14 1. 静電場 連ねた曲線を考えることができる . この曲線を電気力線という . いまいったこ とを数学的に表わせば , (A) 電場は電気力線上の各点の接線方向にある . その向きは , 電気力線 につけた向きによって表わされる ということになる . これは電気力線の定義の第 1 項である . 電気力線と電場の 関係は , 流れの場における流線と流速の関係とちょうど同じである . 電場は空 間のある領域にわたって分布しているから , 電気力線もその領域にわたって何 本も考えられる . [ 間 1 ] 1 ー 10 図において , 点 P における電場の方向を示せ . さて , 電場の方向はわかったとして , 電場の強さはどのように表わされるで あろうか . 流線の場合は , 流線が混み合っているところでは流速が速く , まば らなところでは遅い . 同じようにして , 電気力線の混みぐあいと電場の強さを 関係づけることにしよう . ( B ) 比例する . る面密度に これが電気力線の定義の第 2 項である . (A) と (B) により , 電気力線群によ って電場の様子を表わすことができる . [ 問 2 ] 1 ー 10 図において , 点 P と Q とでは , どちらの方が電場が大きいか . [ 答 : 点 P ] さて , 正の点電荷クのまわりの電気力線の様子を考えてみよう . 正電荷のま わりの点 P における電場は , 電荷と点 P とを結ぶ方向にある . したがって , 電 気力線は 1 ー 11 図に示したように , 正電荷から四方八方に放射状に延びた直線 群となる . 負電荷では , 電場の向きが逆になるから , 負電荷に向かって収束す る直線群となる . こで非常に重要な次の法則が成立する . (C) 電気力線は正電荷から出発し , 負電荷で終結する . 正電荷以外の点 から発生したり , 負電荷以外の点で消滅することはない .
6. 電磁誘導 このように , 静止している磁束線を導体が横切って動くときの電磁誘導はロ ーレンツ磁気力によって説明できる . 歴史の上では , Faraday の頃はローレン ツ磁気力の存在は , 今日のような意味では確立されていなかった . 電流に対す る磁気力はもちろん知られていたが , 導体の中の荷電粒子に対する力としては 必ずしもとらえきれていなかった . Faraday による電磁誘導発見のこの部分 は , むしろ導体とともに動く電荷にはたらく磁気力の発見であったということ ができよう . 170 6.3 磁束線が動く場合 誘導電場 こんどは導体コイルが静止し , 磁束線が運動する場合を考えよう . この場合 には導体中の電荷は静止しているのだから , ローレンツ磁気力ははたらかない . 静止している電荷にはたらく力は , 電場によると考えざるをえない . すなわち , 磁束線が運動するとそれにともなって電場が発生する . この電場を電磁誘導電 場という . 誘導電場は , 磁束線の運動によって生じ るのであるから , 電荷を源とする電場とは 異なる性質をもっている . それを調べてみ よう . 6 ー 15 図のように , 長方形コイルの 半分ほどの領域を垂直に貫いている磁束線 が一辺 AB を横切って出ていくとしよう . 磁束線の速度をとすると , 微小時間謝 の間にコイルを貫く磁束の変化分は」の ー〃召」一である . 〃は AB の長さで ある . 誘導法則 ( 6.1 ) がこの場合にも成り 立つから , 起電力は ABCD の向きに 協 = 〃 B である . この起電力が磁束線が横切っていく辺 AB に生じる誘導電場 E(i) に よるものとすると , その大きさは E(i) = VBB, 向きは A から B を向いてい 6 ー 15 図動く磁束線による 電磁誘導の例
当 1.4 ガウスの法則 15 十 1 ー 11 図 ( a ) 正電荷 , ( b ) このことの証明はすぐ後で述べる . この 法則が成り立っとすると , 正電荷から出 発した電気力線は , 途中で途切れること なく連続的に延びていき , 負電荷で終結 する ( 1 ー 12 図 ). そこで , 正電荷のみを 包みこむような閉じた面を考えると , の面がどこにあってもその面を貫いて外 へ出ていく電気力線の総本数は変らな い . しかもその値は正電荷の大きさに比 負電荷の作る電気力線 1 負電荷に終る . 1 ー 12 図電気力線は正電荷にはじまり 例する . なぜならば , 電気力線の密度は電場の大きさに比例し , 電場の大きさ これを負の本数外へ出ていくと表現してもよ は電荷に比例しているからである . 負電荷を包みこむような面では , 電気力線 こうして は面を貫いて中へ入ってくるが , ず (C) の証明を述べ , 次に (D) の数式的表現を与えよう . という法則を得た . これが電場のガウスの法則の直観的表現である . 以下 , ま れている電荷に比例する (D) 閉じた面を貫いて外へ出ていく電気力線の総本数は、面に包みこま w(r) = aE(r) 点 r における電気力線の面密度を w(r) とすると , さて , 議論の要点である (C) を証明するために , (B) の関係を式で表わす . この関係は
28 1. 静電場 線となることはないことがわかる . というの は , もし閉曲線状の電気力線があったとする と , その電気力線自身を式 ( 1.31 ) の積分路 として選びその向きに一周すれば , Eds は 常に正であるから積分値は 0 にはならない . すなわち , 式 ( 1.31 ) と矛盾することになる からである . い . 5 で電気力線は正電荷から始まり負電 1 ー 29 図 荷で終り , ガウスの法則にしたがうことを示 した . しかし閉曲線になっている電気力線 このような電気力線は 静電場では存在しない . をつけ加えても , ガウスの法則の左辺の積分は変らない . 閉曲線にならないと いう条件をつけて , はじめてガウスの法則から電場を決定できるのである . 第 6 章で学ぶように , 電磁誘導による誘導電場の電気力線は閉曲線になるこ とがわかっている . このときは , 式 ( 1.31 ) の右辺は 0 ではなくなる . これまで電場から電位を求めることを考えてきた . 逆に電位の分布がわかる と電場の様子を知ることができる . 電場がある空間では , 電位のも座標の関数 次ェ , ク , 名 ) である . すなわち , 電位の場がある . 電位が一定値衛をとるとい う条件は , 空間の中に一つの曲面を指定する . これを等電位面という . [ 問 5 ] 原点にある点電荷 40 による等電位面はどんな曲面か . [ 答 : 式 ( 1.29 ) により , = 衛は , 半径ハ = 4 0 衛 / のの球面 ] [ 問 6 ] 名方向の一様な電場 = EO の等電位面はどんな面か . [ 答 : [ 問 2 ] の答の = ー EO から , ぇ = ー / EO の平面 ] 等電位面に沿って電荷を動かしても , 定義により電位は変らない . すなわち , 等電位面に沿った電場成分はない . 電気力線は等電位面に垂直である . [ 問 6 ] で示したように , 一様な電場の場合 , 電気力線は名軸に平行で , 等電位面に垂 直である ( 1 ー 30 図 ). また , 点電荷の電気力線は半径方向の直線で , これは等 えると , それに応じて等電位面も変わる . 電位面であるところの球面と直交している . 電位の値をから十」に変 このとき , 2 つの面の間隔が狭いと
202 が成り立ちそうである . 7. 電 こでは , 磁波 C を縁とする面を貫く電束である . = Dn ゐ ( 7.2 ) ' こで磁束線と電束線の性質に由来する大きな違いがある . 磁束線に しかし , は源がないのに対して , 電束線には源がある . 左辺の線積分は , C を横切って C を縁とする面を貫くように入ってくる電束線の時間率を表わしている 6.3 の議論を参照 ). しかし , の変化 は , このことだけによるのではなく , 電荷が面を貫いて移動することによ っても起こる . 電荷の作り出す全 電束はクであるから , 7 ー 3 図で電荷 が面の下側から上側へ移動すると き , 面を上向きに貫く電束は 4 だけ 減少する . したがって , 面を上向き に貫く電流を / とすると , 後 後 ( 実線 ) で , 面を貫く電束は変る . 7 ー 3 図電荷が面を通りぬける前 ( 破線 ) と d?IT ( 7.3 ) と書き直さなければならない . これまで上向きといういい方をしてきたが , れは例によって閉曲線に沿って回した右ねじが進む向きという意味である . この式は , 第 5 章で述べたアンペールの法則 ( 5.46 ) を右辺第 2 項をつけ加 える形で拡張したものである . これを拡張されたアンペールの法則という . 第 5 章と同じビオーーサバールの法則から出発したのに , どういう意味で拡張に なっているのだろうか . 第 5 章では , 定常電流による磁場を考えた . 電流が定常であれば電荷分布も また定常である . したがって , 電束線の分布も定常であり , は一定であるか ら右辺第 2 項は 0 となる . こうしてアンペールの法則が得られる . この場合で も , 本節の考え方によれば , 電束線は移動しており , 磁場はそれによって誘導 されているとみなすことができる . 定常の水流があるとき , 水の密度分布は一
7.1 電束線の運動と磁場 201 電荷粒子が磁場を作ることも , 実験によって確かめられている . いま , 電荷 が速度じで運動しているとすると , そこから r の位置における磁場は じ X r 4 となる . ところで , 点電荷クはそのまわりに放射状の電束線を作っている . 電 荷が移動するにつれてこの電束線も移動する . いまの場合 , 点 P を横切って電 束線が速度 = じで運動している . 一方 , 電束密度は したがって , 磁場は と書くことができる . である . 4 応戸 〃 = x D ( 7.1 ) この磁場は , 電束線が運動している空間の各点に生じ , [ 問 1 ] 名軸方向を向いた D = 6X10-6C / m2 の電束線がェ方向に = 20m / s 真空中を運動する場合と同じであることが実験により確かめられている . が現われないことからわかる . 実際 , 誘電体の中を運動する電荷が作る磁場は , とき , ではなくて D が本質的な量であることは , 磁場の表式の中に誘電率 法則による磁場は , 電束線の運動による誘導磁場とみなすことができる . この 磁カ線はじの方向を軸とする同心円となる . このように , ビオーーサバールの で運動している . 誘導磁場の方向と大きさを求めよ . [ 答 : 誘導磁場の式 ( 7.1 ) の形は , 誘導電場 の式 E(i) >< おに似ていて , ただ 符号マイナスがついていない点が異なっ ている . 空間に固定した閉曲線 C に沿っ て誘導磁場を一周積分すると , E(i) に対 する式 ( 6.7 ) に対応して d?IT ー方向 , 1.2 x 10 ー 4A / m ] 9 7 ー 2 図電束の変化と誘導磁場
4.2 電流の場 (m) の lm あたりの電気抵抗を求めよ . [ 答 : S = 7.9 x 10 ー 7 m2, R = 2.2 x 10 ー 2 0 ] 導線の太さが場所によって変ったり , 電解質溶液の中に電極を入れて電流を 流すような場合には , 電流の分布は空間的に一様ではない . このような場合に は , 空間の場所ごとに電流の値を考え る , すなわち電流の場を考えるとよい . 電流の場は電流線で表わすことができ 陽 る . 電流線は , 電気の流れの線であっ て , 接線方向が電流の流れる方向にあ たる . 電流の向きは , 電流線に向きを 電流線 つけて表わす . 電流線の本数は電流の 4 ー 7 図電流の場 大きさに比例して描くと約束すれば , 電流線の疎密の様子が電流分布の様子を表わす . 電流分布を数量的に記述する には , 電流密度の場 i(r) を導入する . べクトル ~ の方向と向きは電流の方向 と向きに一致し , 大きさは電流に垂直な単位断面積あたりの電流値と定義する . その単位は A/m2 である . [ 問 2 ] [ 問 1 ] の 18 番線導線に / = 2A の電流が流れている . 電流密度を求めよ . [ 答 : 2.5 x 106A / m2 ] 電解質 陰極 十 電荷保存の式は , 電流密度を用い ると次のように表わされる . 電流が 流れている空間の中に閉曲面 S を 考える . この閉曲面を通って , さし 引き外向きに出ていく電流線の本数 が , この面から流出する電流を与え る . 閉曲面上の微小断面積」 S を通 る本数は , 外向き法線成分を添字 JS dt 電荷 閉曲面 4 ー 8 図電荷の変化と電流
当 7.4 電磁波 [ 答 : = Eocos()z ー (t), 既 217 電磁波の存在は 1864 年に Maxwell によって予言され , 1888 年に電気振動に よって電波を作り出したヘルツの実験に よって確かめられた . その後 , 光 , X 線 , 1020 / 線などが実は電磁波であることが次々 とわかってきた . 7 ー 11 図に示すように , これらは波長が大きく異なり , それによ って物理現象に関与する仕方もさまざま ではあるが , 電場と磁場の波であるとい う本性は変らない . 式 ( 7.47 ) に示した のとんとの関係は , 振動数レと波長スと の関係としては スレ = c と表わされる . スにしてもレにしても , 十数桁にわたって異なるものが同じ本性 であるとは , 自然の奥行の深さを感じさ せるではないか . [ 問 6 ] 次の波長の電磁波 ( 真空中 ) の振 動数を求めよ . ( a ) 500 m の電波 , ( b ) 1 cm のマイクロ波 , ( c ) 5000 A(I A = 10 ー 10m ) の緑色光 , (d) 0.6A の X 線 , (e) 1 fm(= 10 m) の / 線 . = 3 >< 108 [ 答 : co m/s を式スレ = co に用いる . ( a ) 6 x 105 ( c ) 6 x 1014 s ( d ) ( b ) 3 x 10m s-l 波長 ( m ) 振動数 ( Hz ) 線 C060 のア線 線 Cu の旛線 10 10 紫外線亠赤外線 H の発光 可視光 太陽光 10 室温熱放射 宇宙熱放射 マイクロ波 UHF FM, VHF 160 1 ()0 AM ラジオ 電 波 105 105 交流電源 100 さまざまな電磁波 ー 11 図 7 ( e ) 3 x 1023 s ー 1. ] 10 5 x S
5.3 磁性体と磁場 磁石の形状による . 板磁石の外部に磁 場がないときに実現している状態は , 5 ー 10 図のヒステリシス曲線と , 直線 一色〃との交点である . 平行分極の場合 : お 1 , れ = 0 である 127 5 ー 16 図面に平行に磁気分極した板磁石 から〃 = 0. また , 〃 = 0 である から , Bl,t = となる . この場合は分 極磁荷は無限遠の端の面に現われるので , 反磁場はない ( 5 ー 16 図 ). 5 ー 17 図磁石内外の磁場〃 . N 極で 5 ー 18 図磁石内外の磁束密度 B. 磁束線は 発生し S 極に終る . 連続である . 5 ー 17 図の〃と比較せよ . 有限の大きさの磁石の場合の″との様子は , それぞれ 5 ー 17 図と 5 ー 18 図のようになる . 磁石の外側ではお = 色″であるから , 両者の様子はまった く同じである . しかし磁石の内部では上の例でも明らかなように , 両者の様 子はまったく異なる . 〃は分極磁荷を源としているので , 一般に磁石の中では と逆向きになる . いいかえれば , 分極磁荷のある面では磁カ線は不連続にな る . これに対して , おの法線成分はその面でも連続である . すなわち , 磁束線 は常に連続である . 実際 , ガウスの法則 ( 5.17 ) から明らかなように , 磁束線 には発生点も消滅点もない . 始めも終りもない線が存在するためには , 閉曲線 こうして , 磁束線は常に閉曲線であるという重要な性質がわ となるほかない . かった . これに対して分極磁荷の作る磁カ線は , 式 ( 5.15 ) が示すように , 決 して閉曲線とはならない . このように , 磁気においては , 磁石の作る磁場〃
1. 静電場 である . 2 は比例定数である . いま , 原点に点電荷クがあるとすると , 電場の 大きさは方向にはよらず , 原点からの距離だけの関数 ( 1.13 ) 4 応 Eo である . したがって , もまた距離 % だけの関数である . これは , 電気力線 があらゆる方向に一様に広がっていることを示している . さて , 原点から半径 の球面を考え , この球面を貫く電気力線の総本数Ⅳ ( わを求めてみよう . 球 面上における面密度肥は一定であるから , ル ( わは球の表面積 4 2 を掛けて N(r) = 4 切 ( わ となる . これに式 ( 1.13 ) の E から 計算したを代入すれば , Ⅳ ( わ = 4 2 ( わ = 16 ( 1.14 ) となる . この値は , 半径によらず に一定である / ということは , 半 径の小さい内側の球面 ( 1 ー 13 図の 破線 ) を貫いた電気力線は必ず外側 の球面 ( 実線 ) を貫く . また , 外側 球面を貫いている電気力線は必ず内 1 ー 13 図ガウスの法則の概念図 側球面をも貫いているはずである . だから , 2 つの球面に狭まれた領域で新しく発生した電気力線もなければ , 消 滅した電気力線もない . 球面の半径は任意に選べるから , 点電荷以外の点にお ける電気力線の発生・消滅は起こらない . 以上の議論が成り立っためには , 点電荷の作る電場が厳密に广 2 に比例して いることが必要である . [ 問 3 ] 点電荷の作る電場の大きさが , E = スク广れで与えられるとするとル ( わ [ 答 : Ⅳ = 4 応住スク尸 はどうなるか . 4