ミュール - みる会図書館


検索対象: ラブ・ユー
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1. ラブ・ユー

たしかにいいチームである。 光司狼の腕に思いきりしがみついて歩いていた佑が、ふくれつつらになって言った。 「だってよ、すんげー歩きづれえんだもん。このミュールとかってャツ、なんでこんなに底ア ッいんだよ。へたに走ったら、ぜってーひっくり返るぜ。女のコってマジでこんなん履いてん のかなー」 すあし 夏場は素足にミュールがイマドキ少女モート けれど普段スポーッシューズしか履かない佑には、それはけっこう拷問らしく。 ふつきん 「耐えろ。腹筋に力を人れて、立つんだ佑 ! 」 そんなどっかのボクシング漫画のネームみたいなことを言われても。 と佑の目がうらめしげに光司狼を見上げる。 「そうそ。その服にはこのミュールがいちばん似合うんだから。だって、かわいく見られたい だろ ? 」 水月の評価も前向き。 くちびるか ~ 佑は唇を噛みしめ。 プやがて、こっくん ! と力強くうなずいて佑は叫んだ。 「いよっしゃあ ! オレのコンジョー見せてやるぜ ! 」 や 0

2. ラブ・ユー

4 プチプチプチ 自分のことだけならいざ知らず。 だってそれっていちばん大切な場所。 恋する少年、ゲキリンに触れられて。 「つのヤローツ " 】」 「よせツ、佑 ! 」 が、光司狼が押さえつけるより早く、佑の体は飛び出していた。むちゃくちや自然に。 おざき これが尾崎佑。 どんな格好をしてたって最後のプライドはぜったい捨てない。 いちばんだいじなことを本能で知ってる少年。 それを守り抜くためなら、体はぜったいに止まってなんかくれない。 厚底ミュールごと相手にケリを人れて、心まで裸足になる。 もう誰にも佑は止められなかった。 「由宇ちゃん ! 、あぶないッ ! 」

3. ラブ・ユー

132 どったーんつつ ! 「由宇 ! 」 「由宇ちゃん ! 」 意味もなくコケる。いや、意味はあった。 佑はコカされたのである。人気者ふたりを独占して出口へ向かおうとする美少女に嫉妬した 女子に足を引っかけられて。 「大丈夫か」 光司狼がぐいと佑の腕を引っぱり上げる。 「う、うん、なんとか」 佑自身はなにがなんだかわからず、ぽかんとしたまま光司狼にしがみつく 光司狼に片腕で支えられ、脱げたミュールを水月が拾ってきて履かされる。 もちろんこのような場面もそこらじゅうの女子生徒たちの視線を集めたし、羨望の嵐、ある う ) す . まを、 いは嫉妬の渦巻を引き起こしたのはまずまちがいなかった。 だが、さすがに光司狼と水月が寄り添っている状態では、他の女の子たちもそれ以上の行動 には出られない。 せんぼうあらし しっと

4. ラブ・ユー

これ以上佑を野放しにしてはおけない。さすがに周囲の視線も痛くなりかけてきている。 せがわ 瀬川二兄弟は心を鬼にすることを決定し、そして同時に立ち上がった。 「うわっ」 両側からあっさり抱えあげられて、佑の目がテンになる。 「なっ、なにすんだよ ! 光司狼 ! 水月 ! やだやだ、オレ、ここにいる " こ 「佑」 佑があんまりハゲシク抵抗するので、水月がひそっと耳もとにささやいてきた。 「それ以上ダダをこねると、みんなにぜんぶ・ハラすよ。いいの ? 」 「う」 それはイヤ。 佑はたちまちおとなしくなってしまう。 だって知られるのはぜったいイヤ。 ュ 嵐に知られたらシンデシマウ。 ラ けつきよく佑はあきらめて、ふたりの腕を離れ、ぼくぼく ( ミュールは歩きづらいので比較 的ゆっくり ) 自主的に歩き始めたのであった。が。