確率 - みる会図書館


検索対象: 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]
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1. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

180 7 量子力学の確立 明卩 d の = 1 を満足すべしという規格化条件を付加することがある . この条件を満足すると ( 7.9 ) き , は規格化されているという . が規格化されていれば , ( 7.7 ) は電子の 位置がとの十の間に見出される確率そのものになる . 例題 1 ( 7.9 ) が成立するとき , ( 7.7 ) は電子の位置がのと十の間に見出 される確率であることを示せ . [ 解 ] の軸を微小な幅」の小区間に分割し , / 番目の小区間に代表点明を 適当にえらんでおく . 電子がこの区間内に見出される確率は ー ( 明 , 2 」の であたえられる . ただし , N は確率をすべての小区間について加えあわせ た全確率が 1 に等しくなるようにつけた規格化因子で = 亜 ( 明 , 2 」の 」→ 0 の極限で右辺は ( 7.9 ) の左辺の積分になるから , ( 7.9 ) は = 1 を意味す この例題と同様の論法で , が規格化されているとき , 測定値のの平均くのは 1 次の公式であたえられることがわかる . * d の 第 2 行は単なる書きかえであるが , あとでわかるように 学の一般論にフィットしているのである . この形の方が量子力 ( 7.10 ) 朝 2 〉 , 3 〉 , ・・・も同様の公式であたえられ , 結局 , 電子の位置に関する統計的情 報は ( 7.7 ) から求められることになる . では電子の運動量についてはどうか ? これを次に考えよう . 不確定性原理ある時刻 ( たとえば一 = 0 ) における波動関数が複素平面波

2. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

178 7 量子力学の確立 と考えることが必要である . このようにケース・バイ・ケースに見方を変える のではなくて , 一貫した立場から電子を扱うことはできないだろうか ? この質問に答えるのが , ポルンにはしまる波動関数の確率論的な解釈であ る . 電子は古典論の粒子と同様に位置や運動量という物理的属性をもっている のであるが , これらの量を測定したときに得られる測定値は確定していなくて , 測定結果について一般に統計的な予測しかできないとするのである . 実際 , 図 7 ー 5 の計数管は電子が F 上のどの点に到着するかを決める位置測定装置であり , 図 7 ー 6 は 1 個の電子の位置測定を何回もくり返した結果を示すものと見ること ができる ( 輝点の数が測定回数 ). 少数回の測定の場合 ( 図 7 ー 6a ) には測定値は ランダムに分布し , 測定結果を理論的に予想することは不可能である . 理論的 にいえるのは , 位置測定をしゅうぶん多数回くり返したとき ( 図 7 ー 6 c) , 電子 がある点の近傍に見出される確率はその点での 2 の値に比例するということ だけである . もっと正確には , 電子の波動関数をの , 既第のとして , 時刻に 位置測定をおこなうと , 位置座標がのとの十 , と十イ既えとえ十の間 にそれぞれ見出される確率は は , 既も窈 2 に比例するのである . ( 7.6 ) 7 ー 1 節で述べたように , この抽象的な性格を強調するために , を確率振幅 とよぶことがある . 電子の波動性は , 確率振幅について重ねあわせの原理が成 立するという数学的・抽象的な形に表現されるのである . 重ねあわせの原理が 成立する結果として , ( 7.3 ) の右辺第 3 項であらわされるような干渉がおこる が , これも確率についての干渉であり , 同し実験を多数回くり返したときに現 われる統計的効果としてのみ観測される ( 図 7 ー 6 c) . これと関連して , 図 7 ー 6 (a) に見られる位置測定の結果のゆらぎ (fluctua- tion) は , 電子が粒子・波動の 2 重性をもっために必然的に現われるものであ って , 測定誤差にもとづくものでもないし , 統計力学の場合のように力学系に 関する情報が不完全であることにもとづくものでもないことを強調しておこう .

3. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

5 ー 7 ゾンマーフェルトの量子化条件・ 6 粒子・波動の 2 重性 目 ー 1 ー 2 ー 3 ー 5 ー 6 次 6 ー 1 6 ー 2 6 ー 3 6 ー 4 6 ー 5 6 ー 6 6 ー 7 序論・ 結晶による X 線散乱 波動の複素数表示・ コンプトン散乱と X 線の粒子性 ド・プローイの物質波・ 幾何光学とニ ートンカ学・ シュレーディンガー方程式の発見・ 7 量子力学の確立 7 7 7 7 ー 7 7 7 4 序論・ 電子波の回折・ 確率振幅としての・ 不確定性原理・ 運動量表示の波動関数・ シュレーディンガー方程式とエネルギー準位 調和振動子のエネルギー準位・ 問題略解・ 索引 X111 ・ 139 ・ 140 ・ 141 ・ 148 ・ 152 ・ 1 う 6 ・ 159 ・ 165 ・ 169 ・ 154 ・ 209 ・ 199 ・ 19 ろ ・ 188 ・ 184 ・ 179 ・ 175 ・ 171 ・ 170

4. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

た 4 不確定性原理 181 ( 7.11 ) であるとしよう . ド・プローイにしたがって , これは電子の運動量の成分が カエ = カ々ェに等しい状態をあらわしていると考えてよかろう . もっと正確にいえ ば , この状態にある電子の運動量を測定すると , 確定した測定値献ェが得られ るのである . 一方 , 2 = ? = , 書 , 工 = 1 であってこれはのに依存しないから , ( 7.9 ) の左辺の積分はになり , ( 7.11 ) を規格化することはできない . しかし , この 場合でも確率の比 ( 7.8 ) を考えることはでき , として ( 7.11 ) を代入すればこ の比はもちろん 1 に等しい . つまり , 電子はの軸上のどこにでも等しい確率で 見出され , 位置は全く不確定であり , 位置のゆらぎは無限大である . 図 7 ー 7 のように , ぇ軸方向に一定の入射速度。をもつ電子線をおくりこむと , た = ( 襯。て '/ のとして , ぇ < 0 における電子の状態はがであらわされると考えて よかろう ( 図のスクリーンは電子を完全に吸収するとする ) . したがって電子の 位置は全く不確定である . スクリーンに軸方向の幅」ェのスリットをあけて おくと , スリットを通過した直後の電子のの軸方向の位置のゆらぎは」にし ばられる . つまり , プラスえの側からえ→ 0 としたときの波動関数は であたえられるであろう . ( 7. 12 ) 不確定性原理 . このように , 有限な領域にとしこめられた波動関数 図 / ー 7

5. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

3 ー 4 古典統計力学の基本公式 3 ー 4 古典統計力学の基本公式 67 マクロな物体中の粒子の古典力学的運動が決定論的であるといっても , 実は 原理上のことにすぎない 5 = 1020 というような巨大な自由度をもっ力学系の 場合 , ある時刻における正準変数の値をことごとく知ることは実際上不可能で ある . 物体の力学的状態について , 私たちはきわめて不完全な情報しかもちあ わせていないので , 統計力学はこれを確率概念の導入によって補うのである . この事情は , サイコロに確率論をあてはめるのに似ている . サイコロを投げ るときのわずかな初期条件の違いが結果 ( たとえば偶数の目か奇数の目か ) を大 きく変える . 私たちの指は , 出る目を確実に予言できるほど精密に初期条件を 制御できない ( むしろ , なるべく制御不可能な方法で投げないと賭博はいかさ まになる ). 私たちは , どの目の出る確率も 1 / 6 だというような予言しかでき ないのである . 標本空間確率論は , 標本空間というものをまず考え , この空間の各点の確 率を定義することから話がはじまる . サイコロの場合なら , 標本空間は 6 個の 点の集合である . 各点はサイコロの 1 から 6 までの目に対応し , たとえば 1 / 6 という確率があたえられている . その意味は , 十分に多数回サイコロを投げた とき ( または同じように作られたサイコロを多数用意して一斉に投げたとき ) , たとえば 1 の目の出る場合の数は全体の 1 / 6 になるということである . これか らも明らかなように , 標本空間の各点の確率を加えあわせた全確率はかならず 1 に等しい . さて , ギブスがはしめて明らかにしたことであるが , 古典統計力学の場合の 標本空間は , 対象とする力学系の相空間である . サイコロの場合の標本空間は とびとびの点の集合であるが , 相空間の点は連続的に分布している . このため に , 確率の表現法もやや異なる . 相空間のなかに仮りに流体が分布していると 想像し , 流体の濃淡によって確率の大小をあらわすのである . もっと正確にい えば , 自由度 s の力学系の場合 , その正準変数が 91 と 91 十 1 , , qs と十

6. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

量子力学の確立 波動関数の確率論的な意味 , 物理量の演算子として の表示 , その固有値と測定値との関係 , などを , 簡 単な実例をあげながら説明する .

7. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

た 5 運動量表示の波動関数 185 そこで , のフーリエ変換のは運動量にたいする確率振幅であると考えるこ とにしよう . 時刻ーに電子の運動量成分を測定した場合 , 測定値がたとた + ゆェの間に見出される確率は 懃 ( た , 02 ェ ( 7. 19 ) に比例するのである . のが ( 7.18 ) のように規格化されていれば , ( 7.19 ) は確率 そのものになる . 例題 1 娵の , 0 ) が波束 ( 7.12 ) で定義されるのの関数であるとき , ( 7.16 ) の関 数の ( た , 0 ) を求めよ . の ( た , 0 ) を〆た ) と書くと 」工 / 2 た ) ー」工 / 2 1 ( 2 応力 ) 1 / 2 ( 2 応力 ) 1 / 2 である . ー [ 解」 イエ ( 2 力 ) 1 / 2 Sin ミ 2 カ ( 7. 20 ) 図た 8 波束の運動量分布 . ミ = ( 」 2 のル . この場合 , い 2 は ( ( sin の劇 2 に比例し , 後者のグラフは図 7 ー 8 のようになる . ( 7. 14 ) の右辺の数係数は多少変わるけれども , 重要なのは 決まると考えれば , 不確定性原理 ( 7.14 ) が得られる . 図 7 ー 8 のグラフのどの幅 図の影をつけたビークの幅去 = によって運動量のゆらぎ」た = ( 2 カ去 / 」ェ ) が を採るかによって ,

8. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

た 4 不確定性原理 179 たとえ全知全能の神でも , 図 7 ー 6 ( a ) の輝点がどこに現われるか正確に予言す ることは不可能だというのが量子力学の立場なのである . 量子力学はミクロな 力学系の示す粒子・波動の 2 重性を統一的に把握することに成功したけれども , この統一は自然現象の因果的・一義的記述を断念することによって得られたも のである . 1. 図 7 ー 6 (c) のようにデバイーシェラー環がはっきり見えるためには , 図 7 ー 5 で電子 の入射する計数管の断面積をあまり大きくしてはならない . およその上限を , 電子の ド・プローイ波長ス , 微結晶中の網平面の間隔 D , 標的 P と計数管 . の間隔んを使って あらわせ . た 4 不確定性原理 以下 , 数式を見やすくするために , 波動関数が時間このほかには空間座標 の 1 つ , たとえばのにのみ依存する場合を考える . は , 2 は , 時刻こに位置を測定したときに , 測定値がのとの十の間に見出される確 率に比例する . 規格化条件シュレーディンガー方程式 ( 6.57 ) は線形だから , c を複素定数 として , が解なら c?T も解である . ただし , c* 0 とする (c = 0 だとはいた るところ 0 になってしまって , 物理的な意味を失う ). 電子が点明の近傍に見 出される確率と点ェ 2 の近傍に見出される確率の比 亜は 1 , い 2 は 2 , 窈 2 は , を c?T におきかえても変わらない . 量子力学ではとは同し状態を あらわす . このように波動関数は定数因子だけ不定であることを利用して , は ( 7.7 ) ( 7.8 )

9. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

192 7 量子力学の確立 縛状態 (bound state) とよふ . 古典力学では粒子が静止しているときに最低ェ ネルギー E= 0 が得られるのにたいし , EI > 0 であって , 粒子は基底状態でも 運動していることになる . これを零点運動 (zeropoint motion) とよぶ . 粒子の 運動が有限な大きさ」のの区間にかぎられると ( いまの場合」の % 十 4 ん一 1 ) , 不 確定性原理によって運動量のゆらぎ」カ ~ カ / 」のが生ずるから , 量子力学では粒 子が静止することはありえない . なお , 古典力学では E< UO なら粒子は領域 Ⅱを往復運動するのにたいし , 量子力学ではど ー 2 心ー に比例する確率でが をこえる . E が EI をこえると , 図 7 ー 10 の曲線 ( 4 ) のように , ふたたびの→で→ ーとなり , E が次の固有値 E2 に等しくなったとき , は領域Ⅱで一度 0 に なったのち , 領域Ⅲで応工に比例する . 一般には , 態とそのエネルギーをあらわす離散固有値 EI, E2, なる . 0 こうして何個かの束縛状 ・・を得たのちに E> UO と 図 7 ー 11 連続準位の固有関数 . E> UO なら , E がどんな値でもはすべてのので凹であり , ェ→のとき有 限にとどまる ( 図 7 ー 11 ) . つまり任意の E が固有値としてゆるされる ( 連続固有 値 ). 古典力学では , 粒子が一方の無限遠からとんできて他方の無限遠へとび 去る場合である . 量子力学では , 外力による粒子の散乱を扱うことになるが , これについては『量子力学Ⅱ』で述べることにする . 最後に UO →の極限を考えると , ん→となり , 領域 I , Ⅲでは束縛状態を あらわすは 0 になってしまう . つまり , 領域Ⅱの 一々を叭土の = 0 と

10. 量子力学 Ⅰ[物理入門コース 5]

0 157 図 5 1 4 円運動の 2 兀 相平面表示 . = 0 は軌道半径が 0 , エネルギーは一一になってしまうので , これを除く必 要がある . ポーア理論の限界 ( 5.30 ) は前期量子論のいちばん基本的な公式であって , 古典力学で可能な運動のうちで , この条件式を満足するものだけが , 量子論に おける定常状態としてゆるされるのである . しかし , この量子化条件のも。と 深い意味はポーアの理論ではわからない . これと関連して , すでに述べたよう に , 電子を 2 個以上ふくむ原子の場合に量子化条件がどうなるかもわからない . 同じことは , 水素原子の場合でも , 双曲線軌道を運動する電子 ( 電子と陽子の 衝突 ) についていえる . しかし , ポーアの量子論のいちばん基本的な弱点は , 遷移を扱う組織的な理 論形式がないことである . 遷移は非古典的な概念であ。て , 遷移の途中で電子 がどんな軌道を描くかといった種類の質問は一切無用だとされる . ある時間内 に , 注目した遷移がどのくらいの確率でおこりうるかという遷移確率 (transi- tion probability ) だけが問題になる . 遷移確率が大きいほど , 遷移の際に放出 ( または吸収 ) される電磁波の強度は大きい . つまり , スペクトル線の振動数だ けでなくその強度まで知ろうとすると , 遷移確率の計算が必要になるが , その 方法がわからないのである . 前期量子論はいろいろ工夫を試みたのであるが , その説明は省略する . ただし , 選択則 (selectionrule) という概念だけは説明しておこう . ある遷移 は , 遷移確率が 0 であれば禁止 ( f 。 rbidden ) 遷移であるといい , そうでなけれ ば許容 ( a11 。 wed ) 遷移であるという . その判定をあたえる規則が選択則である .