける = 300 (kg/mm) ( 11 ) 節点 4 を固定する という場合を計算するのであれば , = 6 / 3 = 0 を上記の方程式に代入して解けばよい . 代入し , 整とんする方程式は
54 3. 構造解析 表的な点 ( 節点という ) における変位を未知数にとり , それを補間する形で全域の変 位を表して ( 近似して ) いる・内力も外力も , すべて集中化して「節点にかかる力」 に換算した上でつりあい方程式を作って解く . 3 ・ 3 方程式作成の自動化 変位法では要するに力のつりあい方程式を作って解けばよいわけであるが , 複雑な構造物の場合には , 力のつりあい方程式を作るという仕事がなかなか大 変で , 人手でやると符号のミスなど誤りを起こし易い . そこで , これを自動的 に作成する方法が開発された . 自動化するには , 作業を分解し , 単純化すればよいであろう . つりあい方程 式を作る作業は , 次のように分けて段階的に処理することができる . 1 ) 2 ) 3 ) 各要素ごとに , 節点変位と節点力の関係式を作る . それを総合して全体の方程式を作る . 固定条件と荷重条件をとり入れる . 各段階の処理法を , 以下で順に説明する . 要素ごとの方程式構造物全体の方程式を直接に作ろうとすると作業が複雑 になるが , ーっの要素だけに注目し , そこだけの方程式を作るのであれば , 比 較的簡単であろう . 要領はだいたい前節で述べたとおりであるが , もう少し詳 しくいえば , まず節点変位を仮定する . それを補間すると要素内の変位が決まる . 変位を微分すると歪がわかる ( 式 ( 3 ) 相当 ). 歪に対して応力が決まる ( 式 ( 5 ) , ( 6 ) 相当 ). 応力と節点力の関係から方程式ができる . とし、う i ) ⅲ ) ⅳ ) v ) ことになる .
4 ・ 2 連立 1 次方程式の解法 式 ( 7 ) 105 5 3 出口 S = X ( K ) DO 5 1 = K P 1 , KP M I K = I ー K 十 1 S= S —L ( I K , K) * X ( I ) C O NT I N UE X ( K ) = S /L ( 1 , K) C O N T I NU E R E T UR N E N D [ 補足 ] 仮想記憶方式について ータには , 普通 , 2 種類の記憶装置 コンヒュ 主記憶装置 ( I C , コア ) 外部記憶装置 ( ティスクなど ) 高速 , 小容量 低速 , 大容量 が付いていて , その間のデータの転送は , 利用者の指示 (FORTRAN では , READ 文 , WRITE 文 ) にしたがって行なわれるのが原則であるが , それでは不便なことが 多いので , 大部分のデータは外部記憶装置に入れておく 必要時点に主記憶装置に転送して処理する 制御は一切 , システム・フ。ログラムが行なう ( したがって , 利用者から見ると , 大容量の高速記憶装置があるかのごとく利用でき る ) という方式が考案され , 広く使われるようになった . このような方式を仮想記憶 (virtual memory, virtual storage , 略して VS ) と、う . このような方式のコンヒ。 = ータで大量のデータを能率よく処理するためには , 次の 諸点に注意する必要がある . 1 ) データの転送には , かなりの時間がかかる ( 1 回の転送に , 10 元の連立 1 次方程 式を何題か解けるぐらいの時間がかかる ). したがって , 転送回数をなるべく 少なくすることが望ましい・ ページ単位で行なわれるの 2 ) 主記憶装置と外部記憶装置の間のデータの転送は , が普通である . すなわち , 数百ワードの ( 連続した番地に入っている ) データ が同時に転送される . したがって , 転送回数を少なくするには ,
3. 構造解析 成分別 ( ェ成分 , y 成分 , ・・・ ) に分類し , 節点番号別に分類しさらに 全体の方程式を作る上記のようにして各要素ごとに作られた方程式を り , 右辺には外カ ( もしあるとすれば ) だけが残るはずである . このようにすると , 内カ ( 要素相互間のカ ) は , すべて打ち消しあって 0 にな 同じ節点の同じ成分の方程式を全部加えあわせる [ 例 ] 1 次元の問題 ( 図 3.6 ) を考える . = E ぇス i/li = 1 , 2 , 3 ) と置き , 前の例と同様にして要素方程式を作ると , 次のようになる . ー″ 2 ん一″ー十ん一〃 2 ん 242 ーん 243 2 2 十ん 2 〃 3 ん 3 3 ーん 3 ″ 4 た 3 3 十ん 344 1 2 3 3 4 節点 1 節点 4 げの右肩の数字は要素番号で , 「その要素から見た外力」であることを表す ). 節点 2 における方程式を加えあわせるとす ーん 1 + ( + ん 2 ) 2 ー昼 43 = / 2 ( 8 ) ( 9 ) 節点 1 Young 率 断面積 長さ 節点 2 図 3.6 要素 2 節点 3 節点 4 要素 1 要素 3 す工 2 ①と月 2 ) を加えると系の内力は打ち消されて系の外力だけが残る . と書くことにする . 工 3 についても同様 . それを f2
4. 実習用プログラム 98 ックス ) んを求める方法の一つである . このような分解ができれば , 連立 1 次方程式 ス x = 6 は , んん T x = となるから , とおけば となる . そこで , ( 2 ) を直接に解くかわりに 連立方程式 ( 5 ) を解く . 〃が求まる . それを用いて連立方程式 ( 4 ) を解く . ェが求まる . という 2 段階の形で解くことができる . これは , 一見 , 問題を複雑にしたよう ( 5 ) は , 係数が三角マトリックスの形を であるが , じつは , 連立方程式 ( 4 ) , たとえば , ( 5 ) は , 普通の式で書けば しているので , 容易に解ける . ( 4 ) 1 2 1 十 1 22 リ 2 / 引叭十 1 32 リ 2 十 1 33 リ 3 / 心十 I れ 2 リ 2 十 I れ 3 リ 3 十・・十 lnn リれ であるから , 上から順に = ( 62 ー 1 21 ) / Z22 ( 6 3 ー I 引ー Z32 リ 2 ) / Z33 = ( ーと lkj ) / lkk また ( 4 ) は , 普通の式で書けば というぐあいに解ける . れれ
B x 104 KP 1 = K 十 1 実数型 . 1 次元配列 . 方程式 ( 3 ) の右辺 . 実数型 . 1 次元配列 . 2 次元配列 . 記録形式は表 1.1 のとおり . 4. 実習用フ。ログラム 方程式 ( 5 ) を解く段階では , ーこにべクトル〃を入れる . 最終的には , 方程式 ( 4 ) の解 x が入る . B と x を分離しておけば , B の内容は破壊されない . [ 注 ] B と x に対応する実引数は同じもの ( 同じ場所 ) であ。てもよい . N N x M M L の宣言寸法 N x ( M + 1 ) L の実質寸法 式 ( 6 ) KMM= MAX 0 ( K ー M , 1 ) KM 1 = K ー 1 DO 1 K= 2 , N x ( 1 ) = B ( 1 ) / ( L ( 1 , 1 ) ) 方程式 ( 5 ) を解く . D I ME NS I ON L ハ 1 , (N) , B ( NN ) , X ( NN) D OUB L E P R E C I S I O N S R E A L L 2 1 S = B ( K) DO 2 J = KMM , KM 1 KJ = K— J + 1 S = S —L ( KJ , J ) * B ( J ) C ON T I N U E X ( K) = S / L ( 1 , K ) CONTINUE 方程式 ( 4 ) を解く . DO 3 KP M = MI N 0 ( K 十 M , N ) K = N ー KK 十 1 KK = 2 , N
3.5 マトリックスによる定式化 であるが , これは , 上記の式 ( 8 ) から「固定点 ( この例では点 4 ) に対応する 行と列を除く」という形で作ることができる ( なお右辺は , もっと早い時点で 代入しておいてよい ). 一般化一般の場合でも要領は全く同様であって , マトリックスによる処理 手続きは , 概略 , つぎのようにすればよい . まず , 個々の要素の方程式であるが , それは必ず という形になる . この係数マトリックス [ K] は , その要素の剛性を表してい るので , 要素剛性マトリックスという . 要素剛性マトリックスは , きわめて簡単な手続きで作成できる . いまの例の ような「スネ要素」の場合には , 剛性マトリックスは という形になる . この係数マトリックス CK ] を , 全体剛性マトリックスという . る . これも 合わせ , 加え合わせる . そうすれば , ひとりでに , 全体の方程式ができあが リックスができたら , 式 ( 4 ) ~ ( 6 ) のようにして , 全体の方程式のわく組みに こうして要素剛性マト スは , 全く機械的な手続きによって作ることができる . クスを作る公式が知られている . そういう公式を使えば , 要素剛性マトリック ( ただしんはノくネ定数 ) となる . 各種の要素について , その要素剛性マトリッ 結局 , 1 ) 2 ) 3 ) 4 ) 5 ) つりあい方程式を自動的に作成する手続きは , 次のようになる . 要素剛性マトリックスを作る . サイズを全体のわく組みに合わせる . 全要素について加え合わせる ( 全体剛性マトリックスができる ). 各節点にかかる荷重を並べる ( 右辺 { / } ができる ). 固定する点に対応する行と列を除く .
3 ・ 2 変 位 法 53 を入れて整とんすると 2 一 2 々 2 ー 2 十〃 3 3 42 ー〃 3 = ( 固定点 1 の反カ ) この連立方程式を解いて ( まず下の二つの式を解き , 結果を第 1 式に代入 ) = 0.5 点 1 バネ① バネ② 点 2 点 3 このように , 変位法では , 変形前 バネ①の特性ん 1 = 2 ( 軸カ 2g につき lcm 伸びる ) バネ②の特性ん 2 = 1 ( 軸カ lg につき lcm 伸びる ) 変形後 図 3. 4 各節点の変位を仮定する . それをもとに各節点でのカのつりあい方程式を作る . その方程式を解く ( 変位が求まる ). 変位から歪を計算する . 歪から応力を計算する . という手順で問題を解く . [ 備考 ] 連続体の場合 , 変位は連続関数になるが , 有限要素法では , いくつかの代