呪い - みる会図書館


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1. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

く好評発売中〉 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 物コバルト文庫 青き妖魔の玩具 人知らすの森のルーナ 3 まゆうきりん イラスト / 沖麻実也 ソレイユが夫を殺害 し、失踪した ! 地の妖魔が衝撃の事実を 明かした。捜索を依頼 されたルーナは呪いの 解読が進まぬ為、それを 断るがその間に海の妖魔 が姉に手を伸ばし・・・ ◆ ◆ ◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

物コバルト文庫 く好評発売中〉 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ まゆうきりん イラスト / 沖麻実也 広大な、人知らすの森″ にた 0 たひとりで暮をミ : 、 らす少女、ルーナ。 ある日、騎士・グー リアスが幽霊の姿で現 れ、東の海に住む妖魔 の呪いを解く手助けを してほしいと告げた。 ! み ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 人知らずの 森のルーナ

3. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

114 出させないようにしようとしているのね、ライビュートは ! 」 「逃げるんだ : : : 山へ」 ルーナの考えには答えず、言うなりグーリアスは彼女の手を取り、山のほうへと向かって走 るように歩き出した。 「い、痛い : : : まって、まってよグーリアス ! なにがどうしたって一言うのよ ! 」 つなみ 「津波だ ! 」 小走りになりつつ、叫ぶように彼は言った。 「津波が来るんだ ! 」 「う、嘘でしよう : 「嘘なものか ! : 私はこの目で見たのだ。街が、家が、祖国が、大津波にのまれるのを。 のが わず さいやく 海の水がみるみる引いた後で、あれは来た。逃れたものは僅かだった。その僅かな人々が災厄 を逃れて海に出た」 肩が抜けるのではないかと思うほど強く腕を引かれるに任せ、ルーナはグーリアスの言葉に 耳を傾けていた。 のろ グーリアスがロにしたその航海で、彼は妹を亡くしたのだ。そしてそれが、呪いを受けるき つかけとなったのである。

4. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

葡萄酒を垂らすと、素喞らしい香りが広がった。用のない火は消した。 はちみつ 「蜂蜜があれば、このビスケットもいくらかましになるのにね」 わん 椀を手渡しながら、ルーナは残念そうに言った。 ぜいたく 「贅沢は言えんさ。それにしても、また、ライビュートか」 「グーリアスもそう思った ? 」 「ああ。どうにも縁が切れないようだな。しかも、向こうから何か仕掛けてくるのはともか く、意図しないところにも奴の影が見える」 「海はライビュートの庭みたいなものですもの。もしかすると、全てのことに関わっているの かもしれないわ」 「 : : : 今度のことに、奴はどう出るか」 ほうじゅん ルーナはこくりと紅茶を飲んだ。芳醇な香りが体の中に染み入る。 「黙ってるとは思えないけれど : : : でも、やるしかないわ。それでなくては、世界の果てにた 城どりつけないのだから」 て 強く、グーリアスも頷いた。 界「 : : : でも、似合わないね」 世 「何がだい ? 」 「こんないい天気の日に、こんな話をしていることが」 えん

5. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

どうすればいいの。 どうすればいいの。 どうすればいいの。 どうすれば 頭に繰り返し浮かぶのは、その言葉だけ。 「正しい《死》によって彼の魂を救うか、それともあなたが以前に望んだように、ともに滅び るかは自由です。しかし、魂が救われれば、彼は死の王国で親しい人と暮らすことができるで しよう。待っている人もいるのではないですか ? 」 ルーナはハッとした。 その時、彼女の頭に思い浮かんだのは、グーリアスの妹、クレーレのことだった。 呪いに犯されてまで、その魂を救おうとした妹が待っている : 「 : : : わたしも、死の王国で彼に逢うことはできるのでしようか ? 」 城「残念ながら、無理でしよう」 果『全てを知る者』は無情にも言い切った。 界「グーリアスは千年前の死者となるのです。死の王国でまみえることができるのは、同じ時間 をともに生きた者だけです。あなたが彼と過ごした時間は、呪いを解くことで、元から存在し ていなかったことになるのです」 おか

6. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

「まさか : : : 」 ー ) トっ・ヘき 「ええ、そう。障壁を破られたばかりじゃない。わたし、《カ》を使うことができないの ! 」 グーリアスは息を飲んだ。 とどろ はる 頭の遙か上で雷鳴が轟き、船を大きく揺るがせた。 グーリアスの体から発せられる燐光を頼りに、ルーナは階段を上がっていった。右に左にと ようしゃ おけ 船がかしぐたびに、頭の上から冷たい海水が桶をひっくり返したかのように容赦なく浴びせら れ、体はたちまちずぶ濡れになる。 「なにかおかしいとは思ったの」 顔に張りつく髪をのけながら、ルーナは言った。 「得体の知れない感じがしたんだけれど、気のせいだと思ったの」 しゃべ したか 「 : : : 喋らないほうがいい。舌を噛む」 城「油断していたんだわ : : : ああ、このまま船が沈んだらどうしよう ! 」 てグーリアスは答えなかった。 の彼もわかっているのだ。このまま船が沈めば、わたしは死ぬ。 世 死んだのちも、安らぎの『死の王国』へは旅立てぬだろう。 みらいえい ) ) う ライビュートに捕らえられ、末来永劫に続く苦痛を与えられ、彼を楽しませる玩具にされる

7. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

198 「彼にかけられた呪いを解くということは、すなわち、千年の時間を正しく取り戻すことにほ かならないのです。これが何を意味するか、あなたならわかりますね ? 」 「まさか : : : 」 「ーーーそうです。それは、グーリアスの正しい死を意味します」 「嘘よ ! 」 ルーナは叫んでいた。 「そんなの : : : そんなの嘘だわ ! そんな解呪に、なんの意味があるっていうの ? 呪いを解 ひど くことが彼を殺すことだなんて : : : そんなの酷すぎる ! 」 しようめつ 「 : : : だが、呪いをとかなければ、彼は消滅してしまうのですよ」 ルーナの肩がびくりと震えた。 少年は、小さくため息をついた。 たましい いちじる むちゃ 「彼は無茶をしましたね : : : 人の世のものでない指輪を使って。あれは、著しく彼の魂を削 ぞく りました。いま元気そうに見えるのは、俗に言う、命の最後のきらめきでしかありません」 「そんな : : : 」 「この城の時間で、今日を含めて、もってあと三日でしよう」 少年のその言葉が、とどめだった。 ばうぜん ルーナは呆然として、その場にへたり込んでいた。

8. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

見覚えがある。 いや、忘れようにも忘れられぬと言ったほうがよい おのれのろ ようま なぜなれば、彼の人形こそ、己に呪いをかけた妖魔であった。 べつだん しかし、グーリアスは、静かに人形を見つめるだけで、別段、飛びかかろうともせぬ。 細められたまぶたの下で輝く青い瞳は、探るように人形を見つめている。 静かに、時が流れた。 聞こえるは、波の音と火の中ではぜる枝の音ばかり。 彼は考えていた。 この妖魔は、確か二年ほど前に、死んだはずである。己の分をわきまえず、同じ海の妖魔に 殺されたのだ。 さま その様を、グーリアスも己が目でしかと見ている。 まさかに、あれがあの化物の巧妙な逃げであったとは思えぬ。そのようなめくらましが通用 する相手ではなかったはず・ーーあの『青の妖魔』は。 「何を驚いている ? 」と水が口をきいた。「我が死んだとでも思うたか ? 」 おろ 「愚かな。我が死ねば、呪いは解けよう。おまえの体に呪いがかかったままなのが我が生きて あかし いる証。世界の果てに行ったとて、解けはせぬわ」 グーリアスのロの端に、ト 馬鹿にしたような笑いが浮かんだ。 おの

9. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

218 「そんな : ・ がくぜん 愕然となってルーナは『全てを知る者』を見つめた。 「では、希望はないのですか : : もう、全て : ・ : ・」 少年は再び黙り込んだ。 ルーナは、込み上げる涙をこらえて、くちびるを噛んだ。だが、わなわなと体が震え出すの はいかんともしがたかった。 言わなければよかった。 くちびるが破れて、血がにじんだ。 鉄の味がロの中に広がったが、そんなことは気にもならなかった。 ルーナは激しく後悔していた。 言わなければ、そうすれば、こんな酷いことを聞かなくてすんだのに : ただ、呪いを解くことだけを告げて、ナイフをもらい、さっさとこの部屋を出ればよかっ 馬鹿正直に、聞かれたことに素直に答えたがために、こんなことを、知りたくもない事実を 聞かされるはめになってしまった。 「 : : : ルーナ」 力ない笑みを浮かべたグーリアスが、そっと肩に手を回してきた。 っ ) 0 か

10. 世界の果ての城 : 人知らずの森のルーナ4

Ⅷ「それじゃあ、どんな話が似合うと思う ? 」 「そうねえ : : : 」 かし ルーナは小首を傾げて考え込み、グーリアスはそんな恋人の様子を眺めながら紅茶を酒を飲 むかのように飲んだ。 月い目が、嬉しげに、優しげに、輝いている。 のろ 「そうだ ! 未来の話をしましようよ。ええと : : : グーリアスは、呪いが解けたら何がした 「 : ・・ : そうだな : ・・ : あらたまって聞かれると困るが : ・・ : そう、森に帰りたいな」 「森って : : : 人知らずの森 ? 」 いっかく 「ああ。君が許してくれれば、森の一画に両親と妹の墓を立てて弔いたいんだ」 「いいわよ。それから」 「もうないの ? 」 「ねえ、グーリアスったら : : : 」 「子供が、欲しいな」 「えっ ? 」 とむら なが