インターネットとは 4.1 ・インターネットサービスプロバイダ (ISP) 郵便物には住所が必要なように、ネットワークでデータをやりとりするためにも住 所 ( アドレス ) が必要です。また、接続するには、なんらかの道 ( ルート ) がなくては なりません。 " インターネットには誰もが自由に参加できる " といっても、接続のための回線を 確保したり、インターネット用の住所である "IP アドレス " ( P. 89 ) を取得したりとい ったことは、小規模な企業や個人ユーザにとっては負担の大きな作業です。 そこで登場したのがインターネットサービスプロバイダ (lnternet Se rvic e Provider : ISP) です。略して「インターネットプロバイダ」または「プロバイダ」と 呼ばれることもあります。 ISP は、その名の通り、インターネット接続サービスを提供 (provide) する通信事 業者です。インターネットを利用したいユーザは、一般の電話回線などを使ってプロ バイダに接続し、プロバイダを通じてインターネットに接続します。 図 4-5 ・旧 P を使えば簡単に接続できる / 回線を準備して、 サーバを用意して・・ 0 電話回線 使っちゃおう ! 旧 P に お願いしよう ! OK! ISP は、インターネットへの接続のほかに、メールアカウント * や、 Web ページ用 のスペースなどを提供しています。ユーザは、プロバイダと契約することで、自分用 のサーバを準備することなく、インターネットへの接続やメールの送受信、 Web ペー ジの作成などが可能となります。 【アカウント ( accou (t) 】コンピュータやネットワークを利用できる権利、または利用時に使用する。 メー丿レ アカウントは、通常、メールアドレスの abc@xx.jp の "abc" 部分。
第 4 章インターネットと TCP/IP ・標準プロトコル「 TCP/IP 」 データを送受信するには一定のルールが必要です。送信側と受信側で同じルールに 従わないと、コミュニケートできません。データ通信のために定められたルールをプ ロトコルと呼びます。 インターネットでは、標準プロトコルとして TCP/I P を使用します。 Web の HTTP プロトコル ( P. 64 ) も、 TCP/IP の上で使うプロトコルです ( P. 96 ) 。 図 4-3 ・インターネットの基本は TCP / 旧 0 インターネットで使われるプロトコル 0 すべて TCP 刀 P の上で 使います TCP/IP 0 Web ・・・ HTTP メール・・・ SMTP/POP ファイル転送・・・阿 P 0 ・インターネットにはサーバが必要 ファイル転送サービスには FTP サーバなど、インターネットでは、さまざまなサーバ web を利用するには、 web サーバが必要です。同様に、メールならメールサーバ、 Web サーバ メールサーバ メールクライアント ( メーラー ) web クライアント ( ブラウサ )
ー Column ー ーアクセス解析 / 65 HTTP のバージョン / 68 web サーバの実行環境 / 76 ー H 幵 p クライアント / 73 インターネットとは .. コンピュータネットワークの利点 .. インターネットの特徴 . ・標準プロトコル「 TCP/IP 」 / 82 ・自律分散型 / 81 ・インターネットにはサーバが必要 / 82 ・インターネットサービスプロバイダ (ISP) / 83 LAN と WAN . ・ LAN のトボロジー / 84 ・公衆回線 / 86 インターネットへの接続 .. Web アプリケーションと接続形態 . 接続のしくみ .. ・可変旧アドレス / 89 さまざまな接続方法 .. ・ lSDN/92 ・ DSL (ADSL) / 93 TCP 月 P の基礎知識 . TCP/IP とは . ・ TCP / 旧とネットワークの階層 / 95 ・ TCP/IP の階層 / 96 ・ ( 1 ) リンク層 ( ネットワークインターフェース層 ) / 96 ・ ( 2 ) ネットワーク層 ( インターネット層 ) / 96 ・ ( 3 ) トランスポート層 / 96 ・ ( 4 ) アプリケーション層 / 96 ・ネットワークアドレス / 99 ・グローバルアドレス / IOO 第 4 章 ~ インターネットと TCP / IP 0 0 1 8 8 8 … 84 ・バックボーン / 85 ・ルーティング / 86 8 8 9 8 8 8 ・ダイヤルアップ接続 / 90 ・専用線・ OCN/ODN / 93 … 92 … 95 … 95 ・旧アドレス / 97 ・アドレスのクラス / 99 ・ルータ / 101
第 4 章 インターネットと TCP/IP インターネットとは .. コンピュータネットワークの利点 インターネットの特徴 . LAN と WAN.. インターネットへの接続 .. Web アプリケーションと接形 ーリしノ′、 . 接続のしくみ . さまさまな接続方法 .. TCP 月 P の基礎知識 . TCP/IP とは . TCP/IP 上のプロトコル . ドメインと URL . LAN のプロトコル .. 0 0 4 8 8 9 2 5 5 3 4 8 8 8 8 8 8 8 9 9 9 0 0 Extra CO m れ
4.1 インターネットとは ます、ネットワークによって、コンピュータ同士のデータや接続機器などのリソー ス ( 資源 ) を共有し活用することができるようになります ( 図 4-1- ① ) 。また、処理を 分散させることで、 1 台のマシンでは実現できないような、複雑な処理も可能となり ます ( 図 4-1- ② ) 。複数のマシンを連携させることは、信頼性の向上にもつながります。 さらに、ネットワークによって、コンピュータをコミュニケーションの道具にする こともできます ( 図 4-1- ③ ) 。 インターネットの特徴 インターネット (The lnternet) の特徴として、 ①自律分散型のネットワークであること ② TCP / 旧という標準プロトコルを利用していること が挙げられます。 ・自律分散型 インターネットでは、一点で集中管理する「中央集権型」のシステムと異なり、世 界各地にあるサーバが、お互いに連携 ( リンク ) しあって動いています。また、イン ターネットには全体を統括する管理者 * がいません。すべてのユーザが管理者として 図 4-2 ・中央集権型ネットワークと自律分散型ネットワーク ットワークが相互に影響しあいながら、大きく発展してきました。 この自律と分散により、インターネットは、参加しているすべての人、すべてのネ 自律的に参加することになります。 中央集権型ネットワーク 自律分散型ネットワーク みんなで TCP/IP ! 【インターネットの管理者】インターネット上のさまざまな技術を標準化するためのボランティア集団 IETF (lnternet Engineering Task Force) 、中でもに TF のなかのワークグループである W3C (WorId Wide Web Consortium) が Web 技術全般の標準化を推進しています。また、甲アドレスやドメイン名 ( p. 104 ) は N ℃ (Network lnformation Center) が管理しています。
第 4 章インターネットと TCP/IP ・ダイヤルアップ接続 公衆回線を通してコンピュータに接続することをダイヤルアップ接続といいます。 インターネットの場合はダイヤルアップ旧接続とも呼ばれます。 ダイヤルアップ IP 接続の場合、ユーザはます ISP に電話をかけて、 ISP に割り当て られた IP アドレスを使ってインターネットに接続します。 図 4-11 ・ダイヤルアップ接続のしくみ ・どこかに電話して認証されてはじめて接続できる ( 混雑していると接続できない ) →接続できるまでに時間がかかる 早く つながらないかな インターネット ①電話をかける ②認証 ③インターネットへ ! ューザ ISP ダイヤルアップ接続は、特別な機器が不要 * なので、気軽に始めることができます。 このため、現在、多くの個人ユーザがダイヤルアップでインターネットに接続してい ます。 しかし、ダイヤルアップ接続には、 ①公衆回線を使うため、使用時間に応じた通話料金がかかる ②まず旧 P に電話をする必要があることから、接続開始までに時間と手間がかかる という問題があります。また、 ISP のアクセスポイント ( 接続用の電話番号 ) が混雑し ていると接続できません。 ただし、接続にかかる手間は、ソフトの自動処理によってかなり軽減されていま す。 ISDN 回線の場合、認証にかかる時間もほとんどありません。 通話料金に関しては、フレツツ ISDN ( p. 93 ) やテレホーダイといった固定料金サ ービスによって緩和されつつあります。しかしながら、まだまだ高額だと感じている ューザが多いでしよう。 【ダイヤルアップに必要な機器】アナログ回線の場合はモデムが必要です。最近のパソコンには、モデムが内蔵さ れているのが一般的です。
はじめに 21 世紀。 Web は確実に定着し、日々の生活に組み込まれつつあります。 Web が普及するにつれ、データを一方的に表示して終わりではなく、ユーザからの 入力を受け取り、それに応じた処理ができるサイト ( インタラクテイプなサイト ) へ のニーズが生まれました。そんな中で発展してきたのが CGI プログラムをはじめとす る Web アプリケーションです。 インターネットの大海原 Web ページのリンクをたどって、さまざまな Web サイトを渡り歩くことを称して " ネットサーフィン " ということがありますが、インターネットはまさに世界をポー ダレスにつなぐ大海原のようなところです。中でも Web は、国やジャンルを超えた シームレスな世界を作り出しています。 Web の水際で遊ぶのもいいけど、船も作ってみたいもの。 web アプリケーション との出会いです。 ところが、船のスタイルも材料も漕ぎ方もさまざまで、どこから手をつければよい のかさつばりわからない。「流木を集めてつなげればいいんだよ」という話を聞きか じって豪華客船を作ろうとしてしまったら、目も当てられない状態となるでしよう。 Web アプリケーションを開発するときには往々にしてこのような事態が起こりま す。インターネットは大海原のようなところですが、関連技術もまた大海原なので べておきましよう。 す。 90 年代、インターネットという言葉が普及しはじめて以来、一貫して「インターネ こで、インターネットと Web (World Wide Web : WWW) の違いについて述 1 つです。 ク (The lnternet)" という意味です。そして、 Web はネットワーク上のサービスの 形態 " (internet) または、 "TCP/IP べースの internet による世界最大のネットワー しかし正確にいえば、インターネットとは、・、ネットワークのネットワークという ット」は十中八九「 Web 」を指していました。
4.1 Olu ーれ インターネットの歴史と AUP インターネットとは インターネットはもともと、冷戦時代の 1 9 6 9 年に米国国防総省が導入した ARPAnet というネットワークが原型となっています。 ARPAnet は、「核攻撃を受けても、残った回線で接続が可能なように」というコンセ プトで開発されたといわれており、遠隔地にある複数のコンピュータと接続する分散型 ネットワークと、信頼性の低い回線に耐えられるバケット通信 ( P. 97 ) が軸となってい ました。 その後、大学などの研究機関を中心に、 A 日 PAnet をモデルとした研究のためのネッ トワークが誕生しました。そして、 1 989 年に CE 日 N によって Wo 目 d Wide Web が開 発、仕様が公開されたことにより、広く普及しました。 国や公共機関の研究費が投入されたこと、また、ネットワークの管理・運営を、大学 生などがボランティア活動として行なったことで、インターネットは大きく発展しまし インターネットを営利目的で利用する際は、この AUP を意識することも大切です。 す。逆に、営利目的の制限がない接続規定は、「 AUP フリー (AUP f 「 (e) 」と呼ばれま 般に AUP (Acceptable Use PoIicy) と呼ばれ、ネットワークことに定められていま あります。そこで、営利目的の利用を制限する接続規定が生まれました。この規定は一 しかし、研究費やボランティアベースのネットワークを、商用で利用するのは問題が す。
第 8 章 セキュリティ ーセキゴリティの概要 顧客コミュニケーションや販売などの目的で Web サイトを運営したり、 Web を利 用した業務システムの導入を考えていく上で、セキュリティ管理はたいへん重要です。 ます第一に、データを守らねばなりません。これには、個人情報や企業情報の漏洩 を防ぐだけではなく、通信内容の改ざんを防ぐことも含まれます。 次に重要なのが、サーバなどを含めたサイト全体のセキュリティです。不正な侵入 によるコンテンツの書き換えや情報の窃取のほか、サーバをサービス不能な状態にす る攻撃への対策が必要です。 暗号化技術 インターネット上のデータは、通常、そのままの状態で回線上を流れます。住所や クレジットカード番号などの個人情報を扱う場合、データの暗号化を行なうことで、 安心して取り引きができるようになります。 Web プラウザ←→ Web サーバ間のデータを暗号化するには、 SS L (). 197 ) という 暗号化技術を使うのが一般的です。企業間の取り引きでは、 lPsec や VPN (Virtual Private Network : P. 203 ) も利用されます。 VPN は、インターネットの中にプライ べートなネットワークを仮想的に構築するための技術で、暗号化通信によって実現し ます。 これらのセキュリティ技術の核となっているのが、 " 公開鍵方式 " と呼ばれる暗号 化方式です。 図 8-1 ・インターネットと暗号化技術 インターネットには 0 誰でも自由に参加できる インターネットでは ・共通鍵と公開鍵 データがそのまま流れる データが盗まれたり、 改ざんされる可能性が 暗号化が必要 暗号化の際に用いられるキーワードは " 鍵 " と呼ばれます。データに対し鍵を使っ
の DDP (Datagram DeIivery protocol) 、データリンク層の LLAP (LocaITaIk Link-Access ProtocoI) や ELAP (EtherTalk Link-Access Protocol) などに分か れています。 ・ TCP/IP と LAN TCP/IP は、 UNIX をベースに育った、 UNIX 系 OS の標準的なプロトコルです。昨 今は、インターネットの普及により、ほかの OS でも標準でサポートされるようにな りました。 UNIX 系システムにはパワーもあり、また、広域での接続が当たり前だったので、 TCP / IP の機能は必然性のあるものでした。一方、パソコンを中心にした LAN で、単 にファイルやプリンタなどのリソースを共有したいだけの場合、 TCP/IP はオーバー スペックとなります。 しかし、この、オーバースペックとなっている部分は、コンピュータおよびネット ワーク機器の高性能化でカバーできる範囲でしよう。それよりも、インターネットの 普及にともない低価格化した TCP/IP 機器の活用のほうが、メリットが大きいと考え られます。 さらに、 Microsoft は UniversaI Plug&Play (UPnP) * という、ホームネットワー ク向けのプロトコル仕様を提唱しています。 UPnp は TCP/IP べースのプロトコル で、あらゆる機器を、ネットワークに接続するだけで即使用可能にするためのしくみ です。 UPnP によって、コンピュータだけではなく、 AV 機器や家電製品のネットワ ーク接続も気軽に行なえるようになっていくことが期待されます。 ・イントラネット TCP/IP をはじめとするインターネット技術を利用して構築する企業内用のネット ワークをイントラネットといいます。 TCP/IP が普及した現在、あらためてほかのネ ットワークシステムを導入するよりも、イントラネットの構築のほうが低コストです むため、簡単に導入できます。また、インターネットへの接続もスムーズです。社内 LAN をイントラネットにすることで、掲示板システムなど、インターネット向けに 開発されているプログラムもそのまま利用できるというのも大きなメリットでしょ なお、企業内のイントラネットを拡張し、外部からの利用も可能としたものをェク ストラネットと呼ぶことがあります。 【 UPnP 】詳しくは UPnP Forum (http://www.upnp.0「g/) を参照。