第 3 章 ラクラク青色申告 青色申告は有利ですそ / 』奥さんに給与が払える 白色申告の場合は , 奧さんや子供など自分の家族に給与を払っても必要経費 にはならす , 年間最高で 80 万円の白色専従者控除が認められているだけです . しかし青色申告をすれば奥さんや子供に支払った給科は , その仕事の内容など からみて妥当な金額であれば青色専従者給与として必要経費にすることができ ます . 毎月 10 万円の給料を奧さんに支払った場合 , 年間 120 万円の給料を必要経 費に算入できますから , 白色申告の場合よりも 40 万円必要経費が多くなります . 専従者給与のメリットは白色の場合よりも経費が多くなるだけではありませ ん . 所得税は超過累進課税といって , 所得の多い人からはたくさんの税金を , 所得の低い人からは少ない税金を取り , 担税力に応した課税を実施するため所 得が増加するにつれて税率が高くなっていく仕組みになっています . また , 奧さんの給与収入には給与所得控除額といって事業者の必要経費にあ たる控除が最低でも 57 万円あります . 給与収入からその給与・所得控除額を控除 した金額が給与・所得となり , そこから基礎控除 ( 35 万円 ) などの控除をした金 額に税率がかけられます . 専従者給与・を支払うことによって , 事業主の所得と , 専従者である奥さんの 給ヶ所得とに所得を分散することができ , 低い税率の適用が受けられます . 事業者の課税所得 ( 税率をかける基礎となる金額 ) が 300 万円を超える場合に はこの所得分散の効果が大きく , 青色申告をするはうがグーツと有利になりま す . 60
3-1 青色申告は有利ですぞ / このようにして毎年退職給与引当金を設定していきますが , 実際に従業員が 退職して退職金を支払った場合には , その従業員が前年末に退職したと仮定し て設定した退職給与引当金の額を取崩し , 総収入金額に算入するとともに , 実 際に支払った金額を必要経費に算入することになります . ー計算例 本年中に支給した 本年末の年末退職 前年末の年末退職 給与、賞与 給与の要支給額 給与の要支給額 250 ′ 000 200 ′ 000 従業員 600 ′ 000 400 ′ 000 絽 0 ′ 000 田 0 ′ 000 300 ′ 000 巧の 000 田 0 , 000 90 ′ 000 50 ′ 000 し 390 , 000 580 ′ 000 引 0 ′ 000 一三ロ * D は本年 6 月に退職し , 退職金 60.000 円の支給を受けています . * 退職給与規定を定め所轄税務署長に届け出ています . * 前年末の退職給与引当金勘定の金額 235 ′ 000 円 退職給与引当金繰入額 ①要支給額基準 ( 前年末 ) ( 本年末 ) 460 ′ 000 = に 0 ′ 000 580 ′ 000 ( 引 0 , 000 ー 50 , 000 ) D の前年末要支給額
6 ー I ・図 6 一 4 会計お助け編 イ 員 Q5. 従業員に給料を支払う際の仕訳はどのようにすればよいのでしようか . A . 給与を支払う場合 , なぜ処理が複雑になるかというと , 源泉所得税・住民 税・社会保険料・立替金の精算などが絡んでくるからです . ①源泉所得税・住民税は , 国・地方公共団体に対して翌月の 10 日まで ( 納期 特例を受けている場合は 1 月から 6 月分を 7 月 10 日に , また 7 月から 12 月分を 翌年の 1 月 10 日 ) に納付しなけれはなりません . したがって給与・支払時に は , 国・地方公共団体に対する預り金になります . ②社会保険料も同様に , 従業員の給与・天引き部分は社会保険事務所に対して 支払わなけれはならないものですから , 預り金となります . ③立替金・仮払金の精算を給与・から天引きすることで精算する場合には , 給 与からその金額だけ減算して支払うため , 給ケと相殺することになります .
第 3 章ラクラク青色申告 ・図 3 ー 5 みなし法人税選択の届出書 所得調査入力票作成源泉所得税 ド年月部門連絡 カ 税 郵便局消印 署 確認者印 年月日 理 納税者番号 みなし法人課税選訳の届出書 住所 税務署長殿 フリガナ 氏名 電話番号 屋号 日提出 年月 昭和年分の所得税から、みなし法人課税の適用を受けることとしたので届けます。 1 事業の種類・・・ 2 事業主報酬の額 ( 1 ) 月割事業主報酬額・・・ ( 2 ) 事業主報酬額・・・ 中途開業の場合の開業 . 年分の事業主報酬額 3 月割事業主報酬額を経理する期日・・・ 4 中途開業の場合の開業年月日・・ 5 青色申告の承認 ( 該当する方を〇で囲んでください。 ) ①既に青色申告の承認を受けている②青色申告の承認申請書を提出している 6 源泉徴収 ( 該当する方を〇で囲んでください。 ) 使用人や青色事業専従者 .. の給与に対する源泉徴収 ( 2 ) 源泉所得税の納期の特例の承認・・・ 7 その他参考事項 ◎ 書き方は裏面を参照してください。 円円円 ・・・ ( 1 ) の金額 X12 = 中途開業年のみなし法人 月 課税期間の月数 ・・・ ( 1 ) の金額 x ( 3 ) 月 年 月 日 日 ②していない ①している 人 ) ( 給与支給人員一一人 ) ( 給与支給人員 ②受けていない ①受けている 電話番号 ( 関与税理士 84
第 3 章ラクラク青色申告 ②累積限度基準 ( 本年度 ) 580 , 000X40 % ③給支給額基準 ( 235 ′ 000 50 , 000 ) 47 ′ 000 し 300 ′ 000X6 % = 78 , 000 ↑ ( し 390 , 000 ー 90 , 000 ) ↑ 47 ′ 000 円 上記のうちいずれか低い金額 D の本年中の給与・賞与 68 とする方法です ( 詳しくは P 138 を参照 ) . かという金額 ( 時価 ) との比較をして , いすれか低い方の金額を年末の評価額 ( 原価 ) で評価した金額と年末にその棚卸資産を取得した場合にいくらになる 択することができません . 低価法というのは , 棚卸資産を仕入れたときの金額 であればどの方法を選択してもよいのですが , 低価法だけは青色申告者しか選 場合は , 最終仕入原価法によって評価を行うことになります ). この場合原価法 法で年末の在庫を計算するかを決めて届出なけれは・なりません ( 届出なかった 総平均法などの原価法と , 低価法の 2 種類があり , 事業を開始した場合 , どの方 棚卸資産の評価方法には大きく分けて , 個別法 , 先入先出法 , 後入先出法 , ⑥棚卸資産の評価における低価法ー 50 , 000 円 ( D の前年末要支給額 ) 退職給与引当金取崩額
3 ーⅡ 現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書 現金主義による所得計算の ・図 3 ー 3 青色申告がした 納税者番号 税 務 理 所 カ 得 ド 指 カ 導 ド 入力票作成 年月 特例を受けることの届出書 税務署長殿住 所 屋号 ガナ 昭和 年 月 フリ 日提出 電話番号 年分の所得税から、「現金主義による所得計算の特例」の適用を受けることとし たので届けます。 1 この特例の適用を受けようとする年の前々年分の所得 ( 前年 12 月 31 日現在で書いてくだ 不動産所得 の金額 事業所得 の金額 ( 3 ) ( 1 ) + ( 2 ) 円 円 事業専従者控 除 ( 給与 ) 額 事業専従者控 除 ( 給与 ) 額 円 円 円 円 2 この特例を受けようとする年の前年 12 月 31 日 ( 年の中途で開業した人は、その開業の日 ) 現在の売掛金、買掛金等の資産負債の額 ( 裏面の記載欄に書いてください。 ) 3 その他参考事項 (1) 備付帳簿名 ( 2 ) その他 イ現金式簡易帳簿 ロその他 関与税理士 電話番号 ( ◎この届出書は、不動産所得及び事業所得の 金額を現金主義によって計算しようとする場 合に提出するものです。
!IIIIIIIIIIIIIIIII 第 6 章なんでも Q & A ば , 次のようになります . ・図 6 一円 Q16. 女房にも給与が払えるそうなので払ってやりたいのですが , 仕訳は どうすれはよいですか . A . 事業主と生計を一にする ( 同し家に住み , 生活をともにする ) 配偶者に給 与を支払う場合 , この給与は「青色事業専従者給与」といわれ , もつばら事 業に従事することで経費処理ができることになっています ( 詳しくは P 60 を 参照 ). この青色事業専従者給与は , 青色申告決算書上 , 各種引当金・準備金 などの専従者給与欄に別記する必要があるため , 従業員に対する給与勘定を 使うのではなく , 専従者給与勘定を使わなければなりません . 他の処理は従 業員に対する給与処理と同じですから , Q5 を参照してください . 円 4
第 3 章ラクラク青色申告 退職金も備えあれば憂いなし一 事業主は , 従業員が退職する際には多額の退職金を支払わねばなりません . 従業員は退職金をもらうことを楽しみに長年勤務しているわけですが , 経営者 にとっては , 一時に多額の現金がでていくのは痛いものです . こんな場合にも 青色申告をしていれば , 将来の退職金の支払に備えて毎年一定額を退職給与引 当金勘定に繰入れ , その繰入れた金額をその年分の必要経費に算入できます . そこで支払うべき税金が減少して , 退職金の原資が蓄積されることになるわけ この繰入額は , 退職給与規定が「労働協約」による場合 , または労働者の団 体的意見 , および規定の周知を行った事実を記載した書面を所轄税務署長に提 出している場合には , 次の①と②の少ないはうが限度額になり , それ以外の場 合は , ① , ② , ③のうち最も少ない金額がその限度額になります . ① ② ③ 66 ( 年末退職給与の要支給額 ) 前年に月引日から引続き在職 する従業員に対する前年末に おける退職給与要支給客頁 ( 年末退職給与の要支給額 ) x 40 % その年に月引日現在の在職者に対する 給与で , その年分の事業所得の計算上 必要経費に算入されるものの額 その年のに月引日 現在における , 前 年から繰り越され た退職給与引当金 勘定の額
3-1 青色申告は有利ですぞ / 画事業主にも給与が払えるみなし法人課税ー 会社の社長の役員報酬はその会社の経費になるのに対して , 個人事業者には 原則として事業主の報酬を経費とすることが認められていません . そこで法人 に対する課税とのバランスをとるため , 一定の条件のもとに青色申告をする個 人事業者にも事業主の報酬を必要経費とすることができる規定が設けられてい ます . この制度は , みなし法人課税と呼はれています . ・みなし法人課税を選択できる者 事業所得者と事業的規模の不動産所得のある人が選択できます . 事業的規模 とは , アパートなどの場合は , おおむね 10 室以上 , 独立家屋の場合は , おおむ ね 5 棟以上貸し付けている場合をいいます . ・計算方法 ⑦事業主報酬の支払いをします . この事業主報酬については給与収入とし , 給与所得控除額を控除した金額が給与所得として他の所得と総合されます . ④事業所得と不動産所得の合計額から事業主報酬の額を控除した金額 ( みな し法人所得額といいます ) に法人税率に相当する税率を乗します . ◎みなし法人所得額の 68 % 相当額 ( みなし法人所得額のうち 800 万円を超える 部分については 56 % ) は配当として事業主に払われたものとみなされ , 配 当所得として他の所得と総合されます . @その他の所得については , 通常の所得税の計算方法で税額をだします . ( 次のページ図 3 ョ参照 ) このようにみなし法人課税を選択すると , 給与・所得控除や配当控除の適用を 受けられることや , 所得をみなし法人所得額 , 給・与所得 , 配当所得に分割でき るため , 超過累進税率の緩和を計れるなどのメリットがあります . またみなし 法人課税を選択した場合には , 法人と同しように純損失の繰越控除が 5 年間認 められ , 選択しなかった場合より適用期間が 2 年多くなります . 73
6 ー I 会計お助け編 ・図 6 ー 18 Q15. 私は事業主ですが , 私が報酬をもらう場合はどんな仕訳をすれはよ いのですか . また , 報酬はもらったことにするが , 実際の現金はも らわないことはできますか . できる場合には仕訳はどうなりますか . A . 事業主は , 通常報酬を得ることはできません . 報酬を得ることができるの は , 「みなし法人課税」の届出を税務署に提出している場合だけです . その仕 訳は , 従業員に対する給与の仕訳と異なり , 「給与勘定」を使うことはできま せん . 必す「事業主報酬勘定」を使用してください . あとは従業員に対する 給与と同しですので , Q5 を参照してください . また , 現金がない場合でも事 業主報酬を払ったことにすることは可能ですし , 所得税法上は支払の記帳を 義務づけていますので , 現金がなくても記帳しなければならないといういい 方のはうが , より現実に近い表現になっています . 現金を支払わない場合の 仕訳は , 現金の代わりに「事業主借勘定」を使用すればよいのです . たとえ 0