30 2 基本的な考え方 最も簡単なのは , 区分 1 次式 , すなわち「各三角形の上で 1 次式」という近 似である . その 1 次式のとりかたとしては , 各頂点でもとの関数 ( 実際の標高 ) に一致するものを用いるのが便利であろう . そのようにすると隣の三角形の上 の 1 次式と連続につながることになり , 図形的にいえば「折れ面関数」になる ( 図 2.8 ). それは , 数式的には次のようになる . 図 2.8 折れ面関数の例 ーっの三角形の頂点の点番号 ( 26 ページ参照 ) をれ ) , たとし , 座標をそれ ぞれ ( ェぃ ) , ( も , ) , ( 工い ) , 頂点における関数値 ( 標高 ) を , , とする . 一方 , 1 次式を 0 十工十 2 リ とする . 頂点れ去たにおいて , その値が , 丐 , になるためには 0 十工ん十 2 y ん 0 十ーエノ十 2 リノ な 0 十工を十 2 リを ( 2 ) ( 3 ) でなければならない . これを連立 1 次方程式と考え , 0 , , のについて解 けば , 1 次式が決まる . [ 例 ] 頂点の座標が ( 1 , 0 ) , ( 1 , 1 ) , ( 0 , 1 ) , そこにおける関数値が 1 , 0 , 1 ならば ,
2 基本的な考え方 2 ・ 5 標準的な有限要素モデル 上記のモデルは , 非常に直接的で明快である . しかし実際に使ってみると精 度があまりよくないす . そこで , 発想を逆転して ( やはり三角形分割を使うの であるが ) , こんどは 三角形を「熱の導体」・ ・・ ( 前記の「壁」に相当 ) 三角形の頂点を「温度を計算する場所」・ ・・ ( 前記の「部屋」に相当 ) にしてみよう . 熱容量は頂点に集中化させ , 熱の出入り ( 前記の QD も頂点だ けに限る , という形でモデル化する . いわば , 三角形の鉄板を頂点で溶接してつなぎあわせ , 頂点に熱容量を代表 ↑非線形問題の場合には非常に有利になることがあるが , いまのような問題に関し ては離散化誤差が大きいため不利になっている . 分割の形が適当でないと数十パーセン トの誤差が出ることがある . たとえば図 2.14 のような板を考えよう . 話を簡単にするため , 板厚は 1 cm, 熱伝導 率を 1 とする . 上下端では断熱 , 左端で T = 0 ℃ , 右端で T = 12 ℃とすると , 温度勾 配は 1 ℃ /cm となるはずで , それに幅 3 cm と熱伝導率 1 と板厚 1 を掛けただけの熱が 単位時間の間に流れるはずである . しかし , いまのモデルを用いると点 PQ 間の温度勾 配は 0 PE 十 FQ で計算され , それに幅Åが掛かるから , 熱が過大に流れる計算になってしまう . 熱の 通り易さの係数を式 ( 10 ) で計算すると ( Å = 。蓴 - 丁 6.7 , 戸可 = 戸寺 0.9 , 〒戸 = 豆 0 = 2 であるから ) , 戸 0 間が 3.72 , Q 間が 0.75 , それを合成するとや間で ( 0.72 ー 1 + 0.75 ー 1 ) 蓍 0.624 となり , 実際の値 3 / 6 = 0.5 よりかなり大きくなる . 6 cm 6 cm tuo € 図 2 . 1 4
3. 構造解析 80 y 成分。 ( ェ , の ェ成分ェ . の 変位 歪 変位と歪の関係 工 V ö工 ( 0 ( 0 十 応力 応力と歪の関係 { 。 } = D 作 } 平面応力モデル ( 厚み方向の応力が 0 ) の場合 0 0 ーレ ) / 2 レ 1 0 1 レ 0 2 平面歪モデル ( 厚み方向の歪が 0 ) の場合 0 0 要素内の変位を 1 次式で近似して 形状関数 夜 10 十夜工十夜 12 伐加十夜幻工十夜 22 0 0 0 ( 1 ー 2 レ ) / 2 ( 1 + レ ) ( 1 ー 2 v ) とおけば 夜 12 十夜幻 三角形要素領域を三角形の網目に分割し その内の一つの三角形の 頂点の番号を ( 有 , の ) 頂点の座標を ( 均 , 丐 ) 頂点の変位を 2 次元応力解析の計算式のまとめ 図 3.10 ( ェぃ ) ( 娵 , ) ( ェぃ ) ( ない )
3. 構造解析 三角形要素 2 次元の問題を有限要素法的に扱う際の最も簡単な要素は , 角形 1 次式要素である . 問題とする領域を三角形の網目に分け , 頂点に一連番 号をつける . いま , ーっの要素 ( 三角形 ) に注目し , その頂点の番号をれカん とする . この三角形の中の変位を , 1 次式 ″ = な十工十に y ( 11 ) 0 = 十な幻工十 22 y で近似する ( それは , 要素内の歪が一定であるとみなしたことに相当する ). 頂点における変位を 分 成 分 成娵 点ー 点歹 点た とする . これは上記のような表 ( 2 次元配列 ) の形で扱うのが論理的には明快 でよいが , そのようにするとあとの計算式をマトリックスで書けない ( 4 次元 的な配列が必要になる ) ので , 便宜上 , 3 点の変位成分を全部 1 列に並べて ェ成分 点 / の変位 y 成分 ェ成分 点ノの変位 y 成分 ェ成分 占たの変位 y 成分 の形で扱うのが普通である . 式 ( 11 ) のな , 設が頂点れカんにおいて上記の値 をとるためには 加十な工十リを一 10 十工ノ十 十な 11 工ん十貶張 十 21 工を十な Yi な十幻工ノ十 22 十れ工ノ十なん 0 ( 12 ) ( 13 )
2 基本的な考え方 1 枚目のカード ( 節点数 , 要素数などの指定 ) という性質があるから , 同じプログラムで計算することができる . 物質がたまれば濃度があがる 節点数要素数 ( 注 ) 節点数は 81 以下 . X X X X X X X X ( いすれも整数型 ) 熱入力および熱吸収条件の与え方には 定温度熱源 ( ある点の温度が一定として計算 ) 定熱量熱源 ( ある点に入る熱量が一定として計算 ) の 2 種類がある . 前者の条件を与える点の数が , 後者の条件を与える点の数が 節点カード ( 1 点につき 1 枚 , 番号順 ) である . れ / は 0 でもよい . 節点番号 X X 座標 要素カード ( 1 要素につき 1 枚 ) 要素番号頂点ー X X X X X X 頂点ノ 温度指定力ード ( 1 点につき 1 枚 ) 頂点ん X X 4 座標 熱伝導率 板 厚 点番号 X X 熱源カード ( 1 点につき 1 枚 ) 点番号 温度 点番号と要素番号以外 は実数型 ( 必す小数点 をつける ) 図 2 . 1 7 流入熱量 プログラム L AP の使用法の要点
146 節点番号のつけかた 使用するプ。グラにもよるが , なるく次の規則を守るとよい 細長い物の場合は , 一端から他端へ . ( そうすれば時間的に有利 ) 片持ちの形の場合は , 自由端から固定端 . ( そうすれば精度的に有利 ) 2 5 5. 使用法と計算例 1 3 4 悪い例 9 7 8 9 7 1 3 5 良い例 2 4 9 6 7 8 5 1 3 悪い例 10 8 6 4 2 要素分割の注意事項 厚み方向は少なくとも 2 層に する ( 特に , 1 次要素を用いる 場合 ). 良い例→ 隣接する要素の間で 辺は辺に 頂点は頂点に 接続する . この規則を守らない と , 実物よりも弱い ( ひびの入 った ) モデルになる . ↓悪い例 左の図の場合 , 図 5. 1
2.5 標準的な有限要素モデル する鉄球をくつつけたようなモデルである ( 図 2.15 ) . 図 2.15 三角形の板を頂点で溶接し鉄球をつけたモデル 三角形の頂点に , 番号 1 , 2 , 3 をつけると , この導体の特性は 点 1 と点 2 の間の「熱の通り易さ」 点 1 と点 3 の間の「熱の通り易さ」 点 2 と点 3 の間の「熱の通り易さ」 先ほどと同様に で表すことができる . 「熱の通り易さ」というのは , 点ーの温度が 点の温度が のとき , 単位時間当り 「点ーから点への熱の の熱が , 点ーから点 j に流れる , という意味である . 通り易さ」と「点から点ーへの熱の通り易さ」は等しいから , 032 = : 023 これらの特性値を , 次のような表 ( ひょう ) の形にまとめてみる . 3 2 1 1 ワん 00 0 32 しいて書くならとい * 印の所は「点ーから点への通り易さ」であるから ,
164 5. 使用法と計算例 あまりよくない 分割の例 10 悪い分割の例 辺と頂点は 接続できない 上記 H による t 算結果 ( 変位図 ) 一三ロ すきまがあく 図 5.9 ( その 3 )
わち , 図形を与えられたら , タに入れることにする . 一般に うにすればよい . 1 まず , 全部の点 ( 頂点 ) に一連番号をつける . 2 それを三角形に分割し , そのデ この種の図形データを入力するには , 定石がある . 基本的な考え方 ータをコンビュ それは , 次のよ 2 それらの点の座標の一覧表を作ってコンビュータに入れる . 3 次に , 全部の三角形に一連番号をつける . 4 三角形の番号と頂点の番号の対応表を作ってコンビ = ータに入れる . 簡単な例を , 図 2.4 に示す . このような方法を用いれば , 相当に複雑な図形で も扱うことができる ( たとえば図 2.5 ). 図 2.5 こんな形でも計算できる . このようなデータをもとに , 全体の面積を計算するには , うにすればよいであろう . 点の座標の一覧表を読み込む 三角形の一覧表を読み込む 各三角形の面積を計算する 面積を合計する 結果を印刷する だいたいつぎのよ もう少し詳しい計算手順の 1 例を図 2.6 に示す . また , それを FORTRAN で 書いたプログラムとその実行記録の 1 例をプログラム・ 2.1 , 出力例 2.1 に示す . [ 演習 ] 同様な方法により山の体積 ( または湖の容積 ) を計算するプログラ . ムを作れ .
144 5. 使用法と計算例 にするとよい . 代表的なケースについて , いろいろなモデルを使って計算し比 「 2 次元的な計算では実験と合わなかったが , 3 次元的 較してみるのもよい . に計算したら非常に良い結果が出た」というようなこともよくあるから , 幅広 くいろいろな試みをしておくことが望まれる . なお , 物理的簡単化の段階にお いては物理的 ( 工学的 ) センスがきわめて重要であるから , コンビ、 タ・エ イジのグループだけで独走せす , 経験豊富な年長者の助言を求めることが望ま 2 ) 要素分割 物理的モデルができたら , 次に , それを数学的モデル ( 有限要素モデル ) に なおす . この段階では , 要素の種類 ( タイプ ) の選択 要素 ( 近似式 ) の次数の選択 要素分割 ( 連続な物体を要素に分ける ) などを行なう . ただし要素の種類と次数は , 普通は , だいたい決まっているか ーこでは要素分割に際して注意すべき事項を列挙しておく ( 図 5.1 参照 ). ら , 重要な部分は細かく , 他の部分は粗く . 粗さの急変はなるべく避ける . なるべく規則的に 対称な部分は , 分割も対称に あまり細長い形はよくない . 頂点は頂点に , 辺は辺につながる . 分割の細かさを , 細かすぎす粗すぎす , 適切な程度に選ぶことも , 実用上の 重要なポイントである . これは個々の問題の性質と要求精度によ。て左右され るので , 一般的に論ずることは困難であるが , 少なくとも次のようなことがい える . まず 計算時間は節点数の ( 2 ないし ) 3 乗に比例する 誤差は要素の辺の長さの ( 1 ないし ) 2 乗に比例する