女のコ - みる会図書館


検索対象: ラブ・ユー
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1. ラブ・ユー

「くそ。なんであれが男なんだよ・ : ! 」 冗談きつい。 最初に逢ったときも街でデ 1 トしたときも、女のコにしか見えなかった。 それも最上級のス。へシャル女のコだ。 女のコだと信じこんでいたから、どんなに佑に似ていたとしても、まさかその佑と同一人物 だなんて思いっきさえしなかった。 人の目は心に支配されている。 「キス : ・した」 つぶやいた嵐の声には力がなかった。 最初のキスはまだいい。あのときは嵐も相手が女のコだときっちり信じこんでいた。 問題は一一度目だ。 ろうか 今日、録音スタジオの廊下でした二度目のキスはワケがちがう。 嵐は目の前の美少女が実は男のコ ( しかも幼なじみ ) と知っていた。 - おさ = なのに、衝動を抑えることができなかった。 プそして今。 ラ これからもあの格好の佑を前にしたら同じことをくり返すかもしれない。と思っている自分 がいる。

2. ラブ・ユー

220 ぼろ。 あふれだしたら止まらなかった。 「ゆ、佑」 これはもうセリフじゃない。 嵐は素に戻ってしまっている。 だって。 ぼろぼろところがり落ちてゆく涙。 撮影の前に、嵐は佑にそう言った。 脚本を読んだ佑が困った顔をしていたからだ。 嵐はやさしく微笑んで言った。 キスするときは女のコだと思ってするから大丈夫だよ。 ー・ー・・ーー・ー女のコだと思って ? 嵐、もしオレがマジで女のコだったら、いっしょの高校行ってくれたのかな。 女だったら、そしたらずっといっしょにいられたのかな・ ほほえ

3. ラブ・ユー

「ど ? トクさん。よくねえ ? 」 プルーバックを設置したスタジオでは、嵐と由宇 ( もちろんかわいらしく女のコモードに変 ュ 換済 ) の撮影が始ま 0 ている。 とくなが スタジオの隅でモニターを確認していたトクさんこと徳永映像監督に、後ろで見ていた光司 狼が声をかけた。 ■ 8 ■そして未来少年一フンちゃん誕生 夏休みだし。三年生は部活の練習ももーないし。 とくたいせい サッカー特待生の誘いが来ている嵐には、受験勉強とかもあんまカンケーない。 せがわ 瀬川嵐はヒマだった。 こうしろう その上、光司狼にすすめられたのは理想の女のコ由宇の相手役。 ことわる理由はどこにもなかった。 らん

4. ラブ・ユー

その想いの対象がたとえ″由宇〃だったとしても、佑はかまわなかった。 少なくとも拒絶されているわけではない。 今はそれだけで十分だと感じていた。 嵐のためなら、永遠に女のコのふりしててもいい。 だいすき。 けなげな決意が佑の心を満たしていた。 男のコの自分はムシされても、女のコの由宇が嵐の目を惹きつけていられるなら、それだけ でもう。 「佑、早く着替えな。ヒナコさんがメシさめちまうってよ」 部屋に戻ると光司狼が着替えを押しつけてくる。 しののめこうなん 一東雲港南中学周辺地区ではおそらくもっとも注目度の高い三つ子の兄弟ーーー・ーそんな超人 気者・瀬川三兄弟がどうしてか手取り足取りちょ 0 かいを出してやりたくなってしまう幼なじ み。 尾崎佑。 こうしろう

5. ラブ・ユー

116 ■ 7 ・そして晴れの舞台へ至る道 こうしろうみづき 「こうゆーときはしつかりチーム組むくせに、なんで光司狼と水月って仲悪いんだ ? 」 しののめこうなん 東雲港南中学まであと二百メートルほどのところにさしかかって。 少女アリスが見上げたのは、自分よりうんと背の高い二匹のお供ウサギ。 ではないが、まあ今日の″由宇〃の服はそんなかんじ。 同じクラスの友だちにバレてはまずいというので、ヘアウィッグもロングタイプのふわふわ に替え、服もなるべく女のコつぼくて、とてもじゃないが男子が着そうもないタイプのアリス ドレスに替えられた。 すべて水月のアイディアだ。 ( 光司狼は自分の服に関しては文句なく完ぺきなのだが、どう も女のコセクションに関しては、やや目がクモッているようだ ) 「なあ、なんでだよ ? 」 「佑。学校もうすぐだよ。そろそろそのしゃべり方やめたら ? 」と水月。 「俺につかまって歩くのもよせ。他のやつらに見られるぞ」と光司狼。 ゅう ュウ

6. ラブ・ユー

186 さて。 ごぞんじのとおり、瀬川家にはもう一人、永遠の勇者が存在する。 ここで・ 2 ■の嵐を思い出してみよう。 あのとき嵐がインターネットでアクセスしていたサイト名は ? " ラブ D ュー ピンポーン。 てなわけで、その夜。 嵐もまた、幸か不幸か、インターネットにつないだ自分の。ハソコンで、かの神秘の裏サイト 。、への侵人を果たしてしまう。 瀬川嵐、中三。 女のコラブ。 思春期である。 それはそれでカワイイ。 などと光司狼が思ったことについては、あえて追及せずにおく。 ウェ

7. ラブ・ユー

256 そうして全世界が注目するなか、もうすぐリアルなスー。 ( ーアイドルはすやすや気持ちよく おやすみ中である。 数分後。 ねみだ 寝乱れたとっても色ッポイその姿で佑は、 「ばっかやろーツツ ! どこさわってんだ、このヘンタイ兄弟 ! わーツ ! などと叫ぶことになるのだが、それも今はまだ・ハーチャル。 尾崎佑はまだ幸福な・ハーチャルワールドで明日のめざめを夢みる眠り姫。 待っているのは王子様のキス。 てのが定番ですが。 あのー王子様一二人いるみたいなんですけど、どれにします ? 選択権はいつだって女のコのもの。 どこまでもひろがってくドリームクリーム さわんな ! 放

8. ラブ・ユー

・ 5 ■そしてアイツがオレにしたこと これ着んのか、オレがツツ」 「これツツにちょっと待てッ ! スタジオの更衣室。 ほとんど悲鳴に近い声をあげた佑に、メイクアップアーティストの近藤さんが大きくうなず 「そおよお、コーシロちゃんに言われてちゃあんとイメージどおりのもの用意させといたんだ から。大丈夫、ユウちゃんなら似合うと思うわ。あたしこう見えてもスタイリストの資格も持 ってんだから、バッチリよ」 「似合うって・ : そ、そーゅー問題じゃ」 「あらあ、だめよお。ショート。ハンツもいいけど、たまにはこういうミニスカートもはかなく ちゃ。女のコでしよ」 ゅう こんどう

9. ラブ・ユー

約束は約束だ。 もはや取り消しようもない。 佑はせめて光司狼をビシッとにらんでやろうと後ろを振り返った。が。 とろーんとした目。しまりのないロ。 ふよふよの視線。 うわあ ! 初めて見る嵐のその顔に、佑、思わず心で絶叫。 あっ、あんなにカッコイイはずの嵐が、いつつもビシ・ハシに男らしー嵐が : ・いった いどーしたっていうんだアツツに そのカッコイイ男の目は今にもとろけそうになりながら、スクリーンにくぎづけだ。 「理想的だ・ : 」 茫然 ( あるいは朦朧 ) としたまま嵐は言った。 「モロ俺ごのみ」 「へつ ? 」 好み ? オレが嵐の ? あでも嵐の好みは女のコのオレか・ 喜んでいいのか悲しんでいいのか。

10. ラブ・ユー

222 いちばん大切なコのほほを濡らしてゆく涙。 キスした直後、とじていた目をあけたら、そこにはぼろぼろ泣きだしてしまっている佑の顔 があって。 かわいい。 ビヨーキ。 由宇の女のコメイクのまま泣きだしてしまった佑が、嵐の目にはものすごくキュートに映っ てしまっていた。 カワイイ。イトシイ。守ってやりたい : でもこれはほんとは佑なんだし ! 嵐、混乱中。 でもやつばりカワイイしイトシイし守ってやりたい : あああああっ ! やつばり俺はヘンタイだーツツ ! 嵐、苦悩中。 てなぐあいで嵐の内部宇宙でいろいろ数々の超新星爆発が起こってる、なんてことにはまっ たく気づかない佑は。