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検索対象: ラブ・ユー : 初恋レボリューション
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1. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

そうして嵐は佑のほおを撫で、自分のほうを向かせて言った。 「佑、この後の撮影はどうする ? やれそうかい ? むりならスタッフにそう言って」 「ううん、やれるよ。やる」 でつかくてきらきらした佑の瞳が、今また力強い光を放っている。 こうなればもう佑は大丈夫だ。 ぜんげんてつかい ガンコひとすじ男の子 ! は前言撤回なんかしないと嵐は知っている。 「わかった。じややろう」 ほほえ 嵐は確信してニコッと微笑んだ。 佑もニッと笑い返す。そんなプリンセス・ユーのほっぺを軽く押して、嵐は言った。 「そっちの撮影が終わったら、いま俺たちが撮ったシーンも見てくれよ由宇。けっこう上手く いったと思うんだ。監督もほめてくれたよ」 「マジぼ」 「ああ」 「すげえ ! 見して見して ! 」 「オッケー。後でね」 地球少年ランとプリンセス・。ハールの初キスシーン。 考えるだけで楽しくてわくわくしてしまう佑である。 ひとみ

2. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

238 す 「ロスに行くにもう戻る気はないってにいったいなんの冗談だ、光司狼」 らん 嵐ちゃん、いきなり特殊文字三連発 ! あのね、 " に〃って特殊文字なんですよー 章替えしてないけど、こっから次の日。 局のひかえ室で光司狼に会った嵐は、弟からその話を聞かされて、自分が座っていた椅 子をうしろにひっくり返すほどびつくりすることになる。 もちろん光司狼は自分の決意について相手にくわしく説明してやるような親切な対応をする タイプではないから ( てゆうか単に無器用だから ) 、佑とのいきさつについて嵐がすべてを知 ることはなかったが、それでも嵐は光司狼の親友でもあり。 そう思ってくちびるを噛んだけれど、今度はムダだった。 こわ 涙は壊れて粉々になったラブのかけらだ。 いいんだ。今はもう止めなくていい。 意地をはってみせる相手はもうここにはいないから。 今だけ。 泣かせて。

3. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

206 ☆ 7 ☆そして男の子たちの事情 さて一方。 せがわこうしろう ろうか 瀬川光司狼は今もまだ、一本の棒となって e> 局の廊下に立ちつくしていた。 ゅう 倒れた佑に手をさしのべなかったのも、そうしたくなかったからではない。 走り去る佑を追いかけなかったのも、そうしたくなかったからではない。 そうしようと思っても、体が動いてくれなかったからだった。 一歩も、動けなかった。 自分を見あげてきた佑の顔。 泣き濡れて、輝くような瞳。 心臓が止まるかと思った。 その瞬間、光司狼の胸は何かにわしづかみにされていた。 まっすぐに自分を見つめてくる佑の瞳。 この瞳に否定されたら、自分はもう生きてはゆけなくなるのではないか。 ひとみ

4. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

「でもできんのかな。。ハソコンなら光司狼に教えてもらったし、オレもけっこー使えるように なったと思うんだけどさ。そのデータが人ってんのって光司狼の部屋の。ハソコンだろ ? 見つ かったらおしまいだぜ ? 」 「大丈夫、光司狼は僕が自分の部屋に引きとめておくから、そのスキにやってもらえばいいん だ」 ちらつ。 ばしつ。 目と目を見交わして。 しらゆり ン ライトキスで確認。まあこのふたりは「くつつくの好き好き白百合ペア」ですから、。 シやわらかいくちびる。確認。 ' そんなやさしいキスの後、水月がふうっと小さなため息をついて言った。 まえ 「以前から思ってたけど、佑って無防備」 「えー ? おまえに言われたくねーよ水月」 一「なんでだい ? 僕は無防備じゃないよ。佑とちがって」 「そおかあ ? 」 見つめられて、水月はどきっとしてしまう。 なんだか急に大人びた佑の視線。

5. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

「え ? だからいいんじゃないのか ? 俺、兄弟なんだからキスはやりやすくていいよなって 思ってたんだけど」 くらくら。 ( 忘れてた。嵐のやっ、佑と同族だった・ : ) そう。 天然度合でいけば、嵐は佑と張るのである。 せがわ 瀬川家最強の男はこいつだった、と改めて思い知らされる水月であった。 とそこで映像スタッフから注文が人る。 ン「それじゃそろそろいいかい ? ランくんとプリンセス・ノノ 。、ーレ、もうちょっと接近してくれ シるかなー ? 」 、「オッケー、えっと、こんなもんすか ? 」 うわ ? なにがうわ ? ( うわ ) レ 祉「あーいいねえ。さすがラン、リ 1 ドうまいじゃない」 「さんざんュ 1 の相手させられましたから」 ュ 苦労してたもんな。しかし、。ハ ールが相手だとまたちがった雰囲気でいいね。表情に こう、なんともいえない色気があるよ」 「またそうやっておだてるし」 ゅう

6. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

こうしろう 「え ? 光司狼のパソコン勝手に開いてデータ消すの ? オレが ? 」 小首をかしげて見あげてくる佑の顔。 なんてかわいらしくて罪作りな顔だろうと思いながら、水月はうなずく。 「たのむよ。佑しかたのめる人がいないんだほかの誰にも見られたくない写真なんだよ。ほ んとは佑にも見られたくはないんだけど、佑なら光司狼の性格をわかってるし、あれを見ても 僕のことをキライになったりはしないと思うんだ」 「なに言ってんだよ、水月 ! オレが水月のことキライになるなんて、んなことあるわけねー だろッ ! 」 ン 「うん・ : 、ありがと、佑」 シ自信のなさそうな水月の顔。 ュ こんな水月の顔なんて初めて見る。 レそう思うだけで佑の小さな胸はせつなさにはちきれそうになってしまう。 基本的におせつかい焼きの星の下に生まれている佑だ。 一そうすることは佑の天命みたいなもので、あんまり自然におせつかいを焼くので、焼かれる ほうも自然体に戻ってしまえる。 つまり、すごく楽におせつかい焼かれてしまう自分を認めることができるのだ。 天使体質の佑の瞳は誰をも公平に映し出す。 ひとみ

7. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

どっかん ! ひらがな表記な爆発音。 微妙なニュアンスに揺れる女心。 自分の下の名前をそのタラシ野郎にロにされた時点で、もはやラストラプファイヤー →火がついちゃったってことですな。 しゆりゅうだん 真っ黒ハートに手榴弾かかえた女副社長が自分の胸めがけてつつこんできたとしても、それ ンはもう瀬川光司狼って男の大宇宙にも匹敵するスー。ハーな魅力がそうさせてるわけで、今さら シ止めようもなかった。 ゅう ュ この際、佑の自由が守れれば自分はどうなってもいい。 自分を見つめてくるスポンサーのちょっと熱すぎる視線をアンニュイに ( これがまた女心に レ 初はツポなのである ) 見返しながら、光司狼は実はそんなことを思っている。 一意外にピュアな光司狼の一面。 D なになに、光司狼クン、キミけっこう佑のことマジメに考えてんじゃん ? ラ ( まあ、あいつをこの業界に巻き込んだそもそもの原因は俺だからな ) ほほーう。

8. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

「へえーえ、なあんだか妬けちゃうわねえ。そおんなに由宇のことが大事なのお ? そう言え ばあの子の 0 って実在の少女をモデルにして作ったんですってね。案外、光司狼クンのカノ ジョだったりして ? 」 ふきげん 女社長、もはや核心にふれずにいられないくらい、けっこー不機嫌。 しかしそこは光司狼。 スポンサーといえば、番組 ( この場合、現在、由宇が出演中の『バーチャルプリンセス・ユ ー』を指す ) にとっては神様にも等しい存在。 怒らせては元も子もないのである。ので。 「ハハ、まさか。由宇は嵐兄貴のカノジョなんですよ」 「そりや自分の作品ですからかわいいとは思いますけど、実際はああいうガキくさいタイプは 苦手ですよ、俺」 「あらっ学」 おーい、宇宙一のタラシく、ん。 女副社長の目はすでに銀河系の星を詰め込んでキラキラである。 そこで光司狼、もうひと押し。 「カノジョにすんなら、どう考えても、美砂さんのほうが理想だな」 らん

9. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

「はは、わかってないなあ光司狼。いや、それとも、こういうことは他人のことになるとよく 見えるものなのかな」 「なにブップッ言ってやがんだよ。はっきり言えハッキリ」 ・こうに 業を煮やした光司狼が、嵐の肩にタックルを食らわせて答えをうながす。 こんなふうにじゃれあっているところを見ると、このふたり、兄弟というより仲のいい男友 だちだ。 男どうしの話なら、きっと光司狼は誰より嵐と合うだろう。 嵐の天然でストレートな性格は、やや複雑怪奇に育った光司狼にはない魅力をたたえている ン にちがいない。 、一嵐は光司狼の腕をしりぞけもせず、笑いながら言い返した。 ュ 「佑がいま一番気になっている相手はおまえだぞ、光司狼」 レ 恋 初一瞬、光司狼の目がまるくなる。 が、次の瞬間、光司狼は肩をすくめて軽くふきだした。 ュ 「 ( ツ。まさか」 ラ 「そう言うと思った。だからおまえはわかってないって言ったんだ」 「嵐」

10. ラブ・ユー : 初恋レボリューション

194 「んっ : ・ふ : ・つ」 互いの下腹部が熱く燃えたぎってゆくのがわかる。それもふたり同時にだ。 水月はどうにもならない欲望に火をつけられて、無意識に体をうねらせる。 嵐もまた、その動きに情熱的な反応を示し返す。 この感覚をどう説明したらいいだろう ? あおって、あおられて、ふたりはどうにも止まらなくなってしまう。 走りだしてしまった暴走機関車。まあそんなかんじ。 ついさっきまで心配そうに由宇を見つめる嵐の瞳に耐えられなかった自分が、今はもうとろ とろにとろけだしてしまっているのが、水月にはよくわかる。 われ ( 我ながら・ : ゲンキン・ : ) ゅう 心のどこかに佑へのうしろめたさがなかったわけではないけれど、こうなってしまえば水月 も嵐も自分たちがどうやらあまり冷静ではいられないらしいことを、このときにはもう知って しまっていた さてそして。 いくらなんでも場所忘れすぎ、なおふたりさんがこのままラプアフェア突人 ! なあんてこと になったかっていうと。 ュウ ひとみ